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第396回:チューナブルアンテナ とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「アンテナ」とは、電波をキャッチするための装置です。通常、特定の帯域の電波を受信するためには、最適なアンテナの仕様が決まっています。電波は、波の長さに当たる“波長”というものがあり、アンテナが最も良い効率で電波をキャッチするには、波長に合わせた長さにして受信電波と共振状態にする必要があります。

 しかし最近では、幅広い周波数帯域に対応しながら、受信したい電波の周波数に合わせて最適な共振周波数を変更できるアンテナが存在します。それが「チューナブルアンテナ」です。

 「チューナブルアンテナ」は、幅広い周波数帯の受信が必要な機器で、なおかつ長いアンテナが必要であるにもかかわらず、アンテナスペースがわずかしか用意できない小型機器用に最適とされています。身近な例では、携帯電話用のワンセグ受信用アンテナとして部品メーカーなどから携帯電話メーカーに販売されています。

 ワンセグ放送をはじめとする地上デジタル放送は、470MHz~770MHzという帯域の周波数帯を使います。この周波数帯は非常に広く、全ての周波数帯に合ったアンテナを携帯電話内蔵のモノポールアンテナで受信するのは難しく、現在のところ、携帯電話のワンセグ受信では、一部メーカーの端末を除き、電話の筐体からユーザーが手でアンテナ部分を引き伸ばしてから使うようなホイップアンテナやロッドアンテナが使われたり、アンテナ兼用のイヤフォン変換ケーブルで受信するケースがほとんどです。しかし、チューナブルアンテナでは、受信したいチャンネルによって、たとえばワンセグの最初のチャンネルである13チャンネルを受信するには470MHz~476MHz、最後のチャンネルである62チャンネルを受信するには764MHz~770MHzに最適になるようアンテナ回路を電子的に調整します。

 形状的には、チューナブルアンテナは、筐体の内部に内蔵されている基板や筐体そのものにアンテナ素子を取り付けて使用されるため、外付けアンテナが必要なく、携帯電話の外観からワンセグ用アンテナがなくなったように見せられます。

 このような小型で感度のよいチューナブルアンテナが採用されるケースは増えており、ワンセグ受信機能搭載でも、すっきりとしたデザインの携帯電話が増えると見られています。


アンテナの中にダイオードを含む回路

 チューナブルアンテナは、原理的には、アンテナ素子上のアクティブ素子であるバリキャップダイオードやRF-MEMSといったデバイスを使って、電気的に特性を変えて共振周波数を変化させる“アクティブアンテナ”の一種です。

 アクティブアンテナとは、機械的な手段や電気的な手段などを使ってアンテナの志向性を制御して、電波受信効率の良し悪しを変えるタイプのアンテナです。一般的には、アンテナと能動(アクティブ)素子を含んだ回路が同じモジュール内に構成されています。

 チューナブルアンテナの仕組みを見ると、アンテナモジュール内部に、バリキャップダイオードやMEMSと呼ばれる半導体が組み込まれています。ダイオードは交流を直流に変換する整流器としてよく使われますが、この場合は、電荷を溜め込み放出するキャパシタのような役割をすべく組み込まれています。バリキャップダイオードには、電極に加える電圧によって静電容量を変えられる、特殊なコンデンサのような性質があるのです。

 MEMSは、ごく微小な機械構造を半導体基板上に構築したもので、可動構造上に誘電体膜を導入することで、電圧によって貯める電荷を変えるチューナブルキャパシタを作れます。

 これらの性質を利用して、アンテナのインピーダンス、つまり「アンテナがどんな周波数の電波に対してもっとも抵抗が少なく電気が通りやすいか」という部分を変化させ、最も効率よく受信できる電波の周波数を変化させているのです。


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(大和 哲)
2008/11/04 12:34

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