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第47回:POBox(Predictive Operation Based On eXample)とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


POBoxを採用している携帯電話、NTTドコモ「SO503i」
 POBox(Predictive Operation Based On eXample)は、NTTドコモのiモード携帯電話 SO503iやauのcdmaOne携帯電話C406S、C413Sにも採用されている日本語入力のシステムで、従来の携帯電話での日本語入力方法と比較して、必要な入力文字数が少なくなっているため、文章を効率よく、短い時間で打つことができます。

 もともと、このPOBoxは、ソニーコンピュータサイエンス研究所の増井俊之氏によってペン型携帯計算機向けの文章入力システムとして開発されたものです。最近では携帯電話の他、ソニーのパーソナルITテレビ「エアボード」でも文字入力方法として採用されています。また、PalmやWindows95、WindowsCE用のプログラムも存在しており、これらの動いているPC上でも使うことができます。たとえば、本誌5月25日掲載のモバイラーズ☆EYEでは、POBoxをiPAQ Pocket PCにインストールした例が紹介されています。

 なお、この「POBox」という名称はソニーの商標登録です。


「予測」と「あいまい検索」で劇的に入力を減らせる POBox

 POBoxの大きな特徴は「予測」と「あいまい検索」を利用していることです。ユーザーの入力したものと知っている知識から、おそらくユーザーが入力したい言葉を「予測」して候補を表示することで、従来の携帯電話での日本語入力方法と比較して、ユーザーの入力の手間を大きく減らしていることです。

 普通の携帯電話では、ある言葉を入力するにはその言葉の読みをすべて入力しなければなりませんが、POBoxを採用している携帯電話では、ユーザーがキーから入力した、単語の中の一部の文字から、そのユーザーが入力したいであろう単語の一覧を候補として表示するため、キー入力が他の一般の変換よりとても少なくなるのです。

 たとえば、POBox採用の携帯電話で「予測変換切替」モードにして、「め」という文字を入力します。すると、入力した「め」から「め」「メール」「メディア」「目」……と、入力候補の一覧を携帯電話が表示してくれますので、ユーザーは、もし、この候補の中からすぐに入力したい文字を出せそうならこの候補の中からジョグダイアルで選び出すことでその文字を入力できるのです。

 さらに文字を入力していくと、さらに候補を絞り込んで表示します。

 「めー」と入力すると「めー」「メール」「メーカー」……というように候補を表示します。

 加えて、POBoxは例文辞書も持っていて、これを使って直前に入力された単語から次に入力される単語の予測もします。

 たとえば「メール」と入力した直後であれば、「メールアドレス」「メールマガジン」「メールで」「メールを」……などとユーザーが書きたいのかもしれない、ということが予測できますね。そこで、電話機は「メール」と入力した直後に、候補として、何も入力しなくても「アドレス」「マガジン」「で」「を」……などが自動的に侯補として表示される、というような工夫も行なうのです。


POBoxの「予測」によって、入力された文字から、ユーザーが入力したいと予測される文字列がリストアップされる。文字をキーで打たなくても、センタージョグを転がすことで、文字が入力でき、また、その単語の次に来ると予想される単語がさらに次の候補としてリストアップされる

 結果として、これらの組み合わせで、例えば、ある携帯電話では「メールアドレス」という文字を入力するには、合計30回キーを押さなくてはなりません。

「7(ま)」×4回
「0(わ)」×4回
「9(ら)」×3回
「1(あ)」×1回
「4(た)」×5回
「9(わ)」×4回
「9(ら)」×4回
「3(さ)」×3回
「↑」×1回
(i)×1回(決定)

 これが、POBoxでは以下の操作で入力できます。

「7(ま)」×4回
センタージョグ回転(候補から“メール”を選択)
センタージョグ押し×1回(決定)
センタージョグ回転(候補から“メールアドレス”を選択)
センタージョグ押し×1回(決定)

 POBoxでは、同じ単語を入力するのに、手間をかけずに入力できるようになっているのです。

 またPOBoxでは、インクリメンタルサーチは完全一致ではなく、あいまい検索で行ないます。そのため、文字が少し違うような単語でも候補にします。たとえば、「は」「ば」「ぱ」というように「゛゜」が使われる文字もサーチの対象にしますし、「ゃゅょ」は「やゆよ」と同様に検索します。

 例えば、「そは」で「そば」、「ちよう」で「蝶」のように、完全に一致しないものでも近い候補を表示するのです。

 ちなみにある携帯電話の変換では「らる」と入力することで「L’Arc~en~Ciel」が候補に表示される、というようにもなっているそうです。


他にもある入力の工夫

 なお、現在はPOBox以外にも、製品となっているもの、製品となっていないものを含めていろいろな入力方法が携帯電話などにも使われ、また使われる予定になっています。

 たとえば、POBoxと同様に入力を予測することでキー入力を減らすものには、T9などがあります。T9は海外の携帯電話の一部で使われている方式で、キーにいくつかのアルファベットが割り振られていることを利用しています。

 たとえば、T9を採用しているあるGSM携帯電話では、9には(WXYZ)、6には(GHI)のキーが割り振られていますので、9,6と入力すると「WI」と候補が表示されます。さらに2(ABC)を押すとさらに入力予測機能も利用して「what」を候補として表示する、というように入力する文字数を少なくする工夫をしています。


・ POBox - 予測と曖昧検索にもとづく入力手法(ソニー)
  http://www.csl.sony.co.jp/person/masui/OpenPOBox/index.html


(大和 哲)
2001/06/12 00:00

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