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第80回:チップセット とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


チップセットとは

 携帯電話をはじめとする現在のデジタル機器には、「LSI」と呼ばれる部品が使用されています。身のまわりにある機械の中を開ければ、その多くに黒い金属のピンが何本もついたLSIを見ることができるでしょう。この小さな半導体部品は「チップ(chip)」「半導体チップ」とも呼ばれます。

 今回ご紹介する「チップセット」とは、この半導体チップの中でも「ある機能を実現するための作られた複数のLSIの組」のことで、特にパソコンのマザーボード上に各半導体メーカー製のチップセットが採用されていることで知られています。ユーザーによっては、パソコンやマザーボードを買う時にこのチップセットがどのメーカーのどの製品なのかを気にする人もいます。

 パソコンには、CPUやメモリ、ディスク、PCIバスといったそれぞれの機能を持ったLSIがありますが、チップセットはこれらを互いに仲介する役割を持っています。いくらCPUやメモリがよいものでも、それらを橋渡しするチップセットの性能がよくなければコンピュータ全体としてはパフォーマンスを高めることができないので、どのチップセットが採用されているかが気になるといった事情があるようです。

 昔のコンピュータでは、このCPU周りの機能は汎用のロジックLSIを組み合わせてメーカーが独自に設計していました。しかし、このような回路を汎用の部品でいちいち作っていると装置が大きくなってしまいますし、設計のための費用もかかってしまいますので、それならばこのような回路をLSIでいくつかにまとめてしまえばいいということで、LSIにいくつかの機能がまとめられていきました。現在のパソコンでは、CPUやメモリをつなぐブリッジやビデオコントローラー、サウンド機能までをまとめていくつかのチップ、また場合によってはひとつのチップにまとめられるようにもなりました。

 これにより、コンピュータはコンパクトなまま高機能化することができました。メーカーも自前による設計をやめて、できあいとも言えるチップセットを調達してくることで、より手早く必要な機能を設計できるというメリットも手に入れることができたのです。


携帯電話とチップセット

 さて、携帯電話の世界においても「チップセット」と呼ばれるLSIが販売されていて、LSIを使って制御する部分が大変多くあります。例えば、携帯電話の中にもマイクロコンピュータやメモリがありますし、メモリの内容を液晶パネルに表示するためにデータを変換して液晶パネルを制御したり、一定間隔ごとに正確に電波を出す電力制御、周波数の制御などといったことも行なわれています。

 携帯電話はパソコン以上に本体を小さく設計しなければなりませんし、そのためにもできるだけ必要な機能をまとめ、コンパクトで少数のチップにまとめる必要があります。また、携帯電話の場合は端末のメーカーが別でも、同じ事業者、同じ方式であれば、電波にどのように音声信号を乗せるのか、どのタイミングで電波を出すかという部分は共通になるので、多くの場合は回路の基本的な部分を共通にすることができるはずです。そう考えると、携帯電話の設計に携帯電話用チップセットを使うということは、理に適ったことであると言えます。

 例えばcdmaOne方式の携帯電話では、米クアルコム社のチップセットが多くの端末メーカーで採用されています。米クアルコム社のチップセット「MSM5100」は、「CDMA2000 1x」方式に対応し、音声をデジタル信号に変換するサンプリングや、それを携帯電話の電波に乗せる作業から、デジタルデータを最大144kbpsで伝送する機能、GPS衛星からの電波で自分の位置検索を行う「gpsOne」の機能までを含んでいます。

 つまり、携帯電話メーカーがこのようなチップセットを採用すれば、例えば携帯電話をCDMA2000 1xやgpsOneに対応させる場合に、その基本部分を開発する負担をかけず、デザインやソフトウエア、液晶ディスプレイやドライバとの組み合わせなどに注力して、より短期間でより多機能な携帯電話を作り上げることが可能になるわけです。米クアルコム社のほかにも、インテルと三菱電機、TIといったメーカーが次世代携帯電話向けのチップセット開発(販売)を発表しています。


この秋にリリース予定のFOMA対応端末ほか
ダイジェストニュース:技術動向
クアルコム、gpsOne・BREW・cdma2000対応チップをサンプル出荷
インテルと三菱、次世代携帯電話用チップセットを共同開発


(大和 哲)
2002/02/12 13:39

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