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着せかえコンセプトを継承したCDMA2000 1x端末「A3014S」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


A3000シリーズ注目の1台

 auが今年4月から展開している次世代ケータイ「CDMA2000 1x」。すでに数機種が市場に投入されているが、なかでも注目を集めているのがソニー・エリクソン初のCDMA2000 1x端末となる「A3014S」だ。実機を試用することができたので、レポートをお送りしよう。


着せかえコンセプト再び

A3014S

 au/ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ『A3014S』。サイズ:48×95×29mm(折りたたみ時)、110g。アズールブルー(写真)、コスモブラックをラインアップ。
 ケータイに限らず、どんなジャンルの製品も関係することだが、「継続」や「継承」というキーワードは非常に重要なものだ。たとえば、ある製品を使っていて、同じメーカーの後継モデルを購入したのに、以前のモデルの周辺パーツが使えない、オプションが使えないということがあると、ユーザーはガッカリしてしまうだろう。しかし、商品を企画する側の観点で見た場合、継続性や過去の資産の継承を大事にしすぎると、新しい機能を搭載できなかったり、デザイン的な制約を受けてしまうなどの制約がある。また、製品を販売する立場から考えると、製品の世代ごとに周辺パーツやオプションが異なるのはユーザーからの問い合わせが増える上、在庫を抱えるというリスクも伴う。

 ケータイの世界においては、継続性はそれほど重要なキーワードとして扱われていなかったように見受けられる。充電器やバッテリーなどは従来モデルと同じものが利用できることもあるが、それ以外の機器(あまりないが)は比較的、自由に仕様が変更されてきた。オプション品についても多くのニーズが端末のみで完結しているため、継続性や互換性がそれほど重要視されていなかったようだ。

 今回紹介するauのソニー・エリクソン製端末「A3014S」は、今年前半、高い人気を得た同社製端末「C1002S」から「着せかえケータイ」のコンセプトを継承している。C1002Sも昨年前半に高い人気を得た「C406S」の着せかえパネルのコンセプトを継承していたが、今回のA3014SではC1002Sと同じ着せかえパネルを装着できるようにしている。着せかえパネルを共通化したことにより、従来のC1002S用も合わせ、さらに豊富な着せかえのバリエーションが楽しめるようになっているわけだ。着せかえコンセプトを継承しながら、ソニー・エリクソン製端末がどのように進化したのかをチェックしてみよう。


広がりを見せる「着せかえケータイ」ワールド

閉時

 着せかえパネル横に「クイックディスプレイ」を装備。ヒンジ部分のLEDはポケットに入れた状態でも確認が可能。
 製品のスペックや細かい仕様については、auやソニー・エリクソンの製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が実際に試用した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。

 ボディはC1002Sと同じコンセプトの折りたたみボディのデザインを採用しており、外見も非常に似通っている。しかし、細かい部分をチェックしてみると、微妙にデザインが変更されていることがわかる。

 たとえば、ヒンジ部に注目してみると、C1002Sが液晶ディスプレイ側のボディが反対側のボディを挟み込むようになっているのに対し、A3014Sは逆のレイアウトとなっている。ヒンジ部中央のLEDは液晶ディスプレイ側に装備されたことにより、本体を閉じ、胸ポケットに入れた状態でも真上から視認できるようにしている。C1002Sではトップパネルにauのロゴが浮き出るように描かれていたが、A3014Sでは同じ部分に「クイックディスプレイ」と呼ばれるサブディスプレイが装備され、auのロゴもシンプルなものに変更されている。側面にはクイックディスプレイのバックライトランプを点灯させるためのボタンが装備され、背面のストラップ用の穴の位置も微妙に移動している。

 ボディカラーもC1002Sが全体的にポップな印象だったのに対し、A3014Sは高級感のあるシックなものになっている。ちなみに、A3014Sのコスモブラックの塗装はブラックライトに反応するようになっており、クラブなどで使うと、かなり目立つと予想される。

 ボタン類はソニー・エリクソン製端末でおなじみのセンタージョグをはじめ、基本的に同じレイアウトを採用しているが、C1002Sでセンタージョグの左右方向ボタンにあった突起がなくなり、操作感が変わっている。テンキー下の[マナー]ボタンと[メモ]ボタンでページ送りができたり、ナイトオン設定時に[#]ボタンで液晶ディスプレイのバックライトが点灯できる機能などは、C1002Sから継承されている。

 液晶ディスプレイは6万5536色表示が可能なTFTカラー液晶を採用しているが、解像度は120×160ドットと標準的なものだ。画面デザインはC1002Sから若干変更され、背景色などもボディと同じように「着せかえ」が可能だ。クイックディスプレイは標準、詳細、キャラクターの3種類から表示方法を選ぶことができ、キャラクターモードでは電波状態をキャラクターの表情などによって表現している。


ボタン ディスプレイ
 ボタン類はC1002Sから基本レイアウトを継承したが、センタージョグの形状が若干、変更された。操作に違和感はない。  液晶ディスプレイはTFTカラー液晶を採用。120×160ドット表示は最新端末としてはやや低めの解像度。

eznavigationとezplusに対応

効果音

 効果音のメニューが追加された。メール関係の効果音は意外に便利。
 次に、機能面に付いて見てみよう。今年1月に発売されたC1002Sはauの新しいラインアップの型番が与えられていたが、昨年末にauが開始した次世代サービスには対応しておらず、基本的には従来のC40xをベースにしたものでしかなかった。これに対し、今回のA3014Sはeznavigationに対応するGPSケータイで、Javaアプリが動作するezplusにも対応する。

 まず、最も利用頻度が高いメールについては、受信メールのフォルダ管理が可能になり、自動振り分けも可能になった。センタージョグ横の[メール]ボタンを押したときに表示されるのは[Eメールメニュー]である点はC1002Sと同じだが、A3014Sではセンタジョグ右の[EZ]ボタンを押すと、ワンタッチで[Cメールメニュー]に切り替えることが可能だ。また、メールのビューアも変更されており、画像などが添付されていたとき、画面上に画像を表示できるようにしている。

 ソニー・エリクソン製端末ではおなじみのPOBoxとセンタージョグは、前回のレビューで紹介したSO504iなどと同じように、一部のサイトで使えなかった入力フォームでの利用が可能になったり、辞書も待ち合わせ場所の名称や固有名詞などが強化されている。また、POBoxは他の日本語入力に比べ、モードの変更に手間が掛かるとされているが、A3014SのPOBoxは絵文字や英語が入力候補として表示されるようになり、モードを切り替える場面がかなり減った印象だ。

 サウンド系では他のA3000シリーズ同様、40和音に対応しており、背面の大口径スピーカーからはしっかりしたサウンドが楽しめる。効果音も設定項目が増え、一般的な「ウェイクアップ」だけでなく、「電話を開く」「新着メール問い合わせ」「メール送信成功」「メール送信失敗」などにサウンドを設定できるようにしている。


着せかえパネル

 別売の着せかえパネル「クロコダイル」のブルーを装着。
 新たに対応したeznavigationやezplusについては、eznavigationでココセコムに対応しているものの、その他にはあまり新しい機能が盛り込まれていない。今のところ、独自のものとしては、同社の公式サイト「SonyEricsson@ez」(A3014Sは[EZ]ボタン長押しでアクセス可能)で配布が開始された「ezVisualFlow」があるくらいだ。ちなみに、ezVisualFlowは静止画閲覧のアプリケーションで、VAIOシリーズのアプリケーションでおなじみの「VisualFlow」をベースにしたものだ。ソニー・エリクソンによれば、同社の「ImageStation」との連携を図っていくそうなので、今後の展開に期待したい。

 着せかえパネルについては、前述のようにC1002Sと互換性を持たせているが、新たにオプションのパネルも追加されている。ちなみに、着せかえパネルはauショップでも購入できるが、ソニーグループのオンラインショップサイト「SonyStyle」からも購入することが可能だ。1枚あたりのお値段もそれほど高くないので、ぜひ試してみることをオススメしたい。また、ソニー・エリクソンではA3014Sを購入したユーザーを対象に、映画「MEN IN BLACK II」の着せかえパネルをプレゼントするキャンペーンを行なっている。A3014Sを購入したユーザーは同社の公式サイトで忘れずに応募しよう。


着せかえパネル
 別売の着せかえパネル。左から「クロコダイル(ブルー)」「メタル」「クロコダイル(ブラック)」。クロコダイルはかなり存在感アリ。

「着せかえ」と「カメラ」のどちらを選ぶ?

C1002S(左)とA3014S

 「着せかえ」コンセプトをC1002Sから継承。パネルに互換性があるのはうれしい。カレシやカノジョと「パネルだけお揃い」なんていうのも楽しいかも。
 さて、最後にA3014Sの「買い」を診断してみよう。「着せかえ」というコンセプトでケータイの新しいファッション性を打ち出したソニー・エリクソンの端末だが、今回のA3014Sでは従来のC1002Sと着せかえパネルに互換性を持たせることで、ケータイのトレンドとして定着させようとしている。オプションのパネルもかなり種類が増え、限定品のプレミアパネルも登場するなど、今後の展開がますます楽しみだ。

 ただ、ケータイ市場全般の流れとして見逃せないのが「カメラ付き」というトレンドだ。現に、auのA3000シリーズでも現時点で唯一、カメラを搭載したCASIO製端末が非常に高いシェアを獲得している。これをどう見るかによって、A3014Sの「買い」指数は大きく変わってくることになるだろう。

 これらのことを総合すると、A3014Sを買いと言えるのは「カメラを必要としない」、もしくは「カメラはPashaPa2で十分」と考えるユーザーだろう。また、au端末の場合、通常のデジタルカメラが何機種か対応しており、これらを利用することも考えられる。ただ、ケータイとデジタルカメラをいっしょに持ち歩くのはかさばるため、結果的にカメラのプライオリティが低いユーザー向けということになるだろう。

 また、C1002Sと同じ評価になってしまうが、「着せかえ」というコンセプトやスタイリッシュなボディを評価できるユーザーにもおすすめできる。今や、ケータイは日常的に身につける道具であり、ファッションとも密接な関わりを持ってくるが、着せかえケータイであれば、その日のファッションに合わせたコーディネートが可能であり、ケータイをアクセサリー的に使うこともできる。A3014Sではボディカラーもグッと落ち着いたものになり、ブラックライトに反応する塗装を施すなどの新しい試みも見られる。こうしたトータルのファッション性は国内で販売されるケータイの中でも群を抜いている。

 最終的な判断は「着せかえ」と「カメラ」のどちらを重視するのかということになりそうだが、A3014Sは端末としての完成度も非常に高く、買って損をしない端末のひとつと言えるだろう。


・ ニュースリリース(KDDI)
  http://www.kddi.com/release/2002/0515/index.html
・ 製品情報(KDDI)
  http://www.au.kddi.com/phone/cdmaone/a3014/a3014.html
・ 製品情報(ソニー・エリクソン)
  http://www.sonyericsson.co.jp/product/au/a3014s/
・ 「アクセサリー/周辺機器」(ソニースタイル)
  http://www.jp.sonystyle.com/Qnavi/acc.html
・ 「法林岳之のケータイならオレに聞け!」(impressTV)
  http://impress.tv/im/article/hkt.htm

A3014S(アズールブルー)
au、4月1日より第3世代携帯電話「CDMA2000 1x」を開始
「A3014S」用静止画ビューワーアプリ「ezVisualFlow」
ソニー・エリクソン、着せかえパネル「MIB II」をプレゼント
「C1002S」で始まる着せかえケータイ第2章


(法林岳之)
2002/07/16 11:20

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