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『折りたたみのN』初のiショット端末「N251i」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


iショット端末第4弾

 今年6月からNTTドコモがラインアップを展開しているiショット端末「251iシリーズ」。待望のカメラ付きiモード端末ということで、非常に注目度が高い。iモード端末で最も人気の高いブランド「N」のiショット端末「N251i」が発売された。筆者も機種変更で購入したので、レポートをお送りしよう。


カメラ付きケータイに乗り遅れたN

N251i

 NTTドコモ/NEC『N251i』。サイズ:48×92×20mm(折りたたみ時)、98g。シャンティーホワイト(写真)、ジョイシルバー、ピンクチュチュをラインアップ。
 ここ1~2年のケータイの売れ行きを見ていると、キャリアに関係なく、ブランド色が強いことがうかがえる。たとえば、『折りたたみのN』で人気を得ているNECは、NTTドコモ向けだけでなく、J-フォン向けに供給する「J-N05」でも好評を得たようだ。一方で、シャープやソニー・エリクソンもキャリアに関係なく、人気を得ており、今後は端末のブランド化がより一層、顕著になると見られている。

 NECというメーカーを見た場合、今さら言うまでもなく、N503i世代までは圧倒的な強さを誇っていた。現に、街中でもNシリーズを見かけることは非常に多く、特に女性には高い支持を得ている。しかし、504i世代ではPシリーズが猛烈に追い上げる一方、その他のメーカーも独自色を打ち出しており、NECの勢いには陰りが見られる。また、カメラ付きケータイを見た場合、当初の主戦場であったJ-フォン向けでやや出遅れた感がある上、NECにとっての主戦場であるNTTドコモ向け端末でも6月に登場した251iシリーズの第1弾攻勢に製品を供給することができなかった。本誌読者からも「Nのカメラ付きはまだか?」という問い合わせも数多く寄せられた。

 そんな中、登場したのが今回紹介するiショット端末「N251i」だ。NEC初のiショット端末であり、Nシリーズのファンにとっても待望の製品ということになる。基本的なコンセプトは従来からNECが供給してきたN2XXiシリーズのものを継承しながら、Nシリーズらしい使い勝手の良さに磨きを掛けている製品だ。iショットサービスそのものについては、以前から筆者が指摘しているとおり、数多くの問題を抱えているが、各社の端末にはそれぞれに魅力があり、今回のN251iがどのように受け入れられていくのかも非常に注目される。N504iとの比較などもまじえながら、その出来映えをチェックしてみよう。


カメラ付きながらスリムなボディを実現

背面

 背面にはカメラとミラー、サブディスプレイを備える。微妙なカーブで柔らかいデザイン。
 製品のスペックや細かい仕様については、NTTドコモやNECの製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。

 ボディは例によって、NECのお家芸である折りたたみデザインを採用しているが、最近のNシリーズにしては薄くまとめられているのが特長だ。NシリーズではN210i、N211iがボディを全体的にコンパクトにまとめた半面、やや分厚い印象があったが、N251iはボディ幅や長さを同等に抑えながら、折りたたみ時に約20mmと、かなり薄くまとめられている。カメラを内蔵しながら、このサイズにまとめたのは評価できるポイントだろう。

 液晶ディスプレイは、132×176ドット/6万5536色表示が可能な1.9インチTFTカラー液晶を採用している。このクラス及びサイズの液晶ディスプレイとしては、かなり高精細(高解像度)のものであり、内蔵カメラで撮影した画像もクリアに再生することができる。背面にはN211iなどと同じデザインの縦長のモノクロ液晶が採用されている。他の251iシリーズがファインダー代わりに利用できるカラー液晶を搭載していることを考慮すると、やや見劣りがする感は否めない。


メイン液晶 サブ液晶
 1.9インチながら、132×176ドット表示が可能な高解像度液晶を採用。フォントはN504iなどと共通の「LCフォント」を採用。  背面ディスプレイはN211iなどと共通のモノクロ液晶。日時やメールの有無、着信の有無なども確認できる。

 ボタン類は中央に[決定]ボタンと方向ボタン、左上に[メール]ボタン、右上に[電話帳/Bookmark]ボタン、左下に[戻る(クリア)]ボタン、右下に[メニュー]ボタンを配し、N211iなどのレイアウトを継承する形になっている。キートップのサイズはN504iなどに比べ、ひと回り小さく、N211iと比べてもわずかに小さいため、筆者のような手の大きい人や指先の太い人には操作しにくい。テンキー部分や[開始]キー、[電源/応答保留/終了]ボタンなどのキータッチもN211iやN504iと微妙に異なる。また、筆者が非常に気になったのは方向ボタンの操作性だ。従来のNシリーズでは、N50Xi系とN2XXi系で異なるデザインを採用してきたが、N251iはN2XX系と同じデザインの方向ボタンを採用している。しかし、実際に操作してみると、キータッチがかなり柔らかく、特に上方向の操作がしにくい。ボディの薄さを実現するために、ボタン類の構造が変更されたのだろうが、この操作性は既存のNシリーズユーザーにもやや受け入れにくいのではないだろうか。ちなみに、N211iのレビューで紹介した「サウンドモード」も継承されているので、本体側面に装備されたサイドキーは上手に活用したいところだ(笑)。

 N251iは全体的に薄くコンパクトにまとめられているが、これはターゲットとするユーザーが若い女性であることを強く反映している。ボディカラーとして、N502itで女性を中心にたいへん好評を得たホワイトを復活させていることからもその方向性がうかがえる。


ボタン サイドキー
 ボタン類のレイアウトはN211iを踏襲しているが、中央の方向キーはタッチが柔らかすぎ、特に上方向は操作しにくい。  側面に備えられたサイドキーは、コンテンツ閲覧時のスクロール、カメラ起動時のシャッター、サウンドモード起動などに利用できる。

充実したメールフォルダ機能

 機能面については、今年6月に発売されたN504iのものが一部継承されており、N211iなどに比べ、使い勝手も向上している。

 たとえば、メールのフォルダ管理もそのひとつだ。N251iでは送受信メールをフォルダで管理でき、自動振り分けにも対応している。自動振り分けは多くの端末で採用されている発信者名(From:)によるものだけでなく、題名(Subject:)もキーワードとして利用することが可能だ。しかも自動振り分けの設定を行なうとき、直接入力に加え、電話帳や受信アドレス一覧、送信アドレス一覧などを参照することもできる。ただし、1つのフォルダに1つの条件しか設定できないため、設定項目を上手に工夫する必要がある。また、受信メールのフォルダには、パソコンのように「ゴミ箱」フォルダが用意されており、不要なメールを移動することができる。ゴミ箱フォルダには最大10件までのメールを移動することができ、すでに10件のメールが保存されているときは、自動的に古いメールから削除される仕組みだ。ただし、ゴミ箱フォルダに対しての自動振り分けはサポートされていない。

 同じくメール周りでは、日本語入力にN504iと同じ「T9入力」を選択することができる。T9入力についてはすでにN504iのレビューでも紹介しているので、詳しく説明はしないが、「入力」→「変換前のひらがな確定」→「変換」→「確定」という操作をしなければならないため、やや手間が掛かる上、慣れも必要だ。ただ、確定操作を行なう[決定]ボタンが方向キーの中央にレイアウトされているため、N504iのときに比べると、指の移動距離も少なく、多少は操作がしやすい。


自動振り分け 「MENU」画面
 フォルダの自動振り分けは、設定時に電話帳や送受信したメールアドレスの一覧を参照できるため、確実な設定ができる。  Nシリーズおなじみの「MENU」画面。デスクトップにカメラ機能へのショートカットも貼り付けられる。

サンプル

 iショット(L)のサイズで撮影した画像。モデルはimpress TVの「ケータイならオレに聞け!」で共演中の篠崎ゆきさん。ライトなどもある収録中のスタジオで撮影。
 さて、N251iで最も注目される内蔵カメラについて見てみよう。カメラは液晶ディスプレイ背面のトップ側にレイアウトされており、その隣にはJ-フォン向けのJ-N05などでも採用されていたミラーが備えられている。カメラ部は11万画素のCMOSイメージセンサを採用し、MENU画面から[カメラ]を選択するか、本体側面の[メモ/確認]ボタンの長押しでカメラ機能を起動することができる。ちなみに、ボディを閉じているときはカメラ機能がOFFになる。撮影サイズは、288×352ドットの「iショット(L)サイズ」、120×120ドットの「iショット(S)サイズ」、132×158ドットの「待受サイズ」、132×54ドットの「電話帳サイズ」の4種類が用意されているが、サイズの切り替えはカメラ起動時の[サブメニュー]から選択する必要がある。また、一度、撮影した画像を他のサイズに変更することはできない。

 撮影については、5段階の「明るさ調整」、最大15秒の「セルフタイマー」、暗いところでの撮影に便利な「暗闇撮影モード」などの機能が用意されており、iショット(L)以外の撮影時には最大2倍のズームや5~10枚の連続撮影も利用できる。連続撮影した画像は連続再生することにより、アニメーションのような画像にすることが可能だ。画質はノーマルと高画質の2段階が設定でき、撮影した画像は3種類のフレーム、大小24種類のスタンプ、10種類の効果、回転などの機能により、編集することが可能だ。フレームについては、NECの公式サイト「みんなNらんど」からダウンロードすることができる。


 内蔵カメラで撮影した画像は「アルバム」に保存され、ファイル名一覧とサムネイル形式で表示することが可能だ。前述の連続再生の他に、スライドショー再生にも対応している。ただ、この「アルバム」は、カメラ機能から呼び出す手順と[MENU]-[ユーザデータ]から呼び出す手順、[MENU]-[マルチメディア]-[マイピクチャ]から呼び出す手順の3つがあり、その呼び出し方によって、利用できる機能に違いがある。たとえば、[ユーザデータ]から呼び出したときは画像編集やタイトル編集ができるが、カメラ機能や[マイピクチャ]から呼び出したときはこれらの編集機能が利用できない。他の251iシリーズでも見られた現象だが、少なくとも機能名や画面表示が同じである以上、同じように使えるようにした方がユーザーも混乱しないのではないだろうか。

 また、iショットメール周りの機能にも不満が残る。たとえば、メール作成画面でサブメニューを呼び出し、[画像貼付]を選べば、iショットメールを作成できるが、前述の3つの方法で呼び出せる[アルバム]では[ユーザデータ]から呼び出した場合しか、iショットメールが作成できない。こうした機能の統一性のなさは、ちょっと「Nシリーズらしからぬ出来」と言えそうだ。さらに、iショットメール送信時には発信者番号通知をONに設定しなければならないが、F251iのように、iショット送信時のみ、一時的に発信者番号通知をONにする機能(「オンデマンド発信者番号通知」とでも呼ぶべきか)はない。発信者番号通知がOFFに設定されているときは、画面にメッセージが表示された後、作成したメールは送信メール一覧に保存される。251iシリーズとしては後発であるにも関わらず、こうした使い勝手が考慮されていないのは残念だ。


サムネイル アルバム
 撮影画像はサムネイル表示で見られる。バルーンでファイル名とアイコン(撮影サイズ)が表示される。  同じ[アルバム]の画面でも呼び出し方によって、iショットメールが作成できない仕様には疑問が残る。

カメラ付きケータイ入門としてはいいが……

 さて、最後にN251iの「買い」を診断してみよう。N251iはここ数年、圧倒的な強さを誇ってきたNシリーズに登場した待望のカメラ付きケータイだ。基本的な機能はN211iをベースにしているが、N504iに搭載された機能を取り込みながら、題名によるメールの自動振り分けなどの機能も搭載され、一段と使い勝手に磨きを掛けている。ただ、他のカメラ付きケータイと比較した場合、カメラが11万画素であることや背面カラー液晶を備えていないことなど、スペック的に見劣りする部分が多い。iショットサービスの使い勝手の悪さをカバーする機能もなく、後発モデルの割に機能不足の印象は否めない。

 これらの点を考慮した場合、N251iをオススメできるユーザーはやや限定されそうだ。たとえば、今までシンプルな端末を利用していたユーザーが「カメラ付きケータイって、どんなものだろう?」と探るつもりで購入する場合、あるいは「カメラは重要じゃないけど、ないよりはあった方がいいかな?」といった慎重派のユーザー向けなら、それほど不満を感じることはなさそうだ。逆に、「Nのカメラ付きがついに出た! よーし、買うぞぉ」という人は、「あれ? これでいいの?」と物足りなさを覚える可能性もある。Nシリーズのカメラ付きの真打ちはもう少し「待ち」というのが正解だろう。

 最後に、毎度のことながら、ひとつだけ注意したいのは、iショットサービスの仕様だ。「必ず発信者番号を相手に通知してしまう」や「送られてきたiショットメールにそのまま返信できない」、「他事業者のケータイから画像付きメールをストレートに受けられないこと」など、iショットサービスは使い勝手の面で、さまざまな問題を抱えている。ユーザーが「こういうものなんだ」と納得してしまえば、それで終わりなのかもしれないが、実際に使ってみると、非常に不満が多い。筆者の周りでもiショットサービスの制限事項を知らずに購入してしまい、後悔している人が何人かいる。もし、iショット端末の購入を検討しているのであれば、今一度、他事業者の画像付きメールの仕様と比較し、iショットのどこがダメなのか、何が制限されるのかをよく理解する必要があるだろう。買って、試してみてから、「何だコレ?」「こんなハズじゃなかったのに……」ということにならないようにして欲しい。


・ ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/02/whatnew1017a.html
・ 製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/products/keitai/251i/n251i/n251i.html
・ ニュースリリース(NEC)
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0210/1702.html
・ 製品情報(NEC)
  http://www.nec.co.jp/mobile/ja/lineup/n251i/

N251i(ジョイシルバー)
ドコモ、iショット対応端末「N251i」を10月19日に発売
待望のカメラ付きiモード端末「SH251i」はどこまで使える?
連写も楽しいiショット端末「F251i」
メモリースティックDuoを内蔵したiショット端末「D251i」


(法林岳之)
2002/11/19 11:46

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