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最強のカメラ付きケータイを目指した「A5302CA」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


CDMA2000 1xを牽引したベストセラーモデルの後継機

 昨年4月にauが開始した次世代携帯電話サービス「CDMA2000 1x」で、最も人気の高かったのがカシオ製端末「A3012CA」だ。昨年末にはその後継モデルとなる「A5302CA」が発売され、早くも人気を集めている。筆者も機種変更で実機を購入したので、レポートをお送りしよう。


「ムービーメール」「着うた」対応端末第1弾

au/カシオ計算機『A5302CA』。サイズ:48×95×23mm、106g。ヴァージンホワイト(写真)、スタティックシルバーをラインアップ。
 先週、auは次世代携帯電話サービス「CDMA2000 1x」の契約者数が500万人を突破したことを発表した。サービス開始以来、わずか10カ月で達成したことになる。CDMA2000 1xの成功要因には「従来のcdmaOneのネットワークが使えたため、利用可能エリアが広かったこと」「GPSケータイやムービーケータイをはじめ、ユーザーが興味を持てる次世代サービスが登場したこと」などが挙げられるが、次世代携帯電話サービスになっても従来製品と変わらないか、もしくはそれを超える魅力的な端末が供給されたことも見逃せない要因のひとつだ。

 CDMA2000 1x対応端末は昨年4月のサービス開始以来、十数機種が発売されたが、なかでも高い人気を集めたのがカシオ製端末「A3012CA」だ。カシオと言えば、タフネス設計のG-SHOCKケータイ「G’zOne」がそれまでのトピックだったが、同社のもうひとつの重要製品であるデジタルカメラ「QVシリーズ」で培われたノウハウを活かし、au初のカメラ付きケータイとして、A3012CAを開発した。A3012CAは昨年9月にカメラ付きケータイ4機種が追加されるまで、ほぼ独壇場に近い人気を集め、昨年発売されたauの端末でトップシェアを獲得している。筆者自身もいち早くA3012CAを購入し、サッカーW杯をはじめ、さまざまなシーンで内蔵カメラを活用することができた。昨年末の「ケータイ of the Year」でも触れたが、日常的に機種変更をくり返さなければならない筆者が昨年1年間で最も長く愛用した端末であり、最もお気に入りの端末のひとつだった。

 今回紹介するカシオ製端末「A5302CA」は、このA3012CAの後継モデルとして登場した。A3012CAで好評を得たカメラ付きケータイとしての基本コンセプトを継承しながら、カメラの使い勝手などに磨きを掛けた製品だ。従来のA3012CAはトップシェアを獲得したものの、auが提供する次世代サービス「ezmovie」には対応しておらず、フラッグシップモデルとは呼びにくい面もあった。しかし、今回のA5302CAはA5300シリーズ第2弾であり、「ezmovie」はもちろん、auが昨年9月から提供中の「ムービーメール」にも対応している。さらに、レーベルモバイルが提供する高品質な着信音サービス「着うた」にも対応するなど、まさにCDMA2000 1x端末のフラッグシップモデルとしての素養を十分に持ち合わせている。従来のA3012CAとの比較も交えながら、その実力を見てみよう。


存在を自己主張する内蔵モバイルカメラ

A3012CA(左)からアンテナの取り付け位置を変更。

カメラ部には周囲に刻印付きの保護リングを装備。
 製品のスペックや細かい仕様については、auやカシオの製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。

 ボディは折りたたみデザインだが、A3012CAが背面側にアンテナを装備していたのに対し、A5302CAは最近の定番になりつつあるヒンジ側にアンテナを装備したデザインを採用している。背面側には内蔵カメラ、その隣に撮影ライト、背面ディスプレイが並び、背面のトップ側には動画撮影時に利用できるマイクも内蔵されている。側面は開きやすさを考慮してか、やや中央がやや凹んだようなデザインになっているが、充電器に置いたとき、側面ボタンがやや押しにくくなるのが気になる。

 特徴的なのは内蔵カメラで、多くのカメラ付きケータイがあっさりとしたデザインにまとめているのに対し、カメラ部周囲に「MOBILE CAMERA F2.4 f=3.53mm」と書かれた刻印付きの保護リングを備え、『カメラを内蔵してます』という自己主張がハッキリ感じられるデザインとなっている。ただ、カメラの中央部がややくぼんだ状態になっているため、ホコリがたまりやすいところは気になる点だ。撮影前に、サッとひと拭きすることをオススメしたい。

 また、A3012CAのレビューで筆者が指摘していたストラップ用の穴は側面からヒンジ部に移動し、ネックストラップで下げても違和感のない状態になっている。全体的に非常にスマートにまとめられているが、個人的に気になったのは外部接続端子のカバーが汚れやすいことだ。筆者が購入したバージンホワイトの端末は約1カ月ほどの利用で、やや灰色っぽくなってしまった。こうしたカバー類がある程度の汚れることは仕方ないが、ボディがパール調のホワイトだからこそ、もう少し汚れにくい工夫も欲しかった。また、もう少し濃色系のボディカラーもラインアップして欲しいところだ。


液晶ディスプレイは約2.1インチのTFTカラー液晶を採用。発色、明るさとも申し分ない。
 液晶ディスプレイは「Crystal Fine」と呼ばれる約2.1インチのTFTカラー液晶を採用する。132×176ドット/1,568万色相当の表示が可能で、発色も良好だ。背面ディスプレイは72×96ドット/58,000色相当の表示が可能な約1.1インチのカラー液晶を採用する。先週紹介したN504iSほどの高解像度ではないが、明るさ、発色ともに良好で、着信画像に内蔵カメラで撮影した画像を利用しても十分、判別できるレベルだ。

 ボタン類は基本的にA3012CAのレイアウトを踏襲しているが、各キーの割り当て機能が変更され、使い勝手も良くなっている。半円状のカーソルキーとセンターキー(決定ボタン)を中央にレイアウトし、左上に[カメラ]キー、右上に[アドレス帳]キー、左下に[メール]キー、右下に[ez]キーを配している。右側面には[メモ]キーと[マナー]キーが備えられており、本体を閉じた状態でマナーモードにしたり、伝言メモを起動することができる。液晶ディスプレイ側の右側面にはカメラの接写が可能なマクロスイッチも備える。

 カーソルキーの左右にはA3012CAで何も割り当てられていなかったのに対し、A5302CAでは発着信履歴の表示が可能になり、カメラ機能もワンタッチで起動できるように工夫されている。ちなみに、各キーの長押しは[アドレス帳]キーが新規登録、[カメラ]キーがカメラの動画モードの起動、[メール]キーがCメールメニュー、[ez]キーがカシオのサイト「CA’z CAFE」への接続となっている。また、テンキーの[0]を長押しして、特定の相手に発信できるホットダイヤル機能も用意されている。


キーの基本レイアウトはA3012CAと同じだが、割り当て機能が変更された。カメラ機能の一発起動は便利だ。 側面に[メモ]キーと[マナー]キーを装備。手に持っているときは気にならないが、充電台に置くと操作しにくい。

さらに磨きが掛けられたカメラ機能

側面に[マクロ/標準]切り替えスイッチを装備。マクロ設定時は画面にもアイコンが表示される。
 さて、A3012CAで高い評価を得たカメラ機能だが、A5302CAもデジタルカメラの名機「QV-10」の開発者が参加しており、機能や使いやすさ、楽しさにさらに磨きが掛けられている。

 まず、カメラ部は「Dynastron」と呼ばれる約31万画素のCMOSイメージセンサーを採用する。周辺回路も含め、カメラ付きケータイに搭載するために、かなりチューニングされているようで、明るいところから暗いところまで、十分な感度が確保されている。カメラ部横に備えられている撮影ライトを利用すれば、多少、暗いところでも撮影が可能だ。ちなみに、撮影ライトはカメラモード起動時に[アドレス帳]キーの[サブメニュー]-[撮影ライト設定]で点灯するが、消灯するときは[カメラ]キーのみで消すことができる。

 撮影サイズは480×640ドットの[PC用VGA]、120×160ドットの[ケータイ用]の2種類から選ぶことができ、[PC用VGA]で撮影した画像は[ケータイ用]に変換することができる。[ケータイ用]の画像は回転させられる他、auのC4xxシリーズ用PNG形式、J-フォン向けJPEG形式(約4KB以下)、132×176ドットの壁紙サイズに変換することができ、さらに画像の一部を切り抜いて、フォトスタンプを生成することが可能だ。


VGAのサンプル画像。名古屋港で南極観測船を撮影。画像には手を加えず、JPEG画像を回転させた。
 撮影モードは右側面のスイッチを操作することで、標準とマクロで切り替えることができる。マクロでの撮影距離は約7cmとなっており、マクロ撮影モード時は画面にマクロ撮影のアイコン(お花マーク)が表示される。標準モードではワイド1~5、ズーム1~9の15段階にズームイン/ズームアウトができ、明るさも「-5」~「+5」までの10段階で調節が可能だ。ただし、撮影サイズが[PC用VGA]に設定されているときは、ズームイン/ズームアウトが利用できない。

 撮影については、最大9枚の連写やセルフタイマー、GPSケータイならではのGPS情報の付加などにも対応する。カメラ起動時に[*]キーを押せば、ファインダーをメインディスプレイから背面ディスプレイに切り替えることができ、背面ディスプレイを利用しているときも各撮影モードのアイコンが表示される。

 また、A3012CAで好評を得たフレームや効果などの装飾機能についても継承されている。A5302CAでは10種類の内蔵フレーム、20種類の内蔵スタンプ、5色の文字スタンプ、19種類の画像効果(加工・編集)が用意されており、前述の「CA’z CAFE」から追加フレームなどをダウンロードすることができる。フレームについては撮影前にあらかじめフレームを表示した状態で撮影することも可能だ。ちなみに、背面ディスプレイに切り替えたときもフレームが表示される。さらに、撮影した画像を3Dキャラクターに変換する「フォトきゃら工房」にも対応する。

 撮影した画像は「Myフォト」及び「Myムービー」フォルダに保存され、撮影日ごとにフォルダに振り分けられる。表示はサムネイルとファイル名一覧の両方から選択でき、画像やムービーをオートプレイで再生することも可能だ。


撮影画像のサムネイル表示画面。ムービーもサムネイル表示ができるが、画像は表示されない。 ムービーの再生画面。いったん保存してしまえば、再生はスムーズ。サンプル動画(amc形式)はこちら。鳥羽水族館で発光するクラゲを撮影。この手の小さい生物の撮影は便利。

 ムービーの撮影は時間を5秒、10秒、15秒から選ぶことができ、背面ディスプレイを利用しての撮影、モノトーンやセピアなどの画像効果付きでの撮影にも対応する。ただ、撮影したムービーは圧縮作業が必要なため、保存にやや時間が掛かる。保存に掛かる時間は「SH-Mobile」を搭載した「A5303H」の方がリアルタイムエンコード(撮影しながら同時に圧縮)ができるため、数段速いという印象だ。

 撮影したムービーは、アフレコやテロップの追加ができ、メールに添付して送信することが可能だ。ムービーメールを再生できるのは、今のところ、A5300シリーズとC5000シリーズに限られるが、フォトメール便を利用することで、他社の端末でもパラパラ画像として楽しむことができる。パソコンについては、auが無償で配布している「ezmovie作成ソフトLite」に含まれる「ezmovieプレーヤLite」で再生することが可能だ。また、フォトハイウェイ・ジャパンが提供するサービス「フォトこみゅ」を利用すれば、NTTドコモのiアプリ対応端末やauのezplus対応端末に対し、ムービーをJavaアプリとして送信することが可能だ(月額315円)。


各機能を呼び出すMENU画面。お好みアイコンで自由にアイコンを変更可能。 メールはフォルダ管理に対応。メインフォルダと他のフォルダでアイコンが異なるあたりは芸が細かい。

 この他にも12.8MBの大容量データフォルダメモリ、メニューアイコンを変更できる「お好みアイコン」、EZweb及びメール画面での3種類の文字サイズ、受信メールのフォルダ管理及び振り分け、目的に応じてメールを作成できる「かんたんメールレシピ」など、カメラ以外の機能もかなり充実している。注目の着うたについては、MP3形式の自然音を利用しているため、非常にリアルで(というより、そのものなのだが)、聴く者を驚かせるだけのインパクトを持っている。

 ちなみに、A5302CAで撮影した画像や動画の読み出しについては、「MySync Biz」及び「MySync Photo」(カシオソフト)、「ケータイリンクV」(ビレッジセンター)、「携帯万能9」(SSIトリスター)が対応している。


CDMA2000 1x対応のカメラ付きケータイとしては「買い」

 最後に、A5302CAの「買い」について診断してみよう。au初のカメラ付きケータイとして登場したA3012CAは、カシオのQVシリーズで培われたデジタルカメラの楽しさや遊び心を取り込むことで、カメラ付きケータイを「撮る」「見る」「送る」のレベルから「撮る」「見る」「楽しむ」「送る」の次元に昇華させた製品だ。このコンセプトを継承したA5302CAはデジタルカメラとしての楽しさをさらに推し進め、最強のカメラ付きケータイを目指した端末だ。カメラは静止画とムービーの両方に対応し、撮る段階と撮った後の両方で楽しむことができる環境を整えている。ケータイとしての純粋な使い勝手も向上し、auのCDMA2000 1x対応端末の中で「これぞ、まさにフラッグシップモデル」と言えるレベルに仕上げられている。ただ、A5302CAがカメラ付きケータイの完成形かというと、まだ足りない面もある。たとえば、撮影サイズの切り替えなどの操作が煩雑であること、画像のサイズ変換で不足があること(VGAサイズから壁紙サイズがワンステップで生成できない)、ムービーの圧縮・保存に時間が掛かることなどだ。特に、ムービーに関してはauとしても再生環境を持つ端末が少なく、まだ発展途上中という印象も残る。

 これらのことを総合すると、A5302CAを買いと言えるのは、カメラ付きケータイの楽しさを堪能したいユーザーということになる。A5302CAは「撮る楽しさ」「見る楽しさ」「加工・編集する楽しさ」を兼ね備えており、約31万画素のCMOSイメージセンサーを活かすための環境もしっかり整っている。J-SH52などと並び、現時点でのカメラ付きケータイの最強モデルと言って間違いないだろう。ただ、ムービーに関しては後日レビュー予定のA5303Hが一歩リードしており、ムービー重視派は両モデルをじっくりと見比べることをオススメしたい。


・ A5302CA ニュースリリース(au)
  http://www.kddi.com/release/2002/1118/index3.html
・ A5302CA 製品情報(au)
  http://www.au.kddi.com/phone/cdmaone/a5302/index.html
・ A5302CA ニュースリリース(カシオ計算機)
  http://www.casio.co.jp/k-tai/a5302ca/
・ MySync 製品情報(カシオソフト)
  http://leche.goodcrew.ne.jp/mysync/casio/

A5302CA(ヴァージンホワイト)
au、“着うた”対応のムービーケータイ「A5302CA」「A5303H」
名機QV-10のノウハウが内蔵カメラに活きる「A3012CA」


(法林岳之)
2003/01/22 12:41

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