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CDMA 1X WIN対応「W11H」でケータイの使い方が変わる!?
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2004年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


CDMA 1X WIN対応端末第1弾

 2003年11月28日、auが提供するもうひとつの3Gケータイ「CDMA 1X WIN」が開始された。米クアルコムが開発した「CDMA2000 1xEV-DO方式」を採用した新サービスで、EZフラットというパケット通信料の定額制サービスを利用することもできる。その対応端末第1弾として発売されたのが日立製端末「W11H」だ。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。


改めて問われる「3Gケータイ」の意味

 「3Gケータイ」という言葉を目にするようになって数年。気が付いてみれば、すでに1,400万人を超えるユーザーが3Gケータイを手にし、予定されていた3つの携帯電話事業者がそれぞれ本格的なサービスを展開している。3Gケータイが始まる前、まるで明日にでも世界が変わるかのごとく煽り立てるメディアが数多く存在したが、実際のところはどうだろうか。確かに、ケータイは便利になったが、3Gケータイならではのサービスはまだ各社とも模索中というのが本当のところだろう。

 ただ、3Gケータイのもうひとつの意味は達せられつつある。それは「通信のコストダウン」だ。携帯電話に使われる電波は無限の資源のように考えられているが、利用できる周波数には限りがあり、与えられた周波数をいかに有効に活用するのかは、電波を利用した通信サービスを提供する事業者にとって、非常に重要なファクターだ。限られた周波数帯域をより多くのユーザーが利用できるようになれば、通信コストは下がり、大容量のデータ(コンテンツ)を転送してもユーザーの負担を抑えることができる。

 auはその前身であるDDI-セルラーとIDOがcdmaOneサービスを提供してきた時代から通信コストを強く意識したサービスを展開してきた。cdmaOneではiモードのPDCパケット通信よりも割安な「1パケット=0.27円」でサービスを提供し、CDMA2000 1Xでは「パケ割」の提供で「1パケット=0.1円」を実現している。そして、2003年11月からは「CDMA2000 1xEV-DO方式」によるサービス「CDMA 1X WIN」のサービス提供を開始したが、同サービスではついに「EZフラット」と呼ばれる月額4,200円のパケット通信料を定額制にするサービスの提供を開始している。モバイル環境の定額サービスと言えば、DDIポケットのAirH"、NTTドコモの@FreeD、無線LANを利用したホットスポットサービスなど、どちらかと言えば、パソコンやPDAで利用するデータ通信サービスが中心だったが、CDMA 1X WINのEZフラットは端末のみで利用するメールやコンテンツ閲覧のデータ通信を定額にしており、パソコンやPDAなどの外部機器を利用したデータ通信は従来通り、従量課金を採用している。CDMA 1X WINの定額制提供についてはauも事前の情報漏えいにかなり注意したようで、筆者や編集部も「CDMA2000 1xEV-DOでも定額制はまず無理だろう」と見ていた。しかし、その予想は見事に裏切られ、関係各社からも「聞いてない」という声が出るほど、インパクトのある発表だった。


背面にminiSDジャケットを装備

au/日立製作所『W11H』。サイズ:50(W)×100(H)×28(D)mm(折りたたみ時)、125g。ブルーラグーン(写真)、シルバーシェルをラインアップ
 今回紹介する日立製端末「W11H」は、このCDMA 1X WIN対応端末第1弾として発売された端末だ。同サービスにはW11Hのほか、au design project第2弾となる京セラ製端末「W11K」、同じく京セラ製のデータ通信カード「W01K」がラインアップされている。CDMA 1X WINのファーストモデルということで、かなり期待される端末だが、auでは今後もCDMA 1X WIN対応端末のラインアップ拡充を図るとしており、さらに選択肢が拡がる見込みだ。

 CDMA 1X WIN対応端末第一弾として発売されたW11Hは、一昨年に発売された「A5303H」、昨年発売された「A5303H II」のデザインを踏襲するもので、柔らかなラウンドフォルムが特長の端末だ。CDMA 1X WINで提供されるサービスなども紹介しながら、その出来をチェックしてみよう。


ボディは丸みを帯びた柔らかいデザインを採用。ルミナスシェルはWINロゴとトップの中間あたりが光る
 製品のスペックや細かい仕様については、au日立製作所の製品情報ページ、ケータイ新製品SHOW CASEを参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。

 ボディは前述の通り、一昨年に発売された「A5303H」、昨年発売された「A5303H II」のデザインを踏襲した折りたたみデザインを採用している。中央のヒンジ部分に31万画素CMOSカメラを内蔵し、前後に回転させることで、自分撮りと相手撮りの両方のニーズを満たしている。本体右側面には日立製端末おなじみのスライド式「気くばりスイッチ」を備え、その隣には外部接続端子が装備されている。気くばりスイッチの隣に装備された白色の部分は気くばりセンサーで、内部には光センサーが内蔵されている。ポケットやカバンから出したとき、外部の光の状態に合わせ、着信音量などを調整する機能を持つ。左側面にはカメラ起動に利用するスライド式の「クイック起動キー」や丸型コネクタのイヤホンマイク端子などを備える。


端末に背負うような形で装備されるminiSDジャケット。装着時は端末の厚みが4mm増える miniSDジャケットの内側にはminiSDメモリーカードスロットが仕組まれている。着脱は意外にカンタン

 また、従来のA5303Hなどでは補助アンテナがヒンジ部に装備されていたが、W11Hは通信方式として、CDMA2000 1xEV-DOを採用しているためか、一般的な伸縮式アンテナに変更されている。ちなみに、アンテナについてはテンキー部の下側にもサブアンテナが内蔵されているそうだ。背面側にはバッテリーが内蔵されているが、バッテリーカバーと交換する形で装着できる「miniSDジャケット」が標準で用意されている。miniSDジャケットそのものを着脱しないと、miniSDメモリーカードを抜いたり、挿したりすることはできないが、実用上はそれほど大きな問題にはならない。auとしてはあまり考えていないようだが、こうした形で外部機器を追加できるのであれば、赤外線通信ポートやBluetoothアダプタを装着できるようになると面白いかもしれない。ただ、落下時のことを考慮すれば、もう少ししっかりと本体に固定できた方がいいだろう。


メインディスプレイはQVGAサイズのクリスタルファイン液晶を採用。視認性は非常に良い 背面ディスプレイも120×160ドット表示が可能なため、壁紙なども見やすく表示される

キー配列はA5303Hのレイアウトを踏襲。EZキーの右側にあるのが気くばりセンサー
 ディスプレイはメイン側が240×320ドット/26万色表示が可能な2.2インチのクリスタルファイン液晶、背面側が120×160ドット/26万色表示が可能な1.3インチの同じくクリスタルファイン液晶を採用している。ちなみに、サブディスプレイのヒンジ側には6つのLEDが内蔵されたツインライトが装備され、カメラ利用時の補助光として使うことができる。サブディスプレイの反対側の部分は、電話の発着信時やカメラ撮影時などにゆっくりと光る「ルミナスシェル」と呼ばれるライトが内蔵されている。

 ボタン類は決定ボタンを内蔵した方向キーを上部中央に配し、左右上にソフトキー、右下に[EZ]キー、左下に[メール]キーをレイアウトしている。ソフトキーは待受画面時、右上がカレンダー表示の「マルチダイアリ」、左上には「アドレス帳」が割り当てられている。左側面にはサイドキーが備えられ、コンテンツ閲覧時のスクロールに利用することができる。


左側面にはクイック起動キー、サイドキーを装備。クイック起動キーはカメラの起動などに利用 日立製端末おなじみの気くばりスイッチはスライドさせるだけでマナーモードなどに切り替えられる

動画で楽しめるコンテンツ「EZチャンネル」

メールはフォルダによる管理に対応。メールが保存されていないフォルダは薄い色で表示される
 次に、機能面について見てみよう。基本的には従来のA5303H及びA5303H IIをベースにしているが、CDMA 1X WINという新しいサービスに対応させるため、いろいろな面で新しい工夫が盛り込まれている。

 メールはフォルダによる管理に対応しており、受信時の自動振り分けと受信後の再振り分けにも対応する。ただし、振り分けのキーワードはアドレス帳とメールアドレスに限られており、題名での振り分けには対応しない。すでに他のフォルダに振り分け設定されているメールアドレスを別のフォルダの振り分け設定に登録しようとすると、アラート(警告)メッセージが表示されるなどの親切さも従来モデルから継承されている。メール作成時の宛先入力についてもアドレス帳の参照だけでなく、送信履歴を参照したり、送信時にフォトメール便などでの送信に変換できるようにしている。


CDMA 1X WINのサービスを利用しやすくするために作られたフレームメニュー。タブを切り替えることで、他のサービスを呼び出すことができる 標準のメニュー画面。最上段に各機能の簡単なガイドが表示される

メニュー画面のアイコンは並べ替えやカスタマイズが可能 各機能を順番に設定することができる「ウィザードメニュー」。初心者でも簡単に設定が可能だ

 メニュー画面はCDMA 1X WINで提供されるコンテンツサービスを利用しやすくするため、2つのメニューが用意されている。ひとつは従来同様、決定ボタンを押して表示される「メインメニュー」、もうひとつは待受画面から直接、操作できる「フレームメニュー」だ。フレームメニューはタブ式になっており、待受画面で下方向を押すと「メール」、その後、左右方向に操作することで、「EZweb」や「EZチャンネル」、「EZムービー」のカテゴリー画面に切り替えることができる。各カテゴリーを選択した状態で、上下方向に操作すれば、EZチャンネルの「番組ガイド」を表示したり、メールの「新規作成」画面を表示することができる。メインメニューについては12個のアイコンで各機能を表示する形式となっているが、自分の好みに応じて、機能の変更や並べ替え、アイコンの変更など、カスタマイズをできるようにしている。


カメラの各機能はサブメニューから設定する。「かんたん」「こだわり」「オプション」の3つのグループに整理されている 撮影した画像はサムネイル表示が可能。表示速度もそれほど遅くない

 ヒンジ部に内蔵されたカメラは31万画素CMOSを採用。前後260度に回転させることができ、閉じたままでの撮影もできるため、自由なアングルでの撮影が可能だ。撮影できるサイズは静止画が640×480ドットの「PCサイズ」、240×320ドットの「壁紙サイズ」、120×160ドットの「ケータイサイズ」、ムービーは96×80ドット/15秒/6fpsの「標準S」、128×96ドット/15秒/10fpsの「標準M」、128×96ドット/15秒/12fpsの「高品質M」、176×144ドット/15秒/12fpsの「高品質L」、128×96ドット/約10分の「長時間M」、176×144ドット/約5分の「長時間L」が用意されている。静止画についてはいずれのサイズでもメールで送信できるが、長時間M/Lで録画したムービーについては「ムービー変換」で15秒以内のムービーに変換する必要がある。

 撮影時の機能としては、最大4倍13段階の「ズーム」、9段階の「明るさ」、セピアなどの「画像効果」、飾り付けが可能な「フレーム」、ホワイトバランスを調整できる「撮影シーン」、サブディスプレイ側のライトを点灯させる「撮影ライト」、約10秒の「セルフタイマー」、EZナビを利用した「GPS情報付加」、高速・中速・低速が設定できる「連写」、撮影日時を写し込む「日付スタンプ」などの機能が用意されている。ムービーについては5/10/15秒の範囲で録画時間を設定することも可能だ。これらの機能のほとんどはサブメニューから設定する必要があるが、連写はカメラキーの下方向を押すことで、ON/OFFを切り替えることができる(撮影サイズが「PCサイズ」以外のとき)。

 撮影した画像は本体メモリー、もしくはminiSDメモリーカードに保存でき、サムネイル、もしくは一覧形式で閲覧することが可能だ。サムネイル形式の表示では画像にアイコンが付加されるため、どのサイズで撮影したのかを把握することができる。ただ、データフォルダから撮影画像(フォトフォルダ)を表示する場合、本体メモリーとminiSDメモリーカードの表示を切り替えるのにサブメニューからの操作が必要になるなど、今ひとつわかりにくい面が残る。


PCサイズ(640×480ドット)で撮影したサンプル画像。元画像をJPEG回転させている。リンク先は無加工。(モデル:篠崎ゆき/スーパーウイング所属) PCサイズ(640×480ドット)で撮影したサンプル画像。リンク先は無加工。(モデル:朱野順子サンタ・クローチェ所属)

最大サイズで撮影した画像も壁紙サイズやケータイサイズに変換することができる
 撮影した画像の編集は、基本的に本体メモリーのデータフォルダにコピーした状態で行なう。PCサイズで撮影した画像を壁紙サイズやケータイサイズに変換することができるが、PCサイズの画像を横長で撮ってしまうと、リサイズをしない限り、回転やトリミングができないため、待受画面用の画像は上下が空白になってしまう。できれば、もう少し画像編集機能を充実させて欲しいところだ。


SH-Mobileを搭載しているが、従来同様、「ターボモード」なる高速動作モードが用意されている
 アプリについてはEZアプリ(Java)に対応しており、出荷時にはEZナビに対応した「EZ@NAVI」などがインストールされている。W11HにはA5303H/A5303H II同様、アプリケーションプロセッサのSH-Mobileが搭載されており、快適にEZアプリ(Java)を実行することが可能だ。ただ、長時間使っていると、端末が少し熱く(暖かく)なるのはちょっと気になるところだ。ちなみに、auは昨年来、急速にEZアプリ(BREW)への移行を進めており、新サービスのCDMA 1X WINがEZアプリ(BREW)ではないことが少し不自然に見えるかもしれない。これは米クアルコムのベースバンドチップ(ケータイのCPUに相当するもの)に、BREW対応のCDMA2000 1xEV-DO向け製品がまだ出荷されていないためだ。


W11Hでは端末上で通信速度のレートを確認することが可能。この表示が見られるエリアなら、CDMA 1X WINのパフォーマンスをフルに引き出せる

EZチャンネルの番組を再生しようとすると、このように表示される。しかし、番組が更新されると、前回の番組は上書きされて見られなくなる
 さて、CDMA 1X WINでは冒頭でも触れたように、「EZフラット」と呼ばれるパケット通信の定額制料金プランが提供されている。これを活かすため、auでは「EZチャンネル」という新しいコンテンツサービスを提供している。内容は動画と静止画を組み合わせたもので、映画情報や生活情報、クイズ、電子書籍など、いろいろな番組が提供されている。EZチャンネルでは最大3つの番組を契約することができ、契約した番組については深夜から早朝、各端末へ自動的に配信されるしくみとなっている。番組が更新される頻度は毎週、毎日、週数回など、番組によって異なり、更新された番組が配信されると、過去の番組は消去される(上書きされる)。

 筆者も実際に3つの番組を契約し、配信を受けているが、なかなか難しいというのが正直な感想だ。確かに、動画を含めた番組形式で、インタラクティブな面もあり、最初はなかなか楽しいのだが、更新頻度の短い番組は番組を見逃してしまう可能性があり、だんだん興味が薄れていってしまう印象が残る。無料の番組ならともかく、有料契約の番組でユーザーが見た否かに関わらず、番組データが上書きされてしまうというのは、ユーザーとしても納得しにくいだろう。番組内容については好みがあるので、一概には言えないが、もう少し違ったアプローチの番組を狙ってもいいのではないだろうか。たとえば、地上波放送が提供されている中、字幕付き映画や高音質のコンサート、演劇など楽しめることでBS放送が支持を集め、地上波放送に乗らないような特定ジャンル(ある意味、マニアックとも言える)のチャンネルが数多く提供されることで、CSデジタル放送は伸びてきている。ケータイで楽しむ番組なのだから、これらよりも細かいジャンルの番組にアプローチしてみるのも手ではないだろうか。

 ちなみに、今さら説明するまでもないが、CDMA 1X WINでEZチャンネルを楽しむ場合、定額制料金プランのEZフラットを忘れずに契約しておきたい。EZフラットを未契約のまま、EZチャンネルを契約することもできるが、1番組あたり6MBものデータ量となるため、パケット通信料はとんでもない額になってしまうので、注意が必要だ。


 また、EZフラットを契約した場合、自ずとケータイの使い方が変わってくることも少し考慮が必要だ。たとえば、DDIポケットが提供するAirH"では「メール放題」というプランが提供されていたが、CDMA 1X WINでもEZフラットを契約すれば、メールの送受信は使い放題になる。そこで、プロバイダーやオフィスに届くメールを転送しようと考えるわけだが(オフィスの場合は管理者に了解を取る必要があるだろうが……)、W11Hは受信メールが500件(約512KB)となっているため、1日に多くのメールが届くような場合はあっという間に、端末の受信メールボックスがいっぱいになってしまう。メール転送時のフィルタなどを上手に活用し、重要なメールだけをW11Hに転送するように設定する必要がありそうだ。

 逆に、携帯電話対応の掲示板や日記サイトの更新などは、EZフラットの恩恵を受けやすい。ただ、その他のコンテンツ(公式コンテンツ)については、EZフラットを意識したような環境を考える必要があるだろう。たとえば、壁紙のダウンロードが可能なサイトでカレンダーが公開されていたとしよう。従来の端末では必要なものを1枚ずつ選んでダウンロードするわけだが、EZフラットなら、まとめてダウンロードできる方がありがたい。このあたりはEZボタンの長押しでアクセスできる各メーカーの公式サイトのレベルでも工夫が必要だろう。もしかすると、将来的にはEZチャンネルのように、予約ダウンロードで深夜に一気にダウンロードという使い方が提案されるかもしれない。


メールとコンテンツを使いまくりたいなら「買い」

 さて、最後にW11Hの「買い」について考えてみよう。CDMA 1X WIN対応のファーストモデルとして登場したW11Hは、従来販売されていたA5303H/A5303H IIをベースにしながら、さまざまなリファインを加えて仕上げられた端末だ。新サービス対応端末としての派手さには欠けるが、手堅く作られた端末という見方もできる。CDMA 1X WINは最大2.4Mbps、平均で700〜800kbpsと高速なデータ通信が可能で、既存の着信メロディやアプリケーションのダウンロードも確かに一瞬で終わってしまう。対応エリアは関東・中部・関西の三大都市圏に限られているが、かつてcdmaOneからCDMA2000 1Xへ移行したときと同じように、cdmaOneやCDMA2000 1Xのエリアでも利用できるため、FOMAの初期段階のような不安感はない。そして、何と言っても強力なのは、パケット通信料の定額制プラン「EZフラット」が提供されていることだ。月額4,200円はまだまだ低廉化の余地があると見ているが、少なくとも上限を気にすることなく、メールとコンテンツ閲覧が思う存分使える安心感は大きい。

 これらのことを総合すると、W11Hを買いと言えるのは、メールやコンテンツを使いまくりたいユーザーということになる。もちろん、これはEZフラットを契約するユーザーに限定される。もし、EZフラットを契約するつもりがなく、ただ単に新サービスということで期待するのなら、他のCDMA2000 1X対応端末を購入する方が賢明だ。つまり、CDMA 1X WINでEZフラットの契約は、現時点では基本的にセットで考えるべきということだ。特に、メールを一日に何十通も送受信したり、掲示板などでのコミュニケーションを多用するユーザーには、非常に有用な環境になるはずだ。もし、W11Hがデザイン的に気に入らないのであれば、ほぼ同様の仕様を持つW11Kも検討候補に加えてみるといいだろう。

 定額制に興味はあるものの、もっと高機能の端末が欲しいというのであれば、「待ち」を選択してみるのも手だ。前述のように、米クアルコムからは年内にBREW対応のCDMA2000 1xEV-DO向けのベースバンドチップの出荷が開始される見込みで、このベースバンドチップを搭載した端末がCDMA 1X WINの本命端末になりそうだからだ。あくまでも筆者の勝手な予想でしかないが、おそらく年末に登場する端末のいくつかは、このベースバンドチップを採用し、EZアプリ(BREW)対応のCDMA 1X WIN端末という仕様になっているはずだ。

 メールとコンテンツ閲覧に限られるとは言え、EZフラットによって、定額制という新しいモバイルインターネットに踏み出したCDMA 1X WIN。しかし、W11Hを触ってみると、まだまだCDMA 1X WINを活かし切れているとは言えないのがホンネだ。定額制が前提条件になれば、コンテンツの仕様や端末のユーザーインターフェイスなど、いろいろな面で作り込まなければならないことがある。それをいかに仕上げていくかが今後のCDMA 1X WINの成功に少なからず影響を与えることになるかもしれない。



URL
  ニュースリリース(au)
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2003/1022/
  製品情報(au)
  http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/w11h/
  製品情報(日立製作所)
  http://www.hitachi.co.jp/Prod/vims/mobilephone/
  「CDMA 1X WIN」ホームページ(au)
  http://www.au.kddi.com/win/

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(法林岳之)
2004/02/13 16:44

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