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CEATEC JAPAN 2005で読み解く2006年のケータイ
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2004年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


 10月4日〜8日、千葉県・幕張メッセで行なわれたCEATEC JAPAN 2005。最新の電子機器やデジタル製品をはじめ、ケータイを構成する電子デバイスなども数多く出品されていた。これらの製品を見ながら、2006年のケータイを読み解いてみよう。


ワンセグへの期待と不安

 薄型テレビ、HD DVD、ブルーレイ、HDD/DVDレコーダー、デジタルオーディオプレーヤー、電子デバイスなど、さまざまな製品が出品されていたCEATEC JAPAN 2005。ケータイも最新機種が数多く出品され、来場者の注目を集めていたが、中でも人だかりが目立ったのは、携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」だろう。NTTドコモ、KDDI、ボーダフォンという各キャリアのブースに加え、シャープなどのメーカーブース、さらにはNHKとJEITAによるブースでもワンセグのデモンストレーションが行なわれ、どのブースでも来場者が熱心に見入っていた。


メーカーブースだけでなく、NHKとJEITAのブースでもデモが行なわれ、来場者の注目を集めていた NTTドコモ/パナソニックのP901iTV。手に載せた写真を見ると、意外にボディサイズが大きいことがよくわかる

シャープブースではV801SHをベースにしたワンセグ対応端末が展示されていた。NHK技術研究所の公開で出品されていたものと同じ auが発表したW33SAは、昨年のW21SAのデザインを踏襲している。各社のワンセグ関連の展示でも最も力が入っていた

 ワンセグの正式なサービス開始は2006年春の予定で、今のところ、対応端末として、NTTドコモのP901iTV、auのW33SAが発表されており、ボーダフォン向けではシャープブースでV801SHベースの試験端末が公開されていた。既存のアナログ放送と違い、ノイズのないクリアな画質で番組を楽しめるだけでなく、番組と連動したデータ放送も受信できるため、今までのケータイ向けテレビとは少し違った楽しみ方が期待されている。

 ただ、実際の利用シーンを考えてみると、まだ未知数の部分も多い。たとえば、現在のアナログ放送対応のテレビ機能付きケータイでは30分から1時間程度の連続視聴が可能だが、ワンセグ対応端末はまだ詳細なスペックが明らかにされておらず、どれだけの時間、視聴できるのかがわからない。ラジオなどと違い、テレビ放送は映像を画面に表示するため、バックライトを点灯する必要があり、バッテリーはかなり消費することが考えられる。また、外出先でテレビが楽しめるということは、自分の周囲に居る無関係な人々にも画面が見えてしまうし、イヤホンを使わなければ、音も聞こえてしまう。価格的にも現在のハイエンド端末より、一段と高くなるといわれている。ワンセグにはキャリアや端末メーカーだけでなく、放送局やコンテンツプロバイダもかなり力が入っているようだが、どのように社会に受け入れられていくのかも含め、じっくりと見守る必要があるだろう。


KDDIのブースでは東芝製と日立製の燃料電池試作端末が出品されていた。写真は東芝製端末。ボタン部背面側に燃料電池が搭載されているが、サイズ的にはまだ実用レベルとは言えなさそうだ
 ところで、バッテリーと言えば、今回のCEATECでは燃料電池のデモンストレーションが行なわれ、これを利用した試作機などもいくつか展示されていた。燃料電池にはいくつかの方式があるが、ケータイ向けとしてはメタノールを反応させ、電気を作り出すものが検討されており、現在の主流であるリチウムイオン電池の数倍の利用が可能になるとされている。ただ、取材記事でも触れているように、発生する水蒸気をどうするか、小型化ができるか、補充用のメタノールをどのように販売するか、飛行機などの交通機関にメタノールを持ち込んで安全なのかなど、さまざまな課題が残されている。関係者の話によれば、おそらく当初はケータイ以外のポータブル機器で燃料電池が採用され、ある程度、普及のメドが立った段階でケータイ向けが登場するのではないかとのことだ。2008年に実用化と言われているが、一般ユーザーが燃料電池搭載ケータイを利用できるのはもう少し遅いかもしれない。


音楽再生ケータイの挑戦

 数年前から機能としては存在していたが、ここに来て、ケータイの音楽再生機能がようやく本格的に注目され始めている。その背景にはiPodをはじめとするデジタルオーディオ機器が普及してきたことも挙げられるが、ケータイ側から見てもカメラ付きケータイでメモリカードスロット搭載が標準になり、メモリカードそのものも大容量・低価格化が進んだことが影響している。


NTTドコモの三菱電機製端末「MUSIC PORTER X」はモックアップの展示が中心だったが、個性的なショーケースも注目を集めていた。発売は来年春の予定
 CEATEC JAPAN 2005ではNTTドコモが新たに1GBのメモリを搭載した「MUSIC PORTER X」を発表し、開催直前に発表されたD701iベースの「Music Porter II」とともに出品していた。その他にも東芝ブースでボーダフォン端末「803T」、日立ブースで「W32H」などが出品され、音楽再生のデモを行なっていた。MUSIC PORTER Xについては発売が2006年春の予定のため、現段階ではモックアップしか見られなかったが、1GBの内蔵メモリ、モバHO!対応は今までの音楽ケータイになかったコンセプトであり、音楽再生も連続20時間を可能にするなど、かなり注目される製品だ。ちなみに、モバHO!受信の料金プランについては未定とされているが、現在のモバHO!では音楽・音声の番組を楽しめるパック料金が月額1,380円で提供されており、これを軸にした料金プランが検討されると予想される。

 ちなみに、MUSIC PORTER XとMusic Porter IIの発表が行なわれた際、記者から「FOMA 90x/700xシリーズでは著作権保護には対応していない音楽再生機能を搭載する端末もあるが、NTTドコモとして、著作権保護はどのように考えているのか」という質問が出た。これに対し、「90x/70xシリーズの著作権保護機能に対応していない音楽再生機能は、手軽さを重視した。今回の2機種の音楽再生機能は本格的なものなので、著作権保護に対応している」と回答していたが、手軽さを重視するから、著作権保護機能が不要というスタンスでいいのかどうかは少々疑問が残った。

 ところで、ケータイでの音楽再生で、もうひとつ気になるのはテレビ同様、バッテリー駆動時間の問題だ。たとえば、初代Music Porterは音楽再生のみで6時間だったのに対し、今回のMUSIC PORTER XとMusic Porter IIは連続20時間の音楽再生に対応している。iPodなどの専用のデジタルオーディオプレーヤーと違い、ケータイの音楽再生機能の場合、通勤や通学中に音楽を聴いていて、いざというときに電話ができなかったということが起きては困る。つまり、ケータイで音楽再生機能を本格的に使うには、音楽の連続再生時間が重要なポイントになるわけだ。そこで、端末メーカーではバッテリー容量を大きくするなどの工夫をしているが、半導体で解決するという取り組みもあるようだ。


東芝の半導体ブースで出品されていたマルチメディアアクセラレータ「S1」。AACやMP3の圧縮・伸張をサポートしている。こうしたLSIが搭載されることで、音楽ケータイの普及はさらに弾みがつくかもしれない
 最近、一部の端末に、3Dグラフィックアクセラレータなどの機能を持つ「T4G」というLSIが搭載されているが、今回のCEATECでは新製品となるマルチメディア処理LSI「T5G」と「S1」が出品されていた。これらの内、S1にはMP3やAACなどのオーディオデータを圧縮・伸張するための機能が盛り込まれている。現在のケータイの音楽再生機能ではケータイのベースバンドチップ(パソコンのCPUに相当)でオーディオデータの圧縮・伸張を処理しているが、こうしたLSIがケータイに搭載されれば、音楽再生や録音といった処理を高速に実行でき、バッテリー駆動時間の延長にも寄与できるという。もちろん、半導体ひとつですべてが片付くわけではないだろうが、こうした取り組みが積み重ねられることで、ケータイの音楽再生機能はさらに進化するかもしれない。


液晶ディスプレイはワイドQVGA&VGAの時代へ

 ケータイを構成する部品の中で、ここ数年、スペック的にも動きが多くなかったのが液晶ディスプレイだ。240×320ドット表示が可能なQVGAサイズ、対角サイズは2.0〜2.4インチ程度が標準的になり、コンテンツなどもこれに準拠したものが広く配信されている。ところが、昨年あたりからQVGAサイズを上回る液晶ディスプレイを搭載する機種が増えている。機種によって、理由はさまざまだが、やはり、もっとも関係が深そうなのはパソコンのホームページが見られる「フルブラウザ」の存在だろう。

 今年のCEATECではそんな業界の事情を反映して、QVGAサイズを上回る液晶ディスプレイが数多く出品されていた。ひとつはQVGAサイズの長辺を少し長くしたワイドQVGA、もうひとつは480×640ドット表示が可能なVGAサイズだ。


東芝ブースでは902TとW21TにVGAサイズの液晶ディスプレイを搭載した試作機を展示。2006年のハイエンドモデルはVGA液晶が主流になるかもしれない
 たとえば、東芝は電子デバイスのコーナーで液晶パネルのみを展示していたのに加え、端末やAV機器が並ぶコーナーでは、ボーダフォン向けの902Tとau向けのW21TにVGAサイズとQVGAサイズの液晶ディスプレイを搭載した試作機をそれぞれ展示し、実際に画面に映像を表示していた。2.4インチのVGAサイズ表示ともなると、さすがに文字サイズはかなり小さくなるが、フルブラウザでパソコン向けホームページを閲覧したり、ドキュメントビューアーで文書などを表示するときにはかなり効果を発揮しそうだ。担当者によれば、まだ開発中のものなので、あくまでも私見と前置きしながら、「現在のQVGA液晶の1.5〜2倍程度のコストで供給できるのではないか」とコメントしていた。同じVGAサイズの液晶ディスプレイとしては、カシオ電子デバイスも2.4インチサイズのものを出品していた。

 一方、ワイドQVGAサイズの液晶ディスプレイは、東芝が2.8インチサイズ、カシオ電子デバイスが2.7インチサイズのものを出品していた。ともに解像度は240×400ドット表示の横長(縦長)画面になっており、フルブラウザやドキュメントビューアーだけでなく、前述のワンセグなどの対応端末にも適している。ほぼ同サイズの2.6インチのワイドQVGA液晶はすでにW21CAやW31CAなどで搭載されているので、年末商戦か、2006年春の商戦あたりではワイドQVGAサイズの液晶ディスプレイを搭載した端末がいくつか登場することになるかもしれない。


小型&薄型化と高画素化で二極化するカメラモジュール

 その他のデバイスはどうだろうか。まず、もっとも身近なカメラでは、200万画素クラスが標準、ハイエンドは320万画素クラスのカメラモジュールがいくつか出品されていた。これは現状のカメラ付きケータイのスペックと変わりないが、各社のロードマップでは2006年中に500万画素クラスのイメージセンサーを開発するとされていた。なかには500万画素CCDにオートフォーカスを組み合わせ、メカシャッターまで搭載するというまさにデジタルカメラ顔負けのスペックを実現したケータイ向けカメラモジュールも出品されていた。ただ、コスト面を考えた場合、500万画素クラスが搭載されるのは一部の特殊なハイエンドモデルのみで、通常のカメラ付きケータイのハイエンドモデルは320万画素クラスあたりがひとつの完成形に近いのではないかというコメントも聞かれた。


京セラブースでは薄型カメラモジュール、光学2倍ズーム対応カメラモジュールが出品されていた 薄さ6.9mmのカメラモジュールを構成する部品。左上にあるのが320万画素CCDユニット

 逆に、画素数以外の点で各社が注力しているように見受けられたのが小型化や薄型化だ。たとえば、京セラのブースに出品されていたカメラモジュールは、CCDや非球面プラスチックレンズを一体化しながら、薄さ6.9mmにまとめられている。担当者によれば、「薄型化に対するメーカーのニーズは高い。ただ薄く小さくするだけでなく、画像処理を含めて、カメラモジュールとして完成度の高いものを供給していきたい」とのことだ。


ミツミ電機では「ソリッド光学式指紋センサ」を出品。第2世代の製品では耐衝撃性やスクロール・タップ機能も搭載され、ケータイへの採用が期待されている
 その他のデバイスでは、加速度センサーや指紋センサーなどの出品も多く見られた。指紋センサーはおサイフケータイの登場などで、ニーズがかなり高まっているが、今のところ、端末に指紋センサーを搭載するメーカーはそれほど多くない。コスト的な制約もあるが、指紋センサーをケータイに搭載する場合、ホコリや衝撃で正常に動作しなくなる可能性があることも関係している。こうしたニーズに応えるため、ミツミ電機は「ソリッド光学式指紋センサ」を出品していた。従来の指紋センサーがセンサー部分を直接さわる構造になっているのに対し、ソリッド光学式指紋センサはセンサー表面をガラスで保護する構造を採用しており、高い耐久性を実現している。同社ではより小型で、ポインティングデバイスの機能を内蔵した製品も開発しており、今後はこうした製品群の登場で、より多くのケータイに指紋センサーが搭載されるようになるかもしれない。


NTTドコモと三菱電機が試作した「2画面ユニバーサルデザイン携帯電話試作機」。ハンディキャップを持つ人向けに、右側の黄色いボタンでも操作できる機能も搭載
 今回のCEATEC JAPAN 2005で、個人的にもうひとつ注目したのは、NTTドコモと三菱電機が開発した「2画面ユニバーサルデザイン携帯電話試作機」だ。折りたたみデザインのボディの両側に液晶ディスプレイを装備した端末で、らくらくホン的な使いやすさにも配慮している。しかし、個人的に注目したのはそこではなく、ハンディキャップを持つ人たちのために外部入力インターフェイスが組み込まれていた点だ。写真の黄色いボタンがそのスイッチで、端末のイヤホンマイク端子に接続されており、これを操作することで端末の操作が可能になるという。ソフトウェア的な作り込みも必要になるが、思いのほか、弱者に対してやさしくないケータイの現状を考えると、意義のある取り組みと言えそうだ。ひとりでも多くの人がコミュニケーションに参加できるように、今後、こうした製品が充実してくることも期待したい。



URL
  CEATEC JAPAN 2005
  http://www.ceatec.com/

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(法林岳之)
2005/10/12 12:15

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