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サブノート買ったら『P-in Comp@ct』でモバイル
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


超コンパクトサイズPHS

 NTTドコモからデータ通信カード一体型PHS『P-in Comp@ct』が発売された。PHSの通信機能をCFサイズに凝縮した超コンパクトサイズのPHSだ。モバイルユーザーをターゲットにした製品だが、ノートPCやWindows CEマシンのユーザーには気になる存在だ。筆者も昨年発売された『Mobile Card P-in』を持っていたが、機種変更をしてみたので、使用感のレポートをお送りしよう。


データ通信カード一体型というスタイル

 NTTドコモ「P-in Comp@ct」。サイズ:42.8(W)×51.4(H)×6.0(D)mm、17g。電源:DC3.3V(パソコンより供給)、消費電力:130mA以下(最大430mW)、対応OS:Windows CE/95/98/2000、インターフェイス:コンパクトフラッシュ Type2(オプションのPCカードアダプタで、PCMCIA Type2スロットに装着可能)。
 iモードの登場以来、「話すケータイから使うケータイ」のキャッチフレーズの通り、メールやコンテンツサービスを利用できる携帯電話に人気が集まっている。その一方で、PHSはクリアな音質と高速なデータ通信、経済性などが支持されている。特に、データ通信の分野に関しては、DDIポケットとNTTドコモが64kbpsデータ通信サービスを全国エリアで展開し、アステルもセンター合成方式ながらも64kbpsでの利用を可能にしている。利用できる環境は限定されるとは言え、いつでもどこでもISDNに匹敵する通信速度が利用できるのはメリットが大きい。

 こうしたデータ通信での利用を考えたとき、多くのユーザーは通常の電話型の端末にデータ通信カード/ケーブルを組み合わせる。しかし、モバイルでの利用が頻繁で、常にノートPCやPDAなどを持ち歩くユーザーを見てみると、データ通信カード一体型PHSを利用するケースが目立つ。筆者の回りのユーザーもデータ通信カード一体型を使っていたり、導入を検討している人が多い。

 データ通信カード一体型PHSのメリットは、何と言っても携帯性の良さだ。クレジットカード程度のサイズなので、持ち歩きもまったく苦にならない。ノートPCやPDAのPCカードスロットに挿したまま、持ち歩くことも十分可能だ。しかし、その反面、「音声通話がしにくい」「Eメールサービスやコンテンツサービスが利用しにくい(できない)」というデメリットもある。ただ、このあたりは割り切り方の問題で、データ通信専用と考えて購入すれば、通話料(通信料)も安価なデータ通信料金しか使わなくなるため、結果的に音声通話と併用するときよりも経済的になる可能性がある。


 タバコとくらべてもこの小ささ。アンテナ部分は柔らかいゴム状のものを採用している。
 今回発売されたNTTドコモの「P-in Comp@ct」(以下、P-in Comp@ct)は、完全にデータ通信専用にターゲットを絞り込んだ一体型PHSだ。NTTドコモでは昨年、PCカードサイズの一体型PHS「Mobile Card P-in」を発売したが、今回のP-in Comp@ctではさらに小型化を進め、CF(コンパクトフラッシュ)のType2サイズにPHSの機能を凝縮している。ただ、開発元はMobile Card P-inがシャープであるのに対し、P-in Comp@ctは松下通信工業なので、内部的にはまったくの別物と考えた方が良さそうだ。また、P-in Comp@ctはMobile Card P-inのモデルチェンジ版という位置付けではなく、当面は併売という形を取るようだ。


音声通話を捨てた美しさ

 P-in Comp@ctにPCカードアダプタを装着。CF Type2専用のPCカードアダプタが必要なので注意が必要だ。
 P-in Comp@ctが特徴的なのは、そのボディサイズだ。写真などで見ると、今ひとつピント来ないかもしれないが、実際に手に取ってみると、その小ささに驚かされる。購入以来、何人かの人に見せたが、その反応ぶりが面白い。筆者が「P-in Comp@ct、買ったんだ」というと、ほとんどの人が「ふーん、そうなの」という少し冷めたを示す。おそらく「ああ、P-in Comp@ctね。P-inをCFにしたヤツか」と心の中で考えているのだろうが、実際にP-in Comp@ctを取り出して手渡すと、半分くらいの人が「うわー、小さいねぇ、これ。いくらだった?」と少し物欲モードに入った反応に変化する。それくらいのインパクトがある小ささと考えて欲しい。

 P-in Comp@ctのもうひとつの特徴は、音声通話を完全に捨て去っているという点だ。従来のMobile Card P-inは本体横にイヤホンマイク端子があり、イヤホンマイクを接続すれば、ノートPCでダイヤルして、通話をすることもできた。しかし、P-in Comp@ctは音声通話機能を省略しており、イヤホンマイク端子もない。ちなみに、Mobile Card P-inには携帯電話のデータ通信カードの機能も内蔵されており、付属ケーブルで携帯電話と接続することができたが、P-in Comp@ctはこの機能も省略されている。つまり、完全にPHSでのデータ通信専用として開発されているわけだ。

 ところで、P-in Comp@ctは前述のように、CF Type2に準拠して設計されている。PCカードアダプタを装着すれば、一般的なPCMCIAのType2スロットにも装着することが可能だ。CF Type2はCF Type1とほぼ同じサイズのカードに、データ通信などの機能を付加した規格で、すでにLANカードやモデムカード、HDDカードなどが出荷されている。CF Type2はCF Type1とほぼ同じサイズだが、若干、厚みがあり、コネクタ形状も異なるため、PCカードアダプタはCF Type2用のものを利用しなければならない。デジタルカメラなどで利用されているCF用のPCカードアダプタでは利用できないので、P-in Comp@ctを購入するときは忘れずに用意しておきたい。


Windows 98/95/2000/CEに対応

 P-in Comp@ctはWindows 98/95/2000/CEが動作するPCカードスロット、CF Type2スロットを備えたPC及びPDAということになっている。実際に、筆者が愛用しているVAIO C1-XEやJornada690(PCカードスロット)などに装着し、プロバイダなどにアクセスしてみたが、何の問題もなく、動作させることができた。


MC-P200 Mobile Card P-in P-in Comp@ct
3つのデータ通信カード一体型PHSをVAIO C1-XEに装着してみた。外部にはみ出す部分は当然、P-in Comp@ctが最も小さい。




パッケージにはユーティリティが付属しており、回線番号の確認やホームアンテナ(HA)の設定、外部アプリケーションの起動などが設定できるようになっている。このユーティリティは前述の各対応OS上で動作する。こうしたユーティリティはMobile Card P-inやSIIのMC-P200などでも提供されたが、Windows CE上で動作するユーティリティが提供されたのは非常に珍しく、ユーザーとしてもうれしいところだ。


 P-in Comp@ct付属のユーティリティ(Windows 95/98/2000用)のメイン画面。Windows CE用はハンドヘルドPC用とパームサイズPC用がそれぞれ用意されている。
 また、Macintosh環境については、CCLファイルがないため、動作させられないと考えていたが、他のCCLファイルを転用することで動作させた例が報告されている。転用したCCLファイルは「SII MC-65xx,P1xx(64kPIAFS)」で、Mac OS 9.0.4には標準でインストールされている。筆者も知人のPowerBook G3を借用し、接続テストを試みたが、何の問題もなく、あっさり動いてしまった。少数派ではあるが、CCLファイルくらいは提供してもらいたいという気もするが、市場の情勢を考えれば、しかたない気もする。

 ちなみに、このCCLファイルの転用は筆者が勝手に試みたものであり、編集部も筆者もNTTドコモも一切、動作を保証しない。編集部や筆者、NTTドコモ、その他の関係各社への問い合わせも控えていただきたい。もちろん、これによって起きた不具合や損失についても一切保証しないので、ご注意いただきたい。

 この他にもP-in Comp@ctは、NTTドコモのPHSでおなじみの「パルディオメ~ラ~」にも対応しており、パルディオEメールやパルディオIメール、情報提供サービスなどを利用することもできる。ただし、「パルディオメ~ラ~」はパッケージに付属していないので、ホームーページからダウンロードする必要がある。また、事業所コードレスシステムにも対応しているため、NECのAtermIWシリーズなどのワイヤレスTAの子機としてもおそらく収容可能だろう。ただし、正式な動作確認はされておらず、NECもNTTドコモ及び松下通信工業からもアナウンスが出ていないので、注意が必要だ。


モバイルユーザーは買いだが……

 手前から「P-in Comp@ct」にPCカードアダプタを装着したもの、「SII MC-P200」、「Mobile Card P-in Compact」この状態でもP-in Comp@ctは最も小さい。
 「世界最小のPHS」と銘打たれたP-in Comp@ctだが、ここまで解説してきたことからもわかるように、非常に割り切った製品だ。「これが欲しかった」という人も居れば、「オレは端末から繋ぐから、別に興味ない」という人も居るだろう。製品を見たときの反応がハッキリと二分されてしまうくらいの割り切りの良さだ。自分がPHSに対して、何を求めているのか、どんな環境で使っているのかをよく考えた上で購入することをおすすめしたい。購入時には音声通話ができないので、料金プランを「パルディオデータプラス」などに変更することも忘れないで欲しい。

 P-in Comp@ctは製品としての完成度も高く、他のデータ通信カード一体型PHSと比べても機能的にまったく遜色はない。弱点があるとすれば、64kbpsの通信可能エリアがDDIポケットに一歩譲ること(NTTドコモのPHSなら、すべて同じ)、Mobile Card P-inに搭載されている携帯電話データ通信カード機能がないことくらいだろう。むしろ、P-in Comp@ctには潔く割り切った分だけ、小型化できた、省電力化ができたなどのメリットがある。価格的にも実売で5000~7000円程度に落ち着いているので、かなり購入しやすいだろう。夏のボーナス商戦で、サブノートPCやミニノートPCを購入したユーザーで、モバイルを始めてみようと考えるのなら、導入を検討したい端末のひとつだ。


■URL
・P-in Cop@ctニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/00/whatnew0606.html
・P-in Cop@ct製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/products/phs/lineup/p-in_compact/index.html
・Mobile Card P-in製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/products/phs/lineup/p-in/index.html



(法林岳之)
2000/06/20 00:00

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