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カラーに対応したカメラ付きメール端末「POCKET・Eカラー」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


DDIポケット向けカメラ付きメール端末

 九州松下電器と松下電器産業からカメラ付きメール端末「POCKET・Eカラー KX-FE841」が発売された。POCKET・Eと言えば、昨年末、DDIポケットのPHS向けに発売された「POCKET・E KX-FE830」が記憶に新しいが、今回のPOCKET・Eカラーはその名の通り、液晶ディスプレイとカメラをカラー化することで、大幅に改良されている。筆者も実機を購入できたので、早速、レポートをお送りしよう。


メール端末の新しいトレンド

 九州松下電器『POCKET・Eカラー KX-FE841』。オープン価格、163(W)×93(D)×29(H)mm、約280g(単3乾電池2本を含む)。
 ここのところ、携帯電話の新製品ラッシュが続いていたため、メール端末のレビューがお送りできなかったが、今年の春以降、メール端末には新しいトレンドが生まれている。そのひとつが今回のPOCKET・Eにも搭載されているカメラ機能だ。

 メール端末のカメラ機能は、パーティやちょっとした飲み会、遊びに行ったときの雰囲気をメール端末のカメラで撮影し、すぐに誰かにメールで伝えられるというメリットを持つ。デジタルカメラほどのクオリティはないが、手元にある携帯電話やPHSと組み合わせ、すぐにメールで送信できるため、手軽に画像メールをしたいユーザーには人気が高い。最近では携帯電話やPHSの待受画面を作成するツールとしても注目を集めており、カメラ機能の搭載は今後も要チェックの存在だ。

 昨年末に発売されたPOCKET・Eは、こうしたカメラ付きメール端末の先駆者的な存在であり、このコラムでも発表当時にレポートをお送りした。今回のPOCKET・Eカラーでは、液晶ディスプレイや内蔵カメラをカラー化するとともに、従来モデルで指摘されていた問題点も改良されている。しかし、従来モデルからわずか約半年程度の間に、au(DDI-セルラー/IDO)ブランドの「フォトパレット」、NTTドコモの「キャメッセボード」「キャメッセプチ」などのライバルモデルも登場しており、カメラ付きメール端末は競争の時代に入りつつある。


従来モデルの不満はどこまで解消されたか

 従来の「POCKET・E KX-FE830」(奥)とカラー対応の「POCKET・Eカラー KX-FE841」(手前)。外見上はロゴ程度しか違わない。
 POCKET・Eカラーのレビューをする前に、従来モデルで指摘されていた問題点がどのようにクリアされているのかをチェックしてみよう。

 まず、最大の問題点として、筆者も厳しく批判した「DIONへの強制オンラインサインアップ」(通称「DIONロック」と呼ばれる)だが、今回のPOCKET・Eカラーでは通常のインターネットプロバイダも登録できるようになり、DDIポケットが提供しているインターネット接続サービス「PRIN」にも対応した。もちろん、DIONへのオンラインサインアップも可能だ。従来モデルでロックを回避できないこともないのだが、やはり最初から今回のモデルのような仕様で提供すべきだろう。ちなみに、従来モデルのDIONロックの詳細については従来モデルのレポートをご覧いただきたい。

 次に、通信サービスへの対応だ。従来モデルはDDIポケットの64kbps対応のH"(エッジ)がスタートしていたにも関わらず、PIAFS 1.0(32kbps)までしか対応していないというアンバランスな仕様だったが、今回のPOKECT・EカラーはPIAFS 2.1(64kbps)に対応しており、H"端末のパフォーマンスを十分に活かすことができる。大手プロバイダもPIAFS 2.1対応のアクセスポイントを設置しており、カラー化された画像の送受信やホームページ閲覧にも有効な機能アップと言えそうだ。

 3つ目の不満点はキー配列だった。POCKET・EはサブノートPCにも似た広いキーピッチのキーボードを採用しており、操作感もなかなか良好だったが、キー配列が今ひとつだった。記号を入力するのに[記号]キーを押す必要があったり、[BackSpace/Delete]キーの位置が右上にないなど、PCのキーボードに慣れたユーザーには戸惑ってしまうためだ。今回のモデルも従来モデルと同じキーボードを採用したため、結果的に不満は解消されてない。メール端末のキーボードというと、「対象ユーザーは初心者だから、多少カスタマイズされていても問題ない」と捉えられがちだが、実はポケットボードの時代からメール端末のユーザーの多くは会社などでPCのキーボードを体験しており、その感覚をメール端末に持ち込めるかどうかも評価の対象になる。POCKET・Eカラーはキーピッチとキートップのデザインこそ秀逸だが、配列という点においてはまだまだ改善の余地が残る。

底面 キーボード
 POCKET・Eカラーの底面。従来モデルも接続ケーブル内蔵だったが、今回は不自然なスペーサーが装備される。スペーサーをなくす可能性があるので、こういう装着方法はあまりうれしくないのだが……。  キーボードは従来モデルとまったく同じ配列を採用。記号入力がしにくく、[BackSpace/Delete]キーや[Enter]キーの位置が使いにくい。


機能面をさらに改良

 内蔵カメラは従来モデル同様、180度回転する。ただし、水平方向に回転するため、上下向きのアングルを変えるのには向かない。
 この他にもPOCKET・Eカラーは数々の改善が見られる。従来モデルとの差を交えながら、各機能を紹介しよう。

 まず、液晶ディスプレイはモノクロ8階調表示のものから256色表示が可能なSTN反射型液晶に変更されている。解像度や表示行数、フォントサイズなどは変更されていない。同様の反射型液晶は他のメール端末やPDAなどにも採用されているが、POCKET・Eカラーはどうもパネル部分のテカりがキツく、画面も暗い印象で、視認性が良くない。消費電力の問題があるのもわかるが、バックライトを装備するか、もう少しテカりの少ない保護パネルを装備して欲しいところだ。

 液晶ディスプレイのカラー化に伴い、内蔵カメラもカラー化された(逆の意味もあるけど)。従来モデルは120×120ドット、モノクロ8階調の画像を撮影できたが、POCKET・Eカラーでは144×144ドット、256色カラーの画像が撮影可能だ。ちなみに、PメールDXに画像を添付するとき、192×130ドット、モノクロ2階調になる点は変わらない。これはPメールDXの仕様によるものだ。メールに添付される画像はJPEG形式で、新たに撮影した画像やインターネットから取り込んだJPEG/GIF形式の画像をフレームや壁紙として設定できる機能も追加されている。

メニュー 撮影画面
 起動メニューの画面。液晶ディスプレイの保護パネル部分のテカりが強い上、全体的にやや暗い印象。 内蔵カメラの撮影画面。明るさ、コントラスト、色合いを調節可能。右側のフレーム内に撮影対象が写る。ちなみに、写真はカメラを構えた筆者。


 メモリーカードはSDカードを採用。スロットは本体左側面に装備。カバーは脱着式。
 また、内蔵メモリも約1MBから約1.5MBに拡大されたが、外部記憶メディアも変更されている。従来モデルでスマートメディアが採用していたのに対し、POCKET・EカラーではSDカードとマルチメディアカード(MMC)を採用している。しかも、外部記憶メディアは内蔵カメラで撮影した画像だけでなく、メール、インターネットのHTMLファイル、アドレス帳データなども保存できるようになったため、活用範囲は大幅に拡がっている。ただ、同じシリーズの製品でありながら、スマートメディアからSDカード/MMCに変更してしまったのは、ちょっといただけない気もする。ちなみに、本体にメモリカード類は添付されていない。

 インターネットへの対応は、一般的なPOP3/SMTPによるメール送受信、アクセスのWWWブラウザ「NetFront 2.0」によるホームページ閲覧などが可能だ。NetFrontについては従来モデル同様、HTML 3.2準拠、128ビットSSL対応となっているが、新たに「お好みリンク機能」と呼ばれるブックマークの機能も追加されている。



WWWブラウザは「NetFront 2.0」を採用。3段階にズームできるので、PC向けのWebページも全体像がつかみやすい。


 DDIポケットのPメールDXとの連携も強化された。従来モデルでもPメールDXの直送メール(端末同士で直接、送受信するメール)を送ることができたが、POCKET・Eで作成したメールを端末に転送し、端末から再び送信の操作をしなければならなかった。POCKET・Eカラーでは端末への転送操作が必要なくなり(実際には端末を経由しているが)、POCKET・Eカラーからダイレクトに直送メールが送信できるようになっている。


 H"端末からPメールDXのEメールサービスに届いたメールを転送して表示させてみた。本文エリアは全角23文字×11行と広い。
 また、PメールDXのEメールもH"端末に転送することで、送信ができる。この機能とDDIポケットのPRINを利用すれば、プロバイダ契約をしなくてもPOCKET・EカラーとH"端末だけで、ホームページ閲覧とインターネットメールができることになる。ただし、PメールDX表示/作成機能が利用できるのはH"端末に限られており、従来のαDATA32対応端末では利用できないので、注意が必要だろう。

 さらに、H"端末で受信したメール(直送メールとEメール)をPOCKET・Eカラーに転送することも可能だ。ただ、筆者が試したとき、端末(東芝製DL-S200)がハングアップしてしまい、リセットもできず、バッテリーを抜くしかないというトラブルを経験した。その上、三洋電機製PHS-J80では、データ転送機能そのものが動作しなかった。しかし、PメールDXのメールがPOCKET・Eカラーに転送(バックアップ)できるのは、PメールDXのヘビーユーザーにとってもうれしい機能であり、できれば、全機種で安定して利用できるようになって欲しいところだ。最近の機種については、九州松下電器が動作確認情報を公開しているので、購入前に確認しておくといいだろう。


サンプル1 サンプル2
サンプル3 サンプル4
 撮影サンプル。ちょっとスタッフに渡すと、すぐにこういうバカ面を撮って遊んでしまう(笑)。それだけカメラ付きメール端末は楽しいということか。室内も編集部のように明るいところだと、それなりに写る。


問題はコストパフォーマンス

 POCKET・EカラーとH"端末(東芝製DL-S200)。H"ユーザーにとっては魅力的なメール端末だが、価格はやや高い印象が残る。
 さて、従来モデルとの機能的な差の話に終始してしまったが、最後に「買い」診断をしてみよう。まず、カメラ付きメール端末の面白さが理解でき、PメールDXをヘビーに利用しているユーザーは、かなり「買い」の度合いが高い。画像付きメールで遊べ、H"端末のメールのバックアップやダイレクト送信ができるのは非常にうれしい。

 一方、他のプロバイダに加入済みのH"ユーザーも「買い」に近い状態にあると言えそうだ。自宅はデスクトップPCだが、外出先で利用できるお手軽メール端末が欲しいというユーザーにとっては狙い目だ。

 ただ、ネックになるのが価格だ。従来のPOCKET・Eは発売当初こそ、実売価格2万円だったが、現在は1万6800円となっており、かなり買いやすくなっている。これに対し、POCKET・Eカラーは発売直後に3万4800円という価格が付けられている(いずれも7/29日現在のヨドバシカメラ店頭価格)。他のカメラ付きメール端末ではフォトパレットが約2万円、キャメッセボードが約1万7000円となっており、POCKET・Eカラーはかなり割高感が残る。カメラのついてないメール端末と比較してみても、ポケットポストペットが2万9800円、コミュニケーションパルが1万9800円となっており、やはり割高感は否めない。他の機種とのバランスを考えれば、高くても2万円台半ばあたりが「買い」の価格のレンジではないだろうか。

 POCKET・Eカラーは内蔵カメラや液晶ディスプレイをカラー化するだけでなく、従来モデルの不満点も着実にクリアしてきた点は評価できる。細かい部分に改良の余地が残されており、コストパフォーマンスについてももう一歩の努力を期待したいというのが本音だ。H"端末のユーザーなら、「買い」の製品であることは間違いないが、最後は実売価格次第ではないだろうか。


■URL
・「POCKET・Eカラー KX-FE841」ニュースリリース(九州松下電器)
http://www.kme.panasonic.co.jp/newsrls/2000news/jn000622/jn000622_1.html
・「POCKET・Eカラー KX-FE841」ニュースリリース(松下電器産業)
http://www.panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn000622-1/jn000622-1.html
・「POCKET・Eカラー KX-FE841」商品情報(九州松下電器)
http://www.kmepci.ne.jp/fe841/
・「POCKET・Eカラー KX-FE841」商品情報(DDIポケット)
http://www.ddipocket.co.jp/syohin/i_kx-fe841.html
・「KX-FE841 接続対応機種一覧」(九州松下電器)
http://www.kmepci.ne.jp/fe841/phsall.html
・週刊モバイルCATCHUP「POCKET・Eってどんな感じ?」(モバイルセントラル)
http://www.watch.impress.co.jp/mobile/column/catchup/1999/11/30/



(法林岳之)
2000/08/01 00:00

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