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MNPへ向けた怒濤の12機種、au 2006年秋冬モデル
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるポケット LISMOですぐに音楽が楽しめる本」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


 auは8月28日、2006年秋冬向けモデルとして、CDMA 1X WIN対応を11機種、CDMA 1X対応を1機種の合計12モデルを9月上旬から順次、市場に投入することを発表した。今年は10月24日に携帯電話の番号ポータビリティ(MNP)を控えているため、各社とも発表されるモデル数が多いが、今回の12モデルは近年、一度にもっとも多くの端末が発表されたケースとなった。詳細については、発表会のレポートを参照していただきたいが、ここでは発表会で試用した各端末の印象などをレポートしよう。


音楽&デザインでMNP第1ラウンドに挑むau

 今年10月24日に開始される携帯電話の番号ポータビリティ(MNP)。ここ数年、各事業者はこのタイミングへ向けて、さまざまな準備を進めてきた。なかでもauは事前のMNP利用意向調査などで、他事業者からの希望移転先として選ばれることが多く、MNP開始時にどのような対応をしてくるのかが注目されていた。

 今回、auはCDMA 1X WIN対応端末を11機種、CDMA 1X対応端末を1機種の合計12モデルを発表した。8月3日に発表された「簡単ケータイ A1406PT」、8月21日に発表された「ジュニアケータイ A5520SAII」を合わせれば、9月上旬から14モデルもの新端末が順次、店頭に並ぶことになる。今年は各社ともMNPが開始される秋商戦に注力すると言われてきたが、auはまさにこのタイミングに合わせ、一気にラインアップを拡充した格好だ。


上段左から:W43H、W47T、DRAPE、W43CA、W43SA、W43S 下段左から:W43K、W41SH、W45T、W42SA、W44K、A5522SA
上段左から:W43H、W47T、DRAPE、W43CA、W43SA、W43S
下段左から:W43K、W41SH、W45T、W42SA、W44K、A5522SA

 今回発表されたラインアップにおいて、auは大きく2つのテーマを掲げている。ひとつは音楽、もうひとつはデザインだ。音楽はヤマハとの協力により、ケータイのトータルな音質を向上させるというもので、auが今年1月から提供している総合音楽サービス「LISMO」をはじめ、ワンセグ放送についてもクオリティの高いサウンドで楽しめるようにしているという。

 デザインについては日産「Be-1」や「PAO」のコンセプトデザインなどで知られるコンセプターの坂井直樹氏を起用し、各社のケータイのデザイン監修を依頼している。同氏デザインの「DRAPE」をはじめ、全体的に個性的でデザインセンスの高い端末がラインアップされている。

 音楽とデザインへのこだわりと言うと、一見、ケータイを構成する要素で当たり前のもののように考えられがちだが、最近のau躍進の背景には「着うた」や「au design project」の存在があり、auとしては市場に評価され、自らの得意とする要素をしっかりと強化することで、MNPの第1ラウンドに挑もうという考えのようだ。


MNPユーザーを受け入れるための新サービス

ニュースと天気情報、占いを届ける「EZニュースフラッシュ」

ニュースと天気情報、占いを届ける「EZニュースフラッシュ」

PCサイトビューアーなどは共通機能に

PCサイトビューアーなどは共通機能に
 一方、新ラインアップの投入に合わせ、新しいサービスも開始される。基本的に、MNP移行時に他事業者で利用していたサービスがauでも受けられるようにすることが目的で、iチャネル対抗の「EZニュースフラッシュ」、デコメール対抗の「デコレーションメール」、他事業者とも接続が可能な「テレビ電話サービス」、電話帳お預かりサービスやVodafone Address Book対抗の「アドレス帳預けて安心サービス」など、ひと通りのサービスを揃えている。

 これらの内、注目されるのはCDMA2000 1xEV-DO Rev.A(以下、Rev.A)のネットワークを活用する「テレビ電話」、BCMCSを利用した「EZチャンネルプラス」や「EZニュースフラッシュ」だろう。テレビ電話は発表会のレポートでも触れられているように、他事業者のテレビ電話が64kbpsデジタル通信による回線交換であるのに対し、auのテレビ電話サービスはIPパケット通信を利用した『IPテレビ電話』とも呼べる仕様になっており、中継サーバーで信号を変換して、他事業者のネットワークと信号をやり取りすることになる。また、テレビ電話の利用はRev.A及び同Rev.0(CDMA 1X WIN)のエリア内に限定され、CDMA 1Xのエリアに移動すると、切れてしまうという制約もある。国際テレビ電話も今のところは対応していないが、現時点での他事業者でのテレビ電話の利用状況を鑑みれば、料金体験も含め、このレベルで十分と言えるのかもしれない。

 EZチャンネルプラスとEZニュースフラッシュについては、BCMCSのマルチキャスト配信を活かした上手なサービスと言えるだろう。今の段階ではコンテンツの内容も見ていないため、何とも言えないが、定期的に配信されるデータについてはパケット通信料が不要で、ユーザーが再配信を求めたときはパケット通信料が掛かるというしくみが技術的なことを知らないユーザーにはわかりにくく、混乱を招くかもしれない。

 また、今回の新ラインアップでは、今まで個別の機種でサポートされてきた機能がいくつか共通仕様になっている(CDMA 1X対応端末を除く)。まず、契約者情報を記録した「au ICカード」とこれを利用した「グローバルエキスパート」の対応、パソコン向けWebサイトを閲覧できる「PCサイトビューアー」、他の端末とアドレス帳情報などがやり取りできる「赤外線通信」、FMラジオを楽しめる「EZ・FM」だ。なかでもau ICカード対応機種がほぼ全機種に拡大したのは、MNP対応などで手続きが煩雑化する販売店の省力化にも少なからず貢献できそうだ。LISMO(au LISTEN MOBILE SERVICE)やEZナビウォーク(声de入力)、安心ナビ、ペア機能、遠隔オートロックなどは従来通りの共通仕様だが、EZナビウォークの3Dナビは一部機種のみの対応となっている。


個性的な端末12モデルをラインアップ

 今回は発表されたモデル数が多く、いつも以上に個々の端末の試用時間も短くなってしまったが、発表会で試用した各端末の印象を踏まえながら紹介しよう。


W43H 

W43H

W43H
 今回発表された12機種の中で、来場者や関係者からもっとも注目されていたのが日立製作所製「W43H」だ。日立製作所は今年、ワンセグケータイ「W41H」を発売し、好調な売れ行きを記録したが、W43Hはこれに続くワンセグケータイということになる。

 W41Hに続くワンセグケータイと言うものの、端末のイメージはかなり異なる。二軸回転式ボディは共通だが、ボディ幅がスリム化され、デザインもスマートにまとめられている。手に持ったサイズはW41CAとほぼ同じような感覚だ。

 ワンセグ部分についても改良が加えられ、連続視聴時間が4時間15分になり、外部メモリへの録画や音声付き時短再生、タイムシフト再生、画面キャプチャーなど、ワンセグを快適に楽しむための機能が強化された。W41Hでは本体側面に装着されていたテレビアンテナは、本体に格納されるようになり、デザインのスマート化に貢献している。縦横方向に動かすことができる卓上ホルダもユニークで、自宅用とオフィス用にひとつずつ用意したいくらいだ。

 新サービスではCDMA 1X EV-DO Rev.Aを利用したテレビ電話などが利用できないものの、EZチャンネルプラス、EZニュースフラッシュ、au My Page、デコレーションメールなどに対応しており、既存の音楽再生機能(LISMOとSD-Audio)、EZ FeliCaも継承するなど、かなり充実している。ワンセグを中心に、auが提供するサービスを思う存分、使いまくりたいユーザー向けの欲張り端末と言えそうだ。


可倒式アンテナ採用でワンセグを視聴できる 卓上ホルダ
可倒式アンテナ採用でワンセグを視聴できる 卓上ホルダ

W47T

Rev.A対応のW47T

Rev.A対応のW47T
 auが今年12月からサービスを開始する「テレビ電話サービス」に対応したのが東芝製端末「W47T」だ。テレビ電話には当面、同時に発表されたデザイン端末「DRAPE」(東芝製)と2機種のみの対応となる。

 今回は基本的にモックアップのみの展示で、テレビ電話サービスのデモコーナーも映像を流しっぱなしだったため、実機はほとんど試用できていない。ただ、ボディはW43Tなどの一連の東芝端末よりもさらにスリムにすっきりまとめられた印象で、非常に持ちやすい。テンキー部下が少し盛り上がった部分はスピーカーが内蔵されており、テレビ電話での通話中でも声が聞こえやすいことを考慮しているという。テレビ電話及び自分撮り用のインカメラは33万画素と、テレビ電話用としては少しいいスペックのデバイスが搭載されている。ただ、ハードウェアではW44Tなどと違い、Bluetoothに対応していない。LISMOの音楽再生機能に加え、テレビ電話を利用するのであれば、Bluetooth対応は継承すべきだった気もするが……。

 サービスについては東芝製端末初のEZ FeliCaや新たに提供されるものも含め、ほぼフル対応となっており、発売時点では事実上のフラッグシップ的なモデルに位置付けられそうだ。ただ、Rev.Aのサービス開始が12月のため、発売もその時期に近い最後発となる見込みだ。


開いたところ FeliCaのアンテナは底面側
開いたところ FeliCaのアンテナは底面側

DRAPE

アールデコ調のDRAPE

アールデコ調のDRAPE
 坂井直樹氏プロデュースによるデザイン端末が「DRAPE」だ。ハードウェアや対応サービスは基本的にW47Tに近く、兄弟モデルのような位置付けだ。ちなみに、サービス面ではテレビ電話をはじめとする新サービスはほぼフル対応だが、EZ FeliCaに対応しない点などが異なる。

 デザイン端末ということもあり、さすがに端末の存在感は独特で、ボタン部とディスプレイ部の背面にはネーミングの由来ともなったドレープ(ゆったりとしたひだ)が美しく再現されている。DRAPEもW47T同様、残念ながら、モックアップのみの展示で、ユーザーインターフェイスなどを確認することはできなかった。ただ、ダイヤルボタンをメタルっぽい仕上げにしたり、待受画面に機械式時計やモノクロ映画風のグラフィックを表示することを狙うなど、端末とソフトウェアのトータルコーディネートは強く意識されている。

 DRAPEは全体的に見て、落ち着きのある大人向けのケータイというイメージだ。今までのauのラインアップには少なかったタイプのケータイであり、MNPユーザーを意識した端末のひとつと言えそうだ。


デザインを担当した坂井直樹氏 モックアップが展示されていた
デザインを担当した坂井直樹氏 モックアップが展示されていた

W43CA

W43CA

W43CA
 今年前半、W41CAを大ヒットさせたカシオ計算機の最新端末が「W43CA」だ。W41CAはW21CAの流れをくむ二軸回転式ボディの完成度を高めた端末だったが、W43CAは昨年、使いやすい端末として好評を得た「A5512CA」の流れを受けた端末で、一般的な折りたたみデザインを採用する。ボディはA5512CAに比べると、少し大きくなった感はあるが、それでも今回発表された端末の中では標準的なサイズにまとめられている。端末の持ちやすさや開けやすさなどを考えた曲線によるボディデザインは健在だが、カメラ位置が最近のカシオ計算機製端末には珍しく、ヒンジ側から先端部へ移動している。

 新サービスは「EZチャンネルプラス」「EZニュースフラッシュ」「au My Page」に対応しており、デコレーションメールも利用可能だ。W41CAに引き続き、EZ FeliCaに対応するが、PCドキュメントビューアーは搭載されていない。音楽再生はLISMOに加え、SD-Audioにも対応する。

 A5512CAの「顔」、W41CAの「アデリーペンギン」と、演出力の高い待受画面やメニュー画面などが好評だったが、W43CAにも「街/顔あれこれ」をテーマにしたものが用意されており、端末を利用するさまざまなシーンで、ユーザーを楽しませてくれる。動きについてはカシオ計算機の製品情報サイトで閲覧できる。使いやすさと親しみやすさが強調された端末だが、USBクレードル充電台を採用するなど、パソコンとの親和性を求めるユーザーにもおすすめできる端末だ。


タイプライターをモチーフにしたキー形状 街をイメージしたメニュー画面
タイプライターをモチーフにしたキー形状 街をイメージしたメニュー画面

W43SA

W43SA

W43SA
 昨年、初のワンセグケータイを開発した三洋電機製端末が「W43SA」だ。ワンセグについては、現時点で最長となる4時間40分の連続視聴を可能にし、外部メモリへの録画にも対応する。液晶ディスプレイもワンセグでのクリアな視聴を考慮し、広視野角で高品質なIPS液晶を採用する。

 従来のW33SAはアンテナが伸縮のみだったのに対し、W43SAは可倒式アンテナに変更されているが、ボディはスタンダードな折りたたみデザインのため、端末を開いて、横向きに置いて視聴するスタイルだ。ちなみに、従来モデルに比べ、テレビチューナー部分の回路が新しくなり、チップの世代も進んだことで、長時間の連続視聴を可能にしているそうだ。外部メモリカードがmicroSDカードのため、録画時などの容量が気になるところだが、W43SAは2GBまで対応する。ちなみに、10月頃には2GBの製品が市場に投入されるだろう、とのことだ。

 ボディはフラットな仕上げで、W33SAに比べると薄く持ちやすいサイズに仕上げられたが、カラーバリエーションに木目調のウッドブラウンをラインアップするなど、少し変化を付けてきた印象だ。サービスでは、デコレーションメール、絵しゃべりメールに対応するほか、画面やピクト、音などを一括してカスタマイズできる「EZケータイアレンジ」に対応する。三洋電機製端末は元々、「with Disney!」で一括カスタマイズを実現してきたが、今回はこれをauのサービスに進化させ、真っ先に対応した格好だ。今回のW43SAにはwith Disney!の「ライオンキング」がプリセットされるが、変更はほんの数秒程度で完了する。ちなみに、EZケータイアレンジはW43SAのほかに、W41SHが対応しており、KDDIとしては今後発表される他社製モデルも順次、対応させたいとしている。


大きさは約50×102×22mm。ワンセグ対応機としてはコンパクト 横位置でワンセグを表示したところ
大きさは約50×102×22mm。ワンセグ対応機としてはコンパクト 横位置でワンセグを表示したところ

W43S

W43S

W43S
 昨年のW32S以来、久しぶりに「Style-Upパネル」と呼ばれる着せかえパネルを採用したのがソニー・エリクソン製端末「W43S」だ。従来のStyle-Upパネルは「端末を飾る」「着せかえる」というイメージが強かったが、今回は液晶ディスプレイの背面側に装着されたStyle-Upパネル全体を光らせ、「あかり」による演出を強調している。背面側には6個×2列のLEDが内蔵されており、全体を覆う導光版に光を通すことで、背面部全体が光るようにしている。ちなみに、Style-Upパネルは先端部分のメモリースティックPRO Duo用スロットの内側で固定されている。つまり、メモリースティックPRO Duoは液晶ディスプレイの裏側に装着される構造というわけだ。

 W43Sがもうひとつ特徴的なのは、液晶ディスプレイだ。最近、240×400ドット表示が可能なワイドQVGA液晶を搭載する端末が増えているが、ハイビジョンなどでは16対9の比率の映像が使われている。そこで、ソニー・エリクソンでは今後、16対9のコンテンツが増えてくることを考慮し、この比率に合わせた240×432ドット表示が可能な液晶ディスプレイを採用したという。やや先取り感の強い仕様だが、液晶ディスプレイにはソニーの液晶テレビ「BRAVIA」で培われた高画質技術や輪郭強調技術を組み合わせたモバイル液晶高画質エンジン「RealityMAX」を搭載している。この高画質エンジンは構造的には液晶ドライバに位置付けられるものだという。また、サブディスプレイはボタン部背面のカメラ横に搭載されており、端末を開かなくても時刻などの情報を参照することが可能だ。

 サービスとしては今回の標準仕様以外に、EZ FeliCaに対応する。機能面では音楽再生がLISMOに加え、ATRAC3形式の音楽データの再生も可能だ。メモリースティックPRO Duoは最大4GBまで対応し、音楽再生支援機能もサポートされるうえ、マイク付きミュージックコントローラーも付属する。今回発表された端末の中では、LISMOも含め、かなり音楽に注力した端末という印象だ。


背面のパネルはLEDで発光 240×432ドットのワイドQVGA液晶
背面のパネルはLEDで発光 240×432ドットのワイドQVGA液晶

W43K

W43K

W43K
 サブディスプレイ側にセンサーリングキーという新しい操作デバイスを搭載したのが京セラ製端末「W43K」だ。センサーリングキーは背面のサブディスプレイ周囲に装備されるリング状のもので、タッチセンサーと方向キーを一体化したものだ。リングの上下左右を押せば、メニューの呼び出しや音楽再生に利用できるのだが、リングをなぞるようなタッチ操作を利用し、ICカードロックの解除コマンドに割り当てることもできる。リング中央のディスプレイが白色有機ELで、すぐに表示が消えてしまうこともあり、最初はやや操作の見通し感が良くないが、わかってしまえば、ICカードロックの解除なども簡単にできる。他人が操作を類推しにくいという点では、なかなか賢いセキュリティ対策と言えそうだ。ちなみに、右側面のスライド式ロックを操作することで、センサーリングキーの操作をロックすることもできる。

 また、W43Kに付属する卓上ホルダは底面にサブウーファーが内蔵されており、端末本体のスピーカーと組み合わせ、2.1ch(左右のステレオ+サブウーファーによる低音)での音楽再生を可能にしている。発表会のブースでも一際、目立って、音楽を再生していた。ちなみに、端末には今回のラインアップで標準サポートされている帯域拡張技術「DBEX」に加え、BBE Sound社のBBE M3という音質改善技術も搭載されているが、卓上ホルダについては独自技術によるとしている。

 少し変わったところでは「遠隔マナー解除」という機能がサポートされている。ネーミングだけで利用シーンが思い浮かべられるだろうが(笑)、部屋の中でケータイが行方不明になったとき、遠隔でマナーモードを解除できるというものだ。うっかりな人には便利な機能かもしれない。

 京セラ製端末はここのところ、簡単ケータイなど、やや地味な路線が多かったが、W43SはEZ FeliCaやPCサイトビューアーなど、他機種に並ぶ機能をしっかりとサポートしたうえ、センサーリングキーやサブウーファー内蔵卓上ホルダなど、独自の機能も盛り込んだことで、今までとは少し違った路線の端末として仕上げられているという印象だ。


サブディスプレイ周囲は、リング状の「センサーリングキー」 ウーファースピーカー内蔵の卓上ホルダ
サブディスプレイ周囲は、リング状の「センサーリングキー」 ウーファースピーカー内蔵の卓上ホルダ

W41SH

W41SH

W41SH
 昨年末、auへの参入を表明していたシャープの第1弾端末となるのが「W41SH」だ。他の携帯電話事業者向けで高いユーザーの支持を着実に獲得してきたシャープがどのような端末をau向けに供給するのかが注目されたが、第1弾端末ということもあり、自らの得意とする高品質な液晶ディスプレイなどを搭載しながら、オーソドックスな折りたたみデザインの端末に仕上げている。

 外見で特徴的なのは微細な編み目のようなテクスチャーを再現したボディの外装加工だろう。通常のケータイと違い、少しザラッとした触り心地なのだが、指紋も付きにくく、見た目もなかなかきれいだ。シャープと言えば、NTTドコモ向けのDOLCEやDOLCE SLで人工皮革による外装を実現しているが、それに匹敵する新鮮さだろう。

 また、液晶ディスプレイは、シャープ製端末初のワイドQVGA表示が可能なベールビュー液晶を搭載している。ベールビュー液晶はNTTドコモのSHシリーズなどに搭載され、好評を得ているもので、側面のボタンを押すことで、視野角を切り替えることができる。視野角切り替え時のパターンは4種類、用意されており、その内の1種類は動画となるなど、新しいベールビュー液晶となっている。ちなみに、視野角はダイヤルボタン下の[Task]ボタンの長押しで切り替えることが可能だ。

 ユーザーインターフェイスは初のau向け端末でありながら、auの共通仕様をうまく消化しつつ、独自の特色も打ち出している。たとえば、方向キー下で呼び出せるショートカット、各項目を確認しながら変更できるカンタン設定、ワイドQVGAの画面を左右に分割表示して編集できる画像編集などだ。他のau端末にはない新しい機能としては、[Task]ボタンを押して表示される「Task bar」からの機能切り替えが挙げられる。FOMA端末のような完全なマルチタスクというわけではないのだろうが、メールとEZweb、メールとスケジュール、EZwebと機能設定といった組み合わせで、何かの機能を操作中に他の機能を呼び出して切り替えることができる。対応サービスとしてはPCサイトビューアーやグローバルエキスパート、赤外線通信など、今回の標準仕様が中心だが、W43SAもサポートする「EZケータイアレンジ」に対応する。

 全体的に見て、派手さこそないものの、自らが得意とする液晶ディスプレイを中心に、独特のファブリック感を実現した外装などのオリジナリティを発揮した端末と言えそうだ。DRAPEとはまた少し違った「オトナのケータイ」という印象だ。


ファブリック加工が施されている 「Task bar」ボタンで疑似タスク機能を起動
ファブリック加工が施されている 「Task bar」ボタンで疑似タスク機能を起動

W45T

W45T

W45T
 WIN端末でありながら、使いやすさと安心にこだわったのが東芝製端末「W45T」だ。昨年10月に発売された簡単ケータイ「A5517T」のコンセプトをベースにしているようで、中央部分が少し盛り上がった「でかキー」、スケーラブルフォントを採用した「でか文字」、にぎやかな場所で通話するときに便利な「でか受話音量」などが継承されている。制限モードやスマートモードも同様に利用できる。これらに加え、新たに電池残量やアンテナも大きく表示する「でかピクト表示」を搭載し、シニア層やケータイになじみのないユーザーでも使いやすい環境を提案している。

 ボディサイズも同時に発表されたW42SAやW44K、A5522SAのような20mmを切る薄さではないものの、W43Tなどと同レベルの薄さを確保しており、スマートに持てる印象だ。少し変わった機能としては、通話エリア外から圏内に移動したとき、圏内への復帰を早める「ベストコネクト」という機能が搭載される。

 A5517Tなどのフレンドリーケータイの路線を踏襲しているが、324万画素カメラや3Dグラフィックエンジン「T4G」を搭載するなど、ハイエンドモデルに匹敵するスペックも持ち合わせており、使いやすさと充実した機能を求めるユーザー向けの端末と言えそうだ。


「でかキー」採用のボタン部 メニュー画面
「でかキー」採用のボタン部 メニュー画面

W42SA

W42SA

W42SA
 今までにない「スムースタッチ機能」による操作を実現したのが三洋電機製端末「W42SA」だ。W42SAのスムースタッチ機能は、今回発表された端末ラインアップの中で、W43Kのセンサーリングキーと並んで、デバイス的にもっとも興味深かったものだ。

 スムースタッチはダイヤルボタン部分を指先でなでるように動かすことで、画面のスクロールやタップ、手書き入力などの操作ができる機能で、ノートパソコンのタッチバッドのような感覚で操作することが可能だ。ダイヤルボタン部分はまったくのフラットということではなく、各ボタンの間には細いフレームが入っている。最初は操作方法に戸惑うが、慣れてくると、文字も入力できるようになる。ただ、文字入力はさすがにダイヤルボタンのマルチタップ入力の方が快適だろう(笑)。

 むしろ、実用性を感じたのは図形をなぞることで、セキュリティロックを掛けられる機能だ。筆者も実際に自分が自由に決めた図形でロックを掛けてみて、解除しようとしたが、入力した図形の大まかな位置関係も認識しているため、ある程度、正しい位置で再入力しないと、ロックを解除できなかった。このレベルのセキュリティが掛けられるのであれば、法人のビジネスユーザーのニーズにも応えられそうだ。

 また、ボディも19.4mmと薄く、非常に持ちやすい。端末を閉じた状態でのデザイン的なインパクトには欠けるが、カプリスピンクやレガートホワイトはきれいにまとまっており、女性に支持されそうな端末として仕上げられている。


テンキー部分がタッチセンサーになっている 薄型ボディに仕上げられている
テンキー部分がタッチセンサーになっている 薄型ボディに仕上げられている

W44K

W44K

W44K
 薄さ15mmというWIN端末最薄を実現したのが京セラ製端末「W44K」だ。薄いボディでも十分な剛性を確保するため、メインディスプレイと背面側のハーフミラーパネルには強化ガラスを採用している。この他にも201万画素カメラはオートフォーカスに対応し、薄いボディでも操作性を損なわないパネル型フレームレスキーを採用するなど、ハードウェア的な工夫点は多い。

 機能面は基本的にW43Kのものを継承しており、京セラ製端末でおなじみのペタメモ、消費電力を抑える長持ちモード、受信したメールの感情をアイコンで表現するエモーションメール、遠隔マナー解除などが搭載されている。

 ボディは全体的にスクウェアなイメージでまとめられており、胸ポケットに入れても気にならないサイズだ。背面側のハーフミラーパネルにはヒンジ側の隣に装備されているインフォメーションキーを押すことで、時刻などの文字情報が浮かび上がるように表示される。スリムで美しい端末を求めるユーザー向けの端末だ。


背面はハーフミラー仕上げ ボタン間に隙間がないフレームレスキー
背面はハーフミラー仕上げ ボタン間に隙間がないフレームレスキー

A5522SA

A5522SA

A5522SA
 薄さ16mmのスリムボディを実現したのが三洋電機製端末「A5522SA」だ。今回発表された端末ラインアップでは、唯一のCDMA 1X対応モデルとなる。

 ボディで特徴的なのは薄さだけでなく、カラーごとに異なるフロントフェイスを持ち、レッドスクエアはトップパネルにエンボス加工が施されるなど、意外に個性的なデザインを採用している点だ。CDMA 1X対応端末ということもあり、対応サービスはそれほど多くないが、「とじるとロック」や「遠隔オートロック」などのセキュリティ機能、スマートモード、防犯ブザー、ティーンズモード、ジュニアモードなどの子どもの利用を考えた機能も搭載されており、幅広いユーザー層をターゲットにした端末と言えるだろう。


カラーごとに異なるフロントフェイス 左側面にmicroSDカードスロット
カラーごとに異なるフロントフェイス 左側面にmicroSDカードスロット

MNPへの強い意気込みが感じられるラインアップ&サービス

 今回の発表会はラインアップの数やサービス内容もさることながら、全体的にauのMNPに対する強い意気込みが感じられる内容だった。MNPによるユーザーの動きがどうなるのかは、他事業者の詳細が発表されていないため、まだ何とも言えないが、希望移行先として注目されているKDDIは、その注目に見合うだけの要素をしっかりとユーザーに提示してきたという印象だ。

 ただ、これだけのラインアップが揃うと、どうしても端末の方向性や位置付けが少なからず似ていたり、ユーザーが各機種の違いがうまく伝わらない、販売の現場で上手に説明できないといったシチュエーションも生まれてきそうだ。ユーザーとしては、本誌の新製品SHOW CASEやレビューなどをじっくりと参照して、自分のニーズに合った端末を探し出して欲しい。



URL
  KDDI
  http://www.kddi.com/

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(法林岳之)
2006/08/29 13:11

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