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新たなる個性とバリエーションを狙った704iシリーズ
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるポケット LISMOですぐに音楽が楽しめる本」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


「Slim & Compact」に欲しい機能をセレクト

704iシリーズ

 NTTドコモは7月4日、2007年7月〜10月に市場に投入される端末として、FOMA 704iシリーズを発表した。過去にも紹介してきているように、ドコモはFOMA 70XiシリーズをFOMA 90Xiシリーズの廉価版という位置付けをやめ、個性とデザインを重視した端末として、徐々にラインアップを修正してきている。昨年の702iシリーズではデザイナーやクリエイターとのコラボレーションモデルなどによって、個性を打ち出そうとし、今年1月に発表された703iシリーズではそれぞれの端末に機能面でもハッキリとした個性を持たせることにより、従来の70Xiシリーズよりも成功を収めている。

 今回発表された704iシリーズは、この703iシリーズの後継に位置付けられるラインアップだ。本来なら、「703iS」という703iシリーズのセカンドモデルとしての型番が与えられるはずだが、90Xiシリーズが903iシリーズから904iシリーズに進んだことに倣い、70Xiシリーズも703iシリーズから704iシリーズへと進むことになった。こうした型番の進み方について、発表会の席では「3Gローミングなど、型番を進めるに相応しい内容」と説明されたが、筆者の個人的な印象を言えば、ドコモとして、「○○○iS」「○○○iD」といった型番の付け方そのものをやめようとしているように見えた。これは今後のラインナップ展開を見ながら、判断していくしかないだろう。

 今回、ドコモは704iシリーズとして、全8機種を発表した。発表会のプレゼンテーションでは「Made for ‘You'」というキーワードを掲げ、704iシリーズでは904iシリーズのフルパッケージに対し、「Slim & Compact」という基本コンセプトをキープしながら、ユーザーが欲しい機能をセレクトしたケータイと位置付けている。実際の端末もスリムでコンパクトなモデルがラインアップされ、それぞれに機能やデザイン面で差別化が図られている。たとえば、機能面では70Xiシリーズ初となるワンセグがD704iとSH704iの2機種、FOMAハイスピードがL704iの1機種、703iから引き続く防水がF704iの1機種、スーパースリムがN704iμとP704iμの2機種といった具合いだ。ボディデザインでは折りたたみデザインが4機種、スライド式が3機種、二軸回転式が1機種となっており、バリエーションは豊富と言えるだろう。

 ただ、その一方で対応サービスにはバラツキが出てしまうことになった。iチャネルや音楽再生、FOMAプラスエリアは全機種標準だが、おサイフケータイや1.7GHz対応が8機種中5機種、フルブラウザが8機種中2機種、デコメ絵文字が8機種中7機種といった具合だ。何を標準とするかは判断が難しいところだが、90Xiシリーズよりも幅広いユーザー層を狙うのであれば、今回の704iシリーズの対応サービスのバラツキは少し議論の余地がありそうだ。特に、これから購入を検討しているユーザーは、購入時に対応サービスをよくチェックする必要があるだろう。

 各機種の詳細については、すでに発表会の記事が掲載されているので、そちらを参照していただきたいが、ここでは筆者が発表会で短時間ながら試用した印象を紹介しよう。ただし、いずれも発売前の機種であり、最終的な仕様は変更される可能性がある点についてはご理解いただきたい。


D704i

D704i

 従来のD703iのストレートタイプに代わり、スライド式を採用したワンセグ対応端末だ。同じDシリーズのワンセグ対応端末のD903iTVに比べ、ひと回りコンパクトにまとめられているが、液晶ディスプレイがD903iTVのワイド液晶に対し、D704iは2.4インチのQVGA液晶が採用されていることも関係している。ボディの幅や長さもコンパクトで、このサイズ感であれば、ターゲットである女性ユーザーも持ちやすいだろう。

 ワンセグについては予約視聴のみで録画をサポートしておらず、タイムシフトも利用できないが、ワンセグ視聴中にマルチタスクで他の機能を呼び出すことはできる。ワンセグの視聴時間が5時間半と長いが、これは電池パックの大容量化と照度センサーによる液晶ディスプレイの明るさ調整による効果だという。

 機能面や対応サービスは今回の704iシリーズの中で、もっとも充実しており、ドキュメントビューアやフルブラウザなど、ビジネスにも便利な機能もサポートする。特徴的なところではデコメ絵文字の連続入力がサポートされていたり、絵文字の一覧入力の表示領域を拡大するなど、メール周りの機能が充実している。ただ、テンキーの[2]ボタンとスライドボディ上部(ディスプレイ部)との間があまり広くないなど、スライド式特有の制限はあるので、購入時に自分の手や指に合うかどうかは確認した方がいいだろう。


SH704i

SH704i

 二軸回転式ボディを採用したワンセグ対応端末だ。従来のSH703iまで、70Xiシリーズではオーソドックスな折りたたみデザインを採用してきたSHシリーズだが、同社製の70Xiシリーズでは初の二軸回転式ボディということになる。ボディサイズそのものは2.6インチの液晶ディスプレイを採用しているため、標準的なサイズだが、18.1mmのボディは手に持ったとき、スリムな印象だ。ボディはトップパネルにアルミを採用しているが、従来のSHシリーズで採用されてきたアルミ蒸着などではなく、アルミ素材そのものを採用し、ポリッシュ仕上げで光沢感を出している。カラーバリエーションが5色と豊富なのもうれしい点だ。

 ワンセグについては、番組表からの予約録画に対応し、microSDカードに保存可能だ。タイムシフトには対応しないが、液晶ディスプレイを反転した状態では着信時にもワンセグの画面を継続して映し出すことができるため(音声は不可)、一応、視聴を中断しない状態で使うこともできる。

 液晶ディスプレイを反転した状態では、横向きの待受画面が表示され、側面のTVキーを押すだけでワンセグを起動できる。液晶ディスプレイ横にあるボタンを押すことで、マルチアシスタントのメニュー画面を表示でき、ワンセグ視聴中にも受信メールやスケジュールの確認ができるなど、このスタイルでの活用をよく考えているようだ。卓上ホルダはオプションだが、底面のスタンドを立てて使えるようにするなど、細かい工夫も加えられている。

 機能及び対応サービスについてはドキュメントビューアに対応していない点を除けば、D704iとほぼ同等だ。基本機能をしっかりとキープしつつ、ワンセグを楽しんでみたいユーザー向けの端末と言えそうだ。


L704i

L704i

 70Xiシリーズには初参入となるLG電子の端末だ。海外で「Chocolate Phone」の愛称で親しまれているモデルをベースに、日本向けにローカライズしたものだ。スライド式のボディを採用しており、ディスプレイ部横には赤色LEDによるタッチパッドが装備されている。タッチパッドの操作感はバイブレータによる振動を付加するなど、独自の工夫をしているが、それでも慣れが必要な印象だ。ちなみに、タッチパッド操作時の振動は独自のものではなく、着信時などに利用するバイブレータを稼働させている。開発時には日本のユーザーの反応を考え、ボタンを採用することも検討したが、Chocolate Phoneのデザインの特徴であるフラットなフェイスを大切にするため、タッチパッド式が採用されたという。

 スペック面では70Xiシリーズ初となるHSDPA方式によるFOMAハイスピードに対応する。ドコモがFOMAハイスピード対応端末向けに提供しているミュージックチャネルにも対応するが、フルブラウザがないため、高速パケット通信の本領を発揮できるシーンがやや限られる。ミュージックチャネルは903iX/904iシリーズと同じ2番組登録に対応する。ネットワークではFOMAプラスエリアに対応しているものの、1.7GHz帯には対応していない。

 音楽再生機能も国内で普及しているSD-Audioに対応し、外部接続端子もFOMA端末の標準仕様を採用するなど、日本市場への本格的な意気込みを感じさせる。国際ローミングは3G/GSMの両対応となっているため、国内外で幅広く利用したいユーザーに適した端末と言えそうだ。


P704i

P704i

 ドコモ向けのPシリーズ端末としては、初のスライド式となる端末だ。デザインは見てもわかるように、ソフトバンク向けに供給されている810Pと同じ「フラットスライド」と呼ばれる機構を採用している。液晶ディスプレイを搭載したスライド上部をU字フレームを持つボタン部で包み込むような構造となっているため、スライド式ボディ特有の段差を少なくしている。実際の操作もストレート式ボディに近い印象だが、クリアキーをきちんとしたサイズにしているため、意外に方向キーがテンキーから離れてしまったような印象も受けた。ただ、スライド式ボディそのものは開けやすく、持ちやすい。

 背面には6軸手ブレ補正とオートフォーカスに対応した2Mピクセルカメラ、スマートフラッシュが装備されている。カメラはパナソニック製端末でおなじみのνMaicoviconではなく、一般的なCMOSが採用されている。スマートフラッシュは一般的なストロボとは構造が違うようだが、かなり明るく、室内での近距離の撮影には十分効果が見られた。ただ、光量の制御などはされていない。また、カメラはスライド式ボディを閉じた状態でも利用できるが、スマートフラッシュはスライド式ボディを開いたときしか利用できないので、両スタイルの違いをある程度、意識して使う必要がありそうだ。


SO704i

SO704i

 SO703iをベースに、Style-Upパネルによるイルミネーションで演出を可能にしたモデルだ。Dreamy Twinkleと呼ばれるイルミネーションは、Style-Upパネルが装備されるトップパネル部分のLEDのランダムな点灯とサブディスプレイのアニメーションを組み合わせることによって、実現されている。Style-Upパネルはかなり凝ったデザインになったおり、女性ユーザーにはかなりウケそうな印象だ。

 ハードウェアは基本的に共通だが、カメラがオートフォーカスに対応し、キーがシートキーに変更されている点などが異なる。シートキーはグラデーション処理がされており、各キー間にリブ(突起)を付けることで、通常のキーと変わらない操作環境を実現しようとしている。


F704i

F704i

 防水ケータイとして注目を集めたF703iをベースに、カラーリングなどを変更したモデルだ。基本的な仕様はF703iとまったく共通だが、3Gローミングに対応したことにより、新たに国際ローミングに関連するメニューが追加されている。プリセットのコンテンツもボディカラーが変更されたことで、新しいものが追加されている。


N704iμ

N704iμ

 11.4mmの薄さで話題となったN703iμをベースにしたリファインモデルだ。ただ、他の704iシリーズのリファインモデルに比べ、細かい部分ではあるものの、実用的な修正が加えられている印象だ。たとえば、従来はキートップとその周囲の材質がほぼ同じだったが、今回は別の材質を採用することで、タッチ感をわかりやすくしながら、指紋を付きにくくする工夫が加えられている。トップパネルに埋め込まれたMySignalは、N703iμがディンプル状のパネルに埋め込まれたLEDが点灯していたのに対し、N704iμではミラージュフェイスと呼ばれる仕上げになり、LEDが浮かび上がるように点灯するようになっている。

 ソフトウェアも若干、変更され、シンプルメニューへの切り替え時に拡大もじを一括設定できるようにしたり、でか文字モード設定時に発着信履歴もでか文字表示をできるようにしている。直デンのユーザーインターフェイスをタブ表示で視覚的にわかりやすいものにするなどの改良も加えられている。カラーリングもホワイトなどが加わったことにより、女性ユーザーにも持ちやすい端末になった印象だ。


P704iμ

P704iμ

 P703iμをベースにしたリファインモデルだ。ハードウェアなどの仕様はまったく同じだが、3Gローミング対応、電話帳メモリの増加(700→1,000件)などが変更されている。3Gローミングに対応したこともあり、iアプリに「英会話とっさの一言」などが収録されている。ユーザーインターフェイスは共通だが、フォントがLCフォントから少し太めのUDフォントに変更され、視認性がよくなっている。外装も共通だが、Cocktail GoldとBisque Whiteはトップパネルに指紋がつきにくい塗装を採用している。実際に試した限り、かなり指紋は付きにくく、見た目のきれいさがある程度、キープされる印象だ。


買いやすさを狙った704iシリーズ

 以上が今回発表された704iシリーズの全8機種だが、従来モデルから見てきたユーザーならわかるように、実質的に新モデルと呼べるのはD704i、SH704i、L704iの3機種のみだろう。P704iのフラットスライドは新しいデザインだが、これはすでに他事業者向けに供給されており、スペック的な目新しさもやや限定されている。その他の704iシリーズは、ほぼリファインモデルと呼ぶべき内容だ。N704iμのように実用的なリファインが加えられたモデルもあるが、正直なところ、型番を進めるほどの大きな違いがないモデルが半数を占めたという印象は否めない。

 冒頭でも触れたように、704iシリーズは3Gローミング対応などが型番を挙げるに相応しい機能向上と説明されたが、3Gローミング対応については無線部分の仕様が変更されておらず、実質的には国際ローミング対応を謳うための手続きなどに時間を要したため、別モデル扱いになったというのが本当のところだろう。90Xiシリーズの普及モデルという位置付けを脱し、個性派路線で成功を収めつつあった70Xiシリーズだが、今回の発表を見る限り、残念ながら、新たな個性を追求したモデルは限られてしまったようだ。

 ドコモは5月に904iシリーズ5機種、今回の704iシリーズ8機種を発表したものの、筆者が見る限り、この2回の発表には少し無理があったような印象だ。904iシリーズの発表では「2in1」という新しいサービスなども発表されたため、目新しさがあったが、今回の704iシリーズはリファインモデルが半数を占め、新サービスなどもなかったため、新鮮さが感じられなかったというのが素直な感想だ。これがラインナップの再構築を狙ったものなのか、型番の整理を考えたものなのかは微妙だが、例年とは少し違った流れになりつつあるようだ。

 とは言うものの、いずれのモデルも完成度は着実に高められているわけで、それぞれにしっかりとした個性と魅力を持ち合わせていることは間違いない。今回発表された704iシリーズは今月から順次、販売が開始される予定だ。購入前には本誌の新製品SHOW CASEやインタビュー、レビューなどを参照したうえで、自分にとってのベストな一台を選んで欲しい。ただし、機種ごとに対応サービスなどが異なるので、それらをチェックすることもお忘れなく。



URL
  ニュースリリース
  http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/070704_01.html

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(法林岳之)
2007/07/05 11:59

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