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“誰もが求める使いやすさ”を追求した「706ieシリーズ」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるPRO BlackBerry サーバー構築」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。


 今年5月に発表されたNTTドコモの906i/706iシリーズは、6月はじめに高機能モデルの906iシリーズが発売されたのを皮切りに、7月、8月にかけて706iシリーズも順次、販売が開始された。そんなNTTドコモの新ラインアップにおいて、既存の706iシリーズと少し趣を変えた存在なのが「706ie」というネーミングを与えられた4機種だ。今回は706ieの4機種を見ながら、その可能性をチェックしてみよう。


「らくらくホン」ではない選択肢

706ieシリーズ4機種。左から「N706ie」「P706ie」「SH706ie」「L706ie」

706ieシリーズ4機種。左から「N706ie」「P706ie」「SH706ie」「L706ie」
 本誌読者のみなさんなら、よくご存知のように、現在、NTTドコモはオールインの高機能モデル「90Xiシリーズ」、個性を重視した「70Xiシリーズ」を中心にラインアップを構成している。このほかに、前回のコラムで紹介した「らくらくホン シリーズ」をはじめとする企画端末が存在するわけだが、とりわけ、らくらくホンは年間を通して、販売ランキングの上位に名を連ねるベストセラーモデルの1つとなっている。

 今さら説明するまでもないが、らくらくホンは中高年層のユーザーを対象に使いやすさを考えて開発され、進化を遂げてきた端末だ。ただ、前回も触れたように、らくらくホンが中高年層に安定した人気を得ていると言われる一方、敢えて、らくらくホンを避けるユーザーを見かけることも増えてきている。「いかにもシニア向けなので、持ちたくない」「デザインが気に入らない」「使いたい機能が搭載されていない」「あの[1][2][3]のボタンがどうも……」などの理由で、らくらくホンを敬遠しているという。

 日本のケータイ市場は契約数が1億を超え、ユーザーのニーズが多様化してきたと言われるが、ここ数年の各社のラインアップ構成を見てみると、こうした声が聞こえてくることも何となく、理解できる。たとえば、auの新機種「URBANO」の記者発表でも引用された調査結果で、総務省がまとめた通信利用動向調査によれば、各年代別のケータイの普及率を見ると、20代、30代、40代で90%を超えているのは当たり前として、実は50代でも82%、60代で67%、70代でも50%まで普及している。ちなみに、13〜19歳までの平均は78%であり、中高生のケータイ利用が拡大したと言われているものの、実は50代の方が普及率が高いという結果になっている。


5月に行われた発表会で、706ieシリーズのコンセプトが語られた

5月に行われた発表会で、706ieシリーズのコンセプトが語られた
 こうした普及状況であるにも関わらず、実は年齢層を考慮した端末は各社とも非常にバリエーションが少ない。少し極端な配分になってしまうが、NTTドコモでは20代〜30代という市場の中心的な存在のユーザー向けに、90Xiシリーズから70Xiシリーズまで、半年ごとに十数機種を次々と新製品を投入しているのに対し、明確に50代以上のユーザーを意識した端末は、事実上、らくらくホンの数機種しかない。もちろん、過去にはシャープ製端末の「DOLCE」をはじめ、シンプル路線を狙った「SIMPUREシリーズ」などを登場させたのだが、残念ながらシリーズとして定着することなく、今日に至っている。

 また、もうひとつの声として見逃せないのが、ケータイをはじめ、ITやデジタルに対するリテラシーが高くないユーザーからの不満だ。もう少し具体的に言えば、ケータイの必要性は十分に理解しているものの、最新の機能がすべて網羅されていることよりも自分が必要とする機能が揃っていて、使いやすさが考えられている機種が欲しいという声だ。こうした声は必ずしも中高年以上のユーザーだけでなく、20代や30代のユーザー、女性ユーザーなどからもよく聞かれる反応だ。NTTドコモで言えば、本来なら70Xiシリーズがこうしたユーザーに適した端末に位置付けられるはずだが、これまでの70Xiシリーズは個性を主張し、90Xiシリーズとの差別化を考えていたため、「使いやすさ」を求めるユーザーには十分に支持されなかったようだ。

 こうした市場背景の結果、シニアと呼ばれる年齢層のユーザー、あるいはケータイに対するリテラシーがあまり高くないユーザーにとって、現状の端末ラインアップには選択肢が少ないと感じてしまい、「なんで、私が選べるのは(勧められるのは)らくらくホンになっちゃうの?」といった不満が生まれてしまうわけだ。

 そこで、新たに登場したのが今回の706iシリーズにラインアップされた「N706ie」「P706ie」「SH706ie」「L706ie」の4機種というわけだ。本来なら、「706ieシリーズ」という独立したラインアップとして、扱われそうなところだが、残念ながら、今回は706iシリーズの派生モデル、あるいは706iシリーズの内の4機種という扱いとなっている。


706ieシリーズ4機種の共通性と個性

 NTTドコモは「706ie」という型番の「e」に対し、「Everyone(みんな)」や「Easy(やさしい)」といった意味合いを込めているという。つまり、「みんなに使いやすいケータイ」を目指したわけだが、実際にどのような工夫が施されているのだろうか。それぞれの実機を見ながら、特徴や印象を紹介しよう。ちなみに、今回は706ieシリーズ4機種の内、筆者はN706ieのみを購入し、他の3機種についてはデモ機での試用のため、若干、インプレッションのツッコミ具合いに違いがあるかもしれないので、その点はお断りしておく。


NTTドコモ/NEC『N706ie』、サイズ:49(W)×105(H)×16.6(D)mm、115g。キャンティレッド(写真)、シェルホワイト、トリュフブラウンをラインアップ

NTTドコモ/NEC『N706ie』、サイズ:49(W)×105(H)×16.6(D)mm、115g。キャンティレッド(写真)、シェルホワイト、トリュフブラウンをラインアップ

背面に1.6インチの大型サブディスプレイ(モノクロSTN液晶)を装備。日時や歩数に加え、キャラクターも表示可能

背面に1.6インチの大型サブディスプレイ(モノクロSTN液晶)を装備。日時や歩数に加え、キャラクターも表示可能
N706ie(NEC)

 「ここちいいケータイは、いかがですか?」というキャッチコピーからもわかるように、ケータイとしての基本的な使いやすさに配慮した端末だ。スペック的にもワンセグからおサイフケータイ、FOMAハイスピード対応など、90Xiシリーズや他の70Xiシリーズと比べて、まったく遜色のないレベルでまとめられている。ある意味、非常にお買い得感の高い端末と言えるだろう。

 基本的な使い勝手については、メニュー画面の全階層を拡大もじにしたり、シンプルメニューでは項目を一画面に収めたりするなど、よく考えられている。文字サイズだけでなく、ピクト表示や待受画面の時計表示も大きく設定できるなど、全体的に見やすく、まとめられている。Nシリーズならではのユーザーインターフェイスもしっかり継承されており、[5]キーの長押しでバックライトOFF、メール表示画面での左右キー長押しでの文字サイズ変更なども同じように操作できる。最近のNシリーズ端末でサポートされているクイック検索やワンタッチマルチウィンドウ、インライン入力などもサポートされている。

 ハードウェアで特徴的なのは、Nシリーズ初採用となったワンタッチオープンだ。前回の「らくらくホンV」の記事でも触れたが、Pシリーズのユーザーとって、親しみのある操作感で、乗り換えも検討しやすい要素だ。

 また、最大約700時間の連続待受、最大約250分の連続通話を実現するスタミナバッテリーも魅力のひとつだ。電池パックの容量が870mAhと大容量(N906iは770mAh)であることも関係するが、Nシリーズは元々、N702iDなどで長時間駆動を実現してきた実績もあり、その相乗効果でN706ieのスタミナバッテリーを実現したようだ。利用頻度にもよるが、906iシリーズに比べれば、かなり電池の持ちがいいという印象だ。

 また、N706ieは今回の706ieの4機種の内、唯一、歩数計を搭載している。「ウォーキングカウンター」と名付けられたN706ieの歩数計は、らくらくホンシリーズなどに搭載されてきたものに比べると、格段に楽しいというのが率直な感想だ。

 従来の端末に搭載されてきた歩数計は、基本的に歩数をカウントし、参照することが中心で、らくらくホンシリーズが歩数データをサーバーにアップロードして、東海道五十三次や四国八十八カ所のお遍路さんを疑似体験できるサービスを提供する程度だった。最近になり、カロリー計算や累積データを参照できる機種も登場したが、N706ieはこうした今どきの歩数計の機能に加え、その日にカウントした歩数や消費カロリーに合わせた食べ物のグラフィックを表示する待受Flashがプリインストールされている。筆者は今のところ、1日に最高1万歩強程度しかカウントできていないため、写真のような定食メニューしか、お目にかかれていないが、NECによれば、さらに歩数が多くなると、かなり豪華なセットメニューが見られるとのことだ。


シートキーながら、しっかりと凹凸を付け、押しやすいサイズを実現したキー。キーサイズはN705iの2倍 その日に歩いた歩数に応じて、食べ物のグラフィックが表示される待受Flash。持ち歩くことが楽しくなる
シートキーながら、しっかりと凹凸を付け、押しやすいサイズを実現したキー。キーサイズはN705iの2倍 その日に歩いた歩数に応じて、食べ物のグラフィックが表示される待受Flash。持ち歩くことが楽しくなる

 気になる点としては、キートップのサイズは大きくしたものの、やや独特のタッチになった感のあるシートキー、大きなサイズで表示できるが、表示によってはギザギザ感の残るサブディスプレイ表示、通常の平型コネクタのイヤホンマイクが使えないことなどが挙げられる。イヤホンマイク端子については、コネクタが外部接続端子と共用になったため、平型コネクタのイヤホンマイクを使うには、別途、「外部接続端子用イヤホン変換アダプタ01」が必要になる。イヤホンマイク端子の仕様変更はNTTドコモとしての方針もあるようだが、せっかく丸型コネクタから移行し、普及が進んだ平型コネクタのイヤホンマイクとの変換アダプタが別売(しかも手に入りにくい!)なのは、購入したユーザーにとって、「ここちよくない」点ではないだろうか。


NTTドコモ/パナソニック『P706ie』、サイズ:49(W)×109(H)×16(D)mm、106g。ブラック(写真)、シルバー、ラベンダーをラインアップ

NTTドコモ/パナソニック『P706ie』、サイズ:49(W)×109(H)×16(D)mm、106g。ブラック(写真)、シルバー、ラベンダーをラインアップ

間隔もしっかり取った独立キーを採用。[開始]キーと[終話]キーの左右に色を付けるなど、ユニバーサルデザインも意識
P706ie(パナソニック)

 全体的に苦戦が伝えられることが多い70Xiシリーズにおいて、安定した人気を獲得しているのがPシリーズだ。特に、P705iは705iシリーズ全体が新販売方式の影響で不振と言われる中、もっとも好調だったと言われる。

 P706ieはその流れをくみつつ、使いやすさや見やすさ、聞きやすさに配慮した端末だ。ユニバーサルデザイン指向の端末である点は、N706ieとも共通するが、こちらもワンセグからおサイフケータイ、FOMAハイスピードに至るまで、上位モデルの906iシリーズと比較して、まったく遜色ないハイスペックを実現しており、お買い得感の高さはN706ieと変わらない印象だ。

 70Xiシリーズにおけるパナソニック製端末のモデル展開で見ると、実は705iシリーズまでは「P705i」「P705iμ」「PROSOLIDμ」という3機種展開だったのだが、実は今回の706iシリーズでは「P706i」というスタンダードモデルが存在せず、この「P706ie」と超薄型モデルの「P706iμ」のみのモデル展開となっている。つまり、70Xiシリーズにおいて、パナソニックとしてはP706ieを主力に位置付けているということなのだろう。

 基本的な使い勝手は、P705iを継承しているが、全メニュー階層で「拡大もじ」に対応し、待受画面で[マルチ/文字サイズ]キーを押して、拡大表示や特大表示、標準表示をワンタッチで切り替えられるようにするなど、見やすさの面にもしっかり配慮されている。

 ハードウェア面では、Pシリーズの十八番であるワンプッシュオープンを採用し、「開いて通話、閉じて終話」というおなじみの操作ができる。ワンセグについては、P705iよりも一段と強化されており、30fpsのフレーム補間技術でなめらか表示が可能な「モバイルWスピード」にも対応する。意外に便利なのが「繰り返し上書き録画」で、毎日、決まった時刻の番組をくり返し、録画することができる。毎朝のニュースを録画して、通勤中に見るようなユーザーにはオススメの機能だ。ちなみに、録画した番組はmicroSDメモリーカードに保存されるが、microSDHCカードに対応し、最大8GBという大容量のカードを利用できるようにしている。上位機種にひけを取らない仕上りだ。

 その一方で、従来のP705iと比較して、PDFビューアやドキュメントビューアなどのビジネス系機能を削り、映像コンテンツへの対応も10MB iモーションに対応するものの、WMVが非対応になるなど、わずかにスペックダウンした部分もある。その割にはFOMAハイスピード対応の関係もあり、Music&Videoチャネル対応になっていたりするのだが……。ただし、使いやすさに対する配慮は従来モデルから継承されており、Pシリーズではおなじみのオンラインヘルプ「使いかたナビ」も搭載されている。

 N706ieやSH706ie同様、音声通話のサポート機能も充実しており、周囲の騒音レベルに応じて、相手の声を聞きやすくする「しっかりトーク」、こちらの声を相手に聞こえやすくする「ノイズキャンセラ」などは、年齢を問わずにメリットを享受できる。


トップパネルのミラー状の帯の部分にサブディスプレイ(有機EL)を搭載 Pシリーズではおなじみのワンプッシュオープンを採用。開閉動作に連動した通話の応答や終話も設定可能
トップパネルのミラー状の帯の部分にサブディスプレイ(有機EL)を搭載 Pシリーズではおなじみのワンプッシュオープンを採用。開閉動作に連動した通話の応答や終話も設定可能

 気になる点としては、前述の従来モデルからの一部のスペックダウンのほか、N706ie同様、平型コネクタのイヤホンマイクの利用に変換アダプタ(別売)が必要なことなどが挙げられる。全体的にソツなく、まとめられているが、基本的にはP705iからの正常進化という印象が強く、N706ieの歩数計のようなお楽しみ機能がないなど、やや新鮮さに欠けてしまったことが残念だ。


NTTドコモ/シャープ『SH706ie』、サイズ:48(W)×106(H)×16.1(D)mm、106g。フォーマルブラック(写真)、フォーマルホワイト、フォーマルピンクをラインアップ

NTTドコモ/シャープ『SH706ie』、サイズ:48(W)×106(H)×16.1(D)mm、106g。フォーマルブラック(写真)、フォーマルホワイト、フォーマルピンクをラインアップ

間隔を確保した独立タイプのキー。ボタントップのフォントも見やすい。[5]キーの右下に拡大を表わすアイコンが印刷されている

間隔を確保した独立タイプのキー。ボタントップのフォントも見やすい。[5]キーの右下に拡大を表わすアイコンが印刷されている
SH706ie(シャープ)

 「706ie」の型番が与えられた端末としては、最後に登場した端末だが、実は今年4月に発売された「SH705i II」のカラーリングをリニューアルした端末であるため、在庫の関係上、発売時期が8月になったというのが実状だ。そういう意味では、706ieシリーズが掲げている「誰にでも使いやすい」というコンセプトをいち早く製品化した端末とも言える。

 SH706ieが他のモデルと異なるのは、音声通話サポートの実現手法だろう。N706ieもP706ieも「ハイパークリアボイス」や「しっかりトーク」といった音声通話サポート機能を搭載しているが、SH706ieは端末に2つ装備されたマイクと信号処理によって、3つの効果が実現される「トリプルくっきりトーク」を搭載している。具体的には、2つのマイクで通話をする人の声と周囲の音を拾い、専用LSIで処理をすることで、こちらの声をハッキリと伝える「ノイズリダクション」、相手の声を抽出・強調する「エンハンス」、2つのマイクで自分の声と相手の声の混じるエコーを抑える「エコーキャンセル」という3つの効果を実現している。

 他の端末がソフトウェアによる信号処理を中心に音声通話サポート機能を実現しているのに対し、SH706ieは2つめのマイクというハードウェアを追加することで、音声通話サポートを一段と強化しているというわけだ。ちなみに、音声通話サポートで実績のある「らくらくホン」も2つのマイクを装備しており、そういう意味では「らくらくホン」並みを目指した機能が搭載されたとも言える。今回は時間の関係上、残念ながら他機種との同時比較ができなかったが、少し周囲が騒がしいところから掛けてみたところ、周囲の騒音が消えるわけではないものの、音声通話サポートがない機種に比べれば、確実に聞きやすい印象だった。

 見やすさについては、全階層の拡大表示に対応し、きせかえツールに大きな文字とアイコンを組み合わせた「Largeメニュー」を用意する。待受画面での[5]の長押し、メール閲覧画面で[1]と[3]の押下で文字サイズの切り替えができる「ワンタッチ文字拡大」も搭載されており、なかなか便利に利用できるのだが、画面上にガイドが表示されないため、知らないまま、使い続けるユーザーもいるかもしれない。ちなみに、[5]の右下には拡大を表わすルーペのアイコンがプリントされている。


キレイな仕上りのトップパネル。先端側のミラー状の部分にサブディスプレイ(有機EL)を搭載 背面にはオートフォーカス対応の有効画素数約320万画素カメラを搭載。名刺リーダーなど、カメラ応用機能も充実
キレイな仕上りのトップパネル。先端側のミラー状の部分にサブディスプレイ(有機EL)を搭載 背面にはオートフォーカス対応の有効画素数約320万画素カメラを搭載。名刺リーダーなど、カメラ応用機能も充実

 ボタンも独立キーを採用し、コンパクトなボディサイズながらも押しやすい印象だ。気になる点があるとすれば、N706ieやP706ieがサポートしているFOMAハイスピードやエリアメールに対応していないことなどが挙げられる。しかし、その一方で、カメラはオートフォーカス対応320万画素を搭載し、シャープ製端末ではおなじみの「名刺リーダー」も提供するなど、実用面ではまったく不満を感じないレベルでまとめられている。


NTTドコモ/LGエレクトロニクス『L706ie』、サイズ:51(W)×100(H)×17.3(D)mm、106g。ホワイト(写真)、ピンク、ゴールドをラインアップ

NTTドコモ/LGエレクトロニクス『L706ie』、サイズ:51(W)×100(H)×17.3(D)mm、106g。ホワイト(写真)、ピンク、ゴールドをラインアップ

ドーム型キーはとても押しやすいのだが、[クリア/iチャネル]キーの位置が右側にあるのは、かなり違和感があるかもしれない

ドーム型キーはとても押しやすいのだが、[クリア/iチャネル]キーの位置が右側にあるのは、かなり違和感があるかもしれない
L706ie(LGエレクトロニクス)

 「SIMPURE L」での日本市場参入以降、積極的に日本市場に合わせた端末を投入してきたLGエレクトロニクス。最近では「PRADA Phone by LG」の発売も記憶に新しいところだ。今回の「L706ie」は「706ie」の型番が冠された端末として、最初に市場に投入された端末だが、今年2月に発売された「L705i」をベースにしており、スペックについてはほとんど変わらない。

 今回の706ieシリーズ4機種で比較してみると、搭載されている機能や対応サービスはもっとも少なく、かなりシンプルな構成となっている。しかも前述のらくらくホンを敬遠するユーザーの声にも挙げられた『[1][2][3]配列』のMyワンタッチキーを採用するなど、4機種の中ではやや方向性が異なるような印象すら受ける。

 しかし、その一方で、3Gだけでなく、GSM方式での国際ローミングに対応し、海外渡航時に便利な「単位換算ツール」や「デュアルクロック」、「自動ダイヤルアシスト」を搭載するなど、海外での利用を重視した構成となっている。そういう意味ではGSM圏へ旅行するときのサブ端末的な位置付けとして、有用な端末と言えるかもしれない。

 実際に端末を手に取ってみると、ドーム型のキーも押しやすく、シンプルメニューなどもわかりやすいのだが、[クリア/iチャネル]キーが方向キーの右側にレイアウトされていたり、Myワンタッチキーに何も登録されていない状態で押しても「登録されていません」といった旨のメッセージが表示されるのみで、そこから登録が始められないなど、今ひとつ親切さに欠ける印象も残った。

 韓国の通信事業者「Freetel」との共同調達の対象モデルであるため、あまり日本に特化した仕様にしにくい面があるのかもしれないが、ちょっと他の706ieシリーズとの比較を考慮すると、少し中途半端な存在になってしまったかもしれない。ただ、実売価格がバリューコースでも3万円を切る低価格は、ユーザーのお財布にとって「やさしい」という見方もできるわけだが……。


[1][2][3]キーにはよく掛ける相手を登録し、[My]キーにはよく使う機能を登録しておくことができる トップパネルには約1.3インチのサブディスプレイ(TFTカラー液晶)を装備。このクラスでカラーサブディスプレイは珍しい
[1][2][3]キーにはよく掛ける相手を登録し、[My]キーにはよく使う機能を登録しておくことができる トップパネルには約1.3インチのサブディスプレイ(TFTカラー液晶)を装備。このクラスでカラーサブディスプレイは珍しい

706ieシリーズが期待させてくれるもの

 本誌読者のみなさんなら、よくご存知のように、ここ十年弱ほどの間で、ケータイは凄まじい勢いで進化を遂げてきた。ディスプレイは大型化や高解像度化が進み、カメラやワンセグといった新しいデバイスが次々と搭載され、音楽再生や動画コンテンツなども楽しめるようになり、GPSによるナビゲーションやおサイフケータイなどの生活に役立つサービスも着実に普及が進んでいる。

 しかし、昨年あたりからケータイの急速な進化も一息ついたと言われ、販売方式変更の影響もあり、今年は前年比の販売数が落ち込んでいることが伝えられている。よく言われるように、日本のケータイ市場はひとつのターニングポイントを迎えてつつあるのかもしれない。

 今回取り上げたNTTドコモの706ieシリーズは、そんな現在の日本のケータイ市場を反映した注目すべきラインアップと言えそうだ。一見、「70Xiシリーズで、らくらくホンみたいなのを作りました」と受け取られてしまいそうなのだが、実は必要な機能が揃えつつ、年齢層や性別、リテラシーの高さなどに影響されず、使いやすさを考えた新しい路線のラインアップと言えるからだ。機種ごとにサポートしている機能やスペックに差はあるものの、N706ieのウォーキングカウンターの演出、P706ieのハイエンドモデル並みの機能、SH706ieの名刺リーダーなどのユニークな機能、L706ieの国際ローミング対応など、それぞれに個性を持ちながら、使いやすい端末に仕上げられている。

N706ie P706ie SH706ie L706ie
メイン画面 3.0 3.0 2.8 2.4
サブ画面 1.6 0.8 0.8 1.3
カメラ 200万 200万
AF
320万
AF
130万
iアプリ ○(メガ) ○(メガ) ○(メガ)
ワンセグ ×
おサイフ
ケータイ
×
FOMA
ハイスピード
×
エリアメール × ×
国際ローミング 3G 3G 3G 3G/GSM
テレビ電話
電話帳
お預り
サービス
×
2in1 ×
音楽再生 AAC
WMA
SD-Audio
AAC
WMA
SD-Audio
AAC
SD-Audio
×
シンプル
メニュー
拡大もじ ×
ワンタッチ
文字サイズ
切替

(メール)
×
音声
サポート
ハイパー
クリアボイス
しっかりトーク
ゆったりトーク
トリプルくっきりトーク
スロートーク
×
ボタン 大型キー
(シートキー)
独立ボタン 独立ボタン ドームキー
その他 歩数計機能
ワンタッチオープン
ワンプッシュオープン
モバイルWスピード
名刺リーダー
カメラルーペ
「My」ワンタッチキー
単位換算
デュアルクロック


 筆者自身も8月半ばにN706ieを購入して以来、メイン端末としての利用ではないものの、できるだけ外出時には持ち歩き、チャンスがあれば使うようにしたのだが、実はメイン端末に切り替えてもそれほど不満はないかもしれないと考えてしまうほど、完成度が高く、気に入ってしまった。ボタンひとつで端末が開き、見やすい文字でメールやコンテンツが表示され、ワンセグやおサイフケータイも使え、その日の歩数もカウントして、楽しませてくれる。不満がまったくないわけではないが、「必要にして、十分な機能とスペックを持ち、ユーザーを楽しませてくれる端末」というのが正直な感想だ。実機は購入しなかったが、おそらくP706ieやSH706ieも使い込めば、これに近い感想を得られたのではないかと推測している。それだけ、706ieシリーズの「必要な機能が揃っている」「見やすい」「聞きやすい」「使いやすい」というコンセプトは、成熟した日本のケータイの次なる一歩として、期待できるものなのではないだろうか。特に、聞きやすさを実現する音声通話サポート、使いやすさを実現するユーザーインターフェイスは、今後、開発メーカー各社の積極的な競争を期待したい点だ。

 コンセプトに注目し、今後に期待を寄せている706ieシリーズなのだが、残念ながら、NTTドコモでの扱いは906i/706iシリーズに含まれる4機種に過ぎず、同社のプロモーションなどを見ていても今ひとつ積極性を感じない。もしかしたら、こうした端末ラインアップが展開されることは、同社のドル箱である「らくらくホンシリーズ」を脅かすことを敬遠しているのではないかと邪推してしまいそうだ(笑)。しかし、auの「URBANO」をはじめ、既存の“ハイスペック至上主義”的な端末とは一線を画した端末は他社からも登場しており、今後、こうしたコンセプトの端末がどのように受け入れられていくのか(あるいは受け入れられないのか?)が注目される。

 NTTドコモは今年の秋冬向けのモデルから端末のネーミングルールを変更すると言われており、後継となる「707ieシリーズ」と呼ばれる製品はおそらく存在しないのだろうが、より幅広いユーザーのニーズを満たすコンセプトとして、706ieシリーズの路線が受け継がれていくことを期待したい。



URL
  N706ie 製品情報
  http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/706i/n706ie/
  P706ie 製品情報
  http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/706i/p706ie/
  SH706ie 製品情報
  http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/706i/sh706ie/
  L706ie 製品情報
  http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/706i/l706ie/

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(法林岳之)
2008/09/19 14:32

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