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「究極美」をコンセプトにしたau 2008年秋冬モデル
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるPRO BlackBerry サーバー構築」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。


 10月27日、KDDIはauの2008年秋冬モデルとして、新ラインアップ7機種と新色の追加モデル1機種、カード型データ通信端末1機種を発表した。ライフスタイルに合ったケータイの展開を目指すauだが、今回はLISMO Videoなどの映像サービスを存分に楽しむためのケータイとして、「究極美」をコンセプトに開発された高画質モデル3機種を中心に新ラインアップを展開している。発表会の詳細な内容は、すでにレポートが掲載されているので、そちらを参照していただくとして、ここでは筆者が発表会で試用した端末の印象や全体の捉え方について、紹介しよう。


左からW63H、W63CA、W64SH、W65T、W65K、W64S、W62P

LISMO Videoを本格的に楽しむためのスタートライン

au BOX
 auが端末の新プラットフォーム「KCP+(KDDI Common Platform Plus)」を採用した端末をはじめて発表してから約1年。今夏からはKCP+のプラットフォームを活かしたサービスとして、映像配信サービス「LISMO Video」を開始し、11月からはLISMO Videoを楽しむためのセットトップボックス「au BOX」のレンタルも開始される。

 auでは今回の秋冬商戦向けに、第一弾として先日のau BOX、第二弾が今回の7機種、そして近日中に第三弾の発表を行うことを明らかにしている。ケータイ業界では2006年秋のMNP商戦以降、機種数やサービスなどを増やし、やたらとボリューム感を演出する傾向が強かったが、auとしてはひとつずつのサービスや機種をていねいに伝え、着実にユーザーへの浸透を図りたいという考えのようだ。今回発表した機種は新発表の音声端末が7機種、発表済みのカラーバリエーションが1機種、データ通信用カード端末が1機種となっており、従来の十数機種の発表に比べると絶対数は少なくなっているが、全体的に見ると、3.1インチのVisualワイドVGA有機EL搭載モデル、3.5インチという最大クラスの液晶ディスプレイ搭載モデルに始まり、防水、グローバルパスポートGSM、フルチェンなど、必要な機能を搭載したモデルがバランス良くラインアップされている。形状で見てもスライド式は通常タイプとフルスライドが1機種ずつ、折りたたみデザインも通常タイプと二軸回転式が3機種ずつと揃っている。

 そんな今回の新ラインアップの中で、ひときわ目をひくのが発表会でも映像にこだわった高画質ケータイとして紹介された「Woooケータイ W63H」「EXILIMケータイ W63CA」「AQUOSケータイ W64SH」の3機種だ。この3機種は別名「映像三兄弟」のコードネームで開発が進められていたもので、大画面のフルワイドVGAディスプレイとともに、LISMO Videoを存分に楽しめる環境を提案している。個々の機種については、後ほど紹介するが、やはり、この3機種が主軸に据えられ、11月1日からau BOXのレンタルが開始されることを考えると、今回の発表は「LISMO Videoを本格的に楽しむためのスタートライン」という位置付けになると言えそうだ。


Karada Manager
 また、サービス面ではau Smart Sportsの拡充、モバイルデータ通信定額、Bluetooth通信ゲーム/カロリーカウンター連携ゲームの提供、じぶん銀行アプリのプリセット、「感性型」エージェントインターフェイスが発表された。

 まず、au Smart Sportsについては、新たに「Karada Manager」と呼ばれる健康管理をテーマにした新サービスが提供される。食事の管理と体重・体脂肪率の記録に基づき、必要な運動量が算出され、アドバイスが受けられるなど、統合的な健康管理を可能にする。記録できる食事の種類も6000種類以上と豊富で、レコーディングダイエットだけでもかなり実用度が高いサービスと言えそうだ。

 au Smart SportsのRun&Walkについては、チーム機能の追加やランニングサイトとの連携が強化ポイントだが、チーム機能は最大20名の仲間で情報共有やコミュニケーションができるもので、ケータイらしいサービスの発展と言えそうだ。既存の他社サービスと連携し、他のランニングサイトにRun&Walkのデータを反映できるようにした柔軟性も評価できる点だろう。


モバイルデータ通信定額
 モバイルデータ通信定額は端末をパソコンなどと組み合わせて利用したときのパケット通信料を定額で提供するというもので、W63H、W63CA、W64SHの3機種のみで利用できる。1万3650円というパケット通信料の上限は判断の難しいところだが、ダブル定額などに加入していれば、特に追加契約などをしなくても利用できるため、出張先や移動先で他のモバイルデータ通信が利用できないときなど、一時的な利用でも安心して使えるというメリットがある。ちなみに、対応機種がこの3機種のみに限られているのは、データ通信カードのW05KやW06Kに搭載されている通信トラフィックをコントロールするためのAPIが実装されているためで、今後、発表されるKCP+採用端末にも順次、展開していく見込みだ。トラフィックのコントロールと言われると、ネガティブに受け取ってしまいそうだが、説明員によれば、あくまでも他のユーザーに迷惑が掛かるほど、大容量のデータ通信が行われたときにのみ、コントロールするというもので、あらかじめ転送速度が制限されるようなものではないという。会社からケータイを与えられている法人ユーザーなどにとっては、有用なサービスと言えそうだ。


「感性型」エージェントインターフェイス
 提供は年明け以降になるが、「感性型」エージェントインターフェイスもなかなか面白そうなサービスだ。端末にキャラクターを設定することで、待受画面でのアクションや対話型コミュニケーション、端末の利用状況などを学習してのレコメンド機能などを実現するものだ。端末上で動作するキャラクターとしては、ごくシンプルなものとして、ソフトバンク向けの東芝製端末に搭載されている「くーまん」などが知られているが、こちらはBREWで機能を実装し、その上にスキンのような形でキャラクターを設定するため、多彩なキャラクターで楽しむことができる。キャラクターの性格付けに応じたコミュニケーションも可能にする方向で検討しているそうだ。ケータイに愛着や思い入れを持つという意味からも今後の展開が注目されるサービスのひとつだ。


「究極美」をコンセプトにした秋冬モデルをラインアップ

 さて、いつものように、ここでは発表会のタッチ&トライコーナーで試用したファーストインプレッションを紹介しよう。ただし、発表会で展示された端末は、いずれも最終的な製品ではないうえ、試用時間も限られていたことから、十分な情報がお伝えできないことはあらかじめ、お断りしておく。各機種の詳しい情報については、ぜひ本誌のレポート記事も合わせて、ご参照いただきたい。


Woooケータイ W63H(日立製作所)

 昨年、高い人気を得た「Woooケータイ W53H」の後継モデル。世界初となる3.1インチVisualワイドVGA有機ELディスプレイを搭載した端末だ。この有機ELディスプレイは先般のCEATEC JAPAN 2008で参考出品されていたもので、いち早くW63HとW63CAに搭載された格好だ。ちなみに、「Visual WVGA」と表記についてだが、240×800ドットに4色の発光素子を組み込むことで、480×800ドット表示を実現するというものだという。ただ、実際のディスプレイの発色や視野角は良好で、特にLISMO Videoの再生は非常にきれいだ。二軸回転式のボディは直線的なカッティングエッジデザインが特徴的で、スリムにまとめられている。角の立ったボディが少し手に痛い感があるが、しっかりと凸感を出したボタンは押しやすい。ディスプレイを反転し、カメラを利用するときは、サイドキーがシャッターの役割を果たすが、ほぼ同じレイアウトのW63CAに比べ、サイドキーが小さく、シャッターの半押し、押し切りが少し固い印象だった。


EXILIMケータイ W63CA(カシオ計算機)

 W53Hと並び、昨年後半、常に高い人気を記録し続けたEXILIMケータイ W53CAの後継モデル。基本的なレイアウトやスペックは双子モデルのW63Hに準じているが、カメラは国内初となる8.1メガピクセルカメラを搭載する。従来モデルで好評を得た広角28mm相当のレンズも継承されているが、今回は8.1メガピクセルで撮影した画像をそのまま送信できるように、最大2MBまでのメール送受信に対応する。この部分は他のW63HやW64SHなども共通仕様となっている。ボディは二軸回転式で、デザインコンセプトも従来同様、デジタルカメラ「EXILIM」シリーズの顔を受け継いでいるが、今回はカメラ部側(ボタン部背面)にEXILIMのロゴが入り、おサイフケータイはトップパネル側に内蔵される構造に変更されている。有機ELディスプレイはW63Hと共通で、LISMO Videoのコンテンツも美しく再生できるが、カメラのファインダーとして利用した場合の色のマッチングはかなり開発にも手間が掛かったという。テンキーは少し段差を付けた構造で、ちょうどW53CAとW61CAの中間くらいの凸感と言えそうだ。


AQUOSケータイ W64SH(シャープ)

 おなじみのサイクロイド機構ではなく、フルスライド式を採用した初のAQUOSケータイ。W63HとW63CAの有機ELディスプレイに対し、W64SHは国内最大クラスの3.5インチのフルワイドVGA液晶を搭載。au向けシャープ製端末ではすでにW62SHでVGAクラスのディスプレイが搭載されているが、W64SHのNewモバイルASV液晶はサイズも異なるため、バックライトがもう一灯増えるなど、まったく仕様が異なるパネルが採用されている。表示もVGAクラスに適したアウトラインフォントが採用され、メール画面なども非常に視認性が良い。ワンセグはURBANOのときと同じように、モーションセンサーで本体を傾けると、横表示に切り替えるなどの機能に加え、表示も肌色の再現性にこだわるなど、AQUOSケータイの名に相応しいチューニングが施されている。

 ディスプレイ横には光学式ポインティングデバイスの光TOUCH CRUISERを搭載する。デバイスとしては他事業者向けシャープ製端末に採用されているものと同じものが採用されているが、操作感はau端末向けにチューニングされており、レスポンスは三段階に設定できる。筆者は他事業者向け端末で慣れているため、あまり違和感なく、操作できたが、最初は少し遅めに設定した方が操作しやすいかもしれない。ちなみに、いわゆる「戻る」操作をするためのクリアキーは、光TOUCH CRUISERの脇に小さく黒いボタンが装備されている。3.5インチという大きなディスプレイを採用したこともあり、狭額縁を採用しながらもボディ幅は53mmとなっているが、背面側の角が少し丸みを帯びていることもあり、意外に早く大きさには慣れてしまった。女性には少し気になるサイズかもしれないが、LISMO Videoを全画面で見られるなどのメリットもあり、フルスライド式の大画面を活かせる楽しみ方ができる端末と言えそうだ。


W65T(東芝)

 au向け東芝製端末としては、W54T以来、約一年ぶりの登場となるスライド端末だ。W64SHがフルスライド式を採用しているのに対し、W65Tは方向キーなどの機能キーをディスプレイ面に備えた一般的なスライド式を採用する。方向キー部分はNTTドコモの三菱電機製端末でおなじみだった「スピードセレクター」を彷彿とさせる「スピーディーコントローラー」を採用する。上下左右の方向操作とリング部分を回転させる操作ができる構造だが、リング部分はうまくボディに埋め込まれ、周囲のキーは静電容量式のタッチセンサーを採用しているため、ディスプレイ面はかなりスッキリとフラットに仕上げられている。スライド式端末では必ず気になる段差もディスプレイ面の末端部分に少し角度を付けることで、操作しやすくしている。東芝製スライド式端末と言えば、早くからVGAクラスのディスプレイを搭載してきたが、今回は2.8インチのワイドQVGA有機ELディスプレイを採用する。前述の3機種同様、KCP+採用端末で、Bluetoothや最大2MBのメール送受信に対応するが、グローバルパスポートCDMAには対応していない。その代わりというわけではないが、W64SHと並び、今回のラインアップ内では数少ないモーションセンサー対応端末となっており、歩数計などの機能が利用できる。


W65K(京セラ)

 京セラとしては初の防水ケータイだ。レイアウトは一般的な折りたたみ式を採用しているが、トップパネル側はボディカラーごとに特徴的なテクスチャで仕上げられている。クレールホワイトはもっともシンプルな仕上がりだが、フルールピンクはトップパネルに植物柄のレリーフが刻まれている。もっとも印象的なのはリュクスシルバーで、竹細工のような編み込み状の形を再現しているのだが、どちらかと言えば、柄が付けられているというより、トップパネルに編み込み状の立体的なテクスチャが『装備』されている印象に近い。しかし、決して、邪魔になるようなものではなく、触感的にも非常にユニークで個性的な端末と言えそうだ。ちなみに、端末を開いたところのカラーリングやキーレイアウトもボディカラーごとに異なっており、かなり個性の楽しめる端末に仕上がった印象だ。

 ただ、ボタンは防水の関係もあり、少しフラットな印象だ。防水に関してはIPX5/7に対応しており、背面の電池カバー末端にロック機構が装備される。もうひとつの注目点は、今回発表されたラインアップの中で、唯一、microSDHCに対応しているという点だろう。発表会の質疑応答でも触れられたが、KCP+採用端末が最大2GBのmicroSDカードに対応しているのに対し、W65Kは最大4GBのmicroSDHCに対応する。ただ、W65KはクアルコムのベースバンドチップセットがMSM6550で従来プラットフォームを採用しているため、microSDHCカードの使い道はカメラで撮影した画像の保存先、LISMOによる楽曲、ミュージックビデオクリップ、ワンセグの録画などに限られる。しかし、それでも大容量のメモリカードが利用できるのは、ユーザーにとって便利だろう。


W64S(ソニー・エリクソン)

 今年の春モデルとして登場したグローバルパスポートGSM対応「W62S」の後継モデル。基本的な仕様はW62Sを継承しているが、レイアウトは二軸回転式になり、トップパネルのデザインなども一新され、ワンセグも搭載された。デザイン面で特徴的なのは、トップパネルの処理だろう。スノーホワイトはほぼフラットだが、ダイヤモンドカットのようなパネルのダイヤモンドピンク、ブルーの格子柄をあしらったラティスブラック、ドット柄のミストブルーと、W65Kに負けず劣らずの個性的なデザインに仕上げられている。これに加え、トップパネル内にはイルミネーションが各カラーごとに個別デザインで埋め込まれている。カラーバリエーションもここまでくれば、かなり差別化ができた印象だ。ボタンもW62Sに比べ、フラットでサイズも大きくなり、押しやすくなっている。ただ、二軸回転式の機構はやや軸がソフトで、本体の開閉時に少し動いてしまうケースがあったのは気になった。製品版では改善されていることを期待したい。


W62P(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)

 今年の春モデルとして登場したW61Pをベースに、トップパネルのデザインなどを変更したモデルだ。ソフトウェアを含め、スペックはほぼ同じだが、トップパネルのデザインが変更され、少しカジュアルな印象もあった従来モデルに対し、W62Pはシックなイメージと華やかなイメージを持ち合わせたオトナ向きのデザインに仕上がっている。W61Pの特徴のひとつだった文字部分を浮き彫りのように仕上げたレリーフキーは今回も継承されているが、文字サイズがひと回り大きくなったうえ、方向キー周囲の[EZ]キーなどは通常デザインのボタンに変更されたため、全体的にボタンの操作性は向上している。今回発表された7機種の中で、もっとも薄い端末となっている。


フルチェンケータイ re(ソニー・エリクソン)

 新機種というわけではないが、今年の夏モデルとして登場したフルチェンケータイ reに、新たにコラボレーションモデルが追加された。オリジナル家具などを手掛ける「IDEEケータイ」、12月に開催される「FIFAクラブワールドカップ公式ケータイ」、日本では2009年1月に公開予定の007シリーズ最新作「007ケータイ 慰めの報酬(007 QUANTUM OF SOLACE)」、生誕25周年を迎えた「北斗の拳ケータイ」の4種類が順次、展開される。個人的な好みから言えば、やはり、007ケータイということになるのだが(笑)、一般的に海外コンテンツは権利関係が難しく、どこまでオリジナルの作品のイメージやデータを取り込めるかが気になるところだ。説明員によれば、発売へ向けて、今後も交渉を続け、できるだけ、いろいろなコンテンツを反映できるようにしたいとのことだ。まったくの余談だが、映画「007 QUANTUM OF SOLACE」関連ではソニー・エリクソンの海外向け端末「C902 Cyber-shot phone」が登場し、記念モデルも欧米を中心に販売される予定だ。


LISMO Videoを軸に“ライフスタイル”路線を追求

 今年の春モデルや夏モデルに比べ、新機種が7モデルと抑えられ、端末のバリエーションがあまり豊富ではないように見えてしまいそうなauの2008年秋冬モデル。しかし、冒頭でも触れたように、KDDIはMNP以降の異常とも言えるモデル数の増加を一段落させ、本当にユーザーが必要とするモデルを絞り込んで展開してきたというのが今回の率直な印象だ。

 約一年前に登場した新プラットフォーム「KCP+」の騒動もようやく落ち着きを見せ、全体的に端末を操作するときのレスポンスも良くなり、使い勝手も改善されている。たとえば、すでにKCP+採用端末を利用しているユーザーならお分かりだろうが、待受画面に戻ったつもりなのに、カーソルがショートカットメニューのアイコンをフォーカスしたままといった事象が起きるが、今回試用した秋冬モデルではそういった事象に出くわすことはなかった(試用した範囲に限られるが)。また、夏モデルの発表会レポートでは、カシオ計算機製端末など、一部のメーカーの端末に搭載されている日本語入力のルールが各社の従来プラットフォームと異なるという問題を指摘したが、これも今回の秋冬モデルでは各社ともほぼ従来通りの仕様に修正されている。グローバルパスポートCDMAも夏モデルでは1機種のみだったが、今回は7機種中4機種が対応している。

 モバイルデータ通信定額対応端末の拡大など、おそらく、今後もKCP+採用端末は進化を続けていくのだろうが、ベースとなる部分は今回の秋冬モデルがひとつの到達点であり、次のステップへ進むためのスタート地点に位置付けられるようだ。過去の発表会レポートでも触れてきたように、KDDIはスペックを追求したモデルばかりを展開するのではなく、ユーザーのライフスタイルに合ったケータイを提供することを謳っている。今回はそのライフスタイル路線を継承しながら、今後の主要サービスのひとつとして、LISMO Videoを展開することを明確に打ち出してきたという印象だ。それを牽引するのが「映像三兄弟」と呼ばれるW63H、W63CA、W64SHの3機種であり、後押しするのが11月からレンタルが開始されるau BOXだ。主力に位置付けられる3機種は、おそらく店頭でもかなり人気を呼ぶことが期待されるし、au BOXもレンタル料が安いため、意外に広いユーザー層に受け入れられるかもしれない。もちろん、その他の端末も3機種に負けない個性と魅力を持ち合わせており、それぞれがターゲットとするユーザーには確実にフィットするケータイと言えそうだ。

 今回、発表された各機種は、11月から順次、販売が開始される予定だ。新販売制度開始から一年が経過し、従来よりも慎重に端末を選ぶことが求められるようになってきたが、本誌の発表会レポートや今後、掲載予定のインタビュー記事、レビュー記事などを参考に、自分の“ライフスタイル”に合ったケータイを選んで欲しい。


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(法林岳之)
2008/10/28 12:50

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