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パナソニックの折りたたみケータイ「P209iS」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


Pシリーズに折りたたみモデルが登場

 折りたたみ式ケータイと言えば、NECやモトローラなどの端末がおなじみだが、NTTドコモのiモードにパナソニック製折りたたみ式ケータイ「P209iS」が登場した。パナソニックは機能だけでなく、デザインやカラーリングにも優れた製品を数多くリリースしているが、P209iSは「折りたたみ式」「カラー液晶」という2つの新機軸を打ち出した製品だ。筆者も機種変更で入手したので、早速、レポートをお送りしよう。


Pシリーズ巻き返しの秘策

NTTドコモ『デジタル・ムーバ P209iS HYPER』。サイズ:47(W)×92(H)×25(D)mm(折りたたみ時)、84g。ブラックパール(写真)、シェルピンクの2色をラインアップ。

 NTTドコモの携帯電話のラインアップの中で、常に松下通信工業製のPシリーズが特別な捉え方をされ、売り上げ的にも常に他社製端末をリードしてきたことは、P209iのレビューのときに紹介した。

 しかし、iモード登場以降、Pシリーズは他社製端末の追い上げによって、絶対的なアドバンテージを失いつつある。たとえば、FシリーズやDシリーズのカラー液晶採用などもその要因の1つだが、それ以上に大きいのがNEC製Nシリーズの折りたたみ式ケータイの存在だ。

 以前、本誌の対談に登場してくれた篠崎ゆきちゃんがNシリーズの折りたたみ式について、「この『パカッ』という動作がいいのヨ」という名言を残してくれたが、Nシリーズの折りたたみ式はとにかく女性にウケがいい。

 また、筆者の独断でしかないが、携帯電話の市場は主に20代後半から30代前半の女性によって牽引されていると分析している。これは端末だけでなく、サービスや周辺製品も含めて同じ傾向が見られるようだ。Nシリーズの折りたたみケータイは、この市場を牽引する層で最も人気が高い端末であり、現在のPシリーズはその層に対して、必ずしも十分なアピールができていない。

 今回登場したP209iSは、こうした市場の流れを受けた「Pシリーズ巻き返しの秘策」の1つとも言える製品だ。Pシリーズ初の折りたたみボディを採用し、液晶もカラー化を図るなど、他製品を強く意識したスペックとなっている。発表前からいろいろと噂が飛び交い、発表後もショップなどにかなりの予約が入ったようで、原稿執筆時点でも品切れとなっているショップが多いようだ。


手のひらサイズのコンパクトボディ

 細かいスペックなどについては、松下通信工業の製品情報や「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは実機を見た印象を中心に紹介しよう。

 まず、P209iSを実際に手に取った印象だが、とにかく小さいことに驚かされる。N502iとの比較写真を見てもらえればわかるが、ひと回り近くコンパクトで「手のひらサイズ」にまとめられている。209iシリーズということで見れば、N209iとほぼ同等のサイズということになる。デザイン的にもN502iが角張った印象であるのに対し、P209iSは丸味を帯びた貝殻のようなデザインとなっている。これならば、女性にもウケが良さそうだ。


折りたたみボディを閉じた状態。曲線的なボディデザインは独特の雰囲気を持つ。

N502iとの比較。502iシリーズと209iシリーズの違いもあり、サイズはひと回り異なる。


プライベートウインドウには電波状態や日時、メールのアイコンなどが表示される。

 ボディを閉じた上面には、プライベートウインドウと呼ばれる小さな液晶ディスプレイを備える。プライベートウインドウにはボディを閉じた状態のときに、着信時の相手の電話番号や日時、電波状態などが表示される。ボディを閉じた状態でもこうした情報が見られるのは非常に便利だ。ちなみに、プライベートウインドウの液晶ディスプレイはモノクロだが、バックライトを備えており、隣りにある[MEMO]ボタンを押すと、バックライトが点灯する仕組みだ。アンテナは折りたたみボディの蝶つがいの部分に内蔵されており、伸ばした状態でもボディを開閉することができる。

 ボディを開くと、片面にカラー液晶ディスプレイ、もう片面にボタン類が並んでいる。ボタンはボディとイメージを統一したのか、楕円形のものを採用している。大きさはP209iやP502iよりも大きく、操作時には点灯する仕組みになっている。中央にはP209iにも採用されているコマンドナビゲーションボタンが備えられている。P209iSにはブラックパールとシェルピンクの2色がラインアップされているが、シェルピンクの方はこのコマンドナビゲーションボタンもピンク色となっている。形状はP209iのものと異なり、わずかに横長の楕円形だ。その影響なのか、奥に押し込む動作が今ひとつ使いにくく、間違った方向にボタンを押してしまうことも多い。コマンドナビゲーションボタンの左右には、P209iやP502i同様、場面によって機能が変わるソフトキーが配されている。


ボディを開いた状態。曲線を活かしたデザインは秀逸。今までのケータイにない雰囲気だ。

ボタン配列は基本的にP209iと共通だが、形状や大きさは新デザイン。なかなか使いやすい。


基本構成はP209iに同じ

 カラー液晶ディスプレイは256色表示が可能なものを採用している。実測値では26×31mmとなっており、F209iよりも大きく、D502iよりも小さい。色味は全体的に青みが残る感じだが、発色は良好でコンテンツなどを見ている限り、あまり違和感はない。メニュー構成はアイコンなどがカラー化されたのみで、基本的にP209iと変わりない。ゲームもP209iと同じ「Mogular」が用意されているが、一応、カラー表示になっている。


標準で用意されているスクリーン(壁紙)。やや青みがかった印象も残るが、発色は良好。

P209iと同じメニュー構成だが、アイコンなどはカラー化されている。


 その他の機能についてだが、パケット通信のDoPa対応、3和音着信メロディ、メールや着信メロディの保存件数など、ほとんどの機能がもP209iとまったく同じ構成になっている。ちなみに、P209iやP209iSのメニュー構成は、P501i/P502iの発展形なので、これらを利用していたユーザーはすんなり移行できるはずだ。また、Pシリーズにオプションで提供されているiボードについても問題なく利用できている。

 機種変更に際し、市販の電話帳編集ソフトでメモリダイヤルの移し替えも試してみた。筆者の手元にある範囲では「ケータイリンクIII」(ビレッジセンター)がP209iSに対応したVer.3.35をリリースしており、「携快電話3」(ソースネクスト)については機種をP209iとすることで、ともにメールアドレスを含めたメモリダイヤルの移し替えができた。NTTドコモ純正のものは「データリンクソフト for NTTドコモ P004」が発売となっている。


折りたたみとカラー液晶の威力は?

折りたたみ式ながら、スタンド式の充電台を用意。このままの状態でボディを開くこともできる。

 Pシリーズの復権を狙い、折りたたみ式ボディにカラー液晶を組み合わせるという強力なアドバンテージを打ち出したP209iS。商品としての魅力はかなり高いと言えるが、「買い」と言えるのだろうか。

 まず、既存のPシリーズを愛用してきたファンに対してだが、ほぼ「買い」と見て間違いないだろう。シェル型のコンパクトなボディやプライベートウインドウなど、Pシリーズらしい独特の個性が発揮されており、折りたたみ式の完成度も高い。Nシリーズを持つ友だちに「キミのは随分と大きな折りたたみだね」などと自慢することもできそうだ(笑)。

 次に、他のモノクロ液晶を搭載したiモード端末を持つユーザーだが、これは急遽「待ち」としたい。なぜなら、昨日、PシリーズのライバルであるNシリーズにカラー液晶を搭載した「N502it」が登場したからだ。ぜひ店頭で両モデルを見比べた上で、判断していただきたい。

 これからiモード端末を狙う新規ユーザーに対しても同様だが、コンパクトなシェル型ボディとプライベートウインドウは他の携帯電話にない魅力なので、この点を評価できるかどうかが選択のポイントになる。

 全体的に見て、P209iSは完成度の高い製品だが、正直に言ってしまうと不満点も残されている。たとえば、Pシリーズでは特徴的なボディカラーを採用するモデルが多いが、今回のP209iSはあまり斬新さがなく、女性を強く意識したと思われるシェルピンクのモデルもそれほど自己主張が感じられない。P209iのビンテージレッドやP502iのプレシャスブルーのようなマット系(つや消し系)のボディカラーも検討して欲しかったところだ。

 また、液晶ディスプレイがあまり大きくないこと、着信メロディが3和音までとなっていることなど、他の最新機種に比べ、機能的にインパクトに欠ける面もある。特に、カラー液晶を採用したわりに、メニュー構成などがP209iのままというのは、やや判断に苦しむところだ。せっかくカラー液晶を採用するのだから、先週紹介したauのC309Hのように、もっとカラー液晶を活かしたメニュー構成や機能を追加して欲しかった。

 P209iのレビューで「機能面を含め、もうひとつ何かを欲しいと感じてしまう」と書いたが、P209iSは折りたたみ式ボディとカラー液晶によって、その「足りない何か」に応えようとした端末と言えそうだ。しかし、機能やメニュー構成などがP209iと変わらないなどのマイナス要因もあり、結果的にまたしても「何か足りない」と感じてしまう。ユーザーのわがままなのかもしれないが、予想を超えるモノを打ち出して欲しいと感じるのはおそらく筆者だけではないだろう。



URL
  P209iSニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/00/whatnew0808.html
  P209iS商品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/i/lineup/p209is/p209is.html
  P209i商品情報(松下通信工業)
  http://www.mci.panasonic.co.jp/topics/P209iS/index.html


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(法林岳之)
2000/08/29 00:00

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