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夏の旅行にGPSはいかが?
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


充実してきたハンディGPSレシーバー

 次世代携帯電話に対する期待で、最も高いのがカーナビならぬ「人間ナビ」だ。その人間ナビを実現する上で、カギを握ると言われているのがGPSだ。GPSと言えば、カーナビでおなじみだが、最近は持ち歩きを前提としたハンディGPSレシーバーも充実してきている。今回はいつもと少し趣を変えて、GPSにスポットを当ててみよう。


GPSってなに?

GPSレシーバー

 毎週のように新製品や新サービスが登場するケータイの業界。この連載ではそんな携帯電話・PHSの新製品をいち早く取り上げ、レビュー形式で紹介してきたが、今回はちょっと趣向を変えて、少し「お遊びな気分」でレポートをお送りしたい。いつもと調子が違う点はご理解のほどを……。

 さて、今回のお話はGPS……なんだけど、とにかく相も変わらずボクは忙しい。毎日のように訪れる原稿の締切、深夜までの打ち合わせに追われ、最近じゃ都内から出る日もほとんどない。週末もなければ、日曜祝祭日もあったもんじゃない。そんな身動きすら取れない反動なのか、最近、「GPS(Global Positioning System)」にハマっている。

 GPSは24個の衛星からの信号を受け、地球上で自分のおおよその位置を知ることができるシステム。元はと言えば、アメリカが軍事目的に開発したものなんだけど、民間で活用することも発表時に約束されてて、カーナビゲーションシステムにも活用されているのは読者のみなさんもご存じの通り。昨年、この連載でパイオニアの「カロッツェリア DVDサイバーナビ」を紹介したけど、ボクは今年5月に発売された後継モデル「カロッツェリア HDDサイバーナビ」に買い換え、毎日のように活用している。都内の知ったエリア(たとえば、インプレスに行くとか)に移動するときは単に軌跡を記録してるだけとも言えるんだけど、知らないエリアや場所に行くときは住所さえわかれば、道案内をしてくれるし、駐車場などの周辺施設も探してくれるので、とにかく便利。

 ところが、最近、ケータイ Watchのニュースでも取り上げられているように、ハンディサイズのGPSレシーバーが各社から発売されている。カーナビの面白さを知る人間にとって、「こいつは人間ナビもそう遠くないな」なんて感じで捉えてたんだけど、ある調査で「これからの携帯電話に期待するサービスは人間ナビ」なんて話が出てたので、実際に製品を買って遊んでみようと考えた次第である。


まずは手始めにソニーのハンディGPS

PCQA-GPS3

 ソニー「バイオハンディGPS『PCQA-GPS3』」。オープン価格、サイズ:44(W)×70(H)×14(D)mm、約40g(電池を含まず)。メモリー:256KB(毎秒記録で3.5時間分)、アルカリ単3乾電池2本使用で、12時間の連続駆動が可能。同等品を含む他パッケージあり。
 各社からいろいろなスタイルのハンディGPSレシーバーが発売されているけど、まず最初に注目したのはソニーのVAIOのオプションとして提供されているハンディGPS「PCQA-GPS3」だ。VAIOのオプションとしては、PCG-C2GPSが登場したのが起源で、その後は「Navin’You」という地図ソフトとのパッケージ商品にも含まれたんだけど、このPCQA-GPS3は一連の商品の後継ということになる。ちなみに、ソニーはその昔、IPSシリーズというGPSの名機を販売していたことでも知られている(ボクは使ったことないけどね)。

 PCQA-GPS3の特長は、何と言っても小さいこと。標準的なサイズのマウスと比べ、半分程度の大きさしかない。前面には液晶パネルが備えられ、周囲に3つのボタン、底面にPCと接続するためのミニUSBポートが並ぶ。電源は単3乾電池を2本利用し、背面に内蔵する構造になっており、背面にはクリップもついているため、デイパックの肩ベルトに装着するなんていう使い方もできる。PCQA-GPS3のパッケージには本体、USBケーブル、ゼンリン地図CD-ROM「Navin’You専用マップ日本全域版」、「GTREX2」などが含まれており、買った状態ですぐにGPSで遊ぶことが可能だ。


PCQA-GPS3のスイッチ

 周囲にボタン類、背面にはクリップを備える。トップの「UNLOCK/LOCK」は電池ボックス部分を固定するためのスイッチ。
 PCQA-GPS3でどんなことができるかというと、GPSからの情報を受信して、緯度、経度、時刻を液晶ディスプレイ上で確認できる。表示される情報も文字が中心なので、非常にシンプル。気に入った場所をその場で登録したり、移動の軌跡を記録し、これらのログをPCに転送して確認することも可能だ。

 しかし、ハンディGPSレシーバーとして考えた場合、こんなことはできて当たり前。PCQA-GPS3がソニーらしいのは、やはり、PCとの連携だ。たとえば、PCQA-GPS3をPCと接続し、いわゆる「パソコンカーナビ」的なことができる。VAIO C1シリーズや505シリーズ、SRシリーズあたりのミニ/サブノートなら、場所も取らないので快適に利用できるというわけだ。

 このパソコンカーナビでの活用を考慮し、PCQA-GPS3とPCを接続するUSBケーブルは、45cmと2.5mの2本が同梱されている。また、トラベルクリエーターアルバム「GTREX2.0」と連携させることにより、登録した位置情報とデジタルカメラで撮影した画像を組み合わせた旅行アルバムなんてのも作れるそうだ。都内から出る機会すらない今のボクにとっては、「ヒマになったら、いつか使ってみたいかも……」というレベルでしかないけど、ユーザーとしては興味をそそられる点だよね。


PCQA-GPS3の画面

 PCQA-GPS3の画面はいたってシンプル。緯度経度くらいしか表示されない。
 実際に、PCQA-GPS3を持って移動してみたところ、意外に気になるのが衛星を捕捉するまでの時間。ボディが小さいためなのか、今ひとつ感度が良くなく、かなりロケーションのいい場所でも衛星捕捉までに1分程度は確実に掛かる。少しでも建物が周りにあろうものなら、いきなり衛星の捕捉が難しくなり、場所を知るのに5分以上かかってしまうことも珍しくない。最初はじっくり待つ気にもなるんだけど、そのうち、「あー、捕捉できねぇ。やめたぁ~」なんてことになってしまう。

 ただ、ボディの小ささと保存した情報を活用するという部分に関しては非常にインテグレートされており、あとで紹介する他のGPSレシーバーより確実に勝っている。今後が楽しみな製品と言えそうだ。ちなみに、PCQA-GPS3は「VAIOハンディGPS」のパッケージだけでなく、「Navin’You」にハンディGPSを同梱したパッケージも用意されている。


やっぱ、ご本家GARMIN

 ソニーのハンディGPSレシーバーは、VAIOというPCを前提に作られてるんだけど、海外にはハンディGPSレシーバーとして確固たる地位を築いている製品がある。ハンディGPSレシーバーの代名詞的な存在でもある「GARMIN(ガーミン)」だ。国内でもアウトドアショップなどで扱われているので、見たことがある人も多いんじゃないかな。

 このGARMINのハンディGPSレシーバーで、最もよく知られているのが「eTrex」というシリーズだ。細かい機能の違いにより、数機種がラインアップされてるけど、エントリー向けの「eTrex」はちょっと派手な黄色いボディで、値段も実売で2万円程度と安いのがポイント。GARMIN社はアメリカの会社なので、当然、表示されるメニューや文字はみーんな英語。と言ってもやさしい単語ばかりなので、意味が理解できないというレベルじゃない。

 ところが、このeTrexを日本語化した「ポケナビmini」という商品がエンペックス気象計から販売されている。そこで、物は試しとばかりに買ってみたんだけど、これがいろいろと細かい点で悩ましいのだ。


ポケナビmini ポケナビminiのインターフェイス
 エンペックス気象計 / GARMIN「ポケナビmini」。2万9800円、サイズ:52(W)×129(H)×29(D)mm、約150g(電池を含む)。アルカリ単3乾電池2本使用で、22時間の連続駆動が可能。日本語マニュアル付き。  背面上部の黒いカバーを外すと、外部機器と接続するインターフェイスが見える。PCとの接続ケーブルもここにつなぐ。接続ケーブルはオプション。

 まず、ボディは折りたたみデザインのケータイとほぼ同じか、少し縦に長い程度の大きさ。前面に大きな液晶ディスプレイ、周囲にボタン類が並ぶ。電源は背面に単3乾電池2本を装備でき、カタログスペック上は22時間もの連続稼働が可能。実際に使ってみた感じでもかなり長時間使える印象だ。とはいえ、単3乾電池を何本も使いまくるのは、環境によろしくないので、ヘビーに使うんなら、デジタルカメラでも使ってるニッケル水素電池の方がベターかもしれない(動作保証はされてないみたいだけど)。


ポケナビminiの画面

 ポケナビminiはGARMINのeTrexを日本語化したモデル。ただし、カナ表示なので、今ひとつ味気ない。最下段の「キヨウド(強度)」のゲージがフルに振れると、衛星捕捉に成功したことを意味する。
 背面には外部の機器と接続するためのインターフェイスも備えられており、記録したルートや場所などの情報をPCに転送したり、PCとつなぎっぱなしにして、市販地図ソフトと組み合わせて、パソコンカーナビ的な使い方もできる。ただ、この接続ケーブル(オプション)のPC側のインターフェイスがRS-232C(シリアル)ポートになっているため、USBなどと接続したいときは「USB-シリアル変換ケーブル」が必要になる。

 感度の方はPCQA-GPS3と比べると、かなり良好で、衛星の捕捉も速い。多少、周りにビルがあるような環境でも捕捉できるケースが多いのもうれしいところ。当然、通ってきたルートやお気に入りの地点も登録できる。ただ、これらのデータをPCに読む込むためのツールが今ひとつ整っていないのだ。

 エンペックス気象計のホームページでは、同社の他製品の読み出しツールは公開されてるんだけど、ポケナビmini用は今のところ、リリースされていない。一方、国内のGPS用オンラインソフトもその多くが「日本語版eTrexは非対応」「動くかどうかわかりません」という冷たい反応。いろいろなホームページを見ると、どうもポケナビminiがサポートされない理由は、エンペックス気象計がeTrexをローカライズするとき、英語版で記号などが割り当てられている文字コードに、日本語の半角カナを割り当ててしまったことに起因するらしい。


eTrex Vista

 GARMIN「eTrex Vista」。4万9800円(購入価格)、サイズ:サイズ:51(W)×112(H)×30(D)mm、150g(電池を含む)。筆者が購入した「IDA ON-LINE」では日本語マニュアルが付属。
 また、GARMINはeTrexをはじめ、自社製品のファームウェアをホームページ上で公開しているんだけど、日本語版についてはまったく記述がなく、国内のGPS関連のページを見ても「更新できるかどうかわかりません」なんて書かれている。つまり、ポケナビminiはGARMINの血統を受け継ぐ製品ではあるんだけど、ちょっと異端児と解釈されているわけだ。

 そんじゃ、真っ当なGARMIN eTrexを買いましょってんで、次に手を出したのが同じeTrexの最新モデル「eTrex Vista」という製品。こちらは液晶ディスプレイが高解像度になり、電子コンパスや気圧高度計を内蔵し、内蔵メモリも大容量化されているのが特長。

 基本的なデザインや仕様はeTrex同様なんだけど、ボディ前面に操作スティックを備え、操作性を向上させている。GPSアンテナなどの基本仕様は変わらないけど、液晶が高解像度化されたおかげで、衛星の受信画面が詳細になったり、地図も転送できるようになっているなど、上位モデルらしい仕上り。その分、値段もeTrexの3倍弱、ポケナビminiの2倍程度になるんだけど、満足感は高い。


eTrex Vistaの背面

 eTrex Vistaの背面。アルカリ単3乾電池2本使用で、12時間の連続駆動が可能。
 ちなみに、eTrex Vistaに転送できる地図はGARMIN純正の「MapSource」で、世界の主要国のものが販売されている。ただ、国産の地図ソフトのように詳細なものではなく、自分が「東京の調布あたりにいる」なんていうのがわかる程度なので、過度な期待は持たないこと。

 GARMINのハンディGPSレシーバーで記録したデータをPC上に転送するソフトにはいろいろな種類があるんだけど、よく知られているのが「WayPoint+」というツール。ソフトウェアそのものは英語版なんだけど、日本の方がサポートしているため、意外にいろいろな使い方ができる。たとえば、eTrexやポケナビminiからダウンロードしたデータをMPS形式で保存すれば、アルプスの地図ソフト「プロアトラス」に地点データや軌跡を表示できる。

 また、GPSレシーバーのデータ用というわけではないんだけど、「カシミール3D」というソフトもかなり有名。地図データを3次元的に描画でき、その上でGPSのログを再生できるため、パラグライダーなどでハンディGPSレシーバーを使い、今日のフライト(っていうのか?)の様子を帰宅してからPCで見るなんていう芸当もできるらしい。

 この他にも、GARMINのハンディGPSレシーバーを取り上げたホームページやオンラインソフトは数多くある。とてもすべては紹介しきれないけど、検索ページなどでいくつか見てみると、その奥の深さに驚くかも。


eTrex Vistaの画面 eTrex Vistaの衛星捕捉画面
 eTrex Vistaの画面は解像度が高く、視認性も良好。マップ画面はこの程度が最も派手。拡大しても主要道路などしか表示されない。  eTrex Vistaの衛星捕捉画面。衛星からの信号強度のリアルタイムに変化する。最初はこれを見てるだけでも面白いかも(笑)。

PDA用GPSレシーバーで人間ナビを目指す?

iTAX-GPSCF

 加賀電子「iTAX-GPSCF」。1万9800円、Windows 98/Me/2000及びWindows CE 3.0(Pocket PC/HandheldPC)対応。車載用アンテナ付属(3mケーブル)。
 ソニーのPCQA-GPS3やGARMINのeTrexシリーズが単体でGPSとして活用できるのに対し、PCやPDAに装着することを前提にしたGPSレシーバーもいくつか登場している。

 たとえば、つい先日、加賀電子から出荷が開始されたばかりの「iTAX-CFGPS」もそのひとつ。インターフェイスはCF Type2に準拠しているため、Pocket PCをはじめとするPDAにも装着できるのがポイント。PDA側に地図データを転送しておけば、リアルタイムで現在地を知ることができるため、最も人間ナビに近い環境とも言える。

 気になる感度はeTrexほどいいわけじゃないけど、環境によってはPCQA-GPS3よりもいいことがあり、なかなか期待できそうな感じ。ただ、動作にPDAやPCの電源を必要とするため、リアルタイムでログを取っていると、あっという間にPDAやPCのバッテリーを消費してしまう。つまり、使い方としては、あらかじめ行く場所の地図を転送しておき、必要に応じてPDAやPCを起動し、現在地を参照したり、地点を登録するのが確実かも。ただ、当然のことながら、地図データはそれなりにサイズが大きいんで、あまりたくさんPDAに転送してしまうと、本体のメモリを圧迫することもあるので要注意だ。


iPAQに装着

 iPAQに装着してみた。ちょっとゴツい印象は否めない。
 ちなみに、地図はDATAWESTの「G-NAVIX」が利用でき、パッケージにもこれが添付されている。ただし、付属のものはお試し版なので、より多くの地域の地図が欲しいときは、別途、パッケージを購入する必要がある。

 また、加賀電子では「ITAX-CFGPS」の他に、PalmV/Vxシリーズ用GPSアダプタ「iTAX-GPSPA」、Visor用GPSスプリングボードモジュール「iTAX-GPSVSR」なども販売しているので、これらのPDAを使っている人はこちらを試してみるといいかもしれません。


GPSって何が面白いの?

 最初にも説明したように、GPSは位置を知るためのシステムだ。GPSデバイスを持ち歩けば、衛星からの信号が届く範囲なら、自分の現在地をいつでも知ることができる。

 じゃあ、ハンディGPSレシーバーを持ち歩いて、何が面白いのか。まず、自分が移動した場所の位置を『記念として』記録するということが考えられる。写真を撮ったり、お土産を買うことも記念なんだけど、GPSで位置情報を記録するという記念があってもいいはず。都市圏ならたいして面白くないかもしれないけど、山や海、観光地のように、滅多に行けない場所なら記念になる。夏の旅行シーズンには格好のお遊びデジタルアイテムというわけ。もちろん、移動中の軌跡などを記録しておき、自宅に戻って、PCで軌跡データを再生するという遊びもあるよね。

 また、カーナビのように、GPSで得られた位置情報を基に、周りの情報を検索するという活用も考えられる。この場合、PCやPDAにインストールされた地図データが必須になるんだけど、携帯電話やPHSを組み合わせることができれば、地図サイトも活用できるため、もう少し応用範囲は広くなりそう。

 ちょっと変わった楽しみ方としては、自分の現在地を他人に知らせるのに使うのもある。たとえば、バイクでツーリングをしながら、あちこちを回るとしよう。ツーリング中にGPSで現在地を記録し、その緯度経度のデータをホームページなどにアップロードし、地図サイトにリンクさせて、現在地を表示するなんていう方法だ。実は、ボクの身近にこの活用法を実際にやった人がいるんだけど、見ている側も何となく「あー、今日はこの辺にいるのね」なんていうのがわかって、妙に面白かったりする。


 さらに、eTrexなどのハンディGPSレシーバーならではの活用法として、山などで進行方向や帰り道の方向を知るなんていうのもある。たとえば、有名な富士の樹海みたいなところに行くとしよう。スタート地点を記録しておけば、万が一の事態になってもおおよその方向はつかむことができる。あらかじめ、地点データをPCなどでハンディGPSレシーバーに転送しておけば、目的地の方向などもつかみやすい。

 「GPSで緯度経度がわかって何が面白いんだ?」なんてことを言う人もいるけど、実は大事なことは緯度経度ではなく、GPSによって得られたデータをどう使うかということ。その点においては、ソニーのPCQA-GPS3はアプリケーションも揃っていて、楽しむための方法論が確立されている。一方、GARMINのeTrexシリーズは性能的に上回っているものの、周辺環境が今ひとつ整っていないのが残念。国内の地図ソフトメーカーには、ぜひともeTrexに記録した地点データや軌跡を地図ソフト上に簡単に読み込んだり、活用できる機能を実現して欲しい。

 ただ、位置を知るということにおいて、GPSは必ずしも万能ではないことも覚えておきたい。たとえば、最近のカーナビでは自車位置を特定するのに、GPS信号を20~30%程度しか活用しておらず、本体に搭載されているジャイロによる自走航法が中心になっている。また、GPSは衛星の信号が届かなければ、無力なため、屋内や地下、トンネルの中では使うことができない。特に、ハンディGPSレシーバーの場合、機種によって感度に違いがあるため、どのあたりから無力になるのかもかなり変わってくる。

 そこで、GPSからの信号をPHSの位置情報サービスを組み合わせたり、cdmaOneで年内にもサービスが開始されるgpsOneのように携帯電話の位置情報機能を組み合わせるという方法が考えられている。GPS単独では限界があるけど、こうした携帯電話・PHSの位置情報サービスを組み合わせれば、コンテンツとの連携もしやすくなるから、さらに世界が広がる可能性がありそうだ。

 とまあ、長々と書いてしまったけど、とにかくGPSが着実に身近なものになりつつあり、いろいろな遊び方ができそうになってきたことは確か。この夏、お出かけの際にはハンディGPSレシーバーでちょっとGPSの世界をのぞいてみてはどうでしょ?

■参考書籍
・「パソコンGPSガイドブックII」@niftyパソコンGPSフォーラム編 CQ出版社
・「パソコンカーナビを始めよう!」清水隆夫著 インプレス


・ ハンディGPS「PCQA-GPS3」製品情報(ソニー)
  http://www.sony.co.jp/sd/products/Consumer/PCOM/PCQA-GPS3VG/
・ ハンディGPSレシーバー「ポケナビmini」製品情報(エンペックス気象計)
  http://www.empex.co.jp/sp_mini/mini/mini.html
・ ハンディGPSレシーバー「eTrex Vista」製品情報(GARMIN)
  http://www.garmin.com/products/etrexVista/
・ 「iTAX-CFGPS」製品情報(GARMIN)
  http://www.taxan.co.jp/itaxan/html/gpscf.html

第42回:gpsOneとは


(法林岳之)
2001/08/07 00:00

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