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クールな折りたたみケータイ「C415T」登場
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


ケータイの液晶は高品質の時代へ

 携帯電話の液晶ディスプレイは、完全にモノクロからカラーへ移行したが、高品質で明るい液晶が次なるトレンドになると言われている。液晶ディスプレイのカラー化で若干、遅れを取ったauのcdmaOneのラインアップだが、最大4096色表示が可能なポリシリコンTFT液晶を搭載した「C415T」が発売された。実機を購入することができたので、早速、レポートをお送りしよう。


cdmaOne初のポリシリコンTFT液晶を搭載

C415T

 au/東芝『C415T』。サイズ:46(W)×96(H)×23(D)mm(折りたたみ時)、96g。ピンク(写真)、シルバー、ブラックをラインアップ。
 今からわずか21カ月前のことになるが、J-フォンとNTTドコモが相次いで主力モデルにカラー液晶を搭載した端末を発売して以来、携帯電話の液晶ディスプレイはカラーが当たり前になり、今年に入ってからは256色を超える多色表示が可能な高品質液晶ディスプレイへとトレンドが移行しつつある。

 液晶ディスプレイのトレンドで見た場合、auは他の事業者に比べ、やや遅れを取った感は否めない。auのcdmaOneのラインアップではじめてカラー液晶を搭載したのは昨年8月に発売された日立製「C309H」が最初であり、現状でも256色表示が可能なモデルしかラインアップされていない。これに対し、他社はすでに主力モデルに256色を超える多色表示が可能なモデルをラインアップし始めており、ハイエンドのモデルは65536色表示が可能なTFTカラー液晶を採用している。おそらく年末にはこのスペックのモデルが中心になると予想される。

 そんな状況の中、auのcdmaOneのラインアップにも256色を超える多色表示が可能な東芝製端末「C415T」が登場した。液晶ディスプレイに4096色表示が可能なポリシリコン(p-Si)TFT液晶を採用し、従来のcdmaOne端末の中でも最も高品質な画面を実現わしている。

 ところで、東芝と言えば、過去のcdmaOne端末のラインアップにおいて、せっかく端末を開発しながら発売のタイミングを逸したことで、今ひとつ十分な人気を得られていないという印象がある。今回発売されたC415Tもauが7月にサービスを開始したJavaサービス「ezplus」に対応していないのが気になるところだが、6月末に開かれたezplusの発表会において、KDDIのau商品企画本部モバイルインターネットビジネス部部長の高橋誠氏は「今後発売されるcdmaOne端末のすべてがezplus対応というわけではない。お客さまのニーズに応じて、対応モデルをラインアップしていく」とコメントしている。つまり、当面はezplusに対応していないC40x/C41xシリーズ、ezplusに対応したC45xシリーズといった具合に、ラインアップを分岐させていく考えのようだ。この点から考えれば、今回のC415Tはezplusを必要としないユーザーのための主力モデルという位置付けになりそうだ。


東芝初の折りたたみ式デザインを採用

コネクター

 外部接続端子は液晶ディスプレイ側の側面に備える。コネクタ周りがもう少しスマートにまとまれば、こちらの方が使いやすいかも。
 製品の細かいスペックなどについては、auや東芝の製品情報ページ、後日掲載のケータイ新製品SHOW CASEを参考にしていただくとして、ここでは実際の端末を触った印象を中心に紹介しよう。

 まず、ボディは今年のトレンドである折りたたみ式デザインを採用している。おそらく東芝初の折りたたみ式デザインになるはずだが、auのC4xxシリーズには世代交代したものを含め、7機種もの折りたたみ式デザインの端末が登場したことになる。しかし、C415Tは他の折りたたみ式デザインのcdmaOne端末に比べ、デザインがなかなか個性的だ。ボディの形状は全体的に幅が狭く見えるスリムデザインで、底面側もやや尖ったような円形になっている。そのため、cdmaOne端末の底面に必ず備えられていた外部接続端子が液晶ディスプレイ側の側面に移動している。液晶ディスプレイの裏側には、通話時やメール着信時に点灯する「アクセスサイン」と呼ばれるLEDが装備されている。


液晶

 サイズはあまり大きくないが、明るさは文句なしにcdmaOne端末トップクラス。
 C415Tの最大のセールスポイントでもある液晶ディスプレイは、前述のように最大4096色表示が可能なポリシリコンTFT液晶パネルを採用している。ポリシリコン液晶は一般的なアモルファスシリコン液晶に比べ、ガラス面に駆動回路を組み込むことができるため、高精細かつ広視野角な画面を実現でき、薄型軽量化や低消費電力化も可能にするものだ。すでに、デジタルカメラの液晶モニタや一部のノートPCなどにも採用されている。解像度は96×128ドット、画面サイズは実測値で28×37.5mmとなっている。画面サイズはあまり大きくないが、確かに画面は非常に明るく視認性も良い。同じTFTカラー液晶で高い評価を得ているJ-フォンのJ-SH07と比べてもまったく遜色はない。もうひと回り画面サイズが大きければ、申し分なかったのだが……。

 ボタン類は中央に方向キーと決定ボタンを一体化したワープファンクションキーを備え、左に[メール/文字]キーと[EZ/NAVI]キー、右に[♪/マナー]キーと[メモ/クリア]キーを配している。各機能を呼び出すための[F]メニューは従来の東芝製端末同様、ワープファンクションキーの右方向に割り当てられている。若干、クセはあるが、左右キーでメニューの階層をたどることを覚えれば、あまり違和感はない。


ボタン

 ボタン類はストレートタイプのものを置き換えた印象。ワープファンクションキーは使いやすいが、[F]メニューは右方向からという東芝伝統の操作体系。
 ただ、[クリア]キーが多くの端末で[戻る]などに割り当てられているのに対し、C415Tは[メモ/クリア]キーになっているため、伝言メモが起動される。他機種から乗り換えるユーザーは若干、戸惑うかもしれない。特にデータフォルダなどを操作しているとき、[メモ/クリア]キーを押すと[削除]になってしまうため、何気なく使っている内にデータを消してしまうことがあるので注意が必要だ。

 また、[EZ/NAVI]キーはEZwebに接続するときに利用するが、画面上部に[NAVI]アイコンが表示されているときに押すと、その場面に応じた「ナビメニュー」が表示される。このナビメニューがC415Tを使いこなすポイントになりそうだ。


コンテンツが充実した「TOSHIBA User Club Site」

記号の入力

 記号は[リダイヤル/記号]キーで一覧が表示され、ワープファンクションキーの左右操作から選ぶ。やや操作が煩雑な印象。
 機能面については、前述のようにezplusに対応していないため、基本的な部分は他のC41x/C40xシリーズと同様だ。

 特徴的なものとしては、メールに添付されている画像を瞬時に自動表示にする「クイックフォト」、自作メロディを多彩にアレンジできる「サウンドミキサー」、写真や画像にフレームを付けてアレンジできる「フレームミキサー」などが挙げられる。

 着信メロディはこれと言って目新しいものはないのだが、「サザエさん」のBGMが2曲も収録されているのは、さすが東芝といったところか。サザエさん関連の着信メロディや効果音は後述する「TOSHIBA User Club Site」でも入手することが可能だ。個人的には、ぜひ「ひか~る、光る東芝~♪」(30代以上じゃないとわからない?)を着信メロディで再現してもらいたい(笑)。

 使い勝手の面ではメールの受信BOXの画面などで前述のナビメニューを呼び出すと、一覧画面の表示方法を1行表示と3行表示で切り替えたり、新しい順や差出人名称順などでソートできるというのが便利そうだ。ただし、送受信メールをフォルダで管理する機能は搭載されていない。ちなみに、データフォルダの容量は500KBと、C4xxシリーズのなかでは大容量の部類に入る。


TOSHIBA User Club Site

 「TOSHIBA User Club Site」には[EZ/NAVI]キーの長押しで接続が可能。着信メロディや待受画面、スクリーンセーバーなどがダウンロード可能。
 気になった点としては、記号類の入力がしにくいことが挙げられる。C415Tはメールなどの文字入力中、ワープファンクションキーの下にある[リダイヤル/記号]キーを押すと、記号を一覧から入力することができる。「.(ピリオド)」や「@(アットマーク)」はすぐに入力できるのだが、その他の記号類は[リダイヤル/記号]キーをくり返し押すか、ワープファンクションキーを左右に操作しなければならないため、入力がやや煩雑な印象を受けた。ちなみに、「.ne.jp」や「.com」などは定型文に登録されているので、簡単に入力することができる。また、[F]メニューで機能を設定するときなどの動作も気になる。たとえば、着信メロディの変更を選び、決定操作をすると、待受画面に戻ってしまうのだ。そんなに設定ばかりするわけではないが、決定操作後は直前のメニューに戻る仕様の方が使いやすい気がするのだが……。

 東芝では自社の携帯電話・PHSユーザーのために、「TOSHIBA User Club Site」というサイトを運営している。もちろん、EZweb対応ページも用意されており、C415Tでは[EZ/NAVI]キーの長押しで接続が可能だ。同サイトでは着信メロディや待受画面、スクリーンセーバー、情報コンテンツ(「EZ駅探」など)が提供されており、無料でダウンロードすることができる。内容もなかなか充実しており、C415Tを購入したユーザーなら、ぜひともチェックしておきたいサイトだ。ちなみに、地区が限定されているかもしれないが、同サイトではC415Tの購入ユーザーに対し、抽選で合計415名にチェアやテーブル、テーブルランプなどのファニチャーが当たる「Cool&Beutyプレゼントキャンペーン」を実施している。締切は2001年10月15日なので、こちらも忘れずにチェックしておこう。


派手さよりも堅実さやデザイン性を求めるユーザーに

背面

 堅実な機能構成とスマートなデザインでバランス良くまとめられている。ビジネスユーザーにも持ちやすい。
 さて、最後にいつものように、「買い」の診断をしてみよう。C415Tは「それは、魅せるケータイ」「全身、クール・ビューティC415T」というキャッチコピーが与えられていることからもわかるように、デザイン性と液晶ディスプレイに力を注いだ端末だ。最近のケータイは曲線を多用した柔らかいデザインが主流のようだが、C415Tは直線も織り交ぜながら、少し違ったテイストを醸し出している。ポリシリコン液晶の高精細表示もかなり魅力的だ。派手さはないものの、全体的にバランス良くまとめられた端末だ。筆者は購入時に「うーん。なんか今イチかも……」と考えていたのだが、くり返し使っていく内に「あ~、実は意外にいいかも……」と考えるようになった。あまり適切な表現ではないが、使い込んでくると納得のできる『スルメ』のような端末と言えるかもしれない。

 まず、C3xxシリーズをはじめとする従来のcdmaOne端末を持つユーザーだが、ezplusを必要としないのであれば、有力な購入候補として挙げられるだろう。デザインは若干、好き嫌いが分かれるかもしれないが、全体的なバランスの良さはC41x/C40xシリーズでもトップクラスだ。高精細で明るい液晶ディスプレイも「買い」指数を高めるポイントになりそうだ。

 逆に、比較的最近のC4xxシリーズを持つユーザーは、機能的に大きなジャンプアップがないので「待ち」、もしくは液晶ディスプレイの評価次第だ。「どうしても明るい液晶の端末が欲しい」というのであれば「買い」だが、「液晶ディスプレイよりも機能やサービス対応が大事」なら、これから年末へ向けて登場する新端末を狙うのも手だ。

 通話品質の良さで定評のあるcdmaOneはビジネスユーザーにも人気が高いが、あまり派手で個性的な端末は持ちにくいという人もいるはずだ。C415Tはそんな「スマートさを大事にしたい」ユーザーにもすんなり受け入れられそうな端末と言えるだろう。


・ C415Tニュースリリース(au)
  http://www.kddi.com/release/2001/0716-1/
・ C415T商品情報(au)
  http://www.au.kddi.com/phone/cdmaone/c415/c415.html
・ C415T商品情報(TOSHIBA User Club Site)
  http://www2.t-ucs.co.jp/au/c415t/
・ ポリシリコン液晶解説「p-Siってなんだろう」(東芝)
  http://www3.toshiba.co.jp/ddc/eki/b2c/whatpsi.htm

au、折りたたみデザインでハイカラー表示のC415T・C414K


(法林岳之)
2001/08/14 10:00

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