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3G携帯で“ADSL”のような定額制ブロードバンドサービスを提供

ストリーム映像を視聴するデモの様子。 比較のために、ビットレートが200kbpsの映像を既存の3G携帯から数回ほど視聴したところ、パケット代だけで13万円に達したとか
 IPモバイル株式会社は7日、TD-CDMA(Time Division Duplex - Code Division Multiple Access:時分割複信による符号分割多元接続)方式の実験局免許を取得し、東京都内の1カ所に実験局を構築したと発表した。米IPWireless社のTD-CDMA技術をベースにしたシステムで定額制ブロードバンドサービス技術の検証を行ない、年内の事業化を目指す。通信速度は検証中だが、上り数百kbps/下り1Mbps程度が期待できるという。

 IPモバイルによれば、現在導入が進んでいる3G携帯電話システムは、音声通信を前提としたFD-CDMA(Frequency Division Duplex - Code Division Multiple Access:周波数分割複信による符号分割多元接続)方式が主流。これに対してTD-CDMAは、米国フロリダやハワイ、ニュージーランドの通信ベンチャーなどでIPWirelessのシステムの採用実績はあるものの、3Gの中ではきわめて少数派。国内でも実験局を構築したのは、おそらく同社が初めてだとしている。

 その一方で、TD-CDMAは上下非対称の通信速度の設定にも柔軟に対応できるのが特徴。ADSLのようなインターネット接続サービスに向いており、今回の実験では、加入者側のデバイスとしてモデム型またはPCカード型の端末が使用される。3Gとは言っても、当初はインターネット接続用を想定したサービスを狙うかたちだが、IPWirelessのTD-CDMAシステムは遅延が少ないとしており、ゆくゆくはVoIPによる定額制通話サービスも考えられるという。


 なお、実験で検証されるシステムは、欧州の3G標準規格で、IMT-2000の中のTD仕様のひとつでもある「UMTS TDD(Universal Mobile Telecom System Time Division Duplex)」準拠のもの。IMT-2000でTD用に割り当てられている2,010〜2,025MHz帯が使われる。この周波数帯のTD-CDMAシステムは、加入者側のデバイスも含めてすでにIPWirelessによって製品化済みであり、事業化決定後も速やかに供給可能だとしている。

 すでに稼働を開始した台東区内の実験局に加えてIPモバイルでは、千代田区や港区で3カ所の実験局を申請中だ。1基地局あたり半径1.5kmをカバー可能で、今後は移動体からのローミング実験にも取り組む予定である。すでに同社では首都高速道路の移動中で500kbps程度の接続を確認しているが、IPWirelessののシステムは米国で時速120kmの自動車から、フランスでは時速230kmのヘリコプターからの接続が報告されているという。

 IPモバイルは、マルチメディア総合研究所の100%出資により昨年11月に設立されたベンチャーで、取締役の杉村五男氏は東京めたりっく通信の創業メンバーのひとり。事業化後のビジネスモデルについては今のところ公表していないが、同じく東京めたりっく通信でCOOなどを務め、現在マルチメディア総合研究所の取締役である信國謙司氏によれば、「(インフラの構築からサービスの提供まで)すべて自分たちでやるという選択肢も考えられるが、苦い経験もある」として、大手通信事業者との協業を見据えて交渉を進めている。

 確かに、TD-CDMAでサービスを展開するには新規に基地局を設置しなければならないが、IPWirelessの基地局は既存の3GやPHSなどに比べて格段に安価でサイズも小さいという。また、基地局あたりの同時接続数に制限がなく回線も占有しない方式のため、ベストエフォートにはなるものの、ユーザーに対して安価な定額制ブロードバンドサービスが提供できるのも強みだ。大手携帯電話キャリアの中にも、TD-CDMA方式の定額制ブロードバンドに興味を示しているところがあるとしている。


モデム型(左)とPCカード型(右)の加入者側デバイス。 厳密には、IMT-2000でTD用に割り当てられている周波数帯は2,010〜2,025MHz帯の下にもあるが、日本ではここにPHSが割り当てられているという


URL
  プレスリリース(PDF形式)
  http://www.mric.jp/press20030707.pdf
  IPWireless(英文)
  http://www.ipwireless.com/


(永沢 茂)
2003/07/07 18:57

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