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KDDIとFM東京、デジタルラジオをPDAで試聴する実証実験

KDDIの村上氏(中央右)とTFMの園城氏(中央左)ら。手には実証実験の端末
 エフエム東京(TFM)とKDDIは、デジタルラジオ放送(地上デジタル音声放送)と携帯端末を組み合わせた放送と通信の連携サービスを共同で開発・提案することで合意し、2004年2月より地上デジタルラジオの3セグメント放送サービスの実証実験を開始する。これに伴なって2日、TFMの常務取締役 園城博康氏やKDDI 執行役員 技術開発本部長の村上仁己氏などが出席し、実証実験の概要などが発表された。

 デジタルラジオ放送は、従来のアナログ放送よりも高音質な音声放送を多チャンネルで提供できる次世代の音声放送。CDレベルの音質で高速移動時でも途切れることが少なく、文字や画像(静止画・動画)などのデータ放送にも対応する。

 10月10日より実用化試験放送がスタートし、放送当初はテレビ放送などで利用されているVHF帯の7chを8つのセグメントに分割して東京・大阪で提供される。なお大阪では、音声と文字データ、静止画などで構成される1セグメント放送のみとなるが、東京ではTFMとニッポン放送、ジャパンエフエムネットワーク(JFNC)の3社共同で、より帯域の広いコンテンツを提供する3セグメント放送も実施される。3社ではこれに先駆けて共同のサービス名称「Digital Radio 98 The Voice」を発表している。

 今回の実証実験は、この「Digital Radio 98 The Voice」の3セグメント放送とKDDIの用意する受信端末とシステムを利用して、新サービスや新たなビジネスモデルを模索するもの。KDDIでは、2003年12月を目処に端末や実験サーバーなどのシステムを用意し、放送や新サービスについてはTFMなどが指揮をとる予定となっている。


 最初に挨拶を行なったTFMの園城氏は、「テレビやラジオの制作はすでにデジタル化されており、放送波がデジタルになるのも当然」と述べ、従来のアナログ放送が地上デジタル放送へと移行することへの必然性を語った。また同氏は、デジタルラジオ放送はあくまで「アナログラジオの後継」との認識を示し、地上デジタルテレビ放送とは異なるメディアであることを強調。従来、ラジオ放送を支えてきた何かをしながら楽しむ「ながら放送」が今後も重要であるとした。今回の放送と通信の融合によって、携帯端末による利用形態が予想され、最終的には携帯電話やカーナビゲーションと一体化するという。

 このほか、3セグメント放送を行なうグループについてコメントし、「AM(ニッポン放送)とFM(TFM)の有が共同番組を制作する。東京・大阪を皮切りに全国展開していきたい」と述べた。


実験端末。PDAのジャケットのように受信機が装着する 画面奥のアンテナがデジタルラジオ放送用。手前はAirH"端末

 続いて、「Digital Radio 98 The Voice」代表の小針俊郎氏からサービスなどの説明があった。

 小針氏はまず、音声と連動した簡易動画を伝送できる点や、通信と放送の融合によって物販や番組内でリアルタイムにリクエスト送信できる点など、デジタルラジオ放送の特徴を挙げた。また、モバイルとの親和性の高さから、モバイルユーザーを対象とした情報番組や、エリア情報や交通情報、ニュース番組など、データ放送で想定される番組についてもいくつか例を挙げた。

 3セグメント放送では、音声と簡易動画でパーソナリティの話している顔を見ながら番組を楽しんだり、番組と連動しない形でクーポンやゲーム、音楽などのダウンロードサービスを利用できる。他にも、1つの番組の中でメインの音声放送のほかにターゲットとする年齢層ごとに複数の音声放送を提供し、多チャンネル放送を行なうなどの放送形態も紹介した。

 また小針氏はTFMの園城氏と同様に「音声だけでも成立する番組に、動画やデータ放送で付加価値を付ける」としており、あくまでアナログラジオ放送から継続性のあるメディアであることを強調。ハイビジョンテレビ放送が13セグメントの帯域を使う「劇場型のサービス」なのに対し、3セグメントのデジタルラジオ放送は「インスタント、簡便、即席」が大きな特徴だと述べた。


試験放送で3セグメント放送を実施するのは「Digital Radio 98 The Voice」のみ 3セグメントの広い帯域でリッチコンテンツを配信

実証実験のシステム構成

発表会のデモンストレーション用システム構成
 実験の詳細については、KDDIから発表があった。

 実証実験では、Pocket PC 2003搭載の現行の東芝製PDA端末に、PDAのジャケットのようなデザインの3セグメント放送対応デジタルラジオ受信機を装着し、DDIポケットのPHSデータ通信カードで通信を行なう。なおPDAとデジタルラジオ受信機はUSBで接続する。簡易動画の再生が可能なデジタルラジオプレーヤーも用意される。

 このほか同社では、放送と連動したコンテンツサーバーや課金・認証用のサーバーなどの構築を構築。課金・認証サーバーの提供によって、番組を楽しみながらショッピングなどが行なえる。

 発表会の席では、実際に5分程度の番組のデモンストレーションが行なわれた。なお、現在は試験放送が実施されていないため、番組をVHS帯域の信号に変換する装置を用いてデモは行なわれた。

 デモでは、番組で放送されている曲を放送波でダウンロードして、通信端末で認証や課金を行なう仕組みを紹介。放送を楽しみながら、通信経由で詳細な番組表を確認したり、ラジオショッピングなども紹介された。

 KDDIの村上氏は、「モバイルでいろいろなことをやりたい。そういう大きな流れがある」と現在の市場について説明し、ラジオ放送がデジタル化することで通信との親和性が高くなるとした。また「我々キャリアの弱点はコンテンツ」とし、「通信と放送の融合ではなく、放送と通信の融合だ」とあくまで放送が主体であることを印象付けた。

 なお、実験の詳細や今後の商品化の目処についてKDDIではいずれも未定としている。しかし同社では、PDA端末に限らず携帯電話やカーナビゲーション、ネットワーク家電といった分野にもいずれこうした放送受信装置が搭載されるとの方向性は示しており、将来的にはモジュールとして提供されることも考えられそうだ。

 今回の3セグメント放送対応受信機は1セグメント放送にも対応しており、KDDIでは来年2月以降、1セグメント放送に関しても実験を行なう予定。また実験端末にAirH"端末が採用されている点について同社では、「今後はEV-DOも視野に入れている。EV-DOのカード端末が発売されるのであれば可能になる」としている。

 このほか、先だって発表されたアナログFM放送対応端末との住み分けについては、「アナログFM対応端末は商用化段階のもの。今回の実験は開発段階。デジタル・アナログ両方視野にいれて対応したい」とコメントしている。


デモンストレーションで行なわれたサービス例 放送受信装置は今後、携帯電話やカーナビへ


URL
  ニュースリリース
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2003/1002/index.html

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(津田 啓夢)
2003/10/02 18:57

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