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ドコモ、先端技術の開発基地「ドコモR&Dセンタ」を披露

NTTドコモ R&Dセンタ
 NTTドコモは2日、神奈川県横須賀市にある同社の研究開発拠点「NTTドコモ R&Dセンタ」を報道関係者向けに公開した。その内容は、ドコモが自ら「3.5G」と呼ぶ通信方式や次世代のインターフェイスなど、これまでほとんど公開されていなかった開発現場をかいま見ることができた。なお、このR&Dセンタには、ドコモの社員だけで800人、端末メーカーや関連企業の社員を含めるとのべ2,500人もの人員が出入りするという。


HSDPAの実験施設

会議室からは海が見える

HSDPAの移動機端末。これが来年には携帯サイズになる
 ドコモが自ら「3.5G」と呼び、来年にも商用化を目指しているのが「HSDPA」と呼ばれる通信方式だ。HSDPAはW-CDMAをベースにした技術で、下り最大14Mbps、平均でも2〜3Mbpsの通信が可能。現行のFOMAの基地局設備から、ベースバンド部のボードとソフトウェアを変更するだけで実現できるため、安価なコストで展開できるのが最大のメリットだ。

また、HSDPAではデータ通信中、一秒間に端末側から500回、自分の無線状況に見合った通信帯域を基地局側に要求する仕組みを取り入れている。これにより、基地局は複数の端末から受け取ったデータをもとに、バランスよく帯域を割り当てるため、現行のFOMAよりも3〜4倍の電波利用効率が実現できるという。

 実験施設は大きなラックにはいった「いかにも」というべき機器だった。HSDPAのカードが差されている部分には赤いシールが貼られており、「ここを交換するだけ」とアピールされた。たしかに、この部分だけならばコストは安くて済むだろうと思わせる程度の部品だ。

 デモでは、実験用の据え置き型端末を使って通信を行なった。エリアの端に当たる部分から、基地局のすぐそばまで電波受信状況を擬似的にコントロールしながら、スループットの変化をグラフで表示させていた。エリアの端に当たる部分では2Mbps程度、基地局のすぐ側では14Mbpsに限りなく近い値まで出ていたようだ。複数の電波を受信することで、より安定かつ高速なデータ通信が行なえる技術、受信ダイバーシチの効果をオンにすると、一気にスループットが上がる現象も確認された。

 さらに、HSDPAでパソコンによるインターネット接続を体感するデモも行なわれた。比較対象には現行の下り最大384kbpsのFOMAを使用。FOMA 900iシリーズのWebサイトにあるFlashで比較したところ、FOMAはおよそ8秒、HSDPAはおよそ3秒程度で読み込みを終了した。デモでのスループットは、TCP/IPの制御の問題もあり、1Mbps程度とのこと。

 最後に行なわれたデモはWindows Media Playerを用いた動画のストリーミング再生。途切れることなくスムーズな再生が行なわれ、スループットは2〜3Mbpsの間だったようだ。


基地局からの距離や減衰状況をシュミレートする機器 HSDPAを使ってWebアクセス。貴重な体験だ

HSDPAのベースバンドカード。これを既存のFOMAの基地局に設置し、ソフトウェアをアップデートするだけでHSDPA対応になる デモ中のスループット推移。14Mbpsに限りなく近づいている

ストリーミング再生はなめらか スループットは2Mbpsを超えていた

口パクで会話できる日が来る?

「い」と口パクしただけでコンピュータは「i」の文字を検出している
 次に紹介されたのが、発声しなくても「口パク」をするだけで、その内容が文字や音声に置換えられるシステムだ。これは、親指、人差し指、中指に取り付けたセンサーをあごや頬、のどに密着させ、口を動かしたときの周辺の筋肉の動きを察知することで実現している。現在、「あいうえお」の母音の認識が可能で、その認識率は90%以上だという。今後、子音の認識や外国語への取り組みが課題としている。

 試験機は医療機器の部品を流用して作ったもので、まだ基礎研究レベルにあり、実用化、商品化のメドは立っていない。しかし、実現すれば、まったく音を出さずにコミュニケーションが取れるので、携帯電話の応用範囲は飛躍的に広がるだろう。


親指、人差し指、中指に筋肉の動きを検出するセンサーを取り付けている 試験機。このような形の端末が将来でるかもしれない

こちらも試験機

電話の相手の声が、後ろから聞こえる?

3D空間音声再生技術のデモに使われたヘッドセット。青い部分が被験者の向きや位置を把握するセンサーだ
 今回の見学ツアーで披露された中でも、もっとも興味深い取り組みは「3D空間音声再生技術」だ。これはどの方角から、どれくらいの距離から音が聞こえるか、という音場(定位ともいう)を再現できる技術。音声だけではなく、音声に方角や距離の概念を取り入れることで、いっそうリアリティを持ったコミュニケーションを可能にするのが目的だ。

 デモではPDAに接続されたヘッドセット型の機器と、実験室の天井に据え付けられた位置把握センサーを組み合わせて行なわれた。実験室には音の鳴らないスピーカーが設置されており、ヘッドセットをした被験者には、あたかもそこから音が出ているかのように、音声に細工をする仕組みだ。これは、被験者がかぶっているヘッドセットの向きや位置を天井のセンサーが把握し、コンピュータでその定位情報を分析。その結果をもとにサーバーで音声を生成し、ヘッドセットに送信している。実際に筆者も体験したが、ドコモの説明するとおり、向く方向を変えるとリアルタイムで音の来る方向が変わり、実際にそのスピーカーで聞いているように感じた。

 なお、この技術を応用すれば、電話をしている相手が、実際にいる方角から声が聞こえるような仕組みや、テレビ電話時に、相手の口から音が出ているような演出が可能になるという。この技術もまだ基礎研究の段階で、実用化、商品化は未定。


この機械で定位情報の分析や音声の発信を行なう 天井に据え付けられたセンサーでヘッドセットの動きを読み取る

電波暗室

 ついで、実験専用に作られた特殊な部屋も紹介された。まずは電波暗室だ。一般的に、電波の扱いは法規制で細かく規定されているため、いくら研究施設といっても屋外で自由に電波を飛ばすことができない。この電波暗室は、室内で発せられた電波を一切外に漏らさないことを目的としている。一歩足を踏み入れると、もはや異世界。幅20m、高さ13mの空間には電波を吸収するための四角錐の形をした発泡ウレタンとカーボン製の物体が床、天井、壁のすべてに敷き詰められている。

 この物体はレーダーに映らないステルス戦闘機にも採用されている素材とのことで、電波が部屋の外に漏れるのを防いでいる。無機質な部屋の中にテーブルが2台設置されており、ここに無線機を置いて無線特性や電波のやりとりの状況のデータを収集するのだという。


無響室

 無響室もまた、普段の生活ではまず経験することのない現象が起こる不思議な部屋だ。この部屋は移動機端末の音響を測定するのに使用する場所で、正確なデータを得るため、騒音を全てシャットアウトするために作られている。床は音の反射を防ぐために、金網状の格子でできており、床と壁には、グラスファイバー製の突起が取り付けられている。音が全く反射しないので、中で人が話していても、普段よりぼそぼそしゃべっている印象だ。ひとたび話が途切れれば、一切の音が消えた不思議な空間になる。

 ここで今回のデモンストレーションは終了した。ドコモは「(報道関係者に対して)今後、また同じような機会をぜひ設けたい」としており、次回にも期待が持てそうだ。



URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
  NTTドコモ R&Dセンタ
  http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/rd/muse/

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(伊藤 大地)
2004/03/02 23:36

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