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KDDI、地上デジタルテレビを受信できる携帯電話端末を開発

今回発表された端末。左がminiSD版、右がOFDM版
 KDDI研究所とKDDIは、NHK放送技術研究所と協力して、地上デジタル放送を視聴できる携帯電話端末を開発した。OFDMアンテナを搭載し、同放送で用いられるデータ放送規格にも対応している。

 同社では12日、報道関係者向けに説明会を開催。KDDI 執行役員 技術開発本部長の村上 仁己氏は「ちょうど1年前、PDAサイズの地上デジタル放送対応端末を公開した。今回は、1年前のプロトタイプにはなかったものを実装している。技術的には山を越えたが、果たしてどういう使い方ができるのか。次のステップとしてはビジネスモデルを確立するが、多くの意見を頂戴したい」と述べ、今回の端末は携帯電話サイズで地上デジタル放送を受信できることを実現し、検証を深めるためのものと位置づけた。

 今回発表された端末は、日立製作所製のCDMA 1X WIN端末「W11H」をベースにしたもので、OFDMアンテナを搭載した「OFDM版」とminiSDカードにコンテンツを蓄積し、擬似的に地上デジタル放送の検証を行なう「miniSD版」の2種類。このうち、「miniSD版」は、miniSDカード内の映像コンテンツを見るという利用法になるが、あくまでもコンテンツ開発の検証用となっている。

 昨年公表されたPDAサイズの端末と比べて、今回の携帯電話端末は実際に地上デジタル放送の電波をキャッチできるOFDMアンテナやデジタル復調機能、GPSチップなどが実装されている。また地上デジタル放送のデータ通信関連では、規格言語のBML(Broadcast Markup Language)の携帯版を全てサポートした上で、携帯版BMLを補足する役割を果たす独自規格の「KDDI Profile」にも対応している。ただし、携帯電話向けの地上デジタル放送の規格は、まだ確定していないため、今回の試験端末がサポートしている規格は、現時点で提示されているものへの対応となる。今後の動向によっては「KDDI Profile」も正式な規格に採用される可能性もある。


1年前のプロトタイプにはなかった機能を実装している
端末の仕様

KDDI 執行役員 技術開発本部長の村上 仁己氏
 端末仕様は、大きさが50×100×38mm(幅×高×奥行)で、重さがOFDM版で140g、miniSD版で130g。視聴時の連続駆動時間は、OFDM版が約2時間、miniSD版が2〜2.5時間。またアプリケーションプロセッサである「SH-Mobile V」を搭載し、内蔵メモリは64MB、ディスプレイはQVGA表示が可能となっている。

 放送コンテンツ仕様は、映像フォーマットがMPEG-4、音声フォーマットがMPEG-2 AAC LC。映像フォーマットに関しては、3月末にMPEG-4ではなく「AVC/H.264」になったことが放送事業者から発表されているが、KDDIによれば「MPEG-4対応で開発してきたため、現段階ではそのままにしている。技術的にはAVC/H.264への対応はスムーズに行なえる」という。

 実験システムは、テレビ番組を持つ「放送サーバー」、それをストリーミング配信できる「テレビ番組ストリーミングサーバー」、そしてどんな番組が放送されるか管理する「通信コンテンツ管理サーバー」で構成される。

 放送サーバー内のコンテンツは、OFDM送信装置で電波に載せて端末側が受信する形となる。また災害時における緊急放送のように特定の番組が放映されると、「通信コンテンツ管理サーバー」から「SMSセンター」および「端末起動制御」サーバーを経由して端末側へCメールが送られ、自動的に端末のテレビブラウザが起動して番組を見られるようにしている。緊急放送以外にも、スポーツ番組で特定の選手が出場する場面になれば通知するといったサービス提供もできる。

 端末のディスプレイは、映像だけの表示(全画面表示)もできるほか、上半分がテレビ放送で下半分がブラウジングといった表示が可能で、視聴中のテレビ番組に関連した情報を同時に取得できる。説明会で披露されたデモンストレーションでは、auのテレビCMを視聴しながらキャンペーン情報を取得したり、ドラマ風の映像を見ながら出演女優が着用している服飾品の販売サイトを表示したりするといった活用法が紹介されていた。


放送および通信それぞれの仕様 実験システムの構成イメージ

KDDIの独自技術も盛り込まれている。1xEV-DOのネットワーク経由でストリーミング配信も可能だ
 今回の発表では深く触れられなかったが、「テレビ番組ストリーミングサーバー」の存在も大きなトピックだ。これは、ユーザーが地下街など電波が届かない範囲に移動しても、続けて番組視聴できたり、たとえば野球中継でマウンドを写す映像を放送する一方で、ストリーミング側で別のカメラの映像を送信したりできるという。

 KDDI研究所のスタッフによれば「実は、データ通信による携帯電話向け映像ストリーミング技術は国内初」という。FOMAの「M-stage Vライブ」もストリーミング配信だが、これはテレビ電話と同じ仕組みで回線交換による接続となる。しかし、KDDIの技術はCDMA2000 1xEV-DO方式のネットワークを介するもので、1つのサーバーで最大16人の同時接続を実現し、128チャンネルの配信が可能。

 担当者は「携帯電話向けの地上デジタル放送が開始されたとしたとしても、最初は一部分の地域のみで展開することになるのではないか。しかし、1xEV-DOでストリーミング配信できれば“auなら最初から全国で地上デジタル放送を見られる”というサービス提供も可能だ」と述べる一方で、「もちろん現状のネットワークには負荷がかかり過ぎるだろう。今後は負荷をいかに低減するかが課題。しかし環境さえ整えば(1xEV-DOだけでの放送も)技術的には可能だ」として、課題はまだ残されているものの、新たなサービスモデルの可能性を挙げた。

 このほか、GPSチップを搭載したことで位置情報と放送およびデータ通信が連携できることも紹介された。たとえば映画の予告編を見ている時に、データ通信で最寄りの映画館を検索できるという。またGPS機能で正確な時刻を取得できることを利用して、不正コピーなどを防止する著作権管理技術の実装も可能という。

 OFDM版およびminiSD版は、それぞれ本来の「W11H」から一部の機能を省いて、視聴機能が追加されている。ハードウェア面では、どちらもバッテリーカバーの部分にOFDMアンテナなどを内蔵したカバー、あるいはminiSDカードスロットを搭載したカバーを装着しているため、今回のOFDM版はアンテナが端末よりもやや大きいものとなっているが、「W11Hという既存端末がベースのためで、アンテナなどは全て携帯電話の筐体へ内蔵できるレベル」(担当者)に達しているとのこと。

 KDDI側とNHK放送技術研究所は、今後も通信と放送が融合した新たなコンテンツの開発や技術検証を行なっていく。なお、5月27日〜30日に開催されるNHK放送技術研究所の一般公開イベントにおいて同端末が展示される。


手前がminiSD版、奥がOFDM版 OFDM版の裏側。バッテリカバーのように装着する デモではauのテレビCMなどが用いられた

上が映像、下がブラウジングという表示が可能 これはサブメニューを表示させたところ 映像だけの表示(全画面表示)も可能だ


URL
  ニュースリリース
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/0512c/

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(湯野 康隆, 関口 聖)
2004/05/12 14:53

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