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ドコモ株主総会~海外事業に一応の成果と説明

 NTTドコモの定時株主総会が、6月18日、午前10時から都内のホテルで開かれた。

 冒頭、議決権の行使を含めた出席者数が、総会の開催基準に達していることが説明された後、2003年度の営業報告、決算報告などが津田志郎副社長から、事前に受けた質問に対しては一括回答として、次期社長就任が内定している中村維夫副社長から、それぞれ説明が行なわれた。なお、インターネットを通じた議決権行使は、4,231人で、株主数全体の4.6%に達した。


今年度、減収減益は必要不可欠なもの

立川氏

NTTドコモ
立川敬二社長

津田氏

津田志郎副社長

中村氏

中村維夫次期社長
 営業報告では、コアビジネスへの充実強化を遂げた1年と位置づけ、なかでもFOMAは、サービス強化、端末機の機能強化によって、年度末には300万契約に達したことを示したほか、グローバル展開では、iモードサービスが海外200万契約に達したこと、W-CDMA方式による3Gサービスの普及などの実績が上がり、今後は「Global Mobility Support」をテーマに、着実に海外展開を推進していくことを改めて強調した。

 また、一括回答では、2004年度の見通しが減収減益になっていることに関して、新規顧客への販売促進、既存ユーザーの継続維持という点では、定額制や各種の割引サービス強化が必要として、これにより1,300億円の減収を想定。さらに、ムーバからFOMAへの移行促進に伴う代理店手数料の増加などが減益に影響するとし、「今年度の熾烈な競争勝ち抜くこと、さらに今後の成長を見据える上では必要不可欠なもの」と中村副社長は説明。「ただし、この減収減益は一時期的なものとして捉えている」とコメントした。

 同社では、2年後の2006年には、FOMAの契約者数が過半数を突破するとし、それに向けて、映像コミュニケーション、映像配信サービスの強化、非接触型のICチップ搭載モデルなどの端末機を投入することで今年度1,060万契約を目指すととともに、不採算事業の見直しや業務プロセスの改善などにも取り組むことで、収益の改善につなげる姿勢を見せた。

 海外事業からの撤退に関する説明では、AT&Tワイヤレスの株式売却については、買収提案に対して、数兆円規模の買収金額はリスクが大きいと判断したことが売却の要因だとし、「米国への事業の足ががりがなくなるとの懸念もあるだろうが、今年度、サンフランシスコやシアトルなどの4大都市でW-CDMAのサービスが開始されることで、成果はあったと判断している」とコメントした。英国のハチソン3G UKの株式売却についても、欧州でのiモードサービスやW-CDMAのサービス開始によって、「出資目的は果たした」とした。

 しかし、株主の間からは、1兆2,000億円の投資に対し7,000億円の売却益となり、事実上、5,000億円の損失となったAT&Tワイヤレス、および1,800億円の投資に対して、200億円強の売却益にとどまり、1,600億円の損失となったハチソン3G UKの投資戦略に対して、経営責任を追求する声が相次ぎ、「役員報酬の削減、役員賞与の見送りだけでは責任をとったことにはならない」、「海外戦略が失敗したのは立川社長が技術系出身だったためではないか」、「今回の退任取締役への退職慰労金贈呈は認められない」などの厳しい意見も飛び出した。

 同社では、W-CDMAやiモードサービスが米国、欧州で開始された実績などにより、投資の成果があったことを繰り返し強調し、「小さな成果を大きな成果へと結びつけるのが、今後の我々に課された責務である」などと説明した。

 そのほか、株主との質疑応答では、株価の低迷や株主配当が低い点、さらに取締役会の人数が事業規模に対して多い点などの指摘が相次いだ。

 同社側では、株価に関しては、「どれが適正な額だというのは申し上げられないが」としながら、「株主のみなさまにご心配をおかけしている。株価は企業価値に収れんされていくと考えており、企業価値の向上に努めたい」と回答した。


 株主配当については、親会社であるNTTや、トヨタの例を引き合いに出す質問が多く、「この配当額では、株主総会に参加する電車賃だけでも赤字になる」との声もあがっていたが、これに対しては、昨年10月にiモードサービスが全国4,000万契約を突破したことを記念した記念配当500円を加え、昨年11月の中間配当をあわせて年間1,500円の配当金としたことで株主の理解を求めた。なお、株主優待サービスに関しては、「いまは考えていない」と断言した。

 取締役の数については、今年度の役員改選で、中村新社長体制の下、2名の取締役削減により25人体制としたこと、昨年度実績で定期取締役会で年間13回、臨時取締役会で年間8回を開催しておりと、迅速な判断が可能なこと、資産規模から見た点では適正な規模であることを訴えた。


市場はドコモを選択している

課題

今後の課題
 auが8カ月連続で月間純増シェアトップを維持していることに対しては、「料金、端末、サービスなどで、他社のサービスが利用者に受け入れられていることは認識している。年間の純増数は確かに負けたが、純増数は新規契約者数から解約者数を引いたものであり、新規契約者数でははるかにauらを上回っている。解約率もauよりも低いが、契約者数の母数が多いだけに、解約率が低くとも、解約者数は多いという計算になる。そうした意味で、市場がどのキャリアを選択しているのか、という点ではドコモが選択されていると認識している」とした。

 また、HSDPAへの取り組みに関する質問には、「2005年度を目標に開発を進めているが、当初、エリアとしてどの範囲までをカバーすればいのか、どれぐらいの端末価格が適正なのか、どんなコンテンツやサービスを用意すればいいのか、といった点がわからない。サービスインの時期を明確に申し上げる段階にはない」とした。

 FOMAがデータ通信での優位性を訴える一方で、高速データ通信のHSDPAへの投資を二重投資と指摘する声もあったが、「現在、伸びているのはデータ通信であり、投資をデータ通信に集中させていくのが経営には最適である」と話した。


新宿のビルは上半分にアンテナを収容

 そのほか、ユニークな質問では、新宿のドコモのビルはなんのための設備かとの質問があり、「正確には渋谷区代々木の住所にあり、社内では代々木ビルと呼んでいる」と前置きし、「ネットワーク設備を収容しており、それに伴う空調設備なども装備している。ビルの下半分が通信用機器が設置されるとともに、電話による受付センターもある。だが、半分から上はアンテナでほぼ空洞の状態。外観を考えて、外側からあのデザインをかぶせたと考えてもらった方がいい」とした。

 また、海外戦略を推進するのではあれば、役員の英語能力をTOEICの成績などで示してはどうか、といった提案もあったが、「海外戦略は経営判断の1つとして取り組んでおり、英語能力よりも経営管理戦略が重要。英語の能力の公表については差し控えたい」とした。

 なお、総会は、自己株式取得の件、取締役25名選任など6つの議案を可決。2時間15分で終了した。

 すべての議案が可決されたあと立川敬二社長は、「6年間社長の職を務めた。株主のみなさまからは不満もあるだろうが、自分なりに全身全霊取り組んできた。株主のみなさんには心から感謝したい。中村社長体制になっても引き続きドコモをお願いしたい」と、社長としては最後の公式の場で挨拶をした。



URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/


(大河原克行)
2004/06/18 15:16

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