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モバイル放送が10月20日にようやく開局、携帯版は2006年から

モバイル放送の移動体向けデジタルマルチメディア放送「モバHO!」

モバイル放送 代表取締役社長の溝口 哲也
 モバイル放送は、モバイル機器向けの衛星デジタルマルチメディア放送「モバHO!」の本放送を10月20日から開始する。これに先駆けて4日、新サービスの概要や受信端末の紹介が行なわれた。

 「モバHO!」は、モバイル機器向けの衛星デジタルマルチメディア全国放送。小型の専用AVプレーヤーや、ノートパソコン、車載端末のほか、携帯電話やPDAなどでの展開も想定されている。モバイル放送では、多数の企業(2004年10月現在88社)より出資を受けて2004年3月に専用を衛星を打ち上げた。放送システムはこのSバンド放送衛星と、地上の再送信設備(ギャップ・フィラー)で構成され、2.6GHz帯を利用する。なお、同衛星を利用して韓国でもTUメディアが放送を開始する予定で、今年9月に開催された韓国の通信関連イベント「ITU TELECOM ASIA 2004」では、チューナーを内蔵した端末などが展示されていた。

 「モバHO!」サービス開始時には、7つの映像チャンネル、30の音声チャンネル、約60のデータ放送でスタートする。映像チャンネルは、NHKや日経CNBC、TBSチャンネル、MTVなどのコンテンツが用意され、音声放送では、有線ブロードネットワークス、エフエム東京などがコンテンツを提供するほか、音楽誌「Billboard」や「rockin'on」のチャンネルなども楽しめる。

 移動体向けの全国放送となるため、サービス開始時より全国の主要道路付近のほか、山手線や中央線などの電車内でも放送波が受けられる。また、関東および関西のJR・私鉄各線でも順次放送が楽しめるようになる予定。通勤時の電車や車内や、新幹線などでの利用シーンが想定されており、災害時の緊急放送メディアとしても有効だとしている。

 利用料は、月額400円+各チャンネルのパッケージ別に月額300円~2,080円となり、別途入会時に2,500円かかる。利用する場合は、家電量販店やカー用品店、Webサイトなどで購入したモバイル放送対応端末を購入し、無料チャンネルで受信が確認された後、同封の加入申込書を郵送するかカスタマーセンターに電話で契約する旨を伝える。2週間の無料試聴期間のあと、課金が開始される。


ロケット打ち上げの様子を紹介 「モバHO!」の登場

システム概要 利用シーンは通勤・通学中など

映像チャンネル 音楽・音声チャンネル 音楽・音声チャンネル

NHKの番組例 料金プラン

東芝、シャープが受信端末を発売

小型の「モバHO!」対応端末「MTV-S10」
 なお、「モバHO!」開始に伴って、各メーカーから受信端末が発表された。

 東芝は、モバHO!対応受信機「MTV-S10」を11月1日に発売する。価格はオープンプライスとなるが、店頭価格は60,000円前後になる見込み。

 「MTV-S10」は、モバイル放送の映像、音楽・音声、データ情報の各チャンネルに対応した専用受信機。EPG(電子番組表)をサポートするほか、任意のチャンネルをするに選曲できる「高速チャンネル切換機能」を搭載する。

 ディスプレイは、3.5型QVGA(320×240ドット)のTFTアクティブマトリックス液晶を搭載、スピーカーや外部AV出力端子、ステレオヘッドホン端子を装備する。

 SDカードスロットを搭載し、モバHO!のコンテンツをSDメモリカードに記録できる。512MBタイプのSDカードで最大約20時間の記録可能。また、東芝製のデジタルハイビジョン液晶テレビ「37LZ150/32LZ150」でSDカードに保存したアナログテレビ放送を「MTV-S10」で再生することも可能となっている。

 リチウムイオン充電池で、映像、音楽音声チャンネル視聴時に約1時間45分利用できる。大きさは約99.8×113.5×35.5mm(幅×奥行×高、突起部含む)で、重さが約320g。ボディカラーは、パールホワイトとチタングレーの2種類。


手のひらに乗る大きさ。シンプルな操作体系 端末を閉じたところ ヒンジ側側面にはAV出力端子や、外部アンテナ端子を搭載

側面で音量コントロール、チャンネル操作が可能 SDカードスロットを装備

回転式ディスプレイを搭載した「4E-MB1」
 小型の専用受信端末はシャープも提供する。同社は、モバHO!対応のモバイルAVプレーヤー「4E-MB1」を11月19日に発売。価格はこちらもオープンプライスとなるが、店頭価格は70,000円前後になる見込み。

 「4E-MB1」は、モバHO!を受信対応の小型AVプレーヤー。SDカードスロットを搭載し、SDメモリカードにモバHO!の番組を記録できるほか、1時間の番組で最速45分(通常の約25%)に時間短縮して見られる機能「早見・早聞き視聴」を搭載する。

 ディスプレイは3.6型、QVGA表示のTFTアクティブマトリクス液晶を装備。ディスプレイ部は回転式が採用され、PDA端末のような「ハンディ・スタイル」のほか、テーブルなどに置いて見やすい「ホリゾンタル・スタイル」で利用できる。

 また、メモリカード対応の液晶テレビ「AQUOS」で記録した映像や、XMDFおよびTEXT形式の電子書籍を再生・表示可能で、設定した時間に番組を記録できる機能「視聴予約」、オフタイマー機能や放送中の番組が一覧表示される「裏番組表」なども用意される。

 家庭のテレビなどに出力できる映像・音声出力端子を搭載し、端末上部の側面には、外部アンテナ端子を装備する。建物内など電波が届きにくい場所で外部アンテナを利用するほか、外部アンテナ搭載のヘッドホンなどで受信感度を高める場合などに利用する。

 約105分の連続使用が可能。大きさは86.8×27.5×152mm(幅×高×奥行、突起部除く)、重さが約335gとなる。

 このほか、モバイル放送は車載・家庭兼用の「モバイルクレードルレシーバー MBR0101A」(41,790円、12月1日発売)や、車載用の「モバイル放送ハイダウェイレシーバー MBR0102A」(52,290円、12月15日発売)なども発表。発表会では、PCカード型のチューナーなども展示されていた。


PDA端末のような使い方ができる「ハンディ・スタイル」 側面部にAV出力端子とチャンネル操作キー 回転させてディスプレイを収納

ディスプレイの搭載位置が異なるため、写真では「4E-MB1」の方が小さく見えるが大差ない 厚さにも大きな差は見られない 同時に発表された「モバHO!」向け車載機器

溝口氏「モバHO!は巨大な空白のマーケットを埋める」

韓国で公開されたモバイル放送対応携帯電話を手に持った溝口氏

「移動体向け全国放送は空白のマーケット」と溝口氏

3年で200万ユーザー獲得を目指す
 発表会では、モバイル放送 代表取締役社長の溝口 哲也氏自らがサービスの概要を説明した。同氏は、「モバイル放送は多チャンネル、移動体、個人向け映像デジタルマルチメディア放送。会社設立からこれまでの6年間、新しい放送メディアを生み出すための技術開発はまさに難関だった」と、1998年に設立されたモバイル放送が、6年の時を経てようやくサービス開始にこぎ着けた苦労をにじませた。

 また、同サービスが国からの援助を受けず、88社の企業から出資を受けてサービス開始に至った民間企業集団であることを強調し、「まさにオールジャパン」と述べた。同じ衛星を利用してサービスを開始する韓国をはじめ、同社では今後、中国や東南アジア、アメリカなどへも今回の技術を広げていくという。

 次いで、放送サービスの仕組みを説明した溝口氏は、「ユビキタス時代には、放送、映像、通信が融合してこそユビキタス。衛星から直接Sバンドを受けるが、地上にはビル影など放送波が届かない場合もある。これを解決するため、地上にギャップ・フィラーを立てた」とした。このギャップ・フィラーの採用によって、全国放送が成り立っているという。

 さらに同氏は、「移動体向けの全国放送は空白のマーケット」と語っており、これまで、移動体で全国放送を実現するメディアが存在していなかったこと印象づけ、「“いつでもどこでも”を実現していくメディアにしていきたい」とアピール。「高品質のまま外に持ち出せなかったテレビがいよいよ持ち出せる。しかも衛星といえばパラボナアンテナが必要だったが、直径12mの世界最大の衛星アンテナでこの問題を解消した」と続けた。

 なお、今回の発表では、専用受信機2機種と車載機器のみの紹介となったが、「携帯電話向けやPDAなど、あらゆるモバイルデジタルプロダクツにチューナーをビルトインしていきたい」と意欲を見せており、同社では2006年初めにはモバHO!のチューナーを内蔵した携帯電話を提供したい考えだ。

 なお、韓国でTUメディアが提供する衛星デジタルマルチメディア放送では、メーカーから携帯電話タイプのものが参考出品として発表されている。溝口氏は、韓国でのモバイル放送対応携帯電話を手にとって、技術的に携帯電話に搭載することが可能であることを印象づけた上で、「日本の携帯電話では、韓国の端末よりもローパワーななものを提供していきたい」とした。

 また、モバイル放送の取締役 峯村 幸一氏は、携帯電話向け地上デジタル放送との違いを「あちらはあくまでも地域放送。モバHO!は全国放送。十分棲み分けができると認識している」と述べた。

 同社では、モバHO!のブレイクポイントを150万ユーザーと見ている。3年後の200万会員を目標に事業を展開し、その時点でのユーザー単価2,000円と想定する。またロケットの打ち上げなど、これまでの設備投資に莫大な費用がかかっているが、3年後には株式公開、2008年には累損を解消できるとのこと。


現在開発中のパソコン向けのCFカード型チューナー アンテナをヘッドフォンに搭載することを検討中

アンテナ搭載ヘッドフォンの試作機 パソコン向けチューナーは開いて放送波を披露

あらゆるモバイル機器に搭載を検討 モバイル放送の利用シーン

電波を有効に使うため、韓国と同じ周波数帯でサービスを提供 2006年には対応する携帯電話する予定

会場では、コニカ・ミノルタがモバHO!受信端末と、眼鏡タイプのディスプレイを組み合わせた試作機を展示していた。


URL
  「モバHO!」サービス概要
  http://www.mobaho.com/

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(津田 啓夢)
2004/10/04 22:08

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