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ソフトバンクBB、800MHz帯の利用方針を巡って総務省を提訴

ソフトバンクBB代表取締役社長兼CEOの孫正義氏
 ソフトバンクBBは13日、800MHz帯の周波数割当方針案の差し止めなどを求める仮処分申請を東京地方裁判所に対して行なったことを公表し、都内で記者会見を行なった。申し立てでは、総務省が8月6日に発表した800MHz帯の割当方針案の実施差し止めと、新たな割当方針案の策定、新規免許申請の受け付けを求めている。また、総務省、NTTドコモ、KDDIの3者に対して、800MHz帯割り当てに関する交渉記録の保全を目的として、文書破棄等禁止仮処分の申し立ても行なっている。

 ソフトバンクBBでは、総務省が8月6日に発表した「800MHz帯における周波数の割当方針案」に対して、既存の事業者2社(NTTドコモ、KDDI)に優先的に周波数を割り当て、新規参入を希望する事業者の有無が確認されていないなどの問題があるとして、意見書を提出するとともに、意見広告によるパブリックコメントの投稿呼びかけなどを行なってきた。

 記者会見では、ソフトバンクBB代表取締役社長兼CEOの孫正義氏が、「日本の通信の世界における『競争政策』と『規制緩和政策』は、いまや瀕死の状態であり、電波の配分は密室の中で行なわれていると言っても過言ではない」として、周波数割当に対するソフトバンクグループの考え方を説明。今回の申し立てについては、「公正な競争」を実現するために国際的な弁護団を編成したとして、日本で訴訟代理人を務める牧野二郎弁護士などのほかに、米国の元副司法長官でAT&T分割などの案件を手がけたDonald Baker弁護士、米国司法省が米Microsoftを独占禁止法違反で提訴した際の司法省側の主任弁護士を務めたDavid Boies弁護士などにもアドバイスを求めていくことを明らかにした。

 孫氏は、総務省の今回の周波数割当方針案について、「総務省が独断で方針案を作成しており、新規参入希望事業者の有無の確認がなされていないなど、新規参入希望事業者を対象にした適正な比較審査方式に則った審査方法を採用しておらず、免許付与手続に違反している」と主張。また、「日本の電波行政は摩訶不思議な制度になっていて、先に方針は行政側によって決められていて、その方針に沿った事業者でなければ新規参入の申請すらできない」と語り、新規参入の申請を受け付けるよう訴えた。

 同氏はまた、総務省が既存事業者に対して割り当てた2GHzの周波数帯域がほとんど利用されていない実態を知りながらこれを放置しており、特定団体(MCA)に割り当てられている帯域を周波数再編の対象から除外しているなどの恣意的運用を行なっていると主張。既存事業者のみを対象に800MHzの枠内で再編を行ない、新規事業者の参入を妨害するものであると述べた。

 総務省案では、800MHz帯の新しい帯域については、NTTドコモとKDDIの2社に15MHz×2ずつを割り当てるとしているのに対して、新規参入事業者も含めた3社で10MHz×3の形に割り当て、他の周波数帯でも同様に割り当てることで再編を行なうとした検討要求案を提示。周波数再編については、800MHz/1.7GHz/2GHzなどの複数帯域を利用するマルチバンド端末を利用していくことで実現できると主張した。


ソフトバンクBBの訴えおよび申し立ての内容 弁護団の牧野二郎弁護士(左)とRobert Dwyer弁護士(右)

 孫氏は800MHzという帯域にこだわる理由として、「800MHzは最も使い勝手のいい帯域であり、他の帯域ではビルの中などでも通信できるようにするために、より多くの基地局が必要となりコストがかかる」という点を挙げ、「800MHzは既存の2社が使いなさい、新規に参入する会社はその他の帯域を使いなさい、というのは明らかに既存事業者の優遇であり、新規参入事業者への差別である」と語った。

 また、総務省が既存事業者に対して800MHz帯を割り当てる理由として、周波数再編に伴うコスト負担を考慮すると、既存事業者には現在利用している周波数帯と同じ帯域を確保することが適当であるとしている点についても、「800MHzの中だけで入れ替えをしなければならないというのは100%ウソ。1台の端末で複数の周波数帯が利用できるマルチバンド端末は世界では当然のように使われており、マルチバンドに関わる部分の端末のコストも3ドル以下。こうしたマルチバンドを使用すれば周波数移行は十分可能」と主張した。

 総務省、NTTドコモ、KDDIの3者に対して交渉記録保全の仮処分申請を行なったことについては、「米国であれば、FCC(連邦通信委員会)の担当者と事業者の人間が会食を持つといったことがあれば、そうした行為については報告が義務付けられている」と語り、交渉時の電子メールや会合の記録などの保全を求めたとした。また、総務省からNTTドコモやKDDIに天下った官僚のリストを挙げ、「こうしたことがある以上は疑わしいと思わざるを得ない」として、すべての交渉経緯を明らかに明らかにするよう求めていくと語った。

 孫氏は、これまでにADSLや固定電話でソフトバンクの参入により料金が下がったことを挙げ、「誰がなんと言おうと日本の携帯電話料金は高いものは高い。新規参入により必ず料金は下がるし、下げてみせる。小泉首相にも、郵政民営化には賛成だが、切手代が安くなるのと携帯電話の料金が下がるのではどちらが重要かを考えていただきたい」と語り、新規参入により携帯電話の料金を下げていくという同社の意気込みを述べた。

 質疑応答では、今回の問題については「最高裁までかかろうがどこまでもやる。100年でもやります」(孫氏)と語り、徹底的に争う姿勢を強調。また、すでにソフトバンクBBが行なっているTD-CDMAとCDMA2000方式の実証実験については、「TD-CDMAはデータ通信では十分利用できるが、音声としてはまだ未完の技術であるという段階。一方、CDMA2000は良好な実験結果となっているが、こちらは既に多くの通信事業者がサービスを行なってことからも当然の結果と考えている」として、「いずれにしても、800MHzの方がはるかに電波特性がいいというのは通信事業者の常識であり、ソフトバンクBBとしても800MHzでの実験を早期に開始したい。技術としてはTD-CDMAだけにこだわっていたわけではなく、あらゆる技術で携帯電話事業に参入したいと従来から主張しており、TD-CDMAがうまくいかないからCDMA2000を進めているというのは誤りである」と語った。

 なお、総務省では「訴状が届いていないので、現時点ではコメントできない」としている。


800MHz帯再編の総務省案とソフトバンクBBの検討要求案 世界各国における携帯電話料金の比


URL
  ソフトバンクBB
  http://www.softbankbb.co.jp/

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(関口 聖, 三柳 英樹)
2004/10/13 16:41

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