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MCF、定額制本格化によるコンテンツビジネスの将来を語るイベント

 モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は30日、都内で総会および記念セミナーを開催した。セミナーでは、NTTドコモ プロダクト&サービス本部 コンテンツ担当部長の山口 善輝氏やKDDIコンテンツ・メディア本部 コンテンツ推進部長 竹之内 剛氏が登場し、iモードおよびEZwebに関する最新データや今後の展望が語られた。

 セミナー後半は、KLab代表取締役社長の真田 哲弥氏、ミュージック・シーオー・ジェーピー取締役会長の佐々木 隆一氏、ネットプライス代表取締役社長の佐藤 輝英氏も参加して、パネルディスカッションが行なわれた。


ドコモ、定額制でコンテンツ利用率が高まる結果に

NTTドコモ プロダクト&サービス本部 コンテンツ担当部長の山口 善輝氏
 最初に登壇したNTTドコモの山口氏は、現状のiモードから紹介。FOMAが730万契約に達したことや、バーコード対応端末が約1,400万台、赤外線通信対応端末が約2,720万台に達したほか、900iシリーズでゲームのプラットフォームとしても力を付けてきたとして、コンテンツプロバイダ(CP)にとって、魅力的なサービスであるとアピール。ゲームジャンルだけを見ても、その売上高は前年比で34%増とのことで、900iシリーズの登場でさらに成長していると分析した。

 同氏は、ユーザーの有料コンテンツ利用動向にも触れ、ユーザーが自端末のマイメニューに登録しているサイト数は、ムーバよりもFOMAが若干多く、実利用率を見れば、ムーバが47.2%、FOMAが74.5%になっており、1人のユーザーが支払っている単価も向上していることを紹介した。

 1カ月あたりの総iモード利用料は、現在130億円に達しているとのことで、同氏は「ドコモは情報料の9%をCPから頂戴しており、年間では100億円以上になる」と語り、今後もコンテンツ分野に注力し、キャリア・CPともに利益を得られるようにするとした。

 901iシリーズにも触れた山口氏は、「今回のシリーズではiモード FeliCaに3機種が対応している。なぜ全機種にしなかったのか、という疑問はあるだろうが、現実問題として、FeliCaチップが足りないと聞いている」と述べ、スタートを切ってから間もないiモード FeliCaが本格的に普及するには、もうしばらく時間が必要との見解を示した。


KDDI、BREWコンテンツの世界展開を支援

 一方、auのEZweb展開についてはKDDIの竹之内氏から説明が行なわれた。昨年よりスタートした定額制について同氏は、「EV-DO方式の導入にあたって、どういったサービスが必要なのか企画してきた。そういったサービスを普及するために定額制を導入した」とその背景を語った。

 導入から1年を経て、1ユーザーあたりのコンテンツ利用料は、依然は700円程度だったものが、現在は1,400円程度とほぼ倍増する結果になっていると述べた竹之内氏は、「だんだんと購入価格が増えている。定額制の効果は予想以上」と語り、キャリア自身はパケット通信料の向上が見込めないものの、今後はCPにとってさらに成長が見込める市場になるとした。

 同氏は、EZwebで提供している各種サービスにも触れ、「着うたのダウンロード数は、10月時点で1億3,000万に達した。CDの売上にも悪影響はなく、レコード会社側もプロモーションなどに使用している。着うたフルは、上限ファイルサイズが1.5MB、エンコードレートが48kbpsといったデータを配信するが、対応端末の発売から1週間で、75,000台販売し、着うたフルのダウンロード数は、11万に達しようとしている」ことを明らかにした。

 またEZチャンネルについて竹之内氏は、「EZチャンネルは夜間に配信しているが、実は擬似プッシュ型で、正確にはプル型サービス。これまでの経験で、地域や時間帯のトラフィック状態が把握できたので、今後はいろいろとやっていきたい」と述べ、本格的な広告モデルの導入が近いことを示唆した。具体例として、夜間にEZチャンネルコンテンツを端末側に送信しておくことで、テレビ番組の放送開始時間や映画の封切日など、プロモーションにおいて狙ったタイミングで携帯電話のディスプレイ上に広告や関連情報を表示させる仕組みを紹介した。この仕組みを使えば、昼休みの時間帯にコンビニエンスストアなどがクーポン券を配信することも可能とのことで、生活シーンに密着した情報配信サービスにもなり得るという。

 またアプリケーションプラットフォームであるBREWについては、「24カ国37社で対応サービスが提供されている」(竹之内氏)という状況にあり、KDDIでは今後、日本製のアプリケーションが海外キャリアでも導入されるようなスキームを提供する予定も明らかにされた。

 このほか、「W21CA」に搭載されるPCサイトビューアーについて同氏は「auだけではなく、全キャリアで今後導入されることになるだろう。ただし、KDDIでは、携帯からアクセスしたことをサイト側に示す仕組みにする。パソコン向けサイトでは無料で利用できるコンテンツが少なくないが、CP側にとっては1サイトに共通化できることはコストダウンに繋がる。携帯電話からアクセスした場合は、パソコン向けサイトでも課金スキームに対応できる。(PCサイトビューアーは)表現力が増すという意味で捉えて欲しい」と語った。


定額制でコンテンツはどう変貌していくのか

左:NTTドコモ山口氏
右:KDDIコンテンツ・メディア本部 コンテンツ推進部長 竹之内 剛氏
 パネルディスカッションに移り、KLab真田氏、ミュージック・シーオー・ジェーピー佐々木氏、ネットプライス佐藤氏も参加して、今後の展望が語られた。

 山口氏は、定額制導入の意義として「当社にとっては収益減になるが、ユーザーにとっては使いやすい。通信料を気にする必要がないのは、ユーザーだけではなく、CPにとっても同様であり、いろいろとチャレンジしてもらえるのではないか」と述べ、表現力やエンターテイメント性が増していく携帯電話には、まだまだ可能性があるとした。また同氏は、「通信料に頼れなくなるため、それ以外の収益を想定していかなければならない。その1つがソニー・コンピュータエンタテインメントに提供する課金プラットフォーム。今後は定額制、3Gということでさまざまなビジネススキームが登場するのではないか」と業種を超えるビジネスモデルの必要性が高まっているとした。

 竹之内氏は、前日に発表されたエキサイトとの協業に触れ、「KDDIはパソコン向けにインターネット接続事業も展開しているが、ユーザー数としてはauの方が圧倒的。時間帯でユーザーの利用動向を見ていると、外出時は携帯電話、帰宅してからはパソコンというユーザーが増えつつある。(エキサイトとの協業は)auユーザーにとって、パソコン向けサイトを使いやすい環境にすることを目的としている」と述べた。

 また同氏は、定額制にまつわる1X WINユーザーの動向も紹介。EZチャンネル非対応機種では定額制の契約率は約7割だが、対応機種であれば約9割になっているという。また、これまで携帯電話で積極的にコンテンツを利用するのは男性のほうが多い傾向があったのが、定額制導入後は、メールの利用が中心的だった女性もコンテンツを購入する傾向になってきたことも明らかにした。


左からKLab代表取締役社長の真田 哲弥氏、ミュージック・シーオー・ジェーピー取締役会長の佐々木 隆一氏、ネットプライス代表取締役社長の佐藤 輝英氏
 定額制導入による効果について、真田氏は、「いわゆるソリューション事業は間違いなく伸びる。たとえばカスタマーサポートは、従来フリーダイヤルで音声による応対が主流だったが、(通信料という手間を考慮する必要がなくなり)今後はサイトに案内することが可能になる。またiモード FeliCaなど生活に密着したサービスが携帯電話で提供されることで、携帯電話に関するノウハウがない企業も新たな商機となり、マーケット規模が格段に広がる」と指摘。

 しかしながらiモード FeliCaは、爆発的に普及しているとは言えない現状。真田氏は「au、あるいはJR東日本のSuicaを期待するところが多いのではないか。問い合わせは数多くいただいているのだが……」と述べ、普及までにはもうしばらく時間がかかるとした。同氏は、今後大きく期待できる存在として、「QRコードの方が、リアルとの連動という点ではインパクトは大きいのではないか。雑誌などでも掲載されるようになり、今後急拡大すると見ている」とした。

 着信メロディや電子書籍の配信を手掛けるミュージック・シーオー・ジェーピーの佐々木氏は、「着うたのマーケットは順調だが、今後の課題は音源、価格、再生環境の3つ。来年にはアップルコンピュータが本格的に音楽配信事業を国内でも展開するため、携帯電話とデジタル音楽プレーヤーの戦いになる」と語り、今後さらに低価格化などを進める必要性があるとの認識を示した。

 また動画配信については、依然として著作権の処理が問題になっているとした同氏は、「オリジナル作品ならクリアにできるが、テレビドラマの配信などは、まだ問題がある。来年には著作権処理をスムーズできる環境を整えたい。音楽については着信時に再生されるムービーが好調で、近い将来にうまくまとまる可能性がある」と語った。

 4年前から携帯電話での物販に取り組んでいるというネットプライスの佐藤氏は、「ブランド商品から食材、ベビー用品まで幅広い品揃えで総合的に売り上げが伸びており、現在は月間売上高は5億円になった。もともと7割が女性ユーザーで、年齢層では20代が中心だったが、最近は40代の女性ユーザーが全売上高の1割を突破しており、ようやく“携帯電話でショッピングする”というスタイルが浸透してきたようだ」と現況を説明した。

 このほか、KDDI竹之内氏からは、ドコモから来年提供予定のiモードによる料金回収代行サービス「プラットフォーム課金」について、KDDIも同様の仕組みを検討していることが明らかにされ、近日正式発表する見込みであることが明らかにされた。



URL
  モバイル・コンテンツ・フォーラム
  http://www.mcf.to/
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
  KDDI
  http://www.kddi.com/
  KLab
  http://www.klab.org/
  ミュージック・シーオー・ジェーピー
  http://www.music.co.jp/
  ネットプライス
  http://www.netprice.co.jp/


(関口 聖)
2004/11/30 20:24

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