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中国3Gキーマン、中国の3G戦略を語る

信息産業部 電信研究院の陳 育平氏
 中国の3G政策について意見提案や3Gのテスト試験を行なう立場にある、中国 信息産業部 電信研究院の陳 育平氏が来日し、都内で中国の3G政策を明らかにした。近年、目覚ましい発展を遂げている中国経済は、携帯電話業界においても各社の戦略のカギをにぎる市場となっている。GSM方式の採用で2Gの普及が進み、3Gへの移行時期も話題に上る中、中国3G戦略のキーマンと目される同氏のほか、フライ 代表取締役会長の山口 増海氏も同席し、中国の携帯電話市場の現状と今後が語られた。

 現在、中国では3Gサービスは開始されていないが、世界各国の動向に対応する形で近いうちに3Gサービスが開始されることになっている。3G政策の決定権は日本の内閣に相当する「国務院」が持っており、国務院に対し3G政策の意見提案ができる下部組織として「国家発展和改革委員会」「科学技術部」「信息産業部」が存在する。来日した陳氏は信息産業部の電信研究院で主任、シニアエンジニアを務める人物。また、フライ 代表取締役会長の山口 増海氏は、シャープや京セラ、三洋電機で通信系の業務に携わり、現在はフライにて中国における携帯電話市場の情報収集や中国進出企業に向けたコンサルティング、販売支援などを行なっている。


中国3G戦略は9月に詳細が明らかに

 陳氏はまず、信息産業部 電信研究院の役割として、「3Gに関しては政策の研究、設備のテストなどを多くこなしてきた」と説明。「今年、中国で3Gサービスが始まるとされているが、これに対応して技術的な交流、イベントなども行なっていく」とした。また、中国内のサミットやフォーラムなど今後のスケジュールを明らかにしたうえで、「9月に北京で行なわれる『3G in China グローバルサミット2005』で具体的な3G政策が発表されるだろう」と述べ、これまで明らかにされてこなかった中国の3G政策の具体的な発表次期に言及した。また、今後日本でも活動を広げていくことが明らかにされた。

 3Gの通信方式については、W-CDMA、CDMA2000、TD-SCDMAの3つを同時に推進し、「どれかを制限するといったことはしない」とするとともに、すでに行なわれている3Gに関する試験では3つの方式全てを試験していることも明らかにされた。また、この試験には中国内で携帯電話事業を手がける全6キャリアが参加しているとした。

 一方で同氏は、中国の戦略として「TD-SCDMAを支持し、大きな発展を期待している」と述べ、「TD-SCDMAに関しては融資などの優遇措置がとられるだろう」とした。しかし、「キャリアに対して指示をすることはない。どの方式を選ぶかは市場が決めること」と述べ、政府としてTD-SCDMAを推しつつも、強制などはしない立場であることが説明された。


海外からの投資にも積極姿勢

 中国内のキャリアに対し、3Gネットワークの構築やサービス運営能力を疑問視する声については、「中国内のキャリアに3Gの運営能力があれば問題ないが、海外から技術的な指導や投資も是非行なってもらいたい。3Gが早く発展できるよう期待している」と述べ、海外からの投資を積極的に受け入れる用意があることを明らかにした。また、TD-SCDMAについては、キャリアと政府が協力しTD-SCDMAのみの試験を実施していることも明らかにされ、「6月までには問題点などを掴みたい」とした。このほか、3G端末の開発能力の遅れがサービスを制限してしまうとの懸念に対しては、「当初は端末の能力がネットワークの機能を制限してしまうかもしれないが、ネットワークの機能と普及が端末性能を引っ張っていくことになるだろう」との見方を示した。

 また「3G開始後に、すぐに始められるよう準備するのが基本」とし、「日本の端末メーカーに対するメッセージ」として、「今から準備して欲しい。3Gが始まってから準備したのでは遅く、場合によっては参入できないかもしれない」と述べ、早期の参入を促した。


3Gは政治のカード

フライ 代表取締役会長の山口 増海氏
 一方、フライの山口氏は、3Gで中国に進出する日本企業について、「TD-SCDMAについて、3社程が興味を示しているようだ」とし、TD-SCDMAを含めて最終的に「10社程度が中国に参入するのではないか」との見方を示した。同氏はGSMなどで日本企業が中国で活躍できていない現状を述べ、「3Gでは頑張ってもらいたい」と期待を寄せた。また同氏は、3Gサービス開始前に中国内のキャリアの再編が起こると予測。「現在の6キャリアから、3キャリア程度になるのではないか」との見方を明らかにした。

 このほか同氏は、「3Gサービスは中国の政治のカードに利用されている側面がある」と指摘。CDMA技術の米国からの導入など、各国との連携や協調も含め「新幹線導入と同じく、中国に残された数少ない政治カードの一つ」としたうえで、「これ以上3Gの導入を遅らせたのでは発展に取り残される可能性がある」と述べ、中国3G戦略の別の一面を明らかにした。


爆発的な発展、今後は内陸での普及が課題

2009年には半数が3Gになるとの予測。実に3億人近いユーザー数だ
 中国携帯電話市場の3Gに関する今後の見通しについては、陳氏は2005年に3Gサービスが開始されると仮定したうえで、「2006年は成長期。2007~8年は大きな発展期となり、この期間は3Gの加入者数が毎年2,000万~3,000万人の増加となるだろう」と述べ、2009年には市場の半分が3G端末になるとの予測を示した。同氏はまた、メーカーブランドで端末の販売が行なわれている中国において、3Gではキャリアブランドでの販売も増えるだろうと予測。メーカーに具体的な支持は行なわない方針であるとしたうえで、3G端末全体の10分の1から7分の1をキャリアブランドが占めるだろうとの予測を示した。2Gを含めた中国の端末生産見通しについては、現在、年間1億1,000万~1億3,000万台の生産で、このうち5,000万~7,000万台が国内向け、残りは輸出向けという。2006年には年間生産台数が1億5,000万台にまで伸びるとし、3Gに関しては今後毎年3,000万台の需要が見込まれるとした。

 また、「中国の発展は早い。市場全体で毎年5,000万人、毎月500万人増加している。一方で、国民全体への普及率は20%にとどまる。端末の値段が安くなれば、内陸への需要も開けてくるだろう」と述べ、内陸への普及が今後の発展のポイントであるとの見方を示した。



URL
  信息産業部 電信研究院(英文)
  http://www.cttl.com.cn/english/
  フライ
  http://www.kfli.co.jp/


(太田 亮三)
2005/03/28 16:06

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