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ボーダフォン決算発表、3カ年プランで巻き返し狙う

津田志郎氏、ジョン・ダーキン氏

 会長の津田志郎氏(左)とCFOのジョン・ダーキン氏
 ボーダフォンは、2004年度連結決算を発表した。営業収益は前年比11.2%減の1兆4,700億円、営業利益は14.6%減の1,580億円、経常利益は15.4%減の1,533億円、当期純損益は前年の1,000億円の赤字から1,620億円の黒字となった。

 営業収益が前年比2桁の減少となったのは、2003年10月から日本テレコムの固定通信事業を連結除外としたことが大きく影響しているが、さらに移動体通信事業の売上高減少も影響。同社が掲げた業績予想に対しても、営業収益でマイナス4.0%の未達となっている。

 営業利益では、加入者の減少や端末単価の上昇を背景にした顧客獲得費用の減少、端末在庫の改善、ダークファイバーへの一部移行に伴う管理費の抑制などの効果があったものの、電気通信事業収入の低下と顧客維持費用の増加によって、マイナス成長となった。

 また、経常利益の減少は、営業収益同様に固定電話事業のマイナスが大きいが、それでも、「経費抑制に成功し予想を20.8%上回る実績」(代表執行役最高財務責任者・ジョン・ダーキン氏)と評価した。

 なお、当期利益の大幅な増加は、法人税など調整額899億円が計上され、これが、希望退職制度の約51億円、および固定資産除去損にかかわる特別損失を相殺。予想を47.3%も上回る結果となった。

 なお、同社では、2005年度の業績見通しについては一切公表しない方針を見せており、今回の会見でも、「コメントは差し控える」(津田志郎代表執行役会長)と繰り返し、「厳しい環境になるのは間違いない」、「11月からの家族間の音声定額制プランの導入は、短期的にはマイナスのインパクトがあるだろう」などとするだけに留まった。


連結決算の概要 移動体通信事業の業績
連結決算の概要
移動体通信事業の業績

高ARPUユーザーが他社へ流出?

ARPUの動向

ARPUの動向
 津田氏は、2004年度の業績を振り返り、「純増シェアは、年間を通じても1.7%に留まり、純増数もわずか8万9,300となった。さらに、ARPUは、各社とも全体的に減少傾向にあるものの、当社の場合は、下期は6,020円と8.6%も減少している。高ARPUユーザーが他社へ流出していることに加え、プリペイド携帯電話の利用比率が高いことや普及率が高まったことを背景にした低額利用ユーザーの増加、非音声ARPUの比重が、21.5%に留まっていることなどが影響している。第3世代携帯電話もようやくこの4月で100万加入を超えたところであり、2社とは差がありすぎる」などと、同社を取り巻く課題について述べた。

 同社の累計市場シェアは、昨年度末の18.3%から17.3%へと1ポイント落としている。


3Gへの移行進まず

顧客獲得費用、解約率、買換率の推移

顧客獲得費用、解約率、買換率の推移
 同社が苦戦している最大のポイントは、第3世代携帯電話(3G)の出遅れだろう。

 昨年12月から相次いで投入した、海外でも利用できるコンバージェンス端末は話題を集めたものの、「マーケットからの評価は必ずしも良くはなかった」(津田氏)という結果だった。

 「日本のユーザーが慣れ親しんでいるインターフェイスと、コンバージェンス端末にギャップがあったのが要因」と、津田氏はその敗因を分析する。

 また、3Gの人口カバー率についても、「他社とは遜色がないレベルに達しているが、郊外でのつながりやすさなど、細かいところまで見ると、当社の第2世代や、他社の第3世代に比べてカバーできていないところが目立つといった課題もある」と語る。

 こうした点における改善が、今後の取り組みとして欠かせないのは明らかだ。

 津田氏は、「端末に関しては、海外で流通しているコンバージェンス端末だからこそ、短期間に、あれだけの機種を品揃えできたというメリットはある」と前置きしながら、「日本で受け入れられる端末の投入は必要。それには、設計段階から取り組むもの、海外で流通しているものに日本独自の機能を搭載するもの、軽微な改良を加えるものといったようにいくつかの手法がある。こうしたいくつかの組み合わせによって、引き続き製品を投入していく。3Gの新機種投入は主力のひとつと捉えており、今年も積極的な端末投入を行なっていく」としている。

 また、3Gのカバーエリアの拡大については、今年中に5,000局を上回る基地局を増設する予定で、「現在、基地局を設置する場所の折衝や、工事の準備を進めているところもある。予定よりも繰り上げて増設する考えであり、これができると、他社との差はかなり解消されるはずだ」とした。


「メール」のボーダフォンの復権狙う

 一方、津田氏は、今後の事業の方向性について言及。「ドコモはおサイフケータイ、auは着うたというサービスでイメージが形成されているが、いまのボーダフォンには代表するようなサービスがない」とコメントし、「もともとボーダフォンが得意としてきたのは、メールサービス。スカイウォーカーやJ-スカイ、写メールなどの代表的サービスが過去にはあった。もう一度、メールでボーダフォンの優位性を発揮したい」と宣言した。

 パケット通信の定額制サービスによって、メールの利用環境を整えるのに加え、海外においても、音声だけでなく、メールもそのまま使えるという強みを訴えていく考えだ。

 さらに、ボーダフォンの前身となる東京デジタルホンで、スカイウォーカーを開発し、5年前に退社した太田洋氏を、今年5月に、同社常務業務執行役員プロダクトマジメント本部長として復帰させ、サービス事業のテコ入れを図る姿勢を示している。

 「かつてのボーダフォンは、新しいものや、若い人に受け入れられるものを、次々と市場に提供してきたが、どうも、ここ数年はイノベーションに対する姿勢が弱かったようだ。太田さんを呼び戻したことで、開発のイノベーションをパワーアップしたい」(津田氏)と語った。


3カ年プランを策定中

業績回復へのマイルストーン

業績回復へのマイルストーン
 同社では、2005年度から2006年度を「反転攻勢」の年として位置づけるとともに、2006年10月からのナンバーポータビリティ制度の開始を経て、2007年度以降を「成長」の年としたい考えだ。

 「顧客は、通信事業者のどこを見て選ぶかといえば、端末、コンテンツ、サービスが低料金で提供されるのか、ネットワークの品質やカバーエリアはどうか、という点。ナンバーポータビリティ制度の開始までに残された時間は少ないが、やるべき課題は多い。この時までに、他社に劣るような部分があってはいけない。まずは、純減傾向を止め、純増へとつなげ、シェアを高めていくことに邁進したい。現在、3カ年のスパンでどうアクションを取るのかについて、とりまとめをしているところである」として、中期的視点での成長政略に取り組んでいく方針を示した。



URL
  ボーダフォン
  http://www.vodafone.jp/


(大河原克行)
2005/05/24 19:41

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