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J:COMがウィルコムと提携、MVNOで通信サービス

握手を交わすウィルコム代表取締役社長の八剱洋一郎氏(左)と、J:COM代表取締役社長兼最高経営責任者の森泉知行氏
 ジュピターテレコム(J:COM)とウィルコムは、J:COMブランドによるPHS通信サービスの提供で合意したと発表した。2006年3月を目処にサービスが開始される予定。

 両社では27日、都内で報道関係者向け発表会を開催。J:COM側から、代表取締役社長兼最高経営責任者の森泉知行氏、取締役 事業開発統括部長の加藤徹氏、ウィルコム側から代表取締役社長の八剱洋一郎氏と執行役員 経営企画本部長の喜久川政樹氏が出席し、提携の概要やサービスイメージを紹介した。


ウィルコムの音声定額をベースにしたサービスに

サービス概要
 両社の提携による新サービスは、「J:COM MOBILE(仮称)」という名称で提供される。J:COMでは、ケーブルテレビサービスに加えて、インターネットアクセスサービス、固定電話サービスを提供しており、顧客満足度や利便性、ARPU向上を目指して「J:COM MOBILE」を開始する考えで、第一のターゲット層に位置付けられるのは、J:COM提供の固定電話サービス「J:COM PHONE」ユーザーである約90万世帯。さらに、J:COM PHONEユーザー以外のJ:COMユーザー(約110万世帯)にもアプローチしていき、1世帯につき複数台の販売を目標にしていく。

 料金体系やサービス内容の詳細は、今後詰めていくとのことだが、ウィルコムの音声通話定額プラン「ウィルコム定額プラン」を中心としたサービス内容になる予定。このため、J:COM MOBILEの料金体系は、「ウィルコム定額プラン」の月額2,900円(2台目以降は月額2,200円)をベースとして、「J:COM PHONE」などと組み合わせたディスカウント価格での提供が想定されている。

 通話料は、J:COM MOBILE端末からウィルコム端末の間は無料。J:COM PHONEからJ:COM MOBILEへの通話料は、月間10,500円分の無料通話分がついた月額250円のオプションサービス「とくとく・トーク」の適用対象となる。なお、J:COM PHONE自体の基本利用料は月額1,330円。また、J:COM PHONEからウィルコム端末宛の通話料は、従来通りの設定で、平日昼間・市内通話の場合で3分35.7円となっている。


入者間通話やJ:COM MOBILE発ウィルコム着の通話料は無料になる予定 利用イメージ

J:COM MOBILEの端末は、ウィルコムの新機種から採用される予定
 「J:COM MOBILE」向けの端末は、ウィルコムが近日発売を予定している音声端末「WXシリーズ」から採用される。端末からのインターネットアクセスも利用できるようになり、ウィルコム端末と同じく、定額でのデータ通信サービスも検討されている。ただし、サービス開始当初は、パソコンと接続した形でのデータ通信専用サービス・カード型端末の提供は計画されていない。

 J:COMは、ウィルコム主導で年内に正式発足する予定の団体「WILLCOM コアモジュール フォーラム」への参加が決定している。将来的に、W-SIM対応機種の投入も検討されており、J:COM MOBILEオリジナルのW-SIM対応機種が登場する可能性もある。

 特徴的なサービスとして、J:COMの各種サービスとJ:COM MOBILEの利用料を一括請求する形になる。課金システムは、J:COMが構築した既存の顧客管理システムをベースにし、ウィルコム網へのインターフェイス構築は行なわれるものの、大規模な開発および投資は必要ないという。


ARPU向上、解約率低下を見込むJ:COM

J:COM 取締役 事業開発統括部長の加藤徹氏
 J:COM森泉社長は、「PHSでのサービスを提供することで、ユーザーの満足度や利便性向上が見込める。他社に対しても優位性を確保し、企業価値の向上にも繋げていきたい」と意欲を示した。

 J:COM MOBILEの概要を説明した加藤氏は「まさに固定とモバイルの融合サービス。既に当社の電話サービスを利用されている方には受け入れられるのではないか。当社のユーザーはファミリー層が中心で、自宅にかける頻度が多い人、塾に行く子供と連絡がとりやすくなるといったメリットがある」と説明した。

 提携先としてウィルコムを選んだ理由について、森泉氏は「我々としてはいかにARPUを安定的に上げていくかが課題。J:COM MOBILEの提供によってARPUが500円程度上昇したとしても、当社としては解約率低下も見込め、満足できるサービスになると見ている。当社だけで全国にインフラ展開するという巨額な投資を行なう考えはない」と述べた。

 加藤氏は「今春以降、毎月純増を達成し、マーケットの成長が見込める。クリアな通話品質や固定電話への通話料もリーズナブルな点、定額で料金設定しやすいところなどが魅力だ。今回の提携自体は独占的な性格はないため、両社ともに他社との提携も可能なものだが、PHSは携帯電話に劣るわけではないと判断したことや、信頼関係など考えるとJ:COMにとってウィルコムがベスト」と語り、原則的にウィルコム以外との提携は可能性として存在するものの、今回の提携は必然的な結果との認識を示した。

 ウィルコムユーザーがJ:COM MOBILEへ移行したい場合の手続きについては、まだ課題が残されているとのことで、より簡便な手続きになるよう検討していく。このほか、J:COM MOBILEというサービスを提供する上において、両社出資による合弁会社を設立する考えはないことも明らかにされた。

 固定電話サービスであるJ:COM PHONEには、転送機能が用意されており、J:COM MOBILE向けの端末に転送することも可能。また、加藤氏は、宅内でJ:COM MOBILE端末を固定電話の子機にできる仕組みも取り入れたいとの意向を示した。今秋登場のウィルコム新機種のうち、子機にできる仕様(いわゆる自営モード)を取り入れているのは、日本無線製の「WX310J」のみだが、加藤氏は「1機種のみでは厳しい。最低でも2機種欲しい」とも述べた。


J:COM MOBILE提供の狙い ウィルコムとの提携は、独占的ではないとのことだが、「ベストな結果」という

ウィルコムから見たメリット

冒頭、八剱社長はウィルコムのユーザー数を紹介。年内にも過去最高の361万契約という記録を塗り替えるとした
 ウィルコム八剱社長は、提携にあたって、「J:COMは、携帯電話キャリアとの関連がなく、当社と同じように独立性を持った存在だ。当社からすれば、今回ほど親密な提携ができる企業はそれほど多くない。その中でもJ:COMは有力なパートナーで、ユーザーにとってもわかりやすいFMC(固定と携帯の融合サービス)を提供できるだろう。今後はデータ通信など、さまざまなサービスでの提携も実現できればと考えている」と述べた。

 ウィルコムでは、既にMVNOに対して同社のネットワークを卸売りしているが、八剱氏は「従来は、いわばバンド幅を卸売りしている形。その量を100人に対して提供するのか、1,000人に対して提供するのか、当社ではなく卸売り先のMVNOが判断して展開している。しかし、今回は、通話品質など我々が1回線ずつ責任を持って提供するという後方支援での協力体制だ」と述べ、J:COMとの関係は従来のものとは異なるとした。


ウィルコムから見た提携の背景 提携の幅を拡大できることを目指していく

今回の提携は、ウィルコムにとって、従来のMVNOとは異なる関わり方になるという

ウィルコム執行役員 経営企画本部長の喜久川政樹氏
 喜久川氏は、ネットワーク構成について「サービス開始時点では、J:COMとウィルコムのネットワークはNTT網を経由した形で接続される。NTT網経由では、アクセスチャージは発生するが定額サービスとしていきたい。また、ウィルコムではNTT網をバイパスできるITXを展開中で、将来的にはITXを活用していく。当社の基地局に接続しているバックボーンはNTT網だが、基地局の大容量化などを踏まえると、将来的にはJ:COMのネットワークを活用することも視野にいれていきたい」と説明した。



URL
  ウィルコム ニュースリリース
  http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2005/10/27/
  J:COM ニュースリリース(PDF形式)
  http://www.jcom.co.jp/pdf/newsrelease/ja/20051027_ja.pdf

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(関口 聖)
2005/10/27 13:14

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