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携帯電話の番号ポータビリティ、利用はごくわずか!? NRIが試算

 2006年11月からの導入が決まった携帯電話の番号ポータビリティ(MNP:Mobile Number Portability)だが、国内約9,000万契約のうちごくわずかの利用にとどまるのではないかと、野村総合研究所(NRI)では予想している。この予想は、2005年8月30日から9月13日にかけて、2,500人を対象に訪問留置方式で行なわれた調査を元にしたもの。


「MNPがあるなら、キャリア変更しよう」はごくわずか

 NRIではまずMNPの利用に関わらず、今後2年間のキャリア変更希望を調査した。その結果、NTTドコモからのキャリア変更希望はKDDI(auとツーカー)に312万契約(推定値、以下同)、ボーダフォンに96万契約、KDDIからはNTTドコモに198万契約、ボーダフォンに33万契約、ボーダフォンからはNTTドコモに171万契約、KDDIに148万契約という結果になった。キャリア変更を希望する契約は3キャリア合計958万契約で、調査時点の契約総数である8,848万契約の10%程度だった。

 続いて、上の質問で1年以内にキャリア変更する予定がないと回答した人に対して、キャリアにひも付いた「 *****@docomo.ne.jp 」といったメールアドレスは引き継げないなど、電話番号以外の障壁を明記した上でMNPの利用意向を調査したところ、詳細な数値は明らかにしていないものの、MNPによるキャリア変更の影響は3キャリア合計の958万契約に対して±10万契約程度だと試算した。

 NRI上級コンサルタントの北俊一氏は「2004年9月にWeb上で実施したアンケート調査ではauの独り勝ちだった。今回の調査では『MNPがあるなら、キャリア変更しよう』という人自体が少なく意外だった」という。


NRIではまずMNPの利用に関わらず、今後2年間のキャリア変更希望を調査 続いて、電話番号以外の障壁を明記した上でMNPの利用意向を調査した

料金の安さではなく魅力的なサービスで顧客獲得を

障壁は携帯電話業界の努力で、ある程度解消することもできるが、行き過ぎた料金競争はキャリアを疲弊させるだけ。「魅力あるサービスで顧客獲得競争をするべきだ」と北氏
 NRIではMNPの利用手数料に2,000円~3,000円程度かかる見込みだと予想している。また、現在予定されているMNPでは、1)メールアドレスは変更することになる、2)長期割引や年間割引などの契約は引き継げない、3)家族割引を利用している場合、自分だけがキャリアを変更すると料金が高くなる可能性がある、4)各キャリアのポイントサービスは引き継げない、5)着メロやゲームなどのコンテンツは継続利用できない――といった障壁もある。

 だが、こうした障壁は携帯電話業界の努力で、ある程度解消することもできるという。Yahoo!メールなどのフリーメールや、デジタルコンテンツ流通プラットフォーム「Yahoo!コンテンツストア」を利用すれば、キャリアに依存せずにメールアドレスやコンテンツを管理できると北氏は指摘する。また、MNPの利用手数料は移行先のキャリアや販売代理店が負担することも考えられる。ポイントサービスや割引契約も、請求書などの料金明細を移転先キャリアに提出することで引き継ぎを行なうことも可能だろう。年間割引契約者であっても、違約金を移転先キャリアが補填する可能性もある。

 とはいえ北氏は、キャリアや販売代理店が料金を過度に負担するのには否定的だ。韓国のMNPは2004年1月から段階的に実施されてきたが、SKテレコム(SKT)、韓国通信フリーテル(KTF)、LGテレコム(LGT)の3社による熾烈な顧客獲得合戦の末、違法な販売インセンティブも行なわれ、各社が処分を受ける結果になった。

 「結局、得をしたのはサムスン、LG電子などの端末メーカーやインセンティブを受けた販売代理店。キャリアは疲弊しただけ」と北氏。国内でも同様の事態に陥るとは限らないが、「3キャリア中で最もシェアの少ないボーダフォンがインセンティブ勝負を仕掛けてきてもドコモやauは乗らないだろう。インセンティブで獲得できる顧客はARPUが低く、ロイヤリティも高くない。そうした顧客は長期の契約には結びつかない。先行する香港や米国のMNPでは、低料金のキャリアは続かないケースもある」という。「過度な料金負担ではなく、各社サービスの魅力による顧客争奪戦を期待したい」と呼びかけた。


状況によってはMNP利用意向者が増加するなど「寝た子を起こす」可能性も

北氏は「むしろ、今年の春商戦だ」と、MNPを見据えた各社の端末ラインナップに注目する
 実際の動向予想としては、「まだ手続きの方法も発表されていない」と不透明感が先立つ。その上で「移転先キャリアが年間割引を負担しないということであれば、ユーザーの契約が切れたときにMNPを利用するのではないか。日本よりも年間割引の縛りが厳しい米国でもスロースタートだった。ショップ前に行列ができることはないだろう」と分析。「MNP直前の10月は買い控え。11月から、クリスマス商戦の12月、2007年2月、3月の春の商戦以降も影響が出る」という。

 「一般顧客はまずは様子見になるのではないか。むしろ、今年の春商戦に注目。年間割引を契約させるような魅力的な端末が多く発売される可能性が高い。キャリアとしても処理能力を超えるキャリア変更は避けたいので、できるだけピークを後ろ倒しにするような施策をとってくるのではないか。」

 「2005年11月前半にどれだけ盛り上がるか。マスコミの宣伝、量販店のキャンペーン、キャリア自身によるインセンティブの有無など、各要素が絡んでくる」と北氏。場合によっては今回調査で少なかったMNP利用意向者が増加するなど「寝た子を起こす」可能性もあると述べた。



URL
  野村総合研究所
  http://www.nri.co.jp/

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(鷹木 創)
2006/01/10 18:12

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