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ソフトバンクの第3四半期（2005年10月～12月）の連結業績は、売上高が前年同期比293億円増の2,874億円、営業利益が前年同期比310億円増の235億円、当期純利益が前年同期比485億円増の220億円と大幅な増収増益となった。 また、第3四半期までの9カ月間（2005年4月～12月）を合わせた業績も発表された。こちらも大幅増益となり、売上高が8,102億円（前年同期比2,484億円増）、営業利益は949億円（前年同期比670億円増）、当期純利益は178億円（前年同期比504億円増）となった。 2005年度順調な業績を上げている状況について、孫氏は「営業利益、経常利益、当期純利益の3点セットが創業以来初めて黒字となった。我々はようやく長いトンネルを抜けた」とコメント。「各事業の売上げ推移でも全て着実に伸びている」とした。 同社は、従来よりヤフーなどのインターネットサービス事業は順調だった。しかし、孫氏が「大きなかけ」と語る固定ブロードバンド事業は、莫大な初期投資によってサービス開始以降赤字が続いていた。今回の説明会で孫氏は、「長いトンネルを抜けた」と述べており、ブロードバンド事業は「完全に黒字になった」と明言した。なお、赤字となっている日本テレコムの事業については、「利益直前まで来ている」と語った。
■ 携帯事業は「10年、20年かけて着実に積み上げる」
ソフトバンク傘下のBBモバイルは昨年、1.7GHz帯で携帯電話事業を行なうための免許を取得した。決算の質疑応答では、同社の携帯電話事業の進捗について質問が飛んだ。 一部報道において、同社がボーダフォンとMVNO契約を結ぶことで、サービス開始当初より全国エリアをカバーして事業展開するとされた件について、孫氏は、「あらゆる選択肢の可能性を否定するものではない」とした。ただし、「自前でインフラを作っていくこともあるし、そこへMVNOを混ぜることも検討している。どの手法でやるかは検討段階。価格、タイミング、MVNOなどの組み合わせについてはコメントできない。市場に参入する以上は、ユーザーに喜んでいいただけるようなサービスを提供していきたい」とし、全ての可能性を匂わせた。 携帯電話のネットワークを構築するには、一般的に莫大な費用がかかる。質疑応答では、基地局の敷設に際して、メーカーなどが設備投資のための資金を貸し付けたり、機器をリースするベンダーファイナンス方式での事業展開の可能性についても質問があった。同氏は、「ベンダーファイナンスの案件が複数来ており、積極的に提案頂いている。現在、鋭意精査している」とした。 また、ブロードバンド事業がそうであったように、インフラへの先行投資によって、携帯電話事業で大きな負債を背負うとの見方もある。孫氏はこうした意見について、復調した経営を再び赤字に戻すような戦略は取らないとした。 「ブロードバンド事業のように大きなかけに出るわけではない。力づくでやれば、また深く水面の下に潜ってしまう。バサロ泳法のようにずっと潜っているようなことはせず、1年や2年で突然ひっくり返すような無茶はしない。10年、20年かけて着実に一歩一歩積み上げていきたい。5年か10年に一度、技術の転換点があるので、それを見ながら徐々にアクセルを踏んでいくことになるだろう。連結での利益は、着実に上に積み上げていく」と語った。 ソフトバンクは、ADSLサービスに料金競争を仕掛け、そして生き残ってきた企業だ。しかし、今回の発表会では、そうしたスピードが求められる勝負ではなく、着実に展開していく旨が強調された。同氏は、2006年スタートのMNP制度やワンセグに対し、「サービス開始には間に合わない」とし、「携帯事業は、先行3社が20年近くやってきており、あまり性急に事を進めない。半年や1年、2年の変化には、右往左往しない」と述べた。 このほか、クアルコムやKDDIなどが実現を目指す携帯電話向け放送サービス「MediaFLO」（メディアフロー）について孫氏は、「強い関心を持っている。積極的に取り組んでいきたい。新規参入の我々は、新しいものへの許認可いただいて、WiMAXやワンセグなどさまざまな技術を組み合わせて新サービスを展開していきたい」と語った。 余談だが、質疑応答の中で孫氏の健康状態を気にする声が上がった。同氏は、「頭の方は危機的状況だが、健康は問題ない」と話して会場の笑いを誘った。今回の発表会は、同社にとって明るい話題が多かったせいか全体的に余裕が見られた。 ■ ＵＲＬ ソフトバンク http://www.softbank.co.jp/ ■ 関連記事 ・ 「ソフトバンク、MVNOでボーダフォンと交渉」に両社ノーコメント ・ 総務省の懇談会、NTT再編についてキャリア代表が熱弁を振るう ・ ソフトバンク、携帯向け放送「MediaFLO」導入を検討 ・ イー・モバイル千本氏、携帯事業に向けて熱のこもったスピーチ ・ 総務省、新規参入3社に認定書交付 （津田 啓夢） 2006/02/10 20:10 | ||||||||||||||
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