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ウィルコムが次世代PHSをデモ、現状は下り2Mbps程度

次世代PHS試験端末
 ウィルコムは21日、現在開発を進めている次世代PHSのデモンストレーションを報道関係者向けに公開した。実験局免許を得てから1カ月も経ていない時期となるが、現在のところ、下り2Mbps程度の通信速度が実現されている。

 同社が開発中の次世代PHSは、時分割方式(TDMA/TDD)に加えて、無線LANやWiMAXなどでも用いられているOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplex Access)を活用する通信方式で、上下ともに20Mbps以上という通信速度の実現を目指しているという。

 1月に取得した実験局免許では、2.3GHz帯、5MHz幅という帯域を使って、東京・虎ノ門に基地局1カ所を設けて、1方向に向けて電波を発している。次世代PHSの規格は、細部まで詰められていないものの、現状では、周波数帯は1〜3GHz帯、周波数幅は5〜20MHz幅、変調方式としてBPSK〜256QAM、音声コーデックはSIP準拠といった規格が想定されており、現在のPHSにも用いられているアダプティブアレイやSDMAに加えて、MIMO(Multi Input Multi Output)も導入されるという。また基地局展開は、従来のPHSと同じく、細かく基地局を配置するマイクロセルになる。なお、現行のPHS規格は、1.9GHz帯を利用し、周波数幅は300kHz幅、アクセス方式はTDMA/TDDで、音声コーデックはG.726 ADPCMで、フレーム長や変調方式は次世代PHSと同様となっている。


実験用基地局 デモ用に設置されたアンテナ

ウィルコム黒澤氏
 概要を説明した、同社開発本部長兼プロダクト開発部長の黒澤 泉氏は、「マイクロセルの利点は、周波数利用効率が高く、複数の基地局でエリアをカバーしているので負荷を分散し、安定したスループットが確保できるということ。総務省で進められているワイヤレスブロードバンド推進研究会の報告書では、3G/3.5Gを上回る通信速度や周波数利用効率を“広帯域移動無線アクセス”の要件としており、次世代PHSは、WiMAXと並んで、その1つに位置付けられている」と述べた。

 また、同氏は、「次世代PHSをエリア展開していく上では、現在利用している基地局などの資産を活かしていく。ネットワークインフラを活用し、アンテナや装置部の共用化を目指す」とした。

 今後のスケジュールは、まずOFDMに特化した形での第一次実験を実施。夏以降には、第二次実験として、チューニングを施すことなどで、20Mbps以上の通信速度達成を目指すという。第二次実験の後半には、アダプティブアレイやSDMA、MIMOといった技術を取り込む考えで、第三次実験の実施も検討されている。また、PHSの普及を図る団体「PHS MoU」で、現在テクニカルワーキンググループとして活動している次世代PHSの規格グループを、この3月にも格上げし、標準化に向けて本格検討を行なっていくという。黒澤氏は「PHSが誕生して10年、次はどうなるんだとたびたび聞かれてきた。かねてより次世代PHSの検討を進めてきたが、次の10年はこの次世代PHSを展開していきたい」と述べ、日本発の通信技術として、日本国内だけではなく、中国をはじめとするアジア各国での展開にも意欲を見せた。ただし、国内展開に対する投資額や、具体的なスケジュール、サービス内容については、「現時点ではまだ明確になっていない」(黒澤氏)として、今後の課題に位置付けられ、明らかにされなかった。


次世代PHSのコンセプト 3Gを超える能力になるという 現行インフラも活用される

次世代PHSを構成する主な規格 今後のスケジュールも明らかにされた 実験エリアは、基地局から1方向に向かって伸びている部分

 また、総務省が、WiMAXなどに向けて2.5GHz帯での免許付与を検討しているという話題に触れた同氏は「次世代PHSは、1〜3GHz帯に対応できるが、直近の話として2.5GHz帯開放という話があるので、まずはそこを狙っていきたい」と述べた。

 ハンドオーバー実験について、黒澤氏は「エリア設計はかなり難しいポイント。その辺りはスケジュールなども含め、まだ議論している段階。ただ、2.5GHz帯の免許、ということを踏まえれば、ある程度の時期までにはやっていかねばならない」と説明した。端末の形状については「20Mbpsという通信速度をハンドセットで実現させるには、電力問題などがあるので難しいところだ。ただし、将来的にはハンドセットも考えていきたいが、通信速度をどの程度にするのか、検討していく必要がある。また、エリア展開は、一般論として東名阪からという形になるだろう。ユーザーの利便性を踏まえれば、次世代PHS対応端末でも現行のPHSエリア内で利用できるようにすることも検討する必要はある」とした。

 黒澤氏は、「PHS、マイクロセルは、1基地局あたりのエリアが狭いことなどによって、ユーザー数が多い地点に重点的に基地局を配置できるなど周波数の利用効率を高められ、それなりの速度も実現できる点。WiMAXや携帯電話はマクロセルであり、我々の優位点はそこにあるのではないか」とも語っていた。マイクロセルは、細かく基地局を配置する必要があるため、その基地局の台数分はコストがかかると見られるが、同氏は、開発などにかかる投資額と同様、どの程度のコストになるかは不明とした。


通信速度、ビデオチャットなどをデモ

ウィルコム安藤氏

同社実験のネットワーク構成
 続いて、同社企画開発部 課長補佐の安藤 高任氏からデモンストレーションや、同社が行なっている実験概要の説明が行なわれた。

 同社が構築した実験用ネットワークは、基地局1台、アンテナ1基を設置し、同社内にサーバーが設けられている。今回は、デモ用に室内にアンテナも設置された。基地局本体は、GPSアンテナもや電源コンバーターなどが接続されたもので、ブレードサーバーのような形状。端末は、横置型で、一昔前のADSLモデムや、ルーターに近い形状で、アンテナが2本備わっている。どちらも米Adaptixの実験用装置をベースに、同社独自のカスタマイズが施されている。

 フィールド実験では、虎ノ門のアンテナから1km先までが電波の届く範囲として、電波伝搬特性やスループットの特性といった、基本的なデータを計測しているほか、VoIPやビデオチャットを行ない、実際の使用感を確かめているという。また、実験エリアは広い通り(桜田通り)に沿っていることもあって、実際に車に端末とノートパソコンを載せて、伝搬特性の計測やビデオチャットなどの使用感をチェックしているという。ただし、車の移動速度まではチェックしておらず、こちらは暫定的な実験と言える内容となっている。

 室内で行なわれた通信デモは、インターネット上の速度計測サイトにアクセスし、現状の通信速度が明らかにされた。デモでは、2Mbpsを切る程度となっていたが、同社がこれまで行なってきた実験では2.5Mbps弱となっているとのこと。20Mbps以上を目指す、とされている次世代PHSだが、現状ではまだそのレベルまで達していないことについて、安藤氏は「OFDMは初めてということもあり、現在は、OFDMの伝送だけに注力している。今後、端末側などで無線部のチューニングを施していけば、まだ改善できる」と説明した。実験を通じて、基地局側では、16QAMという変調方式で、下り3Mbps程度、上り1Mbps程度という速度が実現できているという

 また、「Skype」を用いたVoIPおよびビデオチャットのデモでは、社内の別の場所に設置された端末とのやり取りを披露。スタート直後は、相手側にこちらの映像が伝わっていない場面もあったが、概ね安定した形で特に不都合なく、利用できる様子となっていた。安藤氏によれば、Yahoo!メッセンジャーやMSNメッセンジャーも試用しているとのことだが、特に問題はないという。また、USENが展開する映像配信サービス「GyaO」にアクセスして、その利用感も披露。次世代PHSで、同サービスを利用した場合、1Mbps強という通信速度であれば、安定して閲覧できるという。


基地局と端末に設けられたインターフェイスの説明 フィールド実験で行なわれている項目 自動車での実験も

速度測定サイトにアクセスしたところ。何回か試したが、2Mbps弱となっていた 映像をストリーミング受信。ここでは最大約2.2Mbpsを記録 Skypeでのビデオチャットも

こちらはGyaOにアクセスしたところ ビル屋上に設置されたアンテナ

アンテナが向いている方向は、桜田通りに沿っている 約1km先の桜田門まで電波が届くという


URL
  ウィルコム
  http://www.willcom-inc.com/

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(関口 聖)
2006/02/21 14:06

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