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マイクロソフト、Ultra-Mobile PCの国内展開を発表

左からPBJの高橋氏、マイクロソフトのミッチェル氏、立命館大学の陰山教授
 マイクロソフトは新カテゴリのモバイルデバイス、Ultra-Mobile PC(UMPC)の発表会を都内で開催した。

 UMPCはタッチパネル式ディスプレイを採用した1kg以下の小型パソコン。「Origami」というコードネームで開発されていたもので、2006年3月にドイツで開催された展示会CeBITで公開された。マイクロソフトはUMPC向けのOSを提供するとともに、UMPCの仕様を策定する。UMPC自体はハードウェアベンダーが提供する。

 UMPCにはWindows XPのタッチパネル操作特化バージョン、「Microsoft Windows XP Tablet PC Edition 2005」がOSとして搭載される。通常のパソコンと同等の機能を持っており、通常のWindows向けのソフトウェアも利用可能。それに加え、UMPCではタッチパネルで操作しやすくするための「Microsoft タッチパック for Windows XP Tablet PC Edition」というソフトウェアも搭載する。タッチパックには大きなアイコンによるランチャーや、親指で入力しやすい「スクリーンキーボード」、スクロールバーなどを拡大させる設定ユーティリティ、数字を利用したいわゆる数独パズルの「Microsoft 数字パズル」などが含まれる。

 マイクロソフトはUMPCの仕様を規定している。規定によると重さは0.9kg以下、ディスプレイは7インチ、タッチパネルと無線LAN、Bluetoothをサポートし、バッテリー駆動時間は2.5時間以上、ハードディスクは30~60GBでCPUにはIntel Celeron M、Intel Pentium M、VIA C7-Mのいずれかとなっている。これらの仕様を満たし、マイクロソフトのOSとソフトウェアを内蔵するデバイスが、UMPCとして販売されることになる。

 マイクロソフト コーポレーションのWindows Mobile Platforms Division担当、コーポレートバイスプレジデントのビル・ミッチェル氏は、UMPCの位置づけを「低価格さ、ユニークなソフト、フルスペックのWindowsとの互換性、PDAと同じような使い勝手を持つ、ノートパソコンとPDA、ケータイのあいだにあるモバイルニーズのギャップを埋めるプロダクト」と語った。

 あわせて本日発表となった、PBJ株式会社製のUMPC「SmartCaddie」についても紹介された。SmartCaddieはUMPCの基本仕様に準拠した、国内では初となるUMPCデバイス。ディスプレイには800×480ドットの7インチ液晶を採用し、CPUはVIAのC7-M(1.0GHz)、ハードディスクは40GBで512MBのメモリを内蔵する。仕様どおり無線LANとBluetoothにも対応している。重さはバッテリー込みで860gで、外形寸法は228×146×25.1mm。価格は99,800円で4月4日より予約販売が開始され、4月14日より出荷が開始される。

 PBJの代表取締役 高橋 正敏氏はSmartCaddieの販売について「コンシューマ向けと、本筋になるであろうビジネス向けの両方を考えている。コンシューマ向けは大手販売店で、ビジネス向けにはパートナー企業と協力して販売する」と語った。


UMPCの位置づけ PBJのUMPC「SmartCaddie」のスペック

 さらにマイクロソフトのWindows本部 ビジネスWindows製品部 シニアプロダクトマネージャーの飯島 圭一氏はUMPCの展開について「ラーニング分野、医療などの特定分野、先進コンシューマ」の3つを挙げた。

 特定分野としては「タブレットPCがすでに利用されている分野なので、これまでタブレットPCが培ってきたことを継続する」と語った。先進的なコンシューマについては「2台目、3台目として買ってもらう。音楽を聴いたりビデオを見たりといったシナリオを想定している。こうしたマーケットに対しリサーチし、ユーザーの声を聞くことで、日本市場で何が求められているかを勉強しつつ、次の製品にフィードバックしていきたい」と語った。

 ラーニング分野では「ペン入力などの機能の効果が実証されている分野」と語り、さらに2つの事例を紹介して特に力を入れいていることをアピールした。

 事例の1つはこの4月に京都で開校した立命館小学校において、全校導入を前提としたUMPCの試験導入が行なわれることを紹介。「小学3年生の1クラス全員にUMPCを導入。教育用コンテンツを乗せた形で授業に使う。教室だけでなく家庭に持ち帰り、ネットに接続して学校のデータベースにアクセスできるなど、効率的な勉強ができるのがポイント」と語った。

 事例のもう1つはコンテンツプロバイダとの協力。教材などの教育用コンテンツを持つIEインスティテュート、アドバンスト・メディア、アルク、学習研究社、小学館、財団法人日本漢字能力検定協会の賛同を得て、UMPCを使ったソフトやサービスを検討していくと発表した。そのなかでも小学館のコンテンツである「電脳陰山メソッド」については、立命館大学教授の陰山 英男氏が実際の事例による効果を紹介し、ラーニング分野での優位性をアピールした。


日本におけるUMPCの展開について 活用事例

 ビル・ミッチェル氏は発表会の質疑応答で「これまでをみても、日本が先駆者となって世界のモバイルデバイスを牽引してきた。日本の消費者に受け入れられなかったら、世界でも受け入れられないだろう。だから日本の成功は不可欠」と語り、日本市場を重視していることをアピールした。

 さらにUMPCをフルスペックのWindowsとした理由については「1992年にWindows CEを立ち上げたとき、当初はフルスペックWindowsを想定していたが、当時はCPUパワーなどが追いつかなかった。しかし現在まさに機が熟し、価格やサイズ、パフォーマンスで納得してもらえるプロダクトを投入できると考えた」とも語った。

 価格や今後の展望に関する質問に対しては、「購入しやすい価格になることが重要。とくに日本ではバイオ TypeUなどがあったが、それらは価格帯が高すぎたと考えているので(編注:Type Uは17~20万円程度)、今回発表したデバイスでは価格を下げている。マイクロソフトはリファレンス仕様を策定したが、もっと安価にすることは可能。爆発的に普及するのが時期的にいつとはいえないが、製品の研究を続けてデバイスやソフトウェアで何が必要かを学びたい。そしてまずは日本で成功したい」と語った。


マイクロソフトによるUMPCのリファレンス仕様 UMPC独自の「タッチパック」

タッチパックによるランチャーメニュー。カスタマイズも可能 カスタマイズされたInternet Explorer。タッチパネルで操作しやすいようにスクロールバーが大きくなっている

タッチパックに含まれるソフトウェアキーボード。透過率を変更できる タッチパックに含まれる数学パズル

UMPC向けのMediaPlayerスキン。ボタンが大きいのが特徴 PBJのSmartCaddier。右上にポインティングデバイスがあり、マウスボタンが左上にある。マウスボタンの下はカーソルボタン。このほかカスタマイズできるボタンや解像度変更ボタンがある

右側面には電源ボタンや各種コネクタ、スタイラス収納がある 液晶解像度は800×480だが、ソフト上の解像度を1024×600にして、縮小表示させることも可能。縦600ドット必要なアプリケーションも起動できる


URL
  ニュースリリース(マイクロソフト)
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2645
  SmartCaddieの製品概要(PBJ)
  http://www.smartcaddie.jp/


(白根 雅彦)
2006/04/04 14:39

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