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KDDI小野寺氏、MNPに向けての取り組みを語る

KDDI社長の小野寺氏
 組込機器向けソフトウェア開発を手がけるACCESS社のプライベートイベント「ACEESS DAY」において、KDDIの代表取締役社長 兼 会長の小野寺 正氏が「MNPをむかえて -auの取組みとこれから-」と題した基調講演を行なった。


ケータイの市場推移
 まず小野寺氏は、ケータイの市場概況を説明する。累積契約数の推移のグラフを示し「よく言われるように、個人市場は成熟化し、移行市場が重要となってきた。auという個人向けブランドでいえばそうだが、法人向け市場は全く別。法人向けも開拓しているところだが、どれくらいの市場があるかといわれると、正直、わからない。NTTの固定電話であれば、事務所向けと個人向けを料金などで分けているが、ケータイの場合は法人と個人で料金を分けていない。8~9%が法人名義だといわれているが、今後はもっと増えると思っている。個人情報保護法などの影響もあり、社員が個人的なケータイと業務用ケータイを別々にする必要がでてくると考えている。人口でケータイの普及数が制限されることはないと考えている」と述べ、法人市場の可能性に言及した。

 さらに自動販売機などに内蔵されるモジュール型端末についても「推計によると138万台存在する。全体で見ると1%程度だが、9月の純増数に占めるモジュール型端末の割合は10%にも及ぶ。ケータイというものが、電話単体の市場から、新しい方向にどんどん進んでいるという証拠だ」と語った。また一方で「電波使用料が1回線あたり、必ず月額35円発生する。自動販売機なら1日1回ちょっと通信するだけで、セコムなんかは緊急時しか通信しない。これら使われ方の少ないところは電波使用料も変えていかないと、伸びないではないかとも考えている」と語り、電波行政への不満も漏らした。


MNPの認知度や利用意向の調査
 今月より開始されるMNPについては、「3割の人が詳細を知っていて、8割がMNPの存在を知っている。手数料やメールアドレスが引き継げないなど制約がはっきりしたため、以前に比べると変更意向を持つ人は減っているが、これらはまだ変更予備軍であると考えている。しかし、実際にところは始まってみないとわからない。9,000万人のケータイ利用者がいるので、1%が動いただけでも大きい」と語った。

 さらに「若い人は電話番号が変わることを気にしない。こんなことを言っていいのかわからないが、若い女性には恋人が変わったら電話番号を変えるという人もいる。また、解約して新規契約するという、電話番号を変えて機種変更する人が3割くらいいるとも考えている。こういった人はMNPを使わない。KDDIからすると、ビジネスマン、古くからケータイを使っている人はドコモが多いが、こういう人で電話番号が変わると困るという人、みなさんのようなビジネスマンがauにくることを期待している、というのが本音だ」とも語った。


auのインフラ進化
 続いて小野寺氏は、auのネットワークインフラについて説明する。「社内でも『社長がそんなこと言うな』と言われるが、ウチは何度も失敗している。一番失敗として大きかったのは、cdmaOneを導入し、通信速度が64kbpsになったとき。スピードが5倍速くなることを売り物にできると思ったのだけど、売れなかった。なぜなら、そのスピードで何ができるかと、何も提示できなかったからだ。お客様から見ると、インフラはなんでも良い」と過去の教訓を振り返る。さらに「現在はインフラがしっかりして、エリアカバー率もかなりの水準となっている。ここがしっかりしているのは、最低条件。cdmaOneを入れたときから、auの端末は下位互換性を常に確保している。いままで使っていたネットワークやサービスをしっかり担保した上で、新しくなっていかないとダメ」と語り、auのネットワーク進化のあり方を説明する。

 最新のインフラの進化については、「Rev.Aによりアップロード速度が向上する。これまでは受け身なもの、検索サービスやダウンロード型のサービスがメインだった。しかし最近は、YouTubeやSNSなど、個人が情報を発信するサービスでビジネスが広がっている。単純なスピード競争が間違っているというのは、われわれの失敗からも明らか。スピードを上げたうえで、何ができるようになるのか、これが重要とご理解いただきたい」とし、アップロード速度の上がったRev.Aの利点を説明する。

 さらに「アップロード速度が上がり、QoSを入れた。何が変わるかというと、一番簡単な例として、まずはテレビ電話を導入した。ドコモのテレビ電話は回線交換ベースだが、auはIPベースで実装している。IPでテレビ電話をやれるということは、IP電話をやれるということと同じだ。ご存じの通り、固定電話では回線交換からIP電話に移行している。私は、移動体もIP電話に移行すると考えている。そのとき、Rev.Aが必要になる。現時点では難しいが、音声定額も夢ではないと考えている」と、この後の方向性についても言及した。


auの掲げる4つの柱
 同社の戦略については、「インフラに加えて、その上に成り立つ端末、コンテンツ、料金の3つもうまく調和が取れていないといけない。まず端末は重要アイテムだ。魅力あるアイテムがないと、お客さんは店に来ない。INFOBARやtalbyなどいろいろやったが、話題性のある端末を1つでも出してお客さんをお店に呼んで、その上でバラエティに富んだローエンドからハイエンドまでそろえて、選んでもらう。端末を買ってもらったら、使ってもらわないといけない。音声通話は当たり前で、あとはコンテンツを充実させる。さらに1カ月後に料金請求がとんでもなかったら、また使ってもらえない。この端末、コンテンツ、料金のいずれかの1つでも欠けていてはいけない」と語った。

 端末については、秋冬モデルとして14機種を準備したことを紹介する。ちなみに先日発表されたauの秋冬モデルは13機種だが、ここでは「A5522SA II」というモデルを追加している。機種数について小野寺氏は「他社が機種数ばかり言うので、営業部門が対抗して14機種にしろと言ってきた」と説明した。


auの端末とサービス展開 auの新ラインナップ。「全14機種」になっている

 サービスについては、「au My Page」や「EZニュースフラッシュ」などを紹介する。EZニュースフラッシュについては「通信料はBCMCSを導入したからこそ実現したものだ。同報通信なので、みなさんに同時にデータを送っても、われわれとしてはトラフィックが発生しない。これは災害時にも役に立つ。災害伝言板が立ち上がったときにも、ニュースフラッシュで告知することができる」と説明した。さらに「災害時にはワンセグも役に立つ。ワンセグで災害情報を確認してもらい、必要な人だけが通信をするようにすれば、本当に必要な人が通信できるようになり、規制のかけ方も変わってくる」とも語る。

 EZチャンネルプラスについては、「これもある意味、放送と言える。正確には同報通信というべきだが、お客さんから見ると、ワンセグだろうとEZチャンネルプラスだろうと、見た目は何も変わらない。そこで、ワンセグだろうとEZチャンネルプラスだろうと、同じ画面でチャンネルを切り替えれば見られるようにしている」と語り、放送と通信の融合の方向性を語った。


auが売り物とする「音楽」も引き続き強化される 「ケータイネットをもっと身近に」がコンセプトとなるサービス

au My Pageについて EZニュースフラッシュについて

ワンセグについて 料金について

プラットフォーム共通化への取り組みについて
 小野寺氏はケータイのプラットフォームについても言及する。「auがBREWを導入した最大の理由は、メーカー間で共通化が図れるから。KCP(KDDIが推進中のケータイ用共通プラットフォーム)を導入すれば、アプリケーションの流用が可能になっていく。いまのBREWでは端末ごとに手直しが必要になるが、それが不要になる。来年登場するクアルコムの新チップ(MSM7500)ですべてを共通化しようとして、いまメーカーと作業している」とKCPを推進していくことを強調する。「KCPが使われれば、法人向けの個別アプリケーションが提供しやすくなる。これで法人市場も変わるのではないかと考えている」とも語った。


顧客満足度の調査
 最後に小野寺氏は、「通信事業は昔、独占時代は設備産業だったが、いまはサービス産業になった。サービス産業にとって重要なのは、使い続けてもらうこと。顧客満足度については常に厳しく追及している。auのCMでも顧客満足度ナンバーワンとか言っているが、個人的にはあのCMを見ると、大丈夫かな、とも思う。3年連続ナンバーワンだが、これを永遠に続けることが重要。調査して評価してもらっているところもあるけど、口コミでの広がりも重要。お客さんがお客さんに勧めるのがいちばんありがたい」と語り、さらに「新しいことにチャレンジして、それで顧客満足度を上げ、新しいサービスを開拓していきたい」として講演を締めくくった。


口コミの効果も高い 「新しいことへのチャレンジ」がテーマとなっている


URL
  KDDI
  http://www.kddi.com/
  ACCESS
  http://www.access.co.jp/


(白根 雅彦)
2006/10/12 19:42

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