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日本通信、3GとPHSの定額データ通信サービス提供へ

Doccicaの概要

Doccicaの概要

特徴の1つは、3GとPHSの両方を使えること

特徴の1つは、3GとPHSの両方を使えること
 MVNO(仮想移動体通信事業者)としてデータ通信サービスを提供している日本通信は、今後、3Gサービスを提供する通信事業者(MNO、Mobile Network Operator、移動体通信事業者)との話し合いを経て、2007年にも3GとPHSを使った定額制データ通信サービスを提供すると発表した。

 今回発表されたサービスは、3G網とPHS網を使った定額制データ通信「Doccica(ドッチーカ)」。これまでも同社ではPHS網や無線LANを使ったデータ通信サービスを展開してきたが、3G網を利用するのはこれが初めて。ただし、現時点では、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクモバイルとは協議中とのことで、どのMNOのネットワークを利用するかは定まっていない。また、新規参入事業者については、質疑応答中に「イー・モバイルのネットワークを使う」という利用シーンが紹介されていた。

 3G網でのサービスが実現した場合、「Doccica」では、3G網とPHS網をシームレスに切り替える接続アプリケーションで、「3GのエリアとPHSのエリア、両方利用できる日本最大エリアの通信サービス」になるという。また、スピード優先モードでは3G、バッテリー優先モードではPHS、あるいは高速通信が可能な場合は3.5G網を、100kbps~200kbps程度であればPHS網を利用するという設定も可能だという。

 現時点では、3Gデータ通信カードとPHSデータ通信カードの2端末が1パッケージとして提供される。そのため、ノートパソコン側は2端末同時に装着しなければ本領を発揮できないとのことだが、将来的には2つの通信方式をサポートするデュアルネットワーク端末の開発も検討される。

 価格は、6カ月分の使い放題プランで15万~20万円。この価格は、MNO側への接続条件・コストを日本通信が想定した上で算出されたものという。


デモでは、シームレスに3GとPHSを切り替える様子などが披露された デモで用いられた通信カードは既存製品
デモでは、シームレスに3GとPHSを切り替える様子などが披露された デモで用いられた通信カードは既存製品

MVNOにも3G網開放を

日本通信の福田氏

日本通信の福田氏

福田氏は、MNOとの協議を進めながら、戦う覚悟も示した

福田氏は、MNOとの協議を進めながら、戦う覚悟も示した
 同社では31日、都内で記者説明会を開催し、常務執行役CFOの福田尚久氏から同社の戦略が、執行役員の田島淳氏から「Doccica」の概要が紹介された。

 福田氏は「当社では長年MVNOを展開してきたが、総務省が6月発表した『IP化の進展に対応した競争ルールの在り方について』という最終報告書で、MVNOがMNOに接続を求めた場合、MNOは応じなければならないという接続義務があると記された。MVNOのサービスは“できるかできないか”という段階から“いつ実現するのか”というところに変わってきている。とはいえ、まだ協議中であるため、今回の新サービスのリリースは2007年予定とした」と語った。

 新製品・新サービスは、協業関係が確定した段階で発表されるケースがほとんどだが、このタイミングで発表した理由として福田氏は「今回の発表が、きわめて変則的と十分承知している。ただ、インフラを持っているNTTドコモやKDDIは接続に関する約款を公開することになっており、ドコモの場合、音声に関する接続約款はWebサイトでも確認できるが、データ通信に関する部分は明らかにされていない。今後、各社と協議していくことになり、その結果、きちんと提携できると見ているが、最悪の場合、紛争処理委員会に届け出ることも想定している。我々としては、MNO側との協議を秘密裏に進めるのではなく、透明性を保つことが必要と考えている。我々の準備は整っており、提携と決定すれば1カ月以内にDoccicaを発売する」と述べ、あらかじめ新サービスを発表することで、今後の協議を公開する考えを示した。

 データ通信関連の接続約款が公開されない理由について尋ねられると、福田氏は「あくまでも推測でしかないが、データ通信にかかる接続コストが公開されることを嫌っているのではないか。音声通話については公表されているが、データ通信については抵抗があるのではないかと推測している」と語った。

 また、総務省からMVNOに関するガイドラインが近日発表されるのではないか、という質問について同氏は「3社との協議を重ねているが、うまく整うか、あるいは対立的な決着になるかどうかわからない。原則として接続に応じる義務がある一方で、不利益をもたらす要求とされれば拒否できるという例外もある。どういう理由で断られるか、それが正当かどうかガイドラインとして記述して欲しい。また、ガイドラインが発表されてから動く、というのは当社の役割ではない。ガイドラインを待つのではなく、身をもって協議し、民間企業間の交渉で決着したい」と述べた。


日本通信の田島氏

日本通信の田島氏
 NTTドコモなどは、キャパシティなどに難があるとして、MVNOへのネットワーク貸し出しは行なわない意向を示している。この点を指摘されると、昨年まで10年以上NTTドコモに在籍していた田島氏が「データ通信と音声通話の特性は全く異なる。音声にディレイは許されないが、データ通信は0.1秒遅れても問題ない。この0.1秒というわずかな単位は、ネットワークにかかる負荷で見ると大きく異なってくる。現在のNTTドコモやauのネットワークは、音声通話が支配的。キャリアがそう主張しているのは知っているが、その指摘は間違っていると考えている」と述べ、データ通信だからこそMVNOへのネットワーク貸与が可能とした。

 また、日本通信の新サービスが定額制となっていることについて福田氏は「ユーザーは常にデータ通信する人もいれば、そうでもない人がいる。たとえばウィルコムに対しては、一定の帯域に対して使用料を支払っているが、その使用料に見合う形でトータルで収支があうよう、定額制プランを考えている。当然、3G網であってもMNOには適正な対価、つまり接続料金に適性利潤を載せた料金を支払う。そのコストを見込んだ上で算出した価格が6カ月間・15万~20万円というもの。現状、FOMA端末でパソコンからデータ通信すると月額10万円はするため、なかなか使えない。つまり3Gをパソコンで、という利用にはストップがかかっているのが現状だ。工夫の余地がないのか、我々自身がリスクをとってサービスを提供したい」と述べた。



URL
  プレスリリース(PDF形式)
  http://www.j-com.co.jp/ir/pdf/press_061031.pdf

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(関口 聖)
2006/10/31 14:53

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