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MCFセミナー、総務省やウィルコムがMVNOを語る

 29日、都内でモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)主催のセミナー「MVNOの現状と今後について」が開催された。


総務省が見た現状と今後の課題

総務省の白井氏

総務省の白井氏

キャリア別シェアを示した表。中央付近に、市場独占度を示す指数が記されている

キャリア別シェアを示した表。中央付近に、市場独占度を示す指数が記されている
 最初に登壇した、総務省総合通信基盤局 料金サービス課課長補佐の白井 信竹氏は、「MVNOの活性化」と題し、総務省が進める各種政策の説明を行なった。

 白井氏は、携帯電話契約数やプリペイド利用率などの数値を示し、「日本市場は、契約数の伸びが鈍化し、成熟したと言える状況。各社のシェアから、市場の独占度を示す数値(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)を見ると、欧米は2,000~3,000台後半だが、日本は3,756となっており、ほぼレンジ内と言える。ARPUは全体的に減少傾向だが、内訳を見ると、データが増加し音声が減少している。諸外国と比べると、ARPUは非常に高い数値だが、これは諸外国でのプリペイド利用率が高いため。諸外国における後払い契約のARPUは日本とあまり変わらない」とした。

 またコンテンツ市場については、通信経由で配信するコンテンツ、そのうち携帯電話向けコンテンツの傾向が示された。それによると、映画やテレビ、書籍など全てのコンテンツを100%とした場合、2002年時点で通信向けコンテンツ市場は全体の3.7%だったが、2003年には5.0%、2004年には6.2%となった。一方、携帯向けコンテンツは、2002年時点で市場全体の1.1%で、2003年には1.7%、2004年には2.3%となっており、通信向けコンテンツの動向と比べると、鈍い動きを見せている。白井氏は「通信向けコンテンツとしては伸びているが、携帯向けはさらに伸びる余地があると言えるだろう」とした。


ボーダフォンの決算データを元に、各国のプリペイド利用傾向を比較。右は国別のARPU コンテンツ市場はまだ伸びる余地があるという
ボーダフォンの決算データを元に、各国のプリペイド利用傾向を比較。右は国別のARPU コンテンツ市場はまだ伸びる余地があるという

総務省では、成熟した携帯市場の活性化を図る目的でMVNOの参入を促進する考え

総務省では、成熟した携帯市場の活性化を図る目的でMVNOの参入を促進する考え
 白井氏は、市場が成熟し、今後に向けて活性化させるための政策が必要として、MVNOの参入を促進することに取り組んでいると説明する。同氏は、MVNOを取り巻く環境として、まず総務省が考えるMVNOとは、自前の無線設備を持たずに通信サービスを提供する事業者と定義し、既存キャリアであるMNOは通信サービスに加えて音楽やゲームの配信、金融サービスとの連携など垂直統合モデルを展開しているという現状を指摘した。その状況に一石を投じる政策として、他業態の事業者を移動体通信市場へ参入させ、MVNOとMNOがともに利益を得られる関係の構築を目指すべきとしている。

 白井氏は「ポイントは、MVNE(MVNO支援事業者)の位置付けと定義を明確にすることなどで、2月にガイドラインを示した。そして、現在はモバイルビジネス研究会、IP化時代の通信端末に関する研究会を開催している」と述べ、競争促進に向けた活動を紹介した。


奨励金制度の課題なども指摘

奨励金制度の課題なども指摘
 このうち、モバイルビジネス研究会については7月中旬にも報告書案が発表され、パブリックコメントの募集が行なわれる。同氏は「固定網が水平分業となっている中、携帯網が垂直統合だけというのはどうか、ということで検討している。たとえば奨励金については、ユーザーから見ると、通信料金からいくら回収されているのはわからない。各社の決算を見てもわからないが、ARPUの1/4程度ではないかと推定している。アクセス方法や端末などが多様化していく中で、奨励金モデルについてもまさに議論しているところだ」と語った。

 また、端末についても、同氏は、IP化やユビキタス化が進み、固定網と携帯網の融合が図られる中、通信端末は接続試験を繰り返し行なうなどコストがかさんでいるという現状を指摘し、「安全性・信頼性を確保しつつ、なるべく円滑に進められる形を目指して議論している」と説明。6月中にも報告書案が取りまとめられる予定だ。白井氏は、「MVNOガイドラインを見直し、2つの研究会で、より一層の活性化を検討し、議論を進めている。ブロードバンド化し、IP網に対応した、世界最先端の通信網構築に向けて頑張りたい」と述べていた。


ウィルコムのMVNO推進策

ウィルコム寺尾氏

ウィルコム寺尾氏
 「ウィルコムのオープン化戦略」と題した講演では、ウィルコム サービス計画部部長の寺尾洋幸氏からPHSの技術的特徴や、同社が進める“コミュニティマーケティング”が紹介された。

 PHSの特徴としては、これまでもさまざまな講演で触れられたように、マイクロセルによる大容量・小電力ネットワークが紹介された。同氏は、過去の契約数推移とあわせて、基地局展開数の推移を示し、「現在、ウィルコムの基地局は全国で16万局存在するが、かつて380万契約に達したピーク時で10万程度、急激にユーザー数が伸びている時期で6万程度だった。そのため、繋がりにくいなどと言われた。ユーザー数が漸減傾向にあった時期も地道に基地局建設を進め、人口カバー率99.3%に達した。もちろん今後もエリアは充実させていく」と語り、苦労の末に、マイクロセルの特徴を打ち出せるようになったと説明した。また、将来的な導入に向けて開発が進められている、次世代PHSについては、ITUにブロードバンドワイヤレスアクセス技術として標準化の提案が行なわれ、3月にITUから標準勧告が為されたことも触れられた。


通話定額開始後、トラフィックは最大70倍に。ちなみにこのデータは昨年11月のもの 地道に基地局を建設してきた
通話定額開始後、トラフィックは最大70倍に。ちなみにこのデータは昨年11月のもの 地道に基地局を建設してきた

ウィルコムのオープン化戦略

ウィルコムのオープン化戦略
 寺尾氏は「我々は通信事業者だが、上位レイヤーは不得手。世の中のさまざまな製品に通信機能を付け加えることで、新たな価値、新たな市場を作っていきたい。いわゆるMVNOのような事例として、日本通信のように当社の通信網を使って料金設定やアプリケーションなどをパートナーが構築するタイプ、バンダイのpapipo!のように端末をパートナーが作り、コンテンツも提供するタイプ、そして内藤証券での事例に代表される、Windows Mobile搭載端末向けの専用アプリケーションで独自サービスを展開するタイプと大きく分けて3つの事例がある」と述べ、同社が取り組むMVNO関連事例が紹介された。

 同氏は「ウィルコムは、パートナーとともにWIN-WINの関係を目指したい。ブランドや技術を組み合わせるのがMVNOとして必要なことではないか。大容量・小電力で、制約のないサービスを提供するとともに、コミュニティマーケティングを展開していきたい」と締めくくった。



URL
  総務省
  http://www.soumu.go.jp/
  ウィルコム
  http://www.willcom-inc.com/


(関口 聖)
2007/05/29 19:18

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