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WiMAXフォーラム、日本オフィスの活動を報告

左から、WiMAXフォーラム日本オフィス代表の齋藤氏、副代表の庄納氏、WiMAX本部のシャクリ氏

インテルの吉田氏
 NPO法人のWiMAXフォーラムは、今年6月に設置した日本オフィスの活動について記者説明会を開催した。

 WiMAXは、次世代無線ブロードバンド技術として注目される高速無線通信システム。総務省では、2.5GHz帯を使った「広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)」を導入し、最大2社に対して免許を割り当てる方針を決定している。BWAで採用される無線通信サービスの候補として、IEEE802.16e(いわゆるモバイルWiMAX)のほか、ウィルコムが進める次世代PHS、クアルコムのIEEE802.20、京セラのiBurstなどがある。9月10日より、参入事業者の申し込みが開始される予定となっている。

 WiMAXはインテル社が中心となって展開されており、普及促進を推進するWiMAXフォーラムの代表・議長もインテルのロン・レズニック氏が務めている。説明会は、インテルの代表取締役共同社長の吉田和正氏の挨拶から始まった。

 同氏は、固定のブロードバンドサービスの先進国の日本がモバイルのブロードバンドでも先進国でなければならないとし、インテルとして積極的に展開し、WiMAXフォーラムをバックアップしていくと語った。今後さらに製品開発にも注力していくという。

 WiMAXフォーラムの本部からは、マーケティング担当副代表のモハンマド・シャクリ氏(アルバリオン社 戦略担当副社長)がスピーチを行なった。同氏は、WiMAXについて、「いつでも、どこでもインターネット」とアピール。携帯電話の3Gサービスを補う存在として、WiMAXが有効であるとした。

 同氏はさらに、ITU-Rにおいて、IMT-2000の6番目の陸上無線インターフェイスとして、モバイルWiMAXが追加される作業が進んでおり、順調に進められているとした。

 シャクリ氏は、今後4~5年で世界で5,000万人が使うようになると予測し、「日本や韓国、米国のコンシューマーエレクトロニクスメーカーのWiMAX対応機器が大幅に増えてくる」と語った。WiMAXフォーラムに参加する企業は年末までに500会員(現在491社)に達する見込みで、今後コンシューマーエレクトロニクス分野の企業の参加が増えるとの見解を示した。

 なお、WiMAXフォーラムのボードメンバー15社のうち、富士通とKDDIが日本の企業となる。説明会では、ボードメンバーであるKDDI 執行役員技術渉外室長の冲中秀夫氏も挨拶を行なっていた。


シャクリ氏 KDDIの冲中氏

IMTにWiMAXが追加されるという 技術ロードマップ

日本のメンバー

代表齋藤氏、世界で共通利用できる環境を

齋藤氏

庄納氏
 WiMAXフォーラムの日本オフィスは、東京大学名誉教授の齋藤忠夫氏を代表に、副代表(技術担当)は慶應義塾大学大学院の政策・メディア研究科教授の小檜山賢二氏、同じく副代表(企画担当)に、インテルの研究開発本部主幹研究員の庄納崇氏が就任している。

 齋藤氏は、ブロードバンド環境が整備された日本の市場において、「WiMAXのような新しいものの価値は理解いただけるのではないか」とし、世界で共通で利用できるために、相互に知恵を出す必要があるとした。

 WiMAXでサービスをオープン化することで、どこでもサービスが受けられる状況を作るという。そのためには、技術が標準化されていなければならないとし、「日本の携帯電話は同じ標準でも通信方式も周波数も異なるため、事業者間で利用できない。標準にするだけでなく、共通のプロファイルにしなければならない」と述べた。

 無線通信は各国の政策によって状況が異なり、標準の中には、矛盾するプロファイルが含まれている。齋藤氏は「標準化すれば相互接続できると思っている人もいるがそんな簡単なものではない」と説明し、より詳細に標準化を進め、テストを実施しながらしっかりと接続できる環境を作るという。

 同氏は、「GSM方式では標準化作業をちゃんとやっている。そのために時間がかかる。携帯電話は日本が進んでいると言われるが、オープンモデルとした場合にはいろいろな見直しが必要」と3G携帯電話の国内状況を説明した。なお、齋藤氏はモバイルビジネス研究会の座長も務めている。

 齋藤氏は最後に、「ワイヤレスブロードバンドが必要と多くのユーザーが思っているが、オープンなワイヤレスブロードバンドが少ないというのもまた事実。世界でトップにいけるようなWiMAXのマーケットができると思う。努力していきたい」と語った。

 このほか、庄納氏からは日本オフィスの状況が語られた。

 日本オフィスには現在20社が参加しており、現在「テクニカル&レギュラトリーWG」と「アプリケーション&マーケティングWG」の2つの作業部会が設置されている。前者では、WiMAX普及の渉外となる規制の問題や技術的課題を検討し、解決策を規制当局に働きかける作業を行ない、後者は普及に向けたマーケティング活動を行なっているという。


WiMAXフォーラムの目標 標準化にはさまざまな工程を踏む。WiMAXは「詳細標準」を進めている

3G携帯とWiMAX 組織図

モバイルWiMAXと次世代PHS、2.5GHz帯の再々編の可能性

新保氏

BWA4候補の比較
 記者説明会の最後には、JRI日本総合研究所 理事・主席研究員(通信メディア・ハイテク戦略クラスター長)の新保豊氏が「2.5GHz帯(BWA)を巡る課題と将来展望」と題して講演を行なった。

 同氏は、総務省のBWA政策の概況を説明。BWA候補となる、モバイルWiMAX、次世代PHS、クアルコムのIEEE802.20、iBurst(802.20)の4つのうち、実際にはWiMAXと次世代PHSの2つに絞られていると語った。

 この中で、2つの方式を採用することは将来に禍根を残すとし、仮に国産の技術である次世代PHSを採用した場合、次世代PHSは、現状のPHSとは技術が全く異なり、既存のウィルコムの基地局で使えるかどうかが疑問とした。また、国際標準にはなりえないとし、採用されても技術的な物理層がWiMAXとほぼ同じであるため、特許権やライセンスの使用料で強みが持てないと述べた。

 総務省の方針では、2社に対して2.5GHz帯の免許を割り当てるとされており、3Gサービスを展開する事業者は直接経営を行なえないことになっている。新保氏は総務省の傾向として「現状のシェアが少ないソフトバンクとイー・アクセスに割り当てることで、シェアが拡大し競争力が働くと考える」とし、ソフトバンク&イー・アクセス陣営が有望との見解を示した。

 さらに、「今回の割り当てに漏れたプレーヤーは次回をねらえばいい」とし、2.5GHz帯に隣接するモバHO!(モバイル放送)やワイドスターなどを含めた再々編の可能性も示唆した。


市場拡大イメージ 次世代PHS、関係者の話

WiMAXと次世代PHS 2.5GHz帯の再々編

技術競争と規格統一競争 国益を最大化できる方が選定される

複数のシナリオがある 2.5GHz帯の割当は秋以降も続く


URL
  WiMAXフォーラム日本オフィス
  http://www.wimaxforum.jp/
  WiMAX Forum(英文)
  http://www.wimaxforum.org/

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(津田 啓夢)
2007/09/03 16:04

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