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原宿・Kスタで「MediaFLO」の公開実験

増田氏

メディアフロージャパン企画の増田氏
 KDDIとメディアフロージャパン企画は、携帯電話向け映像・マルチメディアコンテンツ配信技術「MediaFLO」の実験局免許を取得し、27日より東京原宿のKDDIデザイニングスタジオ3Fで公開実証実験を開始した。期間は2009年3月末までの予定。

 27日には、報道関係者向けに説明会が開催され、メディアフロージャパン企画代表取締役社長の増田 和彦氏からプレゼンテーションが行なわれた。


一般来場者も楽しめる実験

 「MediaFLO」は、通信ではなく、放送でマルチメディアコンテンツを携帯電話向けに配信できる技術。米クアルコムが開発し、米国では2007年3月より商用サービスがスタートしている。今回の実験は、KDDIデザイニングスタジオ内に実験用放送装置や、受信機となる米国向け携帯電話を設置し、屋内での電波伝搬特性、コンテンツの品質などが検証される。実験用機器は、展示物としてKDDIデザイニングスタジオ3Fの一角に設置されており、来場者は自由に番組を視聴できる。

 来場者が利用できる映像コンテンツは、NHKエンタープライズやキッズステーション、日経CNBC、バンダイチャンネル、よしもとクリエイティブ・エージェンシーなどから提供される映像が8チャンネル分用意され、電子番組表から好みのチャンネルを選ぶこともできる。疑似データながら天気予報やニュースなどを楽しめるアプリ(IPデータキャスティング)も参照できる。端末は、米国で実用化されているLG製やサムスン製の端末で、ケース内には、シャープや京セラによる試験端末も飾られている。

 増田氏は、「屋内での浸透の様子など、基礎的なデータ収集を進めるとともに、実際に触ってもらって、一般ユーザーから評価してもらいたい」と語る。


展示コーナー 展示
KDDIデザイニングスタジオ3FのMediaFLO展示コーナー 実際に操作することもできる

京セラ製とサムスン製の端末 シャープ製端末
京セラ製(左)とサムスン製の端末 シャープ製端末

モトローラ製端末 番組表
報道陣向け説明会では、モトローラ製端末も披露された 番組表のインターフェイスは米国版を踏襲しているが、内容はデモ用にあわせられている

実験の技術的概要

 映像送出装置の出力は1.4mWで、規模としてはKDDIデザイニングスタジオ内で十分視聴できるレベル。利用する周波数帯は、国内での携帯機器向けマルチメディア放送に割り当てられる予定のVHF帯ではなく、米国と同じくUHF帯(719MHzを中心とした6MHz幅)となっている。また、映像品質も米国と同様で、QVGAサイズ、30fpsなどのデータが用いられている。

 今回の実験が、UHF帯を使うことになった一因は、VHF帯対応の受信チップがまだ登場していないため。両社では今後、屋外での実験も行ないたいとしており、米国とは異なる日本の状況下において、未体験のVHF帯でもノイズなどの問題を検証していく必要があるという。仮にVHF帯でメディアフロージャパン企画に割り当てられるとしても、増田氏は、「VHF帯には、ハイバンドとローバンドがあるが、UHF帯に少しでも近いという意味からハイバンドでの割り当てが望ましい」との考えを示した。

 将来的に商用化される場合は、全国でエリアカバーしていくことになるが、その設備投資額はどの程度になるか、増田氏は、「ある調査によれば、700~800億円とされている。それで十分か足りないのか、実験を通して精緻に導き出す必要があるだろう」とコメントした。


どんなサービスになるのか

 アナログ放送終了後に空く電波帯域を用いることに加え、免許の割り当てが必要と、MediaFLOの国内商用サービスが実現するには、まだ乗り越えるべき壁が多くある。

 また、既に国内では、地上デジタル放送の技術をベースにしたワンセグが実用化されており、仮に実用化したとしても後発となるMediaFLOにどのような違いがあるのだろうか。

 この点について、増田氏は、チャンネル切り替えの時間が1~1.5秒と短いこと、映像フレームレートが30fpsであることなどを挙げる。さらに、それらの点に加え、5月に発表済みの調査データを引用しながら「ワンセグ風のリアルタイム映像視聴に迫る勢いで、IPデータキャスティングやクリップキャストに対する反応が良かったことは心強い。クリップキャストは、映像をタイムシフトして見てもらえるというもので、従来とは異なる映像配信ルートとして使ってもらえるのではないか。IPデータキャスティングは、携帯電話の通信機能で市場が成立している分野だ。ワンセグ的な部分が注目されがちだが、それ以外の部分での新しいスキームに期待している」と語り、EZニュースフラッシュのようなサービスに加えて、リッチな映像が楽しめるオプションサービスのようなイメージを描き、そこから市場が拡大できるとの見方を示した。また携帯電話以外で、カーナビや専用受信機などの登場にも期待しているという。

 増田氏は、「通信は、さまざまなコンテンツにアクセスしてもらいやすいが、最終的にはプル型サービスにならざるをえない。しかし、放送型サービスであれば、完全にプッシュ配信でき、設備面を見ても、端末が1台でも1億台でもリーズナブルに構築できる。通信と放送とうまく組み合わせることで、新たなビジネスを創出し、顧客バリューを向上できる」とも述べていた。

 会見後、あらためて増田氏に尋ねたところ、サービス自体は有料での提供を想定しているとのこと。また、現在の地上テレビ放送は、基本的に地域ごとによって放送局が異なる形だが、メディアフロージャパン企画ではCS放送のように、全国共通のサービス提供を想定しているという。また、来年1月には、国内に「ユビキタス特区」を設置する計画が進められているが、増田氏は第1回の意見募集にMediaFLOを提案したことを明らかにした。国内には、ソフトバンク系列のモバイルメディア企画が設立されているが、現在のところ、メディアフロージャパン企画では、技術的な部分を含めてモバイルメディア企画と協力はしていない。


IPデータキャスティング アンテナ
IPデータキャスティングの画面 フロア天井にアンテナ

MediaFLOの特徴 米国の動向
MediaFLOの特徴 米国の動向、最新状況として、現在52都市でサービスインしたことが明らかにされた

映像以外のコンテンツ分野 実験概要
映像以外のコンテンツ分野に着目 実験概要


URL
  ニュースリリース
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2007/1127/


(関口 聖)
2007/11/27 17:23

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