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NEC、携帯向けの日英自動翻訳ソフト開発

日英自動翻訳ソフト
 NECは、組込機器向けの日英自動翻訳ソフトを開発し、NEC製FOMA端末「SIMPURE N1」での動作に成功したと発表した。

 今回のソフトは、旅行会話を対象に携帯電話などの小型機器において、日本語から英語の自動翻訳を実現するもの。約5万語の語彙を持つ辞書を搭載し、通信を行なうことなく、端末内部の処理のみで実現する。日本語を発声して音声認識結果が表示されるまでが約1秒。翻訳開始から翻訳結果の表示までが約1秒とスムーズな処理が行なえる。

 評価機となった「SIMPURE N1」には、日本語の音声認識エンジンと機械翻訳エンジンを合わせた通訳統合モジュールがミドルウェアとして搭載されており、このモジュールが翻訳を行なう。上位レイヤーとなる自動通訳アプリは、APIを介して翻訳機能を利用する。通訳部分をミドルウェアとしたことで、たとえばメーラーアプリやブラウザといったそのほかのアプリケーションからも日英自動翻訳機能が利用できる。

 なお、ミドルウェアやアプリケーションを含む全体のプログラムサイズは20MB程度。評価機では、男声を認識する端末と女声を認識する端末が用意された。男声/女声の選択式も+1MB程度で実現できるという。

 音声認識エンジンは、音の波形が入力されるとその特徴を分析し、音の見本である音響モデルと照合される。照合結果と単語の読み方を持つ辞書、単語の繋がりを処理する言語モデルを照らし合わせて最適な単語の配列を探し出す。その際、音の特徴から、あらかじめ単語辞書および言語モデルの候補を絞り込み、迅速な処理を実現しているという。

 機械翻訳エンジンは、NECの「語彙規則型機械翻訳エンジン」を携帯電話向けにコンパクトにしたもの。翻訳処理は、単語辞書と文法規則を組み合わせて処理するのが一般的だが、NECのエンジンは、単語毎の文法規則が記述されており、口語翻訳に向いているという。

 たとえば、「あう」という言葉には、「事故にあいました」、「スリにあいました」、「有名人にあいました」「この帽子は私にあいます」といったように、意味が異なる翻訳結果が必要になる。今回の翻訳エンジンには、単語毎のこうした特殊な文法規則を持っている。


音声認識と翻訳エンジンを携帯電話上に搭載 翻訳モジュールをミドルウェアとした

音声認識エンジン 翻訳エンジン

NECの笠原氏
 発表会で行なわれたデモンストレーションでは、「タクシーを呼んでください」、「歯磨きと歯ブラシは何処で買えますか」「栓抜きを貸してください」といった短いセンテンスの日本語をほぼパーフェクトに認識した。さらに、「このホテルから空港に行くバスの中にパスポートが入った鞄を忘れました」という複雑な口語も認識、直訳に近い形で翻訳結果が表示された。「ロサンジェルス」や「ニューヨーク」など、日本語読みの地名も認識していた。

 今回の技術はNECの研究所が開発したもの。同社中央研究所の支配人である笠原 裕氏は、「1977年、当時のNEC会長だった小林宏治が『C&C』を提唱し、21世紀には自動翻訳システムができると語った。今回の技術は、その夢の実現の第1歩。音声認識は、人間にとっては基本的な機能だが、これを機械がやるのはなかなか難しい。そんな中、技術開発を30年ほどやってきたが、ハードウェアなどの進化によって、少ないリソースのソフトウェアで実現できるようになった」と語った。

 なお、NECでは、携帯電話への搭載時期については未定としている。また、他社メーカーへの技術供給についても未定としたが、さまざまなアプリケーションが翻訳機能を利用できるように設計されているという。PDA向けでは日英翻訳だけでなく英日翻訳、音声合成といった機能も実現しており、こうした機能を携帯電話向けに提供することも技術的には可能とのこと。同社では今後、携帯電話への実装のみならず、電子辞書やデジタルカメラといったさまざまな組込機器に今回の技術を展開したい考え。


発表会のデモ。ARM9 250MHzの端末で動作しており、905iシリーズのほぼ半分程度の性能で実現した 音声入力中の画面

認識結果 翻訳結果


URL
  ニュースリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0711/3002.html


(津田 啓夢)
2007/11/30 14:44

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