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富山大学とWCMF、W-SIMのアイコンをデザインする講義

講義の様子

W-SIM対応製品のコンセプトモデルを紹介
 富山大学芸術文化学部とWILLCOM コアモジュール フォーラム(WCMF)は、産学協同の取り組みとして、W-SIMのシンボルアイコンをデザインする講義を開催。5日、富山県高岡市の同学部キャンパスにおいて第1回目の講義を開催した。

 富山大学芸術文化学部は、同大学と富山医科薬科大学、高岡短期大学の3校の統合によって新設された国立大学法人の芸術系学部。WCMFは、PHSの無線通信モジュール「W-SIM」を推進する組織として、W-SIMの発表とともに設立された業界団体。私立大学ではこれまで産学協同の取り組みが積極的に行なわれてきたが、今回の試みは、国立の芸術系大学と企業団体がコラボレーションした珍しい取り組みとなっている。

 講義では、W-SIMのシンボルアイコンをデザインする。メモリカードやUSB機器、Bluetoothなどには、相互の接続性をわかりやすく示すため、対応機器にアイコンが表示されている。W-SIMは音声端末や情報端末だけでなく、さまざまな機器へ通信機能を盛り込むカードとして登場したが、これまでにひと目で対応機器との接続がわかるようなアイコンはなかった。WCMFでは、このアイコンのデザインを学生らに委ねることで、対応製品の拡充や認知度向上などにつなげたい考え。

 5日にスタートした講義は、芸術文化学部の学部長である前田一樹教授が担当し、週2回のペースで2008年2月頃まで行なわれる。最終的に、学生の考えたアイコンのうち、優れたものはW-SIMのシンボルマークとして採用される見通しとなっている。

 第1回の講義には、WCMFの事務局より、山田弘氏と笠浪潤氏が招かれ、W-SIMや対応製品、コンセプトモデルなどが紹介された。


前田教授 同大 芸術文化学部 非常勤講師の竹村譲氏も講義をサポート

積極的な質疑が交わされる

山田氏

笠浪氏
 平均年齢19歳、受講する学生は女性が中心で、PHSは知っているが、W-SIMは知らないという学生が大半。中には自分で所有していたり、家族が持っていたりという学生もいたが、山田氏が音声端末からW-SIMを抜き取り、「DD(Data Driver)」の愛称で知られる「WS002IN」に装着してデータ通信ができると説明すると、非常に驚いていた。

 講義ではまず、WCMFの組織を説明し、W-SIMや対応製品である「Advanced/W-ZERO3[es]」、「9」などを紹介。さらに、ケータイ型ではないW-SIM製品や、ウィルコムのデザイナーが手がけたさまざまなコンセプトモデルも紹介された。また、学生側の要望に応えて、コンセプトモデルのタッチ&トライの時間も設けられた。

 「ケータイ」は自分たちが使う身近なツールであるためか、また、自分でデザインしたアイコンが世の中に広がる可能性があるためか、学生たちからは非常に積極的な質問がなされた。

 「W-SIMのサイズが将来的にもこのサイズなのか? もっと小さいものが登場するのか?」、「W-SIMの挿入口にフタ付きとフタ無しがあるのはなぜか?」、「W-SIMはウィルコム以外作らないのか?」、「W-SIMの“W”は何か? “W”でデザインしない方がいいのか?」など、質問は絶え間なく続いた。

 山田氏と笠浪氏はそれらの質問について全て回答。W-SIMのサイズについては、WCMFにおいてリクエストがあった旨を報告するスタンスでいるとし、メーカーが用途に応じて端末をデザインできるため、W-SIMスロットのカバーの有無についてもメーカーが決定できると説明。また、W-SIMのモジュールメーカーが複数いる点や、“W”にこだわることなく考えて欲しいと伝えていた。

 また、W-SIMの認知度に関しての質問には、笠浪氏は「現状は非常に認知度が低い。ウィルコムの端末を使っている人でも認識していない場合があるのではないか」と回答。ウィルコムがW-SIMを積極的にアピールしていない状況を説明し、「フォーラムでは、ウィルコムのように電話タイプに頼ることなく、W-SIMをアピールしていきたい」と話した。

 NTTドコモやKDDI、ソフトバンクの携帯電話では、USIMカードを端末内部に挿入して利用する。USIMカードは、長方形の1つの角が欠けているようなデザインとなっており、ユーザーが端末の裏表を間違えないで装着できるように配慮されている。カード形状に関する質問の中で笠浪氏は、W-SIMでは現状挿入口にサインがないために、カードを装着する裏表をどう認識させるかといった点も課題だと述べていた。

 山田氏からは、パナソニック コミュニケーションズ製のW-SIM対応「会議用スピーカーホン」において、W-SIMの挿入口がわからないという意見があった点も紹介され、W-SIM自体の認知度向上とアイコンの重要性が語られた。なお、学生の中には家族が「9」を購入したものの、購入時にW-SIMが装着されていないため、どこに装着すべきが迷ってしまったと話す人もいた。


W-SIMと対応端末の使用感をチェックする学生 W-SIMの資料を熱心にチェックしていた

マイクロセルとマクロセルの方式の違いなども説明された
 山田氏と笠浪氏が盲点だったと話す意見もあった。WCMFでは、アイコンをW-SIMのジャケット側に表示する予定だったが、学生からは、ジャケット側と装着するW-SIM側にもアイコンを表示すればもっとわかりやすいという声が挙がった。

 さらに、「そもそもPHSと他のケータイとの違いがわからない」と言った意見があったため、PHSの採用するマイクロセル方式と、携帯電話事業者各社のマクロセル方式の基地局の違いやその特徴、病院などでも採用されている低電磁波である点なども説明することになった。

 説明を受けた学生からは「今はauを使っているが、PHSにすると繋がらない場所もあるのか?」といったつっこんだ質問があり、山田氏は「都市部ではほぼエリアをカバーしているが、地方では現状よく繋がる方は携帯電話と言わざるを得ない」と率直に語った。セル設計の小さなマイクロセル方式では、幹線道路はカバーしているものの、大きな河川の付近などでは厳しい場合もあるという。

 これに対し、「河原沿いに住んでいたらこれからもウィルコムは使えないのか?」、「コンセプトモデルに防犯グッズがあるが、場所によっては使えないままなのか?」といったカバーエリアを心配する声もあった。山田氏は、現状では弱点だが、より大きなエリアをカバーできるマクロセル対応の基地局についても検証が進められていると話していた。

 このほか、「ウィルコムはメールや通話がし放題だと知っている。でも、使っている人たちはW-SIMを知らない。ウィルコムはW-SIMを広める気があるのか?」といった厳しい声もあった。

 積極的な意見交換が行なわれ、第1回の講義は終了。担当教授である前田氏はプラスチックリサイクルの「プラマーク」など、数多くのデザインを手がけているデザイナーだ。講義の最後には、同氏より、アイコンを考える上で姿勢が語られた。

 「マークを考える上で何を根拠に考えるか基準が必要。デザインは何を相手に伝えるのか、何をコミュニケーションするのかということ。伝える内容を言葉で論理で説明できなければいけない。ケータイは皆使ってるが、SIMの意味を知っている人はいないと思う。デザインが生まれた後、3~10年後にどう変化するかということも考ええなければならない。今回、つながりにくい面もあるが、病院でも使えると知れば、それだけでイメージが変わる。デザインを依頼する側はちゃんと目的を持っているし、それを考えた上でデザインして欲しい」と語ってしめくくった。


コンセプトモデルを触りながら、利用方法など積極的な質問が交わされた 端末の周りに集まる学生たち


URL
  富山大学芸術文化学部
  http://www.tad.u-toyama.ac.jp/
  WILLCOM コアモジュール フォーラム
  http://www.wcmf.jp/

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(津田 啓夢)
2007/12/05 13:29

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