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MCF定例セミナー、フィルタリングや携帯検索の現状と課題など

モバイル・コンテンツ・フォーラム事務局長の岸原孝昌氏
 携帯電話・PHS向けコンテンツプロバイダの業界団体「モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)」による定例セミナーが都内で28日に開催された。今回の議題は当初、モバイル検索サービスが中心となる予定だったとのことだが、ここにきて青少年向けフィルタリングサービスに関するセッションも追加された。

 「青少年向けフィルタリングの現状と今後の行方」と題するフィルタリングに関するセッションは、モバイル・コンテンツ・フォーラムの事務局長である岸原孝昌氏が講演を行なった。

 同氏は、フィルタリングに関してこれまで、有害なサイトをアクセス制限するサービスと説明されているが、現行の携帯電話のシステムの中では健全なサイトも制限されてしまうことが認識されていないのではないか、という。つまり、青少年を保護するため、フィルタリングを導入しなければならないという検討はされているが、どのフィルタリングをどのようにかけるのか、ということがこれまで日本の中で一度も議論されていない、と問題を提起した。MCFは、フィルタリングに関してさらに踏み込んで検討する場を設けるよう関係省庁に提案していると紹介した。

 フィルタリングの現状に関しては、携帯電話事業者へ要請された内容をまとめ、2006年11月の総務大臣からの要請、2007年12月の再要請の内容が紹介された。そこでは、新規契約者に対してはフィルタリングに関する親権者の意思確認が求められ、既存契約者に対しては、メール・請求書同封物などで親権者である契約者にフィルタリング利用の意思確認を実施することとなっている。これに対し、岸原氏は、後者に関して周知や啓発といった活動が重要であるとした。


フィルタリングサービスについて、周知・啓発が重要と説く キャリア各社のフィルタリングサービス概要

 また、カテゴライズの作業も通信事業者が各サイトの内容にまでは踏み込めず、「外見上で判断せざるを得ない」と言う。こうしたところが健全なサイトでも閲覧を制限されてしまうことにつながる。たとえばブラックリストの場合、アダルトカテゴリーに含まれてしまうと、携帯小説サイトなどの一部にアダルトな内容を含む場合であっても、サイト内の一般図書も利用できない。コミュニケーションカテゴリーに含まれてしまうと、ブログやSNSなどもNGとなる……など規制カテゴリー中に健全サイトも含まれてしまう問題を指摘した。

 ホワイトリストの場合は方式上さらに規制が多く、キャンペーンサイトが影響を受ける可能性が高いとした。飲料やスナックなどの青少年にも身近なキャンペーンが携帯から利用できなくなる場合、青少年のIT化後退にもつながりかねない。また、「一般サイト=悪」のレッテルを張られ、イメージ低下につながってしまうという懸念も示された。


ブラックリスト方式で想定されるフィルタリング対象 ホワイトリスト方式で健全なサイトが影響を受けると想定される例

準備委員会での論点としてフィルタリングの実装に関して論じていく予定
 なお、基本的に各社は、20歳未満の新規携帯電話契約において、特にフィルタリングの指定をしない場合、デフォルトでフィルタリングが実施される仕組みを採用する。また、20歳未満の既存の契約者に対しては、決められた期日までに、親権者を伴い各ショップでフィルタリングの指定を行なわない限り、やはり各キャリアが指定しているフィルタリングが実施される。こうした仕組みがどこまで周知できるのか、というのも課題とされた。

 導入が決定事項であるフィルタリングサービス。MCFでは今後は実施するかしないかの議論から、「どのようにフィルタリングを実施するかの議論へ」と移ると言う。すでにMCFでは昨年12月11日にフィルタリング普及のための第三者機関「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(仮称)」の準備委員会設立を発表しているが、第三者機関をはさむことの目的を紹介。総務省の検討会に関しても、その検討項目やスケジュール、さらにMCFからの提言などを紹介した。


第三者機関とキャリアが管理することで健全サイトへのアクセス制限緩和を目指す こちらが三者機関を加えたフィルタリングシステム

 もうひとつのテーマとなるモバイル検索サービスに関しては、Google、エフルート、Yichaの3社が講演を行なった。グーグルは「グーグルのモバイル検索について」という題で講演。昨年10月に同社が行なったモバイル検索サービスのリニューアルでは、モバイル端末でのアクセスのしやすさ、入力の簡略化、優先表示などを紹介。そのほか、キャリアとの取り組み、モバイル向けのターゲット広告「モバイルAdSense」などの取り組みなどを紹介した。


昨年リニューアルされたモバイル向けUI モバイルAdSenseでモバイルコンテンツにもテキスト広告を配信

 モバイルに特化した検索エンジンであるエフルートは、自社の検索結果表示の特徴を紹介したほか、最近のモバイル検索のトレンドとして、モバイル検索というものをユーザーが学習してきていると指摘し、複数キーワードを入れる割合が増加したと紹介した(この点についてはオーバーチェアも同じ指摘をしている)。

 さらに、テレビなど他のメディアで紹介されたキーワードがモバイル検索の検索ワードにも反映すると紹介したうえで、クロスメディア的な使われ方がさらに進む、と2008年の動向を予測した。同社では、2008年は動画閲覧がブレイクするとも予測をしている。

 Yichaは、中国発のモバイル検索エンジン。中国国内では最も利用されているモバイル検索エンジンとのことで、その特徴を解説したうえで、中国のモバイル市場や日本市場への取り組みなどを紹介した。


モバイルでもPC検索同様に複数ワードによる検索が増加傾向 モバイルでもPC検索同様に複数ワードによる検索が増加傾向

 このほかには、ユビキタス・コアが「モバイル検索サービスの利用拡大とSEOの必要性」、オーバーチェアが「モバイルビジネスを強力に支援するオーバーチェアの戦略とは」と題して講演を行なった。

 ユビキタス・コアでは、キャリア各社がモバイル検索サービスを公式サイトメニューで採用する現在において、検索サービスの利用が拡大しているといったデータを紹介したうえで、サーチエンジン最適化(SEO)の必要性や効果、手法などを説明した。

 オーバーチェアも、モバイル検索に関する各種統計を紹介。なかでも公式サイトと一般サイトの利用状況に関して、公式サイトを好んで利用するユーザーが36.7%、一般サイトを好んで利用するユーザーが44.9%という統計から、それぞれのビジネスモデルも変化してきていると指摘した。


モバイル検索サービスの利用者が増加(ユビキタス・コア) 一般サイトが公式サイトの利用を上回る(オーバーチェア)


URL
  MCF
  http://www.mcf.to/mcf.html

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(石川ひさよし)
2008/01/29 17:02

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