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「国内のケータイ市場はどう変化したか」、総務省で評価会議

 総務省で6日、「モバイルビジネス活性化プラン評価会議」が開催された。昨年9月に発表された「モバイルビジネス活性化プラン」が市場に対してどのような影響を与えたか、有識者が意見を述べ、提案するための場として位置付けられており、今回の会合では、過去半年間における総務省の施策もまとめて紹介された。


「モバイルビジネス活性化プラン」とは

モバイルビジネス活性化プランの柱は3つ

モバイルビジネス活性化プランの柱は3つ
 国内の携帯電話市場にどのような問題点があるのか、今後の発展には何が必要なのか――今回の評価会議の前身となる「モバイルビジネス研究会」では、「国内の携帯電話の料金は高止まりし、機能的には世界最先端でもメーカーに国際競争力がない」などとの指摘が挙げられ、キャリアやメーカー、ソフトウェア開発企業、販売代理店など携帯電話関連の企業・団体から意見を求めながら、2007年1月〜9月にかけて議論が進められた。

 その結果として、2007年9月21日に発表されたのが「モバイルビジネス活性化プラン」で、大きく分けて、「モバイルビジネスにおける販売モデルの見直し」「MVNOの新規参入の促進」「モバイルビジネスの活性化に向けた市場環境整備の推進」の3つが柱となる。

 たとえば、従来の料金プランでは、利用料に販売奨励金(インセンティブ)の回収分が含まれていたが、モバイルビジネス活性化プランでは、端末代金と通信料がはっきりとわかる分離プランの導入を提唱した。またSIMロック解除は市場動向を見て検討し、2010年時点で最終結論を出すことになった。MVNOについてもガイドラインを再改定することになった。


総務省の取り組み

増田総務相

増田総務相
 「モバイルビジネス活性化プラン評価会議」は、2007年9月の「モバイルビジネス活性化プラン」発表後、携帯電話市場がどのように変化したかチェックする会合、と言える。

 6日の第1回会合では、冒頭、増田寛也総務大臣は構成員に対して、「モバイルビジネス活性化プランの発表後に新しい料金プランが登場するなどの変化があった。こうしたことを通じて、市場活性化、そして国民の福祉向上に繋げる狙いがある。評価会議を通じて、場合によっては活性化プランの内容が妥当かどうか検討してもらうこともあるだろう」と述べた。

 過去半年間の施策については、総務省の事業政策課課長の谷脇 康彦氏から説明が行なわれた。

 まず販売方式関連については、「分離プラン導入」「販売奨励金の会計上での取り扱い方針」などの施策が実施されている。分離プランについては各社に導入を要請し、NTTドコモとauは、割賦販売や2年契約前提の販売方式が取り入れられた。また販売奨励金の会計上の取り扱いについては、これまで通信事業費用と算出され、MVNO向けの卸料金などにも反映されていることから、現状を見直す方向でガイドラインの策定作業が進められており、2月29日にパブリックコメントの募集が開始された。

 MVNOについては、ディズニー・モバイルやISPによるデータ通信サービスが発表されたほか、日本通信とNTTドコモの紛争処理により発された総務大臣の裁定内容などは、今後、MVNO事業化ガイドラインに反映される見込み。

 このほか、通信プラットフォーム研究会が新設され、通信インフラとアプリケーション部分を橋渡しする課金部分などについての議論がスタートしている。


米国では、オープンプラットフォームを条件とする周波数割当も ふるさとケータイ事業のイメージ例として紹介された米国のMVNO、Jitterbug社の端末とサービス
米国では、オープンプラットフォームを条件とする周波数割当も ふるさとケータイ事業のイメージ例として紹介された米国のMVNO、Jitterbug社の端末とサービス

 進捗報告の中では、海外の事例として、米国での周波数オークションも紹介された。米国では700MHz帯を中心に入札を募っており、グーグルなどが高額入札しているといった報道もあるが、特に800MHz帯のCブロックと呼ばれる帯域(22MHz幅)は、オープンプラットフォームの義務化を落札条件としており、落札した事業者がCブロックの周波数で通信サービスを提供する場合は、ユーザーが端末やアプリケーションを自由に選択して利用できる環境にすることになっている。

 また、政府内のIT戦略本部で検討されている、地方活性化に向けた緊急プログラムでは、地域の再生・活性化が大きな課題とされ、その対策の1つとして「ふるさとケータイ事業」という案が出てきているという。谷脇氏によれば、地域限定版のMVNOと言えるもので、イメージ例として紹介された米国のMVNO、Jitterbug(ジッターバグ)社は、操作キーを格段に減らした音声端末を提供し、オペレーター経由で電話をかけられるサービスを提供し、「人気が出てきているらしい」(谷脇氏)という。6月にも発表される最終報告書にふるさとケータイ事業も盛り込まれる予定で、具体化に向けた検討が進められている。

 日本通信が提供する「コネクトメール」や、フェムトセル導入に向けてレンタルと販売を想定した制度改正、“ケータイソムリエ”とも言われる端末販売員の検定試験の後援方針案などについても着々と進めていることが紹介された。


料金比較の方法は?

 進捗報告の後、構成員からさまざまな意見、疑問の声が上がった。まず座長に就任した東京大学名誉教授の齊藤 忠夫氏は「新料金プランなどが発表され、通信料がどの程度安くなったか示すデータはあるか」と尋ねると、谷脇氏は「どの程度変わってきたか、検証結果は今のところない。ただし、多種多様な割引があり、無料通話分もあることから、検証しにくい状況というのも事実」と述べた。

 これを受けて、イプシ・マーケティング研究所社長の野原 佐和子氏は「ユーザーがどの程度料金が変わったかわかる仕組みが必要ではないか。といっても、料金プランを単純化するのではなく、透明性を確保して、できるだけわかりやすく伝わるようにすることが重要」と指摘。一橋大学大学院教授の松本 恒雄氏は「そもそも活性化プランに料金面で比較検討する観点はあるのか」と尋ねると、齊藤氏は「家族内や同一キャリア内の通話定額なども出てきて、さまざまな割引サービスがあることでわかりにくくなっているかもしれないが、そのわかりにくさを撤廃することが良い、とは思わない」と述べた。総務省料金サービス課課長の古市 裕久氏は、「多様化するニーズに応えるべく、さまざまな料金プランが出てきており、一番重要なのはユーザーがきちんと理解できること。そのために、キャリアはユーザーに料金とサービスをきちんと説明する義務がある」と述べ、今後の消費者保護策に取り組む姿勢を見せた。


 野村総合研究所の北 俊一氏は「各社から新たな料金プランが出てきたが、これまでも述べたように完璧なプランは存在しない。透明性や公平性を確保すると自由度が失われる。たとえば、2年間の拘束が可能になって、割賦制が取り入れられたことで料金と端末代金が明確になった一方で、長期契約することになって、キャリアを乗り換える自由度が失われている」と指摘。

 また過去の議論を振り返って同氏は「日本の携帯電話市場はハイエンド志向とされ、ミドルクラスの端末の競争力を向上させ、日本メーカーが海外に投入できるのではないか、という話があった。しかし2年契約が導入された後の市場を見ていると『どうせなら一番ハイエンドにしよう』とハイエンド志向に拍車がかかったのではないか。それが良いか悪いかということではなく、端末ラインナップの構成がどう変わっていくのか、きちんとチェックしていくべきだろう」と語った。

 過去の料金プランでは、ARPUの1/4を販売奨励金回収分とされていたことに関し、北氏は「海外にARPUのデータを公表するとき割賦の端末代金も含めて良いのか。日本はポストペイが主流だが、海外はプリペイドが主流のためAPRUは安い。英国の動向を見ると、ふんだんに奨励金を付けており、0ポンドで販売される端末ばかり。世界の動きは日本と逆行しているが逆行そのものの善し悪しではなく、日本はARPUのようなデータ1つでも、どう出していくのか考えねばならない」と指摘した。

 このほか、情報流通ビジネス研究所所長の飯塚 周一氏は、販売奨励金に関連して、今後導入されると見られるフェムトセル(屋内向け小型基地局)が販売される場合、奨励金がどう扱われるか、総務省の方針をどう据えるべきか、疑問を投げかけた。

 MVNOに関連して、リーマン・ブラザーズ証券アナリストの津坂 徹郎氏は、「ARPUのデータを見ると、音声とデータに分かれ、収益が明示されているが、そのためのコストがわからない。MVNOが回線を借りられる料金がどう算出されるのか、わかるのだろうか」と質問すると、谷脇氏は「モバイルビジネス研究会を通じて、そのあたりの議論はなかった。大きなテーマだと考えている」と述べ、今後の課題にする考えを示唆した。


ケータイソムリエのあるべき姿

 携帯電話を販売するショップ店員を対象にした資格を新設し、総務省が後援する方針が明らかにされている中、北氏は「過去のモバイルビジネス研究会で、私が言い出した部分もある。しっかり勉強して優秀な販売員は多くいるが、そういった人が派遣社員ということもあり、本来のイメージはショップ店員が転職する場合に、その人の資質・知識を示し、履歴書にも記せるようなものを想定していた」と述べ、資格新設時にショップ店員の職歴に役立つ内容になることを要望した。

 野原氏は「自社端末を売るための資格を後援するのでは意味がない。ユーザーにとって、各社のサービスをきちんと比較して教えてくれるようなものが必要ではないか」と指摘した。

 これらの意見を踏まえ、谷脇氏は「パブリックコメント募集時に販売代理店からも賛否両論、数多くの意見をもらった。やはり現場からすると、キャリアごとに実施されている資格試験に加えて、新資格があると負担が増加するという懸念が多い。総務省が後援する資格は、公正中立を担保するためのものであり、個別の商品・サービスではなく、たとえばHSDPAとは何か、という知識を試すもの。行政の権益をいたずらに拡大すべきではなく、民間のものでやるべきだ。ショップ店員のキャリアアップに繋がる資格という想いは、私たちも同じ」と述べた。

 第2回の評価会議は、6月頃に実施される予定。


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(関口 聖)
2008/03/06 19:07


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