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ドコモ、ソフトバンク「821T」製造/販売差止で仮処分申請

 NTTドコモと富士通は、ソフトバンクモバイルが販売する東芝製携帯電話「かんたん携帯 SoftBank 821T」の製造、販売の差し止めを求め、東京地方裁判所に仮処分命令の申し立てを行なった。不正競争防止法に基づく申請となる。


FOMAらくらくホンIII 821T
NTTドコモの「FOMAらくらくホンIII」
ソフトバンクモバイルの「821T」

積み重ねがあってこそ「らくらくホン」

プレゼン資料として示された、FOMAらくらくホンIII(左)と821T(右)

プレゼン資料として示された、FOMAらくらくホンIII(左)と821T(右)
 ドコモと富士通は17日、「らくらくホン プレミアム」発表会場において、仮処分命令の申請について説明会を行なった。同社執行役員 プロダクト&サービス本部 プロダクト部長の永田 清人氏は、FOMA らくらくホンIIIと821Tの写真をスクリーンに映し出し、「両方らくらくホンと思いませんか、というところが今回の発端になっている。らくらくホンという物作りだけではなく、富士通とともに各地のショップで携帯電話の使い方を紹介する勉強会も開催した。こういった積み重ねがあって、らくらくホンは進化してきたのであって、それに酷似している商品を出すというのは、法的手段が必要になる、と判断した」と説明した。

 また、富士通常務理事 モバイルフォン事業本部 副本部長の大谷 信雄氏は「2001年に最初のらくらくホンを開発したが、当時、このような携帯電話はなかった。そこで、ドコモと協力してショップで数千回も使い方の教室を開催し、多くの方から意見をいただき、商品作りに反映してきた。一度らくらくホンを使い始めた方は、2~3年後に買い換えるだろうと、その後のらくらくホンは画面レイアウトやキーレイアウトを変更していない。これは信念を持ってやってきたこと。おかげさまで、累計1,200万台以上というヒット商品になったが、こういった努力や積み重ねに対してメーカーとして遺憾に感じた」と述べた。

 またドコモからは、ソフトバンクモバイルに対して「821T」の発売前に警告を発したが、「満足を得られる回答ではなかった」(ドコモ永田氏)とのことで、今回、法的措置に訴えることになった。


“酷似”の判定基準は?

ドコモ永田氏

ドコモの永田氏

富士通の大谷氏

富士通の大谷氏
 仮処分の根拠となるのは、不正競争防止法第2条第1項とされ、ユーザーに誤認させる表示という点で、販売・製造の差し止めを求めている。国内の携帯電話では、たとえば通話専用ケータイなどのように、ある企業が先駆けてリリースした形状やユーザーインターフェイス、機能を他社が追随するケースはこれまでにも存在している。しかし、ドコモの法務担当者が「(今回のように)仮処分申請したことは過去に例がないのではないか」とコメントしたように、法的に争われることは珍しい事例と言える。それだけに、今回、ドコモと富士通がなぜ申請に至ったのか、報道陣からは判定基準などを問う声が多く挙がった。

 これに対し、ドコモの永田氏は「写真で見ていただければわかるが、ディスプレイ下部の1/2/3ボタン、方向決定キー、メニュー体系と操作する上で“顔”になる部分が酷似している」と述べ、ハードウェア1カ所ではなく、複数の組み合わせで構成されるものとした。

 経緯としては、ソフトバンクモバイルが春モデル発表会を開催した、1月28日の時点でドコモ側が「821TがらくらくホンIIIに酷似している」と認識。その後検討し、ソフトバンクモバイルへ警告も行なったが、今回の措置に至った。

 永田氏は「らくらくホンに限らず、競争はアイデアを出しながら戦っていくもの。しかし今回の821Tは酷似だと思った」と述べたほか、AQUOSケータイやVIERAケータイなど、同じコンセプトの携帯電話が複数のキャリアからリリースされている状況と比較する声については「(AQUOSケータイやVIERAケータイは)同一メーカーからの製品で、同じ基本技術を用いて出てきたと認識しているが、今回は、共通性がありながら同一メーカーではない。1/2/3ボタンだけの類似で申し立てているのではなく、工夫した個々のパーツの組み合わせ、与える印象が同じと考えている」と説明した。また、富士通から人材が流出した影響かどうか尋ねる質問に対して、富士通の大谷氏は「らくらくホンを一度触れば外観やメニューは分かる(つまり真似できる)。今回のケースは人が移動したことから発生したものではない」とした。

 このほか、法的手段を執ることにより、新開発競争に何らかの影響を与えるかどうか、という点について、永田氏は「新しい技術の芽を摘むという心配はないだろう。むしろ、新しいことにチャレンジする人を大事にする取り組みだと考えている」とコメントした。


ソフトバンクモバイル、東芝は……

 ソフトバンクモバイル広報部では、「821Tは、取扱説明書のいらない携帯をコンセプトに、シニア層のニーズを徹底的に分析し、議論を重ねながら開発した商品。既に市場にあるものとはまったくの別製品と認識して発売している」とコメント。詳細な対応については今後検討するとしている。

 東芝の広報担当者は、「現時点で申立書を受け取っておらず、コメントできない」としている。



URL
  ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/080317_02.html
  ニュースリリース(富士通)
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/03/17-1.html
  ソフトバンクモバイル
  http://www.softbank.jp/
  東芝
  http://www.toshiba.co.jp/


(関口 聖)
2008/03/17 15:58


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