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【 2009/06/26 】
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携帯コンテンツの健全化を目指す審査団体が発足

有限責任中間法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)のロゴ

有限責任中間法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)のロゴ
 健全な携帯電話向けコンテンツの発展・促進を目指し、通信事業者やコンテンツプロバイダが参画する団体「有限責任中間法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」が設立された。

 8日、都内で記者会見が行なわれ、理事長を務める一橋大学名誉教授の堀部 政男氏の代理として、東京大学教授の長谷部 恭男氏(審査運用監視委員会委員)や、事務局長の虎ノ門南法律事務所所属の弁護士である上沼 紫野氏、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)事務局長の岸原 孝昌氏が説明を行なった。


設立の経緯、目的

左から、上沼氏、長谷部氏、岸原氏

左から、上沼氏、長谷部氏、岸原氏
 「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」は、携帯電話から利用できるコンテンツに対して、民間主導で独自の審査基準を設けてチェックするという役割を担う。昨年12月から設立に向けて準備が進められ、3月25日からは設立発起人を募っていたが、今回、100名の法人・団体・個人が発起人に応募し、設立趣意書が完成。8日付けで法人登記が行なわれ、正式に発足した。

 会見の冒頭、長谷部教授は、「モバイルインターネットは急速に普及し、生活に欠かせなくなったが、その反面、青少年が有害サイトにアクセスして犯罪に巻き込まれるケースも発生し、業界全体の取り組みが求められている。一方、既にキャリアのフィルタリングサービスはあるが、有害ではないサイトでも、そのサイトが属すカテゴリーごと閲覧制限対象になってしまう。このような一律制限は過度な制約になる。携帯コンテンツの発展を促進し、なおかつ有害サイトから青少年を保護するため、本団体を設立する」と述べた。


組織体制

 名称の英語名は、Content Evaluation and Monitoring Associationで、略称は「EMA(エマ)」となる。活動目的は「モバイルコンテンツの健全化」「青少年の発達段階に応じた主体性を確保した上での受信者の保護育成」「受信者の利便性の向上」とされる。

 その内部は、20〜30人の会員企業、有識者、学識経験者による「理事会」、携帯業界との利害を持たない学識経験者10名で構成される「基準策定委員会」、基準を元にサイトの認定を行なっていく「審査運用監視委員会」で構成される。また基準や団体運営方針などに意見を出す「諮問会議」も設置され、こちらには消費者団体やPTA団体からの参画が予定されている。

 サイトが健全かどうか認定することになるが、基準は今後策定されることになる。年齢別での基準設定、あるいはコミュニティ分野と企業分野では基準を変えるなど、柔軟な基準作りが想定されている。ユーザーからのクレームを受け付ける窓口としても活動する予定。実際の審査・運用監視は外部企業を活用する。また、一度認定を受けても、その実効期間は1年程度とされ、1年ごとに更新審査を受けることになる。

 各委員会の下には、ジャンルごとに基準を検討するワーキンググループ(WG)などが設置される。その中では、外部団体との連携も図られる予定で、たとえば企業情報サイトについて検討するワーキンググループでは、広告関連団体とMCFが中心として活動する。また、コミュニティの健全化を検討するワーキンググループでは日本インターネットプロバイダー協会も協力する。


スケジュール

準備委員会の事務局長を務めていたMCFの岸原氏

準備委員会の事務局長を務めていたMCFの岸原氏
 4月25日までは、会員と基金の募集が行なわれる。そして4月30日に設立総会が開催され、その後、基準策定委員会の活動がスタートする。5月29日頃を目処に基準を定めるという予定だが、基準策定の議論によっては、スケジュールが前後する可能性もある。

 仮にスケジュール通りに動けば、6月上旬にも認定を求めるサイトの募集を開始し、6月後半から審査など実質的な作業がスタートする見込み。

 認定にかかる費用も未定だが、利用者数などサイトの規模に応じて大/中/小といったコースが設けられる予定。現時点ではコストの算出作業が進められているとのことだが、EMAでは関係者にヒアリングして意見を求めていく。考え方としては、大手サイトに多くの費用を負担してもらい、わずかな人数が利用するサイトの負担は少なくする。ただ、個人規模で執筆・運営するブログや掲示板などの多くは、企業提供のASP型サービスを利用するケースが多いため、たとえばA社のブログサービスが認定されれば、そのサービス内のブログは全て認定済みと見なされることになるという。

 EMAの定める基準は第三者によるあくまで独自のものという位置付けであり、キャリア各社の基準を定めるというものではない。しかし、総務省で開催されている研究会では、第三者機関を絡めたフィルタリングの改善策が示されており、そういった動向を含め、岸原氏は「EMAの定める認定基準について、キャリアは対応してもらえるだろう」とした。


啓発活動も重要、キャリア提供の“myホワイトリスト”にも期待

 会見で、準備委員会の事務局長も務めたMCFの岸原氏は「認定だけが全てではない」と述べ、EMAの活動はフィルタリング強化・拡充だけを行なうものではないと説明した。

 同氏は「青少年保護はフィルタリングだけで行なえるとは思っていない。注意喚起、ユーザーへの啓発がもう1つ重要な点だ。子供を無菌状態で18歳まで育てるのが日本国民として良いことなのか。“大人が子供の代わりに考えるから、子供は判断しなくていい”とは思っていない」と語る。

 そこで、サイト認定とあわせ、もう1つの柱として重視されているのが、教育・啓発プログラムだ。具体的な内容は今後検討されるが、岸原氏は「コミュニティサイトの認定条件に『啓発プログラムの実施』を含む予定だ。このサイトを利用するためには教育プログラムをクリアしなければいけない、とか、このプログラムを進めると新しいアバターが入手できるといったやり方が考えられる」と説明した。

 また、NTTドコモが1月に行なった記者会見の席上で、ユーザーが任意で閲覧可能/制限サイトを設定できる“マイホワイトリスト”のような機能の開発に意欲を見せたことを受け、岸原氏は「認定は、ブラックリストに対して『このサイトはOK』と作業していくもの。ホワイトリストはキャリア推薦のサイトということで、そちらはそちらで活動されることになるだろう。そして、マイホワイトリストも期待できる手法の1つ。認定・啓発・マイホワイトリストの3つの連携が、有害になるサイトからの保護に繋がる。第1弾の施策として実現できるのではないか」とした。


議員立法の“フィルタリング法案”に対して

民間主導の意義を語る長谷部氏

民間主導の意義を語る長谷部氏
 自民党・民主党がそれぞれインターネット上のコンテンツから有害サイトを排除することを目指す法案を準備していると、一部報道で伝えられている。こういった動きに対して、長谷部教授は「表現活動や、それを通じた商業活動に規制を行なう場合、法的なアクションは最後の手段。“青少年の保護”という正当な目的に必要な手段もまた、適切でピッタリ揃えられたものが用意されるべき。なるべく民間のノウハウを活かし、自主的な取り組みを育てていくべき。法的に一律規制しても、かえって網の目をかいくぐることにインセンティブを与えかねず、結果的に社会的コストが増すことになりかねない」と指摘した。

 また、岸原氏は「一律規制は結局いたちごっこになる」とも述べており、現実的に見て、完全な規制は難しいとした。

 明日、自民党に対して啓発プログラムの内容を説明するという岸原氏は、「携帯サイト内だけでの活動では限界がある。青少年にとって身近な人たちが一定レベルに達しなければ難しいところがある。これまでの教育関係者との情報交換を通じて、『親の教育をどうするか』という点が一番の問題であるということがわかってきた。実際、子供たちは携帯電話を使いこなしており、その結果、有害なものから身を守る、いわば免疫力を持っている場合が多い。しかし、子供の頃に携帯電話というものがなかった保護者や先生たちにどう教えるか。これは国家として、グランドデザインが描かれなければならない」と指摘。

 EMAの活動では、行政からの資金や人材を利用することなく、全て民間主導で行なうことで、行きすぎた規制を是正することを目指すことも目的の1つだが、岸原氏の考えは、民間だけではできない部分には、国が適切に関わるべきということになる。同氏は「たとえば現在、義務教育で携帯電話の使い方は習わない。しかしIT立国というのであれば、そういったことを考えるべきではないか」とも述べていた。



URL
  モバイルコンテンツ審査・運用監視機構
  http://www.ema.or.jp/

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(関口 聖)
2008/04/08 16:52


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