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NEC、携帯電話の生産拠点「NEC埼玉」を公開

NEC埼玉

NEC埼玉
 NECは、携帯電話の生産拠点であるNEC埼玉(正式社名・埼玉日本電気)を、報道関係者に公開した。

 NEC埼玉は、携帯電話の生産技術・製造の中核拠点という位置づけで、世界最薄となる薄さ9.8mmを実現した「N705iμ」をはじめ、NTTドコモ向けの携帯電話を生産している。多品種生産、高品質製品の生産ラインを有した生産拠点であるとともに、開発・生産技術を集約した技術拠点ともなっている。


携帯電話の生産技術・製造の中核拠点

NEC埼玉は、本庄早稲田駅から車で10分の場所にある

NEC埼玉は、本庄早稲田駅から車で10分の場所にある

模型で見るNEC埼玉の全景

模型で見るNEC埼玉の全景
 NEC埼玉は、東京駅から上越新幹線で約50分の本庄早稲田駅から車で約10分。関越自動車道の本庄児玉インターチェンジからも約3.5kmの距離にある。同社は、1984年、NECの生産拠点として設立。携帯電話端末、移動体通信基地局装置の生産を行なっている。

 NEC埼玉の九鬼隆訓社長は、「NEC埼玉の特徴は、商品企画段階から関わり、製造品質の向上と、短期間での生産体制の確立、変動への対応が可能な点にある。また、表示部組立、部品実装、装置組立のラインの各工程において、随所で品質検査を行ない、早い段階で不良を発見し、高い品質を維持する取り組みを行なっている。仮に、市場に出た製品に不具合があった場合にも、すぐに設計・開発にフィードバックするとともに、部品メーカーにもフィードバックする体制を確立している」として、玉川事業所に拠点を置く、NECのモバイルターミナルプロダクト開発事業本部と緊密な関係を確立していることを強調する。従業員数は852人、派遣および請負作業員を含めて2,080人の体制。年間の生産規模は100万台弱となっている。

 かつては、ベルトコンベアを採用した180メートルというラインを構築していたが、少量多品種および短期間でのモデルチェンジに対応するため、1993年から生産革新活動を開始。試行錯誤を繰り返しながら、セル方式を採用した生産ラインを構築するとともに、物流倉庫を大幅に削減。生産リードタイムは、2〜3週間であったものを5日間にまで削減することに成功したという。


SMTライン。24ライン設置されており、そのうち約7割が端末向けの基板を生産 チップ部品をフレキシブル基板に搭載し、その後、液晶モジュール工程へと流れる
SMTライン。24ライン設置されており、そのうち約7割が端末向けの基板を生産 チップ部品をフレキシブル基板に搭載し、その後、液晶モジュール工程へと流れる

液晶モジュール工程ではCOG(チップ・オン・ガラス)、FOG(フレキシブル基板・オン・ガラス)によって、ガラスに実装 液晶ユニットの組立工程
液晶モジュール工程ではCOG(チップ・オン・ガラス)、FOG(フレキシブル基板・オン・ガラス)によって、ガラスに実装 液晶ユニットの組立工程

組み立てられた液晶ユニット
組み立てられた液晶ユニット

N705iμの組立ライン

N705iμの組立ライン

セル方式を採用しており、11メートルの長さで、12人が作業。約10分で製品が完成させる

セル方式を採用しており、11メートルの長さで、12人が作業。約10分で製品が完成させる
 セル生産ラインでは、ラインごとに異なる機種を生産することが可能で、これにより、機種の変動、生産数量の変動といった要素にも、フレキシブルに対応することができるようになっている。セル生産ラインは、一時期は長さ6メートル6人体制まで短くなったが、現在では、携帯電話の高機能化が進んだこともあり、部品点数が増加。11メートル12人体制でのセル生産ラインとなっている。「今後、設計段階からの見直しによる部品点数の削減、作業員の多能工化の促進などによって、ラインそのものを短くしていきたい」(NEC埼玉の今関和雄取締役)とする。

 また、NEC埼玉では、ラインの作業員が作業の流れを体験するとともに、作業員によるライン改善提案を定着させることを狙った取り組みを今年2月から開始した。ものづくり道場と呼ばれるこの取り組みでは、レゴブロックを利用して、生産ラインを擬似的に構築。1人あたり16点の部品を30秒で組み立てるという、実際の生産ラインよりも早いテンポでの組立を体験し、さらに、レゴという単純な部品を使うことで、改善提案に集中できる環境も作り出しているという。

 「まだ成果を問うには早いが、改善提案の癖をつけるという点での効果を期待している。今後半年間で、ベテランまでを含めたすべての作業員が道場で体験を行なえるようにしたい」(今関取締役)としている。


一日あたり、1ラインで1,000台を生産。27秒で次の人に流す計算だ 組立ラインでは梱包までインライン化している
一日あたり、1ラインで1,000台を生産。27秒で次の人に流す計算だ 組立ラインでは梱包までインライン化している

組立ラインに部品を供給する水すまし。15分に一度のペースで供給する 部品の物流に使用しているTP(TOYOTA Products)トレイ
組立ラインに部品を供給する水すまし。15分に一度のペースで供給する 部品の物流に使用しているTP(TOYOTA Products)トレイ

TPトレイのなかに入っている部品箱は10個単位で部品が入る。これはNEC埼玉独自のもの 信頼性の評価はあらゆる観点から行なっている
TPトレイのなかに入っている部品箱は10個単位で部品が入る。これはNEC埼玉独自のもの 信頼性の評価はあらゆる観点から行なっている

N705iμに使用される部品群 完成したN705iμ
N705iμに使用される部品群 完成したN705iμ

今年2月からスタートしたものづくり道場。レゴブロックを使って、流れを体感したり、問題発見を行なうのが狙い NEC埼玉では、作業員たちが作成した「生産革新かるた」が張り出されている
今年2月からスタートしたものづくり道場。レゴブロックを使って、流れを体感したり、問題発見を行なうのが狙い NEC埼玉では、作業員たちが作成した「生産革新かるた」が張り出されている

NEC埼玉ではかんばん方式を採用している
NEC埼玉ではかんばん方式を採用している セル生産ラインごとに異なる機種を生産する体制をとる

物流は、NECの物流ネットワークを利用している。通常の運送業者に比べて4割のコスト削減になる
物流は、NECの物流ネットワークを利用している。通常の運送業者に比べて4割のコスト削減になる

NGNとの連動でNECらしさを際立たせる

NECモバイルターミナルプロダクト開発事業本部・田村義晴事業本部長

NECモバイルターミナルプロダクト開発事業本部・田村義晴事業本部長
 一方、NECモバイルターミナルプロダクト開発事業本部・田村義晴事業本部長は、NECの携帯電話事業への取り組みについて語った。

 「NECは、折りたたみ方式の携帯電話のパイオニアであり、折りたたんでも厚くならないことが、常に求められていた経緯がある。つまり、NECにとっては、部品の薄型化が必然的な取り組みだった。現在では、薄型化(スーパーシン)に加えて、スピード、スタミナを加えた『3S』の取り組みのほか、折りたたみの形状のままテレビの視聴をするといった新たな利用スタイルの提案や、少量多品種への展開、安心・安全・ラクといった観点から使う人の多様性にあわせた価値の提供を行なっている」とし、「他社は家電連携を中心として取り組んでいるが、NECは、NGNとの連動、システムとの連動といった点を追求する。そこでNECらしさを際立たせたい」と、同社携帯電話事業の方向性を示した。


薄さを追求したN705iμへの取り組み

NECの携帯電話の進化の方向性

NECの携帯電話の進化の方向性

NEC埼玉・九鬼隆訓社長

NEC埼玉・九鬼隆訓社長
 NECが追求した「薄さ」の集大成といえるのが、2月から発売されているNTTドコモ向けのN705iμである。NEC埼玉の携帯端末開発部技術課長の祐川正純氏は、「これまでのN704iμの薄さは、11.4mmだった。機能を増やしながら10mmの壁を破ること、できることならば世界最薄を達成したという目標を掲げて開発した。9.8mmの薄さ、98gという軽量化を実現できた」と語る。

 薄型化に向けては、部品の薄型化が大きく寄与している。従来機に比べて約30%の薄型化を図った液晶の開発や、コネクタやスピーカーの小型化などに加え、LSIの統合とともに、LSIの上にもう1つのLSIを搭載するPOP(パッケージ・オン・パッケージ)の手法を用いて、部品の実装面積を大幅に削減した。「703iμでは、フレキシブル基板の上に搭載していた部品を、N705iμではメイン基板の上に直接搭載した。こうした実装技術によっても、薄型化が図れている」という。

 また、N705iμでは、N705iと同じメイン基板を採用。N705iには、メイン基板の上に、GSM回路部やDTV回路部を追加して製造する仕組みとしている。これにより、まったく性格が異なる2つの製品の同時開発を実現するとともに、コスト削減にも寄与している。

 一方、開発にシミュレーション技術を採用しているのもN705iμの特徴。液晶部の押圧解析、開閉時のフレキ強度解析、打鍵耐久解析、落下解析などを、試作機を作る前のシミュレーションによって、構造上のウイークポイントを把握し、改良を加えるというものだ。「薄型の形状では、どうしても強度が懸念される。シミュレーションを何度も行なうことで、短期間に、最適な形に改良でき、強度の問題を解決できる」という。

 さらに強度の点では、三層のステンレス筐体を採用。これは、NEC中央研究所が開発した薄型実装技術と、NEC埼玉の商用機開発部隊の知恵と工夫によって実現したものだという。「薄型実装技術、高密度実装技術を用いた商品開発にもこれからチャレンジしていきたい。また、シミュレーション技術を駆使したフロントローディング設計により、製品品質の向上に努めるほか、共通設計などによる開発効率化を推進し、多機種同時開発を実現していく」としている。

 NEC埼玉と、事業本部との連動によって、世界最薄となる携帯電話が量産されているといえよう。


NEC埼玉の携帯端末開発部技術課長の祐川正純氏 N705iμの特徴
NEC埼玉の携帯端末開発部技術課長の祐川正純氏 N705iμの特徴

剛性などは試作機を作る前にシミュレーションする。実際の落下とシミュレーション結果には差がない 強度シミュレーション
剛性などは試作機を作る前にシミュレーションする。実際の落下とシミュレーション結果には差がない 強度シミュレーション

N705iとN705iμでメイン基板の共通化を実現している
N705iとN705iμでメイン基板の共通化を実現している

携帯電話、移動体通信基地局装置を生産しているNEC埼玉 NEC埼玉の受付の様子
携帯電話、移動体通信基地局装置を生産しているNEC埼玉 NEC埼玉の受付の様子

太陽電池パネルを108枚設置 年間22,100kWhを自家発電
太陽電池パネルを108枚設置 年間22,100kWhを自家発電

NEC埼玉で生産された歴代の携帯電話

1984年に発売したNECの第一号自動車電話(海外向け)となるTR5E800-2B 1988年発売のショルダーホンTZ803AI
1984年に発売したNECの第一号自動車電話(海外向け)となるTR5E800-2B 1988年発売のショルダーホンTZ803AI

1987年に発売した携帯電話の第1号機となるTZ-802B 折りたたみ式の1号機となるTZ-804B
1987年に発売した携帯電話の第1号機となるTZ-802B 折りたたみ式の1号機となるTZ-804B

iモード第1号機のN501i カラー液晶を搭載したN502it
iモード第1号機のN501i カラー液晶を搭載したN502it

FOMA第1号機のN2001 カメラ機能を搭載したN251i
FOMA第1号機のN2001 カメラ機能を搭載したN251i

テレビ電話機能を搭載したFOMAのN2102V HSDPAにいち早く対応したN902iX
テレビ電話機能を搭載したFOMAのN2102V HSDPAにいち早く対応したN902iX


URL
  NEC埼玉
  http://www.nec-saitama.co.jp/

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(大河原克行)
2008/04/09 13:07


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