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ドコモ、R&DセンタでSuper3Gなどを初公開

NTTドコモ R&Dセンタ
 NTTドコモは、神奈川県横須賀市にある同社の研究開発拠点「NTTドコモ R&Dセンタ」において、報道関係者向けに初めてSuper3Gのデモンストレーションを行なった。

 「横須賀リサーチパーク(YRP)」では、約70の機関が通信技術関連の研究開発を行なっている。YRPの各棟には通常、複数の機関が入っているが、「NTTドコモ R&Dセンタ」は数少ない独立棟で、日夜、先端技術の研究開発が進められている。研究開発に携わるスタッフは約800名、協業各社のスタッフなどを含めると「NTTドコモ R&Dセンタ」だけで3,000名のスタッフが働いているという。


Super3Gについて

尾上氏

歌野氏
 各デモンストレーションに先駆けて、NTTドコモの無線アクセス開発部長の尾上誠蔵氏より、3Gサービスの現状やSuper3G、そして今後の4Gについて説明があった。

 尾上氏は、ドコモが「Super3G」を導入する意図を「4Gにつなげるためのワンステップ」と説明し、4Gへスムーズに移行させるための段階であるとした。なお、標準化組織である3GPPでは、Super3Gを「LTE」の名称で仕様策定を行なっている。

 LTEでは、パケット通信の速度が下り100Mbps以上、上り50Mbps以上と定義されている。尾上氏は現状、複数のアンテナを組み合わせることで帯域を確保する「MIMO」の技術によって、4本のアンテナをつかんで300Mbps、2本で150Mbpsが実現していると述べた。このほかに、通信の遅延を改善する仕様や、ユーザーが利用する際の平均スループットが上下共に従来の2~3倍向上することなどが盛り込まれている。

 なお、Super3Gでは周波数の利用効率もHSDPAの3~4倍向上するという。このため、ビット単価が1/3程度に抑えられるという。

 「願わくば、新しい周波数でSuper3Gが始められると都合がいい」と語った尾上氏。ドコモでは、現在FOMAで利用している2GHz帯(20MHz幅)において、当初、20MHz幅のうちの5MHz幅を利用してSuper3Gを展開し、利用幅を徐々に拡大していく方針だ。新たな周波数が付与されれば、そちらで本格的にSuper3Gを展開したい考えで、空き周波数の一例として700MHz帯を挙げていた。

 なお、Super3Gでは、3Gのオペレーターが競争力を維持したまま、4Gへスムーズに移行できるというのが基本的なコンセプトとなる。Super3Gを導入しても3Gの機能はサポートされ、例えば、Super3Gのエリアを外れた場合でも3Gで接続できるという。

 昨年、Super3Gの主な仕様については、3GPPで承認された。現在は80%の仕様策定が完了した段階で、現在、残り20%のつめの作業を行なっているとのこと。テストなどを行なった上で、2009年末には開発を完了させ、すぐにでもサービスが商用化きるような状態にしたいという。

 尾上氏はSuper3Gについて、「ドコモが勝手な仕様を作るのではないか?」という声を聞くとし、「3GPPの仕様で作り、他の事業者と歩調を合わせてやる」と語っていた。また、Super3Gの課題として、相互運用性(インターオペラビリティ)が重要とし、ドコモのネットワークだけでなく、他の3Gとのローミングできるようにする方針を明らかにした。ドコモの取締役常務執行役員で研究開発本部長の歌野孝法氏からは、複数のオペレーターと共に、インターオペラビリティの試験をやる話が出ているとした。

 このほか、4Gにあたる「IMT-Advanced」について、現在、標準化作業が進められていると述べた。IMT-Advancedの目標値である1Gbps以上の通信速度については、実験機ベースでは実現している状況という。


Super3Gデモ

デモ車両
 雨の中で行なわれたSuper3Gのデモは、「NTTドコモ R&Dセンタ」の屋外に設置されたアンテナから発信される電波を移動する車両で受けて行なわれるものだった。

 車両は、20~35km/h程度の速度で走行しており、車内では75~240Mbps程度のスループットを記録していた。HD映像6画面(モニタの関係で3画面ずつ表示)、合計80Mbpsの映像を受信するデモでは、建物の影など電波状態の悪い場所に入ると、映像にブロックノイズが出る場合もあったものの、ほぼ映像は乱れなかった。

 今回のデモでは、走行速度の変化が小さかったため、走行速度によるスループットの違いはわからなかった。尾上氏よれば、「低速時にしっかりスピードが出て、高速走行時にそこそこのスピードで通信できるよう、チューニングする予定」とのこと。

 このほか、「NTTドコモ R&Dセンタ」内にあるカメラと、車内カメラを使った双方向のカメラ伝送デモや、通信対戦型の格闘ゲームの対戦などが体験できた。


車の上部にはSuper3Gのアンテナがある 内部

デモ内容 赤字がスループット

美麗な映像を受信 右の画面は、通信対戦ゲーム。左は双方向でビデオ通信

電波状態が悪くなるとブロックノイズが表示された Super3Gは遅延が軽減されているという

基地局設備 3GPPで合意されたSuper3Gの条件

ヘッドフォン型視線インターフェイス

ヘッドフォン型視線インターフェイス
 室内では、先端技術の研究なども紹介。ヘッドフォンを使って、視線でさまざまな機器をコントロールするインターフェイス技術のデモが披露された。

 この技術は、目が動いた時に体内に発生する電気を検知して、目の動きでさまざまな操作をしてしまおうというもの。ヘッドフォンにはカメラが搭載されており、視線を動かすとカメラが目当ての方向に向く。視線の先にあるQRコードをカメラが読み取って、クーポンの発行を行なうといったように、見ただけで情報が取得できるデモが行なわれた。

 また、目の動きで音楽プレーヤーを操作するデモも実施。目をiPodの操作部のように回転させると音量アップしたり、右方向を2回見ると早送りしたりといった実験が披露された。なお、目をつぶって動かしても操作が可能。耳を覆うタイプのヘッドフォンでの実装を目指して研究が行なわれているという。

 このほか、富士通製のスマートフォン「F1100」向けの業務ソリューションのデモなども行なわれた。


ディスプレイ四隅のQRコードを見ると、ヘッドホン搭載のカメラが視線を追従し、QRコードを認識する 目を動かすことでコントロール

音楽を再生

F1100 管理者画面

ビジネスシーンをビデオで上映 管理者が各端末を個別に機能制限できる

ドコモの考える未来のビジョン

 「NTTドコモ R&Dセンタ」では、こうした研究開発のスペースだけでなく、NTTドコモの未来へのビジョンが体感できる展示ホール「WHARF」も設置されている。こちらは、予約をすれば見学が可能となっており、修学旅行生などが訪れるという。

 「WHARF」では、腕時計型の装置を装備して、決まったリズムで指を合わせると身の回りのものがコントロールできる「UbiButton」(ユビボタン)や、リング状のBluetooth機器で通話などが行なえる「指話」(Yubi-Wa)、音楽などにデータを仕込む音のQRコード「音響OFDM」など、さまざまな先進的な技術が体感できる。


WHARF UbiButton

指話 指を耳の穴に入れて通話する

バーチャルで子供服を試着 360度確認できる

音響OFDM


URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
  NTTドコモ R&Dセンタ
  http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/technology/rd/
  WHARF
  http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/technology/rd/rdcenter/wharf/

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(津田 啓夢)
2008/04/10 22:04


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