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日本通信が事業戦略説明会、ドコモ網利用のIP電話提供へ

日本通信の三田氏

日本通信の三田氏

日本通信の福田氏

日本通信の福田氏
 日本通信は21日、今後3年間で取り組む事業を紹介する報道関係者向け説明会を開催した。同社代表取締役社長 三田聖二氏と、常務取締役CFO 福田尚久氏から説明が行なわれた。

 三田氏は「2001年にレイヤー2接続でPHSでのデータ通信サービスを開始した。米国ではモバイルブロードバンドという概念の製品が出てきたのは2年前。欧州も米国と同じような状況で、日本は5年ほど先に行っている。ただ、当社はちょうど上場から3年を迎えたが、失った3年間だと思う。2005年から3G網でのサービス提供を行ないたかったが遅れた。当時、ボーダフォンとうまく話が進んでおり、3G網でのサービスが実現できると思ったが破談になった。では、これからどうするのか。当社の売上高が1,000億に達する時期はわからないが、そのための方法は見えている」と述べた。

 福田氏は「日本は世界で最も携帯電話のインフラが進んでいるが、日本の携帯電話メーカーのシェアは9%とほぼ壊滅状態。しかし、最近は販売奨励金問題が前進し、端末販売の健全化が進んでいる。またMNPが導入し、SIMロック解除も導入見込みとなるなど、ネットワークも開放されてきた。当社とドコモが相互接続で契約したのは象徴的と言える。こうした変化で、キャリアを頂点とする携帯業界の構造は、多彩な端末、多彩なネットワークが登場できる構造になる。その中で当社の役割は縁の下の力持ち、つまりMobile Enablerに集約されるのではないか」と説明した。

 続けて福田氏は、固定電話では既に実現しているIP電話を携帯電話でも提供することが業界構造の正常化を示す一例として紹介。2008年度の第2四半期中にも“携帯IP電話”を提供する考えを明らかにした。


業界の構造を変化させ、縁の下の力持ちになるという ネットワーク開放の事例
業界の構造を変化させ、縁の下の力持ちになるという ネットワーク開放の事例

携帯IP電話

携帯IP電話のデモ

携帯IP電話のデモ

他のIP電話や携帯電話とも接続できるようにする

他のIP電話や携帯電話とも接続できるようにする
 発表会場では、Windows Mobile搭載端末と、Symbian OS搭載のノキア製端末にNTTドコモのSIMカードを装着してIP電話の模様が披露された。ただし、Windows Mobile端末ではうまく動作しなかった。ノキア端末では会話はできたが、ところどころ途切れ、遅延も発生していた。

 デモに用いられたIP電話アプリの開発企業は明らかにされていないが、福田氏は「050番号を付加する形でのサービスを検討しており、着信も受けられるようにする。050番号を得るには、一定の品質基準が求められるが、その基準は3段階ある。検討中のサービスでは、その中レベル、あるいは下レベルをクリアできると見ている」と説明する。

 会見後、同社上席執行役員の田島淳氏に尋ねたところ「遅延は200ms程度と見ている」と述べ、情報通信技術委員会(TTC)による品質評価法で、遅延基準の中クラス(クラスB)一歩手前というレベルになるとした。同氏は、発表会場には、今回のデモとはかかわりがないものの、台湾企業のCAMANGI社がVoIPアプリのデモを披露しており、パソコンやWindows Mobile端末から日本国内の携帯電話へ電話をかけられるようになっていた。CAMANGIの担当者は「このVoIPアプリはスループットが50~60kbpsもあれば実現できる」と述べていた。

 ドコモとの協議次第で、実現時期がずれる可能性はあるが、同社では総務大臣裁定を受けたことなどを踏まえ、近い将来にIP電話サービスが可能な相互接続が実現できると見ている。

 料金面について福田氏は「海外宛の電話などの例外を除くと、基本的に固定のIP電話と同等と考えてもらっていい。ただし、当初は法人向けサービスでスタートを切る。一番期待しているのは、グーグル主導のAndroid向けにIP電話アプリが出てくるのではないか、ということ。今回のデモはWindows MobileとSymbian OSだが、普通の携帯電話でもOSなどが開示されれば、IP電話機能を作るのは可能だろう」と説明していた。また、三田氏は「端末については、基本的にオープンでやりたいと考えている。ただ国内の端末メーカーは既存キャリアとの関係を踏まえた上で判断されるだろう。携帯電話市場には、海外のコンピュータメーカーが意欲を見せており、日本にも参入する意気込みだ」と述べ、海外メーカーから対応機種が登場することに期待感を示した。


今後の成長戦略

米Amazonがリリースした電子ブックリーダー「Kindle」を手に、通信モジュールのような事業イメージを紹介した

米Amazonがリリースした電子ブックリーダー「Kindle」を手に、通信モジュールのような事業イメージを紹介した
 福田氏は、「現在の問題は、通信設備を持つ事業者だけがサービスを提供するということ。インターネットの繁栄は、さまざまな企業が競い合って産まれた物」と述べ、日本通信にはそういった現状を打開する使命・役割があるとした。

 3年後の同社はどのような姿になっているか、同氏は「既に日本ではウィルコムやドコモと接続しており、米国ではUSセルラー社と提携した。今後は欧州に進出し、アジア圏でもサービスする。世界で15億人以上をカバーする事業者となる」と世界を股に掛けるMVNOとして展開するとした。また、通信機能を備える電子ブックリーダーなど、さまざまな製品の裏方としてモジュールを提供するといった事業の考えも示し、「既に多くのシステム開発事業者が当社と商談を進めている」と述べた。

 またMVNOとしてキャリアのネットワークに接続を進めていくことで、100万~500万回線のネットワークが提供できるようになれば、売上規模は300億~1,500億円程度になるとした。

 同社が21日付けで示した業績予想(連結)によれば、2007年度通期の売上高は約34億1,700万円、営業損失は8億9,600万円、当期純損失は19億5,000万円。2008年度通期には黒字化し、売上高は58億1,100万円、営業利益は6億1,500万円、当期純利益は5億9,400万円を見込む。福田氏は、日米欧などでのネットワーク展開などの条件が揃えば3年後の売上高は400億円に達するとしたものの、そういった前提条件が1つも満たされなければ現状から小幅成長に留まるとした。なお、2008年度の黒字転換については、2/3がbモバイルの売上、1/3が携帯IP電話などのサービスによる売上になるとされ、上期は2007年度と同等の動きながら、下期に収益が向上するという。


今後3年の飛躍に必要な「3つの条件」 3つの条件をクリアできれば、売上高は400億円規模に達すると予測した
今後3年の飛躍に必要な「3つの条件」 3つの条件をクリアできれば、売上高は400億円規模に達すると予測した


URL
  日本通信
  http://www.j-com.co.jp/
  携帯IP電話提供のリリース
  http://www.j-com.co.jp/news/release/0811.html

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(関口 聖)
2008/04/21 19:54


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