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【 2009/06/26 】
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DeNAやヤフーなど5社、青少年ネット規制法案に反対

左からDeNAの春田氏、ネットスターの高橋氏、マイクロソフトの楠氏、ヤフーの別所氏、楽天の関氏、全高P連の高橋氏

左からDeNAの春田氏、ネットスターの高橋氏、マイクロソフトの楠氏、ヤフーの別所氏、楽天の関氏、全高P連の高橋氏
 ディー・エヌ・エー(DeNA)、ネットスター、マイクロソフト、ヤフー、楽天の5社は、若年層が安心してインターネットを利用できる取り組みを開始すると発表した。5社では22日付けで、自由民主党(自民党)に対して青少年インターネット規制法案への反対意見を提出した。

 会見には、DeNA取締役 総合企画部長の春田真氏、ネットスター広報部長の高橋大洋氏、マイクロソフト技術統括室CTO補佐の楠正憲氏、ヤフー法務部長の別所直哉氏、楽天執行役員渉外室長の関聡司氏、全国高等学校PTA連合会(全高P連)会長の高橋正夫氏が出席した。全体のプレゼンテーションはヤフーの別所氏から行なわれ、全高P連の高橋氏は高校生の保護者という立場から意見を述べた。


青少年保護に自主的な取り組み

 5社の自主的な活動については、全国高等学校PTA連合会などの保護者団体、あるいは教育関係者との意見交換を行ない、子供が安全にインターネットを利用できる環境作りや、リテラシー向上に向けた調査、検討、教材の制作を行なう。保護者に対しても積極的に情報を提供し、保護者が子供を手軽に指導できる環境作りを目指すという。また、政府や自治体に対しても政策提言を行なっていく。

 今後の活動は「できるところから手を付ける」とのことで、具体的なアクションは明らかにされていないが、各社まとまって実行する場合もあれば、それぞれが個別に判断して行動することもあるという。EMAなど既に同様の活動を行なっている団体もあるが、協調していくかどうかも現時点では未定となっている。

 自民党や民主党で、青少年対象のインターネット規制法案が検討されている中、5社では、協力活動の第1弾として、それらの法案の一部に問題があると反対意見を表明。22日には自民党政調会長の谷垣禎一議員に意見書を提出した。今後も「法規制は最後の手段」として、民間での活動を推進する考え。


今後の取り組み 法規制は最後の手段と訴えた
今後の取り組み 法規制は最後の手段と訴えた

5社が指摘する「自民党法案、ココが問題」

プレゼンを行なった別所氏

プレゼンを行なった別所氏
 プレゼンを行なった別所氏は「自民党内にも法案がいくつかあるようだが、今回は、高市議員の案の骨格をもらった」と述べ、自民党の高市早苗議員が中心となって進められている法案に対して問題点を指摘する形で会見がスタートした。

 それによれば、いわゆる「青少年インターネット規制法案」では、内閣府に“青少年健全育成推進委員会”が設置され、その委員会が「何が有害か」を定義する。この基準を元に、サイト運営者は有害とされる情報を削除したり、場合によっては会員制サイトに移行したりすることが求められ、ISP(インターネットサービスプロバイダ)はサイト管理者に対して削除要求などを行なう。また携帯各社はフィルタリングサービスの提供が義務づけられる。このほか機器メーカーやネットカフェに対しても何らかの義務が課されることになる。こういった義務に違反した場合、まず主管官庁から是正命令や指導があり、従わなければ罰則が課される。

 同法案の説明を行なった別所氏は「この中で、何をどう有害情報と定義づけるのか、どれだけ議論が重ねられたのかわからない。最も大きく懸念している点だ」と述べた。


高市議員が中心になって進めている法案の概要 有害情報の定義案
高市議員が中心になって進めている法案の概要 有害情報の定義案

保護者への意見聴取が後回しになったことから「本当に子供のためか」と指摘

保護者への意見聴取が後回しになったことから「本当に子供のためか」と指摘
 この法案に対して、5社ではさらに3つの問題点があると指摘する。1つ目は「子供を守るためと言いながら保護者の意見が十分に反映されていない」という点。別所氏は「保護者への意見聴取はかなり後回しで、きちんと取り入れられていないのではないか。ある高校の校長は、『この法案は門限を17時にしろと一方的に言ってるようなもの』と例えていた。子供をどう教育するか、その決定権が誰にあるのか配慮されていないのではないか」と指摘し、拙速な法案作りに批判的な見方を示した。

 2つ目の問題点は、「表現の自由の侵害」という点で、別所氏は「何が有害かは人によって違うが、“有害情報を規制しろ”というのは子供の発信する権利が失われ、表現の自由に対する明確な規制と言える」とした。

 3つ目は「産業競争力」。これは、いわゆる“官製不況”のことで、構造偽装問題を受けて昨年建築基準法が改正され、新築工事が激減したことなどが前例になるという。もし青少年インターネット規制法案が成立した場合、有害情報を発信するサイトだけではなく、ネット関連各社やユーザー全体に対する規制になってしまい、各社・各ユーザーの負担が増えてしまい競争力が落ちるということが懸念されている。

 別所氏は「この法案は、まさか先に進むことはないだろうという声もあるが、我々が把握している限りでは、法案という形で出てくる可能性はゼロではない。法案作成過程において、現在の高市試案が最終形とならないよう、適切な形で進めて欲しい」と述べた。


表現の自由を侵害するという懸念も 官製不況を招くとも指摘
表現の自由を侵害するという懸念も 官製不況を招くとも指摘

 各社ともに、フィルタリングや相談窓口の開設など、さまざまな対策を既に行なっているが、それでもなお、ネットに対する規制法案が議論されるほど、それらの対策は普及していない。その理由について、別所氏は「我々自身は、外に向かって『対策している』と訴えているつもりだが、まだまだ伝わっていない」と述べた。また、今回の法案が出てきた背景についても触れ、「インターネットに詳しくない人が悪い部分だけ見せられて、これは問題だと言っているのが実態だと思う。いわば東京を訪れたことがない人に対して、歌舞伎町の写真だけを見せて、『東京は怖い』と判断されたような形だ。もっと東京全体、日本全体を見て欲しい。今の子供世代が10年も経てば大人になる。ネットを使い慣れた層が大人になるに従って、こういった問題は減るのだろうが、現在は過渡期。今後10年ほどは、ネット利用に対する活動は必要だろう」と説明した。

 また、ネットスターの高橋氏は「パソコン向けサービスでは、年齢別フィルタリングを提供しているが、携帯向けは一律規制となっている。この点は、25日に開催される総務省の会合で、多様性が保持される方向で中間報告がまとまると聞いている」と述べた。会見終了後、キャリア各社のフィルタリングが年齢を問わずに一律の内容となっている理由について、高橋氏に尋ねたところ「ネットスターはあくまでもフィルタリング用のリストを提供しているだけだが、一番のネックはコストではないか。各社、社会貢献として無料でフィルタリングサービスを提供している。携帯電話のシステムは、1つのゲートウェイサーバーに数十万人がアクセスするという形で、年齢別にフィルタリングを適用することを考えると、システムへのコスト負担はあまりに大きいと思う」と語っていた。

 別所氏は「法規制は最後の手段。まず民間でできることがある。その活動を後押しして欲しい」と、行政主導よりも民間主導で進めるべきとの見解を示した。


「小学生と高校生を一緒にするのか」「拙速な法案作りは避けて」

全高P連の高橋氏は、保護者にも責任があると認め、関係者からの情報提供を求めた

全高P連の高橋氏は、保護者にも責任があると認め、関係者からの情報提供を求めた
 全高P連の高橋氏は、5社の会見に同席した理由として、これまでの経緯を振り返る。同氏によれば、昨年12月に総務省で行なわれた会議で、「意見が聴きたい」と初めて言われ、ヒアリングを受けたという。そこで、小学校1年生から高校3年生まで、一律にフィルタリングを適用するという話を聞き、「何を考えているのか」と驚いたという。

 同氏は、「子供の親を外して、関係各社と国だけで話し合いをしてフィルタリング適用というのは勘弁して欲しい。確かにネットが関わるいろいろな問題が起きていているが、フィルタリングの適用によって通話とメールとGPSだけ、という使い方になると、小学生は良いが高校生も同じでは携帯電話を持っている意味がなくなる。急に実施されて迷惑するのは子供。情報を集め出して、法律が作られることも徐々に判明してきた。フィルタリングはダメとは言わないが、子供が情報を発信することを強制的に止める権利はあるのか」と、行政の動きに対して問題があったことを指摘した。

 また高橋氏は、「正直言って、私もこういった部分は専門ではないので情報が遅くなるが、2年前、あるいは3年前から法案や規制の準備を進めていた、というのであれば、なぜその時点で我々に意見を聞いてくれないのか。『アンケート結果で90%がフィルタリング義務化に賛成』と聞いたが、どこの誰が言っているのか。小学生の保護者ならそうかもしれないが、高校生の保護者が回答して9割賛成というのはあり得ない。子供を育てる、良い環境作りに私たちも協力していきたい」と述べた。

 ネットや携帯電話の利用に関しては、保護者よりも子供のほうが知識があり、そのために保護者が子供の動きを把握できないという問題点が指摘される。保護者に対するリテラシー向上施策について、高橋氏は「いざ実施するとなれば、情報は確実に伝達できる。リテラシー対策は実行できる。一番責任があるのは、携帯電話を子供に買い与えた保護者であって、社会や教師、企業のせいにするつもりはない。しかしリテラシー向上のためには、より具体的な事例を教えて欲しいし、知らせて欲しい。かつて奈良県では、ある学校にたまたまIT系に詳しい先生がいた。その学校の生徒は、架空請求などをよく知っていた。保護者だけではなく、先生のレベルが上がって、指導できるようになると、もっとうまくいくだろう。おそらく1〜2年で効果が出るのではないか。これまで知らなかったのは反省すべき点。ぜひ全国に伝えていきたい」と意欲を見せた。



URL
  DeNA プレスリリース
  http://blog.dena.ne.jp/press/archives/2008/04/post_35.html
  ネットスター プレスリリース
  http://www.netstar-inc.com/press/press080423.html
  マイクロソフト プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3429
  ヤフー プレスリリース
  http://pr.yahoo.co.jp/release/2008/0423a.html
  楽天 ニュースリリース
  http://www.rakuten.co.jp/info/release/2008/0422_1.html
  全高P連
  http://www.zenkoupren.org/

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(関口 聖)
2008/04/23 18:33


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