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「女性ユーザーがターゲット」、ディズニー・モバイルの戦略とは

 携帯電話・PHS向けコンテンツプロバイダの業界団体「モバイル・コンテンツ・フォーラム」(MCF)によるセミナーが開催され、ウォルト・ディズニー・ジャパンのインターネットグループ、ディズニー・モバイルバイスプレジデントのデービッド・ミルスタイン氏がディズニー・モバイルの戦略を紹介した。


携帯事業進出の背景

ディズニーのミルスタイン氏

ディズニーのミルスタイン氏
 3月よりサービスを提供している「ディズニー・モバイル」は、ソフトバンクモバイルの通信網を利用する携帯電話事業者だ。ネットワークを借り受けて利用する事業者「MVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)」と呼ばれる事業者とされる。しかし、ディズニー・モバイルでは「ソフトバンクとの協業でサービスを提供する」と説明しており、端末販売や料金プラン、コンテンツ開発など多くの部分でソフトバンクモバイルと密接に協力して、サービスを提供している。

 そもそも、なぜディズニーが携帯電話事業を手掛けることになったのか。米国ではファミリー向けサービスを提供するディズニーブランドのMVNOと、スポーツ情報をメインにしたESPNブランドのMVNOを展開したが、どちらも終了している。米国でのMVNO展開が終了することが明確になった後に、日本で携帯電話事業に乗り出した格好だが、ミルスタイン氏は「多くの人に進出の理由を尋ねらられる」と語る。

 同氏によれば、ディズニー全体では、新たな映像作品を制作したりテーマパークなどの運営を手掛けるなど、多彩なビジネスを展開している。日本での携帯電話向け事業は3キャリア90サイトを提供しており、登録会員は350万人に達し、ウォルト・ディズニー・インターネットグループにとって重要な収益の柱に育っているという。にも関わらず、携帯電話そのものを提供するに至ったのは、「収益の規模がコンテンツ事業と比べ、キャリア事業のほうが大きな違いがあるため。日本ではチャンスがあると考えてスタートすることにした」のだという。

 ディズニー・モバイルの基本的なコンセプトは「普通の携帯電話と同じような品質を保ちながら、その上でディズニーならではの付加価値を提供すること」と説明したミルスタイン氏は「20代~30代の女性がメインターゲット。実際にユーザーの7割以上をターゲット層が占めている」と述べた。

 その女性ユーザーにとって、一番の魅力となっているのは「disney.ne.jp」というメールアドレスだと語るミルスタイン氏は「従来のメールアドレスは、心に刺さらないものばかり」と指摘する。さらに、端末内にはディズニーキャラクターを活かしたコンテンツを内蔵することで、さらに女性ユーザーを意識した作りを目指したという。


協業ならではの強み

 単なるMVNOではなく、ソフトバンクモバイルとの協業というビジネスモデルは「新たな形態」とするミルスタイン氏。たとえば料金体系を見ると、ソフトバンクモバイルと同じホワイトプランを提供しているが、「新規事業者なのでスタート時点ではユーザーは0人。そのままでは同一キャリア内の通話料が無料といっても魅力はない。しかしソフトバンクモバイルのユーザーも対象にできたので、一番最初のユーザーにも喜んでもらえる体制になった」と述べる。

 協業形態の詳細は説明できない、として明らかにされなかったが、同氏は「帯域を借りるだけではなく、今までにないビジネスモデルを作っている。単純にどちらが何をやるか、という形ではなく、一緒にサービスを作っている。米国では、ネットワークだけ借り受けて全てディズニーだけで展開しようとして無理がたたり、サービスを終了せざるを得なくなった。しかし日本では協業ということで、最初からソフトバンクモバイルのショップで取り扱ってもらえる」と協業のメリットを説明した。


子供向けというイメージを変えるためのマーケティング戦略

 ミルスタイン氏は「ディズニーが携帯電話を提供する、と言うと事前の調査では100人中全員が『子供向けサービスか』と思うほどだった。しかし、当社のコンテンツに愛着を持ってくれる女性層をメインターゲットにしたため、女性向けとアピールするのは苦労した」と語った。

 テレビCMでは、ディズニーが携帯電話サービスを提供することと、そのサービス内容を伝えることに注力している。たとえばサービス開始直後の3月頃には、テーマソングを流して、携帯電話でディズニーのアニメを再生する、という演出のテレビCMを放映することで、ディズニーの携帯電話サービスそのものをアピール。その後、5月頃からはテーマソングを流しながら絵文字やメールアドレスなどを見せて、15秒間でディズニー・モバイルの特徴的なサービス内容を紹介した。その結果、同社調査ではCM放映後の認知度が急に上昇したという。また屋外広告や雑誌広告を通じて、女性向けサービスであることをアピールしてきたという。

 ミルスタイン氏は、現状の動向を示す数値は明らかにしなかったものの、「ユーザー数やARPU、パケット通信定額サービスの利用数、いずれも予想を超えている。年齢層も意外と幅広い」と述べ、順調に推移していることを示唆した。



URL
  ディズニー・モバイル
  http://disneymobile.jp/
  セミナー開催案内
  http://www.mcf.to/seminar_application_form/20080529.htm


(関口 聖)
2008/05/29 19:26


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