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JBMIAモバイルシステム部会がスマートフォンの課題などを指摘

JBMIA モバイルシステム部会 部会長の増本 哲夫氏
 社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)は、6月6日、東京・大手町のサンケイプラザで、JBMIAフォーラム2008を開催し、同協会モバイルシステム部会が、「拡大するスマートフォンの現状と期待」をテーマに、スマートフォンにおけるビジネス利用の実状などについて説明した。

 同部会では、2007年度の活動として、4機種6台のスマートフォンを購入し、実際に部会員がビジネスシーンで使った結果、導き出したスマートフォンが持つ課題などについてまとめ、今回発表した。


「ビジネスシーンで利用するためには、いくつかの課題がある」

JBMIA モバイルシステム部会で購入した端末
 同部会が購入したのは、イー・モバイルのEM・ONE、ソフトバンクモバイルのX01HTおよびX02HT、ウィルコムのAdvanced/W-ZERO3[es]の4機種。

 同協会モバイルシステム部会の増本哲夫部会長は、「スマートフォンに対する期待が大きいこと、実際の利用では、携帯電話を超える利便性が提供できていないということもあり、ビジネスシーンで利用するためには、いくつかの課題がある」と指摘した。

 増本部会長が指摘した課題としては、「搭載しているソフトが成熟していないこと、ビジネスで手軽に使える環境が整っていないことが挙げられる」という。

 「今回、試用したのは、すべてWindows Mobileであったが、マイクロソフトが提供する住所録、予定表などのPIMが使いづらいという声があり、改善の余地があると感じた。また、スマートフォンで会社のメールを取得したいという要望があったが、利用した部会員の大半が、会社のサーバーにアクセスして、メールを取ることができなかった。セキュリティの観点からの対策によるものだが、ビジネスシーンでのスマートフォンの普及に際しては、導入する企業側の仕組みを開放するなどの措置が必要。ベンダーから、セキュリティ製品が数多く用意され、さらにこうした製品/サービスがあることがユーザーに認知され、安心・安全に社内のネットワークに接続できる環境を確立することが不可欠である」とした。

 一例として、マイクロソフトがWindows Mobileにおけるセキュリティソリューション製品を用意していることや、NTTドコモがスマートフォンの紛失・盗難対策サービスを行なっていることなどを紹介。「こうしたセキュリティ製品/サービスの増加は、キャリアが企業に対するスマートフォン導入に本気になってきた証」などとした。

 また、大きさ、表示、入力、電池寿命などの観点から意見を取りまとめ、「大きさに関しては、画面を重視するのか、収納性を重視するのか、キーの入力のしやすさを重視するのかといった条件にあわせて、様々な機種から選択できる環境になっている。また、画面表示については、メールとPIMを主に利用するユーザーはQVGAで十分だが、Webサイトの閲覧を重視するのではあれば、800ドットでサイトを設計しているケースが多いことから、WVGAが欲しいという声が出た。だが、その一方で、画面が高精細すぎると目が疲れるという声もあった」とした。


実際の利用による考察
 さらに、「入力方式については、スライド式QWERTYキーは、使い込むと両手保持による親指入力がスムーズにできるようになる。だが、10キー入力方式では、携帯電話と同様の操作感は実現できるものの、キーアサインが異なることから、使いづらさを感じるという声があった。また、iPhoneに代表されるタッチパネル入力は、直感的に入力ができ、手書き入力ができるという点で、携帯電話にはないメリットがあるが、文字入力とスタイラスによる操作を併用するのは煩雑」などとまとめた。

 電池寿命に関しては、メールやサイトを閲覧しているユーザーにとっては、「頼りない」という意見が中心となったが、一般的な使い方のユーザーにとっては「十分な待ち時間」というように意見が分かれた。また、スピードに関しても意見が分かれ、PIMやオフィス文書ビューアを利用しているユーザーは「十分な速度」とする一方、ウェブサイトの閲覧では「ストレスを感じると」いうように意見が分かれたという。

 そのほか、通信速度については、HSDPAがWebサイトの閲覧に威力を発揮し、無線LANも使用エリアが広がり、必須機能になっているとしたものの、「WANと無線LANの切り替えを意識して使用する必要があり、煩雑である」と課題を提示した。

 ブラウザの閲覧の際には、WVGAでは満足という回答が多かったが、QVGAでは不満という声が多く、メールの閲覧では、読むという点では高い実用性に評価が集まったほか、文字入力についても、かなり工夫されているという評価が集まったという。


国内端末の用途別の分類

ビジネスでの利用について
 同部会では、スマートフォンの定義を「携帯情報端末(PDA)の機能を一体化させた通話機能を持つ携帯電話端末の総称」とし、「電子メール、住所録、スケジュール管理の機能を持つ携帯電話のうち、入力のための形状を優先しているもの」と、「パソコンのデータの親和性と高度なソフトを提供するコンセプトを重視した携帯電話。ソフト開発の仕組みを提供しており、そのためにオープンなOSを採用しているもの」としている。

 この定義に則ると、現在、3キャリアから15機種が発売されており、「今後は、スマートフォンを投入していないKDDIの参入も見込まれ、ますます製品ラインアップは拡大することになる」とした。

 そのなかで、増本部会長は、「例えば、ウィルコムは、VGAによる画面の大きなものを採用し、法人にも利用されている。ドコモはこれまでは法人向けにしか販売してこなかったが、最近ではFOMAブランドにより、販売店でも取り扱いを開始し、コンシューマにも広げているが、音声利用を中心とした提案になっている。ソフトバンクはバラエティに富んだラインナップを揃えており、コンシューマが中心ではあるが全方位型。そして、イー・モバイルはコンシューマが中心であり、データ通信が中心となる。ひとくちにスマートフォンといっても、それぞれのキャリア、機種、搭載OSごとに特徴が異なるのが特徴」とした。

 さらに、Windows Mobileというひとつのスマートフォン向けOSのなかにも、昨年6月までの機種に搭載されていたWindows Mobile 5.0、昨年7月以降のWindows Mobile 6があり、さらに、Windows Mobile 6のなかも、Classic、Professinal、Standardに分かれていることを紹介。「それぞれのOSが持つ機能を見て、端末を選ぶ必要がある」などとした。

 最後に増本部会長は、「いくつかの課題はあるが、スマートフォンがビジネスで十分活用できる段階に入ってきているのは確か。通話中心か、データ通信が中心か、あるいは、メールが中心なのか、ブラウザ中心なのかというように、スマートフォンで何をするか、何をさせるかを明確にすれば、最適な機種やキャリアを選択しやすくなる」とした。



URL
  JBMIA モバイルシステム部会
  http://www.jbmia.or.jp/MoBS/


(大河原克行)
2008/06/06 19:32


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