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KDDI小野寺氏、スマートフォンの一般販売やiPhone動向を語る

 17日、KDDIは定例社長会見を開催した。同社代表取締役社長兼会長の小野寺正氏からは、「じぶん銀行」口座数が10万件に達し計画通りに推移していること、WiMAX事業開始に向けて活動するUQコミュニケーションズが横浜市内に第1号基地局を開設したことが案内されたが、特に大きな発表はなく、会見は報道陣からの質疑に応える形で進められた。


「スマートフォン、個人向け販売やるだろう」

KDDI小野寺社長

KDDI小野寺社長
 KDDIでは11日、HTC製のスマートフォン「E30HT」を2009年春に発売すると発表した。発表時点では法人向けの販売となっていたが、質疑応答で個人市場への投入について尋ねられた小野寺氏は「何も決定していないが、おそらく個人向けにも販売されると思う。料金プランについてはさまざまな考え方があるだろうが、この点については何も決定していない。一方、個人向けスマートフォンはどれほどの市場性があるのかという懸念はあるが、十分検討していくことになる」と述べ、個人ユーザーでも購入できる見通しを示した。

 一方、法人市場へのスマートフォン投入に関連して、同氏はスマートフォンと一般的な携帯電話との違いに言及。同氏は「ソリューションを絡めたサービスを提供すれば、スマートフォンの良さが出せるだろう。そして端末の使い勝手の面では、まだ一般的な携帯電話のほうが文字入力や日本語変換機能などが使いやすく、スマートフォンよりも圧倒的に楽なのだろう。これを上回る使い勝手や機能、サービス性を提供できるか。auがスマートフォンを提供する以上、そういった部分を提供できなければ意味がない」と述べ、独自UIの採用や法人向けソリューションとの連携機能の提供などを示唆した。


「iPhoneの動向は想定通り」「Androidは選択肢の1つ」

 ソフトバンクモバイルからアップル製の携帯電話「iPhone 3G」が発売され、約2カ月が経過した。一部では「当初の勢いがなくなり、販売が鈍化している」との声もあるが、この点について尋ねられると、小野寺氏は「かねてより、特定の需要はあるだろうし、過去のiPodの販売動向を見て、当初は端末が足りないということになるだろうと言及してきた。また、iPhoneの魅力は、アップル製品を好む人だけではなく、一般的なユーザーにとって、どの程度魅力なのか疑問に思っていたことも過去の会見などで述べてきた。現状の流れになったのは想定通りだと思う」と述べ、これまでの予測通りに動いていると冷静に指摘した。

 またグーグルが中心となって推進する携帯電話向けプラットフォーム「Android」については「携帯電話のオープン化について1つの方向性を示したもの。ただ、au端末全てで採用するわけではなく、標準的なものになるとは考えていない。ユーザーにとって、携帯電話の使われ方、選択肢を増やすという存在」と述べ、au端末として導入する可能性を示唆しながら、ラインナップの一部に留まるとした。


端末販売は鈍化

 さまざまな調査データやメーカー幹部の講演などで、2008年度以降の端末販売数が前年度比で落ち込んでいることが明らかとなってきた。

 小野寺氏は「夏商戦の販売数は前年と比べ7~8割に留まっている。冬商戦で、この傾向が変わる要素は少なく、前年同期比はマイナスになるだろう。在庫状況については、確かに従来より少し多い格好だが、消化できると考えている」と説明した。

 またauの純増数に勢いがなくなってきたことに対して「au端末の魅力が他社よりも勝っていなかったこと、あるいは新機軸への取り組みが他社より遅れたのは事実」と同氏は分析し、秋冬モデルでは特徴的な機種を多数投入できる見込みとした。

 端末販売数の落ち込みなど市場環境に変化をもたらした要因については、「1つはソフトバンクからホワイトプランとスーパーボーナスが投入されたことで、これらは市場に大きな影響を与えたと思う。また、分離プラン(利用料と端末代金を切り離した料金プラン)の問題もある。ハードランディングの危険性に警鐘を鳴らしてきたが、その結果は想定した通りになった。分離プラン導入に対する評価はこれから為されるだろうが、メーカーも販売店も辛い状況にある」と述べた。

 また小野寺氏は「分離プランを入れたにも関わらず、端末販売が伸び悩むことで、分離プランに対してコミッション(販売奨励金)を付ける格好になるのが心配な点。コミッションを付ければ値下げと同じこととなり、大きな問題になるだろう」とした。

 携帯電話販売では、コミッションが削減され、端末価格が上昇した一方、「ネットブック」と呼ばれる小型ノートパソコンの販売では、イー・モバイルのデータ通信プランとセットになることで、ネットブックの販売価格が安価に設定されている。小野寺氏は「データ通信とネットブックのセットで、コミッションが付くことは各社やってきたこと、あるいは現在やっていることで何も言うことはない。ただし、こういったビジネスモデルをやめろと言っていたところが、ネットブック販売については何も言及しておらず、不思議でしょうがない」と苦笑しながら語っていた。


他社との差別化、基本戦略は従来通り

 国内の携帯電話市場が飽和する中、他社とどういった違いを打ち出すか、小野寺氏は「インフラ、端末、コンテンツ/アプリケーション、料金という4本柱をきっちりやっていくという考えに変化はなく、従来通り『顧客満足度向上』をどう上げていくかという点に尽きる。ユーザーの多様化するニーズに応えることが必要で、端末については1機種100万台という時代ではなく、もはやそれを期待するのは間違い。少量多品種にどう対応するか。フルチェン(外装交換サービス)やナカチェン(メニューなど端末内コンテンツカスタマイズサービス)も1つの方策だ」と述べ、基本方針は今後も堅持するとした。

 また、料金面については、ドコモが段階制の「パケ・ホーダイダブル」を10月より導入することなどから、一見すると3キャリアの料金プランが横並びとなるが、小野寺氏は「料金を現状から大きく変化させる必要があるとは考えていない。一方、現状の料金体系が複雑で、わかりにくいのは事実。実際、店頭で配布しているカタログについても社内では『これでは販売店用のマニュアル』と揶揄するほどで、このあたりはわかりやすくしていきたい。その一環で、値下げに繋がるパッケージプランの導入が考えられるかもしれないが、基本的に料金を変更する考えはない。また値下げしたところでユーザーが動くという状況でもない。そもそも2年契約がおかしいと指摘があるかもしれない」と述べ、当面、料金面での大きな施策は実施しない姿勢を見せた。


法人市場への見解も

従来通り小ロット多品種への対応を課題に掲げた

従来通り小ロット多品種への対応を課題に掲げた
 法人市場への取り組みについては「法人向けソリューションで、当社はMCPC Awardという賞を3年連続で獲得しており、ソリューションを絡めた部分で他社よりも先行していると思う。問題は中小法人向けだが、現状は乱売合戦。とはいえ、現状以上の法人向け料金パッケージは考えられない。法人の主なアプリケーションは音声通話で、現状は前の世代の端末を安く提供しているという実態がある。ローコスト端末の開発が必要な時期に来ているのかもしれない」とした。

 また、ドコモやソフトバンクが1台で2つの電話番号・メールアドレスを利用できるサービスを提供していることに関して「ああいったサービスが本当に求められているものか、疑問に思っている。2台持ったほうが使い勝手はよく、導入企業も管理しやすい。一方、市場が飽和する中で、ニッチマーケットへの対応も検討しなければいけない。当社ではフルチェン・ナカチェンのような仕組みを出しており、そこで他社とせめぎ合うことになるのではないか」とした。


景気動向の影響、その他の点について

 リーマン・ブラザーズの倒産など米国の金融市場が混乱していることを受け、KDDIへの影響を尋ねる質問も行われた。

 小野寺氏は「リーマンとの取引はあるが、(リーマン倒産で)当社の業績には影響はない」と断言したほか、「日本経済はバブル崩壊で大変苦しい思いをした。回復まで10年ほどかかったが、米国はもっと早く回復してくれなければ影響はより多大になるだろう」と述べた。

 また国内経済の景気動向がKDDIの事業に与える影響についても尋ねられると、「正直言って読み切れておらず、これまで景気と関係なく契約数など伸びてきたのは事実。景気が与える影響としては端末販売数とトラフィックが考えられるが、販売数の落ち込みは、景気よりも分離プランの影響が大きい。またトラフィックも減少していない。かつて国際電話では景気退潮にあわせて利用が減ることもあったが、現在では通信は基本的なコミュニケーションツールとなっており、景気の善し悪しと関係なく利用されるのではないか」と分析した。

 UQコミュニケーションズが来年2月にWiMAXによる通信サービスを開始する見込みとなっているが、KDDIがMVNOとしてサービス提供するかどうか、同氏は「あるともないとも言えないが、検討しているのは事実」と述べるに留まった。



URL
  KDDI
  http://www.kddi.com/

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(関口 聖)
2008/09/17 16:55


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